東方凡人記:5話
「おぉー」
慧音さんから服を借りて人里を見ようと外に出向いたのだが、その光景はさながら自分が時代劇に出ている気分になる程だった。
関係ないけど服は借りたというかくれた。中のTシャツまでズタボロだったもんで。畜生。
服を用意する間風呂でもどうだと言われたので入ったけど割愛させていただく。俺の入浴シーンなんて描写して需要ある? よし、あるならお兄さん頑張るぞ。あはん、うふん。
失礼。
そして用意してくれた物が和服だ和服。刀を帯たらサムライになれそうだ。フジヤーマテンプーラオーウ! サムラーイ! ハラキリー! ズバーッ!(謎の擬音)
それはそうと、ついでにお小遣もくれた。
「外の世界から来たのだから文無しだろう、少しだが役立ててくれ。じゃあ私はこれから用があるから出かけてくるよ」
とのことだ。あの人にはいつか本気で恩返しせねば。出かける先が少し気になったが一々詮索するのも失礼だと思ったので問いかけはしなかった。
まぁやましい事は一切ないだろうけど。さてさて、がま口の財布にちゃらちゃりこんとお金が入っているのだがYENじゃなくて円とか銭とか厘……だっけ? とにかく一昔前のお金だ。
ええと……確か、本当に確かだけれど明治~昭和初期の1銭=今の時代で言う80円くらいだと習った覚えがある。アホだからというかうろ覚えだし間違えてるかもしれない。これが合ってたとしてアテになるかと言われればそうでもないんだけど。幻想郷とその時代のお金の価値が同じだという保障が無い。でもここら辺は物価を見て判断すれば良いだろう。
で、うろちょろしつつ何処に何があるか調べてたり。ここに団子屋、ここに……寺子屋? あぁ、学校ね。ちょーっと邪魔になるかもだけど覗いて見るか。
「失礼しまーす」
小声でさも寝起きドッキリの雰囲気で呟いてみる。そろそろと音をたてないように戸をゆっくりと開き、覗く。そこには席に着く子供達と、恐らくそれらに教鞭を振るっているであろう教師の姿があった……って慧音さん?
「では宿題を提出してもらう」
あの人先生なのか。用ってのは寺子屋の授業ね。確かに雰囲気というか……頭良さそうな感じだったな。とか考えていると一人の少年がちょっと青ざめた顔で手をあげていた。どうした少年よ。
「宿題やるの忘れました……」
あるある。気にすることなかれ少年。小学生の王道言い訳は、
「宿題やったけどノート忘れましたwwwww」
だよね。俺もよく利用した言い訳だ。芝(w)は勿論必須事項。で、ゆるーい先生だと後日提出でいいんだよな。
慧音さんはなんとなくだけど「こらっ!」と叱って頭をパシッと軽く叩くイメージがある。あんな美人な先生って羨ましいね……俺も頭叩かれたいですうへへへ。
「宿題忘れの罰は覚えているか」
くっ! 前もって罰を決めてるパターンか! これはキツいぞ、少年!
「は、はい……」
水入れたバケツ持たせて立たせるとか、か? どんな罰か色々と想定しているスキに慧音さんはその少年に近づくと頭を振り上げ……振り上げた?
ゴンッ!!!
振り下ろしたァーー!! ダイナミックな頭突きは想定外だ!! 軽く叩くってレベルじゃねーぞ!!!
凄く痛そう。やっぱり叩かれたくないです。
「失礼しましたー……」
また小声で去る。予想外のモノが見れたと同時に彼女はあまり怒らせないようにしようと心の中で誓うのであった。
☆☆☆☆☆
「ふぅー」
一通り観光し終えた俺は団子屋で団子を頬張りつつお茶を飲んでいた。この緑茶がおいしいのよ。
緑茶がおいしいのは構わないがこの先不安なのよね。宿とか宿とか宿とか。慧音さんに泊めてくれとか図々しい事は言えないし。
はぁー、と溜息をついてふと横を見る。あ、あの影は。
「慧音さん」
「ん、リュートか」
気付いてくれた。ちょうどいいので宿について尋ねて見る事に。
「授業、お疲れ様です」
「ありがとう。ってあれ、寺子屋で教師をしているって知っていたのか?」
「さっき気になったので授業風景を軽く覗いてました。すいません」
正味な話、頭突きを見ただけなのだが。
「いやいや、構わないさ。で、人里はどうだ?」
「いい所ですね。なんというか……こう、表現し辛いのですが……」
自分の表現力の無さにワロタ。もうちょっと語彙力を身につけないとなとしみじみ思った。
「はは、それはよかった」
ギリギリ慧音さんには伝わったようでなんだかうれしそうだ。この里が好きなんだなぁ。っておっと。感心してないで宿の事を聞いておかないと。
「それで聞きたいことがあるんですが」
「なんだ?」
「宿屋、とか泊まる所ってありませんか」
「宿、か……」
え、もしかして無い感じっすか。
「普通の人間が住む所は此処しかないし、そもそも人里に旅行に来る者はまずいない」
「そうか、宿屋なんて必要ないのか」
「そういう事だ……私の家に泊めてやりたいのだが少々都合が悪いのでな。すまない」
「いやいやいや、どうして謝るんですか。むしろとても感謝してますよ」
もとよりそこまで頼るつもりは無いし、この人にこれ以上迷惑はかけたくなかった。俺のプライド(あまりない)が廃るしな?
でも、宿が無いのは考えていなかった。今更ながら自分の家が恋しい。絶対に帰りたくはないのだが。森で野宿、とか一瞬考えたけどまたルーミアみたいな妖怪に遭遇したら以前みたいに逃げきれる保証もない。ついでに自信も。そもそも食料確保のスキルや野草の知識もない現代っ子の俺には無理な話だ。
いや、やっぱり野宿か、野宿しかない! 当たって砕けろだ! 襲ってくる妖怪なんて全員ブン殴ってやる! ウオァァァー!! と乱心しかけている俺であったが。
「そうだ!!」
突如閃いた、と言わんばかりに言葉を発する慧音さん。ビックリした。
「家、ではないのだが使われていない小屋がひとつあってな。」
「マジすか!!」
「ああ。こっちだ、ついてきてくれ」
あ、ちょっと待って、食い逃げになっちゃう。団子のお代払ってと……よし。
「今行きます!」
☆☆☆☆☆
「ここだ」
「どれどれ」
あ、本当に小屋だ。こやーんって感じ。(意味不明)
それじゃあ中を拝見……そらっ! ガラッと勢いよく戸を開けたのだが。
「げほッ! げほッ!! 埃臭っ!」
歓迎してくれたのは舞い散る埃と鎮座しているガラクタ達であった。
「長年使われていなかったからな。当然そうなるだろう」
ですよねー。
「まずはこの小屋のゴミをなぁ……」
見た所木材ばかりだ。プラスチックなんて物はないだろうし焼却処分でいいかな。
「ゴミは運びだして燃やして処分しちゃえばいいですかね」
「そうだな、一人で運ぶのは辛いだろう。手伝うよ」
「いえ、これ以上迷惑掛けられませんよ。一人でやります」
「大丈夫か?」
「大丈夫です!!!」
ふんっ! と両腕でこぶを作ってみせる。華奢な腕だ。
「そ、そうか。しかしゴミの方の処分は任せてくれ」
「あ、すいません。そちらの方はお願いします」
俺は鈍臭いから火使うとどうなるか解らんしな。火事なんてなったらそれこそ人里飛び出すぞ。申し訳なさから。
「じゃあ運び出したら呼んでくれ」
「了解です」
頑張れよ、と言うとスタスタと行ってしまった。本音言っちゃうと凄く手伝ってほしいです。
「しかしそれをやっちゃあ男が廃るのよ!!」
謎の気合いを入れる俺。よし、頑張るかぁ。
あまり東方キャラが出ていないでございます。…話の展開がトロいのでゆっくり待って下さい…。
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