東方凡人記:6話
ガタ、ガタン。
「ふう……」
賢者タイムでは無いので勘違いしないで欲しい。
居住スペース確保のために小屋のガラクタ撤去と勤しんでいるのだが、一人で作業しているのでやはり中々はかどらない。疲労メーターは既にMAXどころかはちきれんばかりである。
とは言え、あらかた片付いてはきている。このペースを維持して夕方までには終わらせたいものだ。
「おっ、このちゃぶ台まだ使えそうじゃないか」
ついでに使えそうな家具も色々と拝借しているのである。廃棄するくらいなら使った方がいいよね。リデュースリユーズリサイクル……だったっけ。
「もしかしたらまだ使えそうな家具とかもっとあるかも」
デカいのはスペース的にアウトだが。
「お」
小さい箪笥だ。このくらいなら小屋のスペースをあまり圧迫しないだろう……なんだか物あさり楽しくなってきたぞ。何が出るかな! 何が出るかな! ひょいひょいとガラクタを掻き分け、使えそうな物をさがす。
「ってえええ!」
すると適当に手に取った物を見て驚く。驚くのも仕方ないだろう。小屋を漁っていると銃が出てきた。
GUNだ。GUN。和服で銃持つとなんとなく「うおッ! まぶしッ!」と言いたくなる……ごほん、気にしないでくれ。なんだこれ、USPだったか、グロックだったか。詳しいことは解らんが拳銃だ。
……撃てるのかな、コレ。モデルガンじゃあないよなぁ……。なんとなくだがモノホンっぽい重量感があるのだ。弾倉もちゃんと入っている。確かここにあるセーフティロックを外して……。
両手で構えて引き金を引いてみる。かちっ。
「……」
カチッカチッ
弾がEMPTYだ。期待させやがって。でもコレクトしとこう。カッコイイし。
まだ何か掘り出し物あるんじゃね……? ななな何が出るかな!!
さっきまでの疲労がどこに行ったのやらガラクタを掴んでは投げ、掴んでは投げての荒業で片付ける俺。モチベーションは大切だと身にしみる。
「おおおッ!!」
こ、これは……! 刀だ。BLADE。SWORD! カタナ! ニンジャソード!
鞘も比較的キレイだ。一回刀とか抜刀したり振ってみたりしたかったんだよなぁ。鞘から刀を抜き放つ。勿論素人が華麗に刀を抜くことなんてできなくてたどたどしい手つきで刀を抜く。
「おお……」
思わず感嘆の言葉をあげる。刃こぼれとか折れてたりだとか予想をしていたのだが良い意味で予想が外れた。綺麗な刀身が光を反射して輝いている。
もしかしてこれ名刀じゃね? 古ぼけた場所にある刀は高い確率で名刀。RPG的にそうだろJK(常識的に考えて)
エクスカリバー(勝利を約束された剣)だとか痛いネームが頭を過ぎる。……さっさと片付けるか。
何故か物悲しくなった俺はすごすごと片付けを再開した。
☆☆☆☆☆
「片付け終わりました慧音さん!」
「そうか。ご苦労様」
テンションが上がりに上がったのが良かったのか比較的スムーズに片付いた。
「おお、よく一人でこの量を運び出せたな」
「意外といけるもんですね……あぁ、そうだ。この使えそうな家具貰っていいですか? 雑巾で拭いたら使えそうですし」
「元々処分するつもりなのだから構わないさ。むしろまた使えてもらえてその物達も喜ぶだろう」
そういえば物には一つ一つ神様が宿るっていうな。……ツクモガミ、だっけ? ハッピャクマンの神様って言うしな?(※八百万)
「あとッッ! このッッ! 刀ッ! 見つけたのッ! 貰っても宜しいでしょうか!!」
刀がテンションの源であった。
「持ち主がいるというなら即座に返却しますから!!」
「か、構わないぞ……」
「よッしゃあ!!」
気迫に圧されたのかあっさりとオーケーしてくれた。
「はは……、そういえばなのだが、さっきから持っているソレはなんだ?」
俺の手にしている銃を指差す。
「ソレって……あぁ。銃ですよ。この引き金を引くと弾が出るんです」
これには弾入ってないんですけど、と肩を竦める。
「つまるところ外の世界の武器か?」
「まぁ、そんなところですね。そういえばどうして幻想郷なんかに銃があるんだろう」
火繩銃とかは想像できるけどなぁ。
「人も妖も然り、幻想郷には忘れ去られた物が流れ着く」
「忘れ去られた物、ですか」
俺の場合、紫さんによって送迎されたから例外なのだろうか。ええと、鈴木と流斗の神隠し……何言ってんだ俺。
「では、私はこのゴミの処分をするとしよう」
「あ、有難うございます」
因みにゴミは台車に乗せてって持ってきた。そうじゃないと持ってこれないだろうしね。
「畳も用意しておこう。冷たい床じゃ不快だろう」
「何もそこまでしてなくても……」
「遠慮するな。その間に掃除でもしておくといい。ほら、掃除用具だ」
雑巾とバケツ、その他を渡すとスタコラサッサと行ってしまった。本当にお人よしな人だ。
「って掃除という作業があったんだった」
ガラクタ撤去だけで成し遂げた気分になっていただけに忘れていた。
☆☆☆☆☆
「ほら、畳を持ってきて……大丈夫か?」
「はい……」
俺の体が疲労でマッハです。何がマッハなのか聞かれても困るけど。
「畳は私が敷いてやるから、少し休んでおけ」
「はい……」
申し訳ありません。と心中で呟きながらぐでー、と横になった。情けねぇ。
…
……
………
「敷けたぞ」
「ホントありがとうこざいます」
結局頼りまくりな俺だった。
「しかし畳敷くだけで本当に家っぽくなりましたね」
「ああ、最初はどうなることやらと思ったのだが意外といけるものだな」
早速中に入ってみる。なんだかワンルームマンションみたいだ。決して広くはないけれど、一人で住むには十分十分。
「なんだか落ち着けそうな空間っスよ!」
「それは良かったな」
と微笑む慧音さん。もう女神にしか見えない!
それにしてもい草の匂いが心を落ち着かせるというか。とにかくいい匂いじゃない? 畳の匂いって。
グウーー……。
「……」
不意に鳴る俺の腹。慧音さんの方を見るとクスクスと笑っていた。
「夕餉、よければ私の家でどうだ?」
「えっ?」
いいんですか? と目を輝かせながら言うと。
「一人で食事するより二人の方がいいだろう、どうだ?」
もしかして慧音さんの手料理ですか!
「食べるますでございます!」
さっきまでぐったりしていた俺が急に元気になると呆れた顔をして微笑んだ。
それで慧音さんのお宅にお邪魔して夕餉を頂いたのだが、メシまでウマいとか完璧すぎんだろ。チートの使用は汚いですよ慧音さん。
次話辺りから話を展開させていこうと思っています。 難しい。
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