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東方凡人記:4話
 チュン、チュンという小鳥の囀りと心地よい朝の日差しで目が覚める。

「う、うん……?」

 重いまぶたを開け、起きるとそこは――

「ここ、どこよ」

 知るか。心の中で自問自答。そう。気付いたらあたたかい布団の中なのである。
 しっかし、朝1番の寒い時って布団の温もりが恋しくて中々出られないよね。これが原因でよく学校を遅刻したもんだ。
 それにしても蹴られたアゴと蹴られた時に痛めたのか首が痛いぜ。……ん? 蹴られた……?
 そうだ! チルノとかいうアホに……! 思い出すだけでも腹がたつ。畜生め。

「今度会ったらぶちのめすッ!!」
「どうしたんだ!?」
「ひぎゃっ!? ごめんなさいッ!!」
「……何故謝る」
「え?」

 俺の声に反応してドタドタ、ガラッとふすまが開いた。てっきりあのアホ妖精来たかと思ってとりあえず謝ったがどうやら違ったみたいだ。恥ずかしさで死ねる。というか俺のプライドって一体……。

「にゃんでもないれすっ」

 盛大に噛んだ。しかも萌えない。目の前の知らない女性はポカンとして固まっている。俺、羞恥心で顔真っ赤。
 如何ともし難い空気になったので打破すべくあうあう、と声を出す。

「あ、あのう……」
「あ、いやいや、すまない」

 やっと場の空気が落ち着いたがやはり気まずい。そういえば彼女は一体誰なんだ、と思ったのもつかの間。

「私は上白沢慧音という。君は?」

 タイミング良く彼女から自己紹介してくれた。かみなんとか慧音……? 長い名前は覚えづらいでございます。

「リュートといいます。よろしく、慧音さん」

 今思えば彼女、中々の美少女です。へへへへへ。ってこんな事よりも知りたい事があるんだよっ!
 脳内で煩悩をぱっしーんと地面に叩きつけ、相手に訊く。

「あの、早速で失礼なのですが此処は何処でしょうか……?」
「人里だ、そして此処は私の家だ」

 あ、貴女の家なのですか。っていうか

「人里って事は……妖怪はいないのですか」
「此処では襲われる心配はないだろうな。買物に来たりする妖怪はいたりするが襲ってはこない」

 へー。妖怪も買物するんだ……それより1番気になってる事が。

「そういえば僕は何故ここに? 森に居た筈ですが」
「あぁ、魔理沙……って言ってもわからないな。まぁ見た目白黒の魔法使いがいるんだが、彼女が「森の中でぶっ倒れてたんで拾ってきたぜ」とか言って人里まで君を運んできたそうだ」

 魔理沙さんね、いつか会ったらお礼言っておかないと。でも魔法使いは判るけど白黒ってのはなんだよ。ゲームウォッチ的な魔法使いか。

「それでリュート、君は見た所外来人のようだが」
「ええ」

 何を訊かれるか分からないがとりあえず返事はしておく。

「どういった訳でここまで来たんだ? 少し説明してくれないか」

 それならお安い御用である。

「あ、はい。まず八雲紫って人が……」
「八雲紫、だって?」
「え……? えぇ」

 彼女の名前はNGワードなのか。もしかして犯罪者? 確かに胡散臭そうで前科10犯はありそうだったが。……知りもしないのに失礼な事を推測するのはやめよう。

「それがどうしたんですか」
「八雲紫が何者か知っているのか?」
「ええと……、ちょっと変な人」

 俺の頭の中ではそんなイメージ。そして美人。後、変な隙間。そう返事した俺を呆れるように見て、はぁー、と大きく溜息をつく慧音さん。

「彼女はな、妖怪だ。大が付く位の」
「わっつ!?」

 大妖怪だって!? なにそのサプライズ。見た目人間じゃないか。あ、でもそれだったら色々と合点が……。

「もしかして森で会ったルーミアってのも……」
「宵闇の妖怪だ。よく生きていたな」

 里も毎年何人か被害が出るんだ、と額に手を当ててゆっくり首を振る慧音さん。
 ひ、人喰うの……? カニバリズムですかぁ? それに、宵闇の妖怪か……。急に暗くなったアレのこと?

「で、まぁ話を戻しますが……」


☆☆☆☆☆


「……という訳です」

 これまでのいきさつを簡単に話した。紫さんに幻想郷に送って貰い、ルーミアに襲われ、チルノに更に襲われた事。その際チルノを湖に放り込んだ時の事を話したら呆れられた。
 日本の湖にジャッパーンは滑りそうだったから言わなかった。そもそも幻想郷って日本なの? 日本だよな?
 あ、そういえばまだお礼言ってない。慧音さんに。腕の傷も治療してくれたみたいだし。

「ええと……色々とありがとうございます。泊めて下さった上に治療までしてくれたみたいで」
「なに、困った時はお互い様だ」

 何このいい人……! 俺なんて自分よければ全てよしがモットーなのに……! あれ、目から水が!

「ところで、慧音さん」
「どうした?」
「僕の服、こんなんなんで他の服貸してくれませんか……?」

 ビリッビリである。

「あ」

 どうやら気付いていなかった様だ。俺も忘れてたんだけどね。

「すまないな。少し待っててくれ」
「いえ、こちらこそ手間取らせて」

 人里かぁ。後で色々見て回ろう。オラ、ちょっとわくわくしてきたゾ。初めての体験でどんどんと好奇心が膨らむ俺であった。
主人公はヘタレキャラで定着しそうです。


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