えらく投稿が遅れてしまいました。新年あけましておめでとうございます。
東方凡人記:32話
ただの悪あがきと先程述べたが本当に打開策とは言えない。どちらかと言えば策ではなく『何々できればいいなぁ』と言う願望に近い。
恐らく彼女……咲夜さんは時間停止中に『俺を攻撃する事はできない』。というか攻撃しても無駄なんだと思う。
何故なら時間を停止すると言う事は無論全ての物が停止してしまうから。
確か空気も固まって呼吸すら出来なくなるし、光は眼に飛び込んでこない。
つまり身動きも全くできないし真っ暗闇で何も見えない状況になる、はず。
おそらくこの2つの点、空気とか光とかは『時間停止の対象』には入っていないのだろう。でなければ時間停止中に動き回るのは不可能。
そして時間停止における物質の硬度。
たしか……かんぜんていししたときのぶっしつはぶんしのいどうが……うんたら。
ええぃ、どっかの馬鹿みたいな思考になってしまう!
むつかしい事は覚えていないが時間が止まると全ての物質が硬くなる。
理論上豆腐でもダイヤモンド以上の硬度になる。ダイヤモンドも豆腐以上の硬度に……あれ、何か違う。
兎に角、簡単に言うと時間停止中の物質は破壊不可能。
そして最後に気になったのが時を止められる前に咲夜さんを捕まえたらどうなるのか。
もしかすると彼女に触れる事によって時間停止の対象から外れる事が出来るかもしれない。
そう考えた理由は1つ。時を止めて紅魔館の業務をするにあたって『触れた物の時間を停止させたまま』じゃ掃除にしろ何をするにしろ面倒にも程がある。
多分彼女が触れた物も時間停止の対象から外れるだろう。飽くまで推量に過ぎないがこれしか策は無いのだ。
だけど……。
「悪あがき、ねえ。どんな無駄な事を考えついたのか」
浮いてるわ時間止めるわナイフ投げてくるわメイドだわで捕まえるなんて無理なんじゃねえか。悪あがきにすらならない気がしてたまらない。
「うるさい、世の中の半分以上は無駄で出来てるんだよっ」
バッと札を掲げて光を放つ。俺の得意技になってきたかもしれない光の目潰しだ。
「どうだァ、札の目眩ましは! 勝ったッ! 死ねィ!!」
お前は何処の悪党だと言わんばかりの台詞を叫び突撃。が、掴み掛かる寸前に咲夜さんの姿が消える。
「馬鹿のひとつ覚えね」
わあ、死亡フラグ。背後から聞こえてくる言葉でそう考えた。
そりゃあ一度見せた技を警戒するのは当然ですよね。
ヒュンヒュン、とナイフが空を切る音が更に聞こえてくる。
最大限力を振り絞り、ゴールキーパーが全力で横を通り過ぎるボールを捕球しにいくが如く横っ跳び。
するとナイフがたくさん俺の居た場所に刺さっていた。マジで危ない。
ここまでは俺の予想の範囲内であったが……
「うおおおお?!」
予想以上に俺の脚力は発達しているらしく数十メートル先の壁に激突。血を頭から流しながら敵を見据えて睨む。
「壁に追い込んで小賢しい真似をっ……」
「自分で勝手にやった事でしょうに」
い、いや、俺のせいじゃないし。
それはともかく……俺の体も更に人外に近づいてきた気がする。
いや、気がする程度ではなく近づいている。ものの短時間で身体能力が著しく向上している。
もしかすると霊力の供給がマズいのではないか。そもそも悪魔の館なんだし妖気なんてそこら中に蔓延してるよね……。
が、今はそんな事を考えている暇は無い。とりあえず今は目の前のメイドを倒す事に集中しよう。
頭から垂れてくる血を拭いながら考える。
どうすれば奴を捕まる事ができようか。ていうか自由に時を止められるんなら捕まえるなんて無理じゃね? アッハッハッハッ
ザシュッ!
「っつぅ」
今度は右足のふくらはぎにナイフが命中。痛みを堪え切れずそのまま倒れ込む。
死角から飛んで来るナイフに全く反応ができなかった。
しまった、一瞬の隙でも致命的なのにこんな状態じゃっ……!
刹那。今度は俺の四方八方を取り囲むナイフ。360度何処を見渡しても銀色に輝くナイフだけ。
まだ飛んでくる気配はない。まるで見えない糸でも吊して固定しているように空中で停止している。
成る程、ナイフの時間を止めたのか、こんな使い方もできるんだなぁ。当然感心している余裕はないのだが。
「終わりね」
ナイフの檻の外から俺を見下ろし、余裕の表情を見せつける咲夜さんがいた。
「私が合図をすればナイフの時は一斉に動き出すわ」
でしょうね。小学生でも予想できるだろうよ。
「何か言い残したい事でもあれば聞いてあげるわよ?」
何だかまだ勝ってもいないのに瀟洒の余裕(誤字)とやらを見せ付けられた。
腹が立ったので何か言い返してやろう。
「見えた……白だっ」
本当は絶対領域みたいに影がかかって全くと言って良いほど見えないのだが……残念。
「……死ね」
冗談で言ったのにすごくキレてらっしゃる。
「そして時は……」
動き出す。直ぐさま上着を脱いでそれを盾にしながらナイフの群れに特攻。
一見無謀にも見えるかもしれないが俺が考えついた中でもベストの方法。その場で立ち尽くすよりかは遥かにマシだ。当然無傷では済まないが。
「ぬぁ……ぐっ……」
奥歯を思い切り噛み締め服で急所をカバーしながら肩で体当たりするような姿勢で突き進む。
ナイフは掠りぃの、突き刺さりぃのでそれはもう物凄く痛い。急所はギリギリ防いでいるので致命傷は免れているが。
だが、この作戦には一つ欠点があった。
ま え み え ん 。
上着で顔を覆い隠しナイフを服に突き刺しながら防いで走り抜ける、なんとも完璧。
と思ったのが間違い。今何処を走っているのかさえわからない。
そして更に問題発生。加速しすぎて足が止まらん。
「ぬおおおお!?」
ボゴォン、ボゴォン!! と破砕音を轟かせながら走り続ける。
「おっふぁ」
何度も何かにぶつかり、勢いが弱まって倒れ込む。一時的な危機は回避出来たが……。
追撃が来てないか直ぐさま盾にしていた服を外し周りを見渡す。
机、椅子、ベッド……どうやらまた部屋に入っていたみたいだ。
次に目に入ったのは恐らく突き抜けて入って来たせいであろう、穴が空いていた。穴の向こうにはまた一室が、その一室の穴にはまた一室が……嘘だろ!?
あれほどの壁を体当たりで突き破りながらダイナミック入室を果たしたというのか俺は。
いやいや、きっとここの建築担当は姉○建設だ。そうに違いない。欠陥だ欠陥。
力が有り余りすぎている自分自身に若干引きながら言い訳をしつつ壁から入室しておいてドアから退室しようとドアノブを握る。
くそ、どうにかして咲夜さんに接近戦を仕掛けないと……。
とか考えながらドアをゆっくり開けると鬼の形相をしたメイドさんが両手にナイフを大量に持って仁王立ちしていたので俺はそっとドアを閉めた。
……。
あれだ、うん。部屋にはペンがあるし遺書でも書いた方がいいかな。
寧ろ俺の能力を使ってテープレコーダーみたいに札に肉声を遺すか。おかーさんおとーさん、先立つ不幸をお許しください。
半ば諦めモードに入っていた俺であったが……。
(能力、テープレコーダー、肉声……)
「っ、そうだ!!」
天啓が来た。札を取り出し、『ある事』をイメージしながら霊力を込めた。
ガチャリ。
「悪あがきは終わりかしら」
ドアを開け、嫌な微笑を浮かべながら近づく咲夜さん。さっきの形相は何だったんだという心の声は噛み殺しておく。
「壁を散々壊したりやりたい放題やってくれたわね」
あ、やっぱり壁ぶっ壊したから怒ってらっしゃるのですか。
「ご、ごめんなさいごめんなさ……喰らえィッッ」
謝るフリをして握っていた札を彼女に投擲。ひょいと華麗に避けられた。
「もう万策尽きたって感じかしら。能力を使うまでもないわ」
くだらない真似を。と養豚場のブタを見るような眼で、完全に見下した眼で俺を見る。
「う、うわあぁぁぁっ」
部屋の片隅に悲痛の声をあげながら逃げる。ナイフを握り締め、じりじりと近付く咲夜さん。
「チェックメイトよッッ」
「咲夜。もういいわ、止めなさい!」
「お嬢様?!」
突如響くはここの館の主の声。咲夜さんは当然驚き後ろを見るが……。
「なっ!?」
そこにあるのは何の変哲も無いただの札のみ。
ここで種明かしをさせて貰うと先程投げた札にレミリアさんの声を思い出しながら霊力を込めた。勿論、セリフもイメージして札に込めたのだ。そしてそれを投げ、咲夜さんの後方に置く。
俺の札を避けて油断した時に録音したテープレコーダを再生させる様にレミリアさんの声を流す。
そして突然の主の言葉によって動揺させる……という寸法よ!
逆にもし咲夜さんがこの札を避けずに当たっていたら詰んだんだけどね。俺しか居ない真正面から声が聞こえるとか不自然すぎる。
「貰ったぁっ!」
その隙を逃すハズもなく咲夜さんの両腕をきっちり掴んでホールドする。
「くっ」
やはり俺の推理は当たっていたらしく、能力を使えず(正確に言えば使っても意味が無い)必死に振りほどこうとする彼女。
単純な腕力だけでは俺の方が上よ!
「これが俺の悪あがきだ! ……み゛ゅっっ」
その時とんでもない激痛が下腹部を襲った。奴は男の子にタブーな、文字通り必殺の膝蹴りを放ったのだ。何と残虐非道な事をしやがるんだ。
両手を今すぐにでも股間にあてがい、倒れ伏したい衝動(というか当然の反応)に駆られたが今この手を離したら俺に勝ち目はもう無い。
「離すか、こんのっっ」
痛みでのけ反っていた上体を利用し思い切り相手の額を頭突いた。
ガンッ、ドガァンと予想以上に吹っ飛んで壁にたたき付けてダウンさせた。
って威力出過ぎた!?
先程から全然自分の身体を制御出来ていない、というかパワーが有り余り過ぎていないか。
地面を蹴って勢い余って壁に激突したり、壁にタックルして突き破りながら突進したり……そして最後の頭突き。
咲夜さん……死んでないよな? でも逆にピンピンしていたらどうしよう。
恐る恐る倒れている咲夜さんに近付くが……うむ、気絶している。縁起でもない事を言うが死んでもいない。
ちゅーか。
「どうして服以外にダメージが無いんすか」
そう。服以外の損傷が全く見当たらない。
なんで? さすがにあそこまでの打撃だったら血がでてもおかしくないし、すり傷だって普通はできるだろう。
そこまで考えて……
「ごぉぉぉぉぉぉ」
股間の痛みを思い出してしばらく地面をのた打ち回った。
☆☆☆☆☆
のた打ち回ってやや数分、痛みが治まってきた。治まったと同時に、やっと自覚した。
俺は咲夜さんに勝ったのだ。正直、あんまり勝った実感は沸かないが。咲夜さんの方が断然強いだろうに。
力量差の大きく離れた相手だからといって油断していたから俺に敗れるのだ。
「痛つつ……こんなにナイフ刺さってら」
ズブッと体に刺さっているナイフを抜いて地面に放る。
とりあえず応急処置にと刺さったナイフを抜いて、出血が酷いようであればそこら辺にタオル辺りがないかと探して圧迫止血を施しておく。
幸い身体は頑丈になっているみたいで致命傷はない。出血は抑えたし足や腕はまだ痛むが走ったり跳んだり腕を振り回したりはまだまだ可能。
「ふぅー、これでよしと」
これでヤマは乗り越えたか。今なら正面口から出ても逃げられるかも。
一度寝転んでからだん、と跳ね起きの要領で立ち上がる。そして部屋から出る際倒れて気絶している咲夜さんが目に入る。
「……」
まぁ、さっき言った通りメイド服は破れぇの、スカートから生足がチラチラ見えるので……正直KENZENな青少年には目の毒です。色んな意味で。
ベッドからシーツを剥がし肩まで大雑把にかけておく。まったく、俺が紳士で助かったな。
「あ。そうだ」
さっき自分に刺さっていたナイフを拾い、懐にしまう。銀のナイフ、護身用に一応持っていこう。
「借りますよっと」
気絶している咲夜さんに一言だけ告げて部屋を出た。
…
……
………
メイド妖精は他の所へ出張っているようで全然遭遇せず、割と簡単に正面口にたどり着いた。後はこの扉を開ければもうゴール寸前だ。
「さらば紅魔か、んっっ」
思い切り扉を開け放たんと力を込めた。
「うっ!?」
が、急に心臓をまるで鷲掴みにされたかの感覚に襲われる。ひゅう、と静かに、そして深く呼吸をしながら背後を見る。
その視線の先には幼い見た目とは裏腹に覇気を立ち込めさせ、ゆっくりと近付く者が一人。
「全く咲夜め、私の出番なぞ残しておかなくて良いものを」
最悪。何だよそのセリフ、ラスボスかっつーの畜生。一難去ってまた一難とはよく言ったもんだ。
さっきから冷静で且つ余裕こいてる風にも見える言葉を胸中で吐いているが……。
「ひゅぅ、ふぅ」
相手の気迫に圧されたのか呼吸困難に襲われていた。片膝を地面につけて必死に呼吸を整える。
大丈夫。時間を操れる咲夜さんでさえ俺は倒す事が出来たんだ。恐れる事はない。
無理矢理なポジティブシンキングで奮起させる。テンションを、下げちゃダメだ。
「臆病者に嘗められたままおめおめと帰すと思ったのか」
「別に嘗めてなんかいません」
「ほう。ならさっきの私への言動は何だ」
「ただ自分なりに正しいと思った事を主張しただけです」
「主張? 私には説教にしか聞こえなかったな」
「違います。僕は――「黙れ」
「っ!」
何時もだったら黙れと言われても何か軽口の一つでも叩いていただろうに、今回ばかりはそれが出来ない。
何故ならレミリアさんの言葉の一つ一つに圧力があり、完全にそれに圧されっぱなしだから。
「ただの人間風情が吸血鬼と同等と思ったか? この私に嘗めた口をきいた事をあの世で後悔するがいい」
ばさっと翼を大きく開き歩よる吸血鬼。
来るっ!!
すぐに相手から距離をとり札を取り出し身構えた。
相手の弱点は吸血鬼だから……代表的な物は日光。そしてこの前知った流れ水。
この二つは札を利用すれば威力は本物と比べて劣るかもしれんが再現は出来そうだ。
後者の流れ水は前回ここを訪れた時に一度見せたからバレているが日光は切り札になるだろう。まさか夜で日光の警戒はしないよな?
後は西洋の魔物には銀が効果的であると聞く。さっき咲夜さんから一本だけくすねてきたナイフ……。これも隠しておこう。
となれば流れ水を噴射しまくる戦法で他に手段が無いと思わせ、油断した所で日光を浴びせてやる。
そうと決まれば先手必勝。流水をイメージし……
「はっっ!」
目の前の敵に弧を描くように噴きかけ、浴びせかける。こんな広範囲だと避けれまい。と、思ったのが甘かった。
ヒュッと頬に風を感じた直後にメキョッと脇腹から小気味の良い音がした。
「ぶふっ」
ダンッ、ガツンッと地面で数回跳ねながら吹き飛ぶ。
「かはっけほっ、げほ」
人生初めての吐血。元々紅い床を更に血で染めた。
やば、い。何をされたのか一切わからなかった。早く、近付かれる前に離れ――
「何処へ行く気だ」
パッと咲夜さんが時間を停止した時のように現れるレミリアさん。
「馬鹿な、時間、を、操れるのはさく、やさんだけじゃっ……」
「はっ、お前の目が腐っているだけだ」
それこそ馬鹿な。目にも留まらぬ超スピードで俺の後ろに回り込み攻撃したのか。そんな事が漫画以外であって……
「た、まるかっっ」
握りしめていた札に霊力を込めて放つ。今度こそ相手に直撃……!
「残像だ」
「なっ――」
しなかった。残像って、漫画かよ。くははは……。
今度は背中を蹴飛ばされ数メートル上に打ち出され、ドシャリと地面に落ちた。
「げぼっ、はぁ……っはぁ……」
口からは血がまた漏れてくる。鉄の味がするってレベルじゃない。
「まだ意識があるか、ただの人間にしてはタフな奴だ」
がしっと俺の首根っこを掴みそのまま俺の身長に合わせ少し宙に浮いて持ち上げられる。
俺はその時不適に笑った。この油断するであろう一瞬を待っていた。
あの札は避けられる前提でまた投げたんだよ。残像は予想外だったけど。
さっき投げた札にはまた音声が込められているのだ。内容は……
「お姉様っ!!」
「フランっ?!」
そう。妹の声。
俺を掴んだまま声が聴こえてくる方へ向く。勿論見た先は札だけが存在していた。
力を振り絞りナイフを取り出し相手目掛けて突き刺した。
「そ、らぁっ!!」
「ぐッ」
ぐさり、とナイフが突き刺さる感触がとても気持ち悪い。今はそんな事を考えている場合ではないが。
刺さった箇所からは蒸発しているみたいに霧の様な物が出て、怯んだ。
その隙にレミリアさんを蹴飛ばし、距離をとって構えた。
今こそ切り札を使う時。太陽の光をイメージするんだ。
夏の日にじわじわうざったく照り付ける光でも、春にポカポカ照らす光でも何でもいい、太陽の光だ!!
「死んで、も、てめぇの責任、だからなっ」
真上に札を投げ、開放される光。
数秒間薄暗い館の中とレミリアさんを照らし続け――そのまま光は彼女もろとも消えていった。
「やったか……?」
だが自分ですぐにフラグを建築してしまうのが俺であった。
ばさばさばさ。
何だ? ……蝙蝠?
俺の目の前にまるで舞うように飛ぶ蝙蝠。その数は時間が経つほど増していき、気がつけばそのまま集まって人の形を形成していた。
「冗談だろ……?」
「嫌に自信満々な顔をしていたから避難しておいて正解だった、まさか日光とはな」
そして現れたるはレミリア・スカーレットである。
完全に万策尽きた。膝から崩れ落ち、倒れ込む。
「もう終わりか、詰まらん。所詮は口だけか」
その台詞に対して言い返す気力も既に尽きていた。あぁ、疲れた。せめて殺される前に自分で寝よう。
そう考えると急に眠くなってきたなぁ。すぅ、と瞼が落ち……
「――――!!」
なかった。何か叫びながら何かが突進してきているような音が……?
「お姉さまぁぁっ!!」
フ、フランドール!?
フランドールが猛スピードでこちらに突き進んでいた。もしかして、俺を助けに来てくれたのか!?
「二度も騙されるとでも思ったか」
一方レミリアさんはバレバレなんだよバーカとでも言わんばかりの顔で俺を睨んでいたが。
「いや……志村、後ろ「禁忌っ! レーヴァテイン!!!!」
スペルの宣言とともにぶっとくて赤いレーザー(?)みたいな物がレミリアさんを薙ぎ払った。
それはもう凄まじく吹っ飛び、そのまま壁に激突して漫画みたいにガラガラと壁が崩れ落ちた。
だがピンピンして立ち上がった辺り流石は吸血鬼と言うべきか。
「フ、フラン!? 一体どうしたのよ」
「ずるい……」
「え?」
わなわなと震えながらフランドールが呟いた。
ずるい、とは一体。
「お姉様とリュートだけたくさん遊んでずるいーーっ!!」
いや、何処をどう見たら遊んでいるように見える……?
っつーか俺が間に入らなくても思い切りお姉さんに突撃してるじゃないか。俺の必死の行動は何だったんだ……。
カラフルな弾幕と困惑しながらそれを避けるレミリアさんを見ながら意識は遠退いていった。
最近は寒さのせいで中々布団から出れない無法マツです。
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