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東方凡人記:2話
 オッスオラリュート! 幻想郷は話をきかねェヤツばかりだぞ! オラもっと(頭が)つえぇヤツと話し合いてェ! ……失礼、少し自分でも混乱している。
 あの後、とりあえず森を抜けようと適当に真っ直ぐ進んでいたんだが、なんだか羽のはえた虫ケラ……妖精さんが俺を見るなりエネルギー弾をかましてきます。弾は遅いし避けれるんだけど運動してなかったし慣れない地形で疲れが……。妖精さん達をブン殴りたいけどボクはしがない男子高校生。遠距離からああも撃たれたら何もできない。しかしあまりにもイラついたんで石拾ってぶん投げたら避けられた、ムカツク。でも一通り弾撃ってきたら何処かに飛んでいっちゃった。なんなんだよホント。
 あ、妖精だけじゃなくてオオカミさんが居ました。赤い眼でオラ喰われるかと思ったぞ(補食的な意味で)。
ウヒョー! とか叫びながら本気で逃げた。咬まれてズボンのケツの辺りごっそり持ってかれたけどギリで巻けた。

 という訳で余裕そうに見えて嫌な汗だくだく、スタミナもないのでゼェゼェ肩で息してます。運動は大事ですね。で、そこら辺にある木の中から比較的大きく、休むには丁度いい木を発見したのでどっかりと背中を預けた。
 しかし、何時また妖精やら妖怪やらが襲い掛かってくるかわからん。そう思うとのびのびと休息なんてとれない。 が、奇妙な感覚だ。ヘタすりゃ自分が死ぬかもしれない状況なのに楽しい。勿論同時に恐怖も感じている。
 え? 死にたいんじゃなかったのかって? ……そう考えていた時期が僕にもありました。

 とりあえずこれからどうするか。右も左も木と草ばかりだ。闇雲に進んでいたら更に迷うだけ。えっと……こういう時は耳を済ませて。……何も聞こえん。

「とりあえず真っ直ぐだ!」

 半ばやけくそな決断であった。休息はある程度取れたのでよいしょと重い腰を上げたわけだが。

「ん?」

 周りがやけに暗い。夜だから当たり前だろって感じだがそうじゃなくて、いくら真夜中でも今は幸い晴れてて月が少しだが照らしてくれて視界も言う程悪くない。でも、なんだか暗くなってきてないか……? まさか曇ってきたのか? 不味いな、雨具もないのに降られるのは勘弁だ。


ガサッガサッ!

「!!」

(ヤベぇ! 考え事してて反応が鈍った!)

 不意に聴こえてきた草の音に警戒態勢をとっていると……。

「あれ、人間だ」

 現れたのは一人の女の子だった。

「ふゥー」

 緊張し、胸に溜まっていた冷たい空気を吐き出す。ビビってた俺が情けない。
 一見小学生くらいの金髪の少女だ。頭にはかわいらしくリボンがついていて、それが中々に似合ってる。……他人のファッションなんて気にしている場合か。

「君、こんな夜に出歩いていたら危ないじゃないか。家は近くにあるのかい?」

 見た感じ迷子じゃなさそうだしもしかしたら道が解るのかもしれない。あわよくばこの子に着いて行ってこの子両親に事情を説明し一晩くらい泊めて貰おう、とか考えていた。
 最悪泊めて貰えなくても近場は安全だろう。こんな小さい子を頼る高校生って……。まぁ、返事は期待ハズレで且つ支離滅裂な物であったが。

「あなたは食べてもいい人類?」

 おいガキ話聞いてんのか。食べても、ってなんだ!? 性的な意味でか!? この子の親はどんな教育してんだ、シバいたらんと!!
 ……落ち着け、俺。一人暴走していても仕方ない。小さい子はたいてい訳わからん事言うもんだ。親の何気なく言った言葉を真似して困らせたりな?
 つまり普段から卑猥な言葉を呟いて、その言葉を知らぬうちにこの子が覚えて……けしからん!!

「あ、俺はリュートっていう。君は?」

 暴走して来たので落ち着いて自己紹介をする事にした。

「んー? 私はねぇ、ルーミアっていうんだ!」

 わはー、と何が嬉しいのか両手を横にのばす彼女。ルーミアちゃん、ねぇ。外国人? 日本語上手だね。

「で、もう一度聞くけど」

 何をもう一度聞くのか、と言おうとしたが辺りの風景に違和感を感じ、その言葉は喉辺りで押し止まった。ルーミアちゃんの辺りだけやけに暗いんですけどっ!
 暗い、では生温い。というか漆黒、暗黒。中学2年生が好んで使いそうな単語を並べているけど、懐中電灯の光をあてたとしてもその中は照らすことは出来なさそう、と思うくらいに真っ暗闇。これは一体……?

「あなたは食べてもいい人類?」

 ヒヤリ。嫌な寒さが全身に伝わる。まさか、食べるって……。

「文字通りっスか~~ッ!」

 回れ右の要領でザッと180度ターン。背を向けてスタコラさっさと逃げ出した。

「あっ! 逃げないでよ!」

 ふざけろ、あんな殺気出す幼女がいるかクソがぁ! 略して暗黒幼女!

ザザッ、ザッ、ザッ。

「はぁっ、はっ、はっ」

 腕を大きく振り、草を掻き分け、木々を避けながら走り抜ける。自身の走力には大して自信は無かったが(駄洒落ではない)ルーミアからは逃げ出せると高をくくっていた。だって、小さいし。
 次第に自分の草を踏む音しか聴こえなくなり、追い掛けて来ないのか?それとも既に巻いたのか……? とチラっと背後の様子を伺うが……。

「って!! うおおお!!

 迫り来るエネルギー弾。気がつけば俺の背後からは光弾が迫っていた。妖精が撃ってたのとは密度が違う。

 ――しかし!

「はッ!」

 体を捻りながら横っ飛び。別に避けられないレベルじゃあない。

「避けないでよ、お兄さん」
「怒首領蜂大往生のデスレーベルの弾幕に比べればお前の弾幕などクソに過ぎん。」

 一周目すらクリアしたことないが。というか、アーケードで怒首領蜂やったら2ステージ辺りで余裕で全機使い果たしてしまうんだけど。ボムは当然抱えたまま。

「ふぅん……。お兄さん思ったより強いんだ?」
「思ったより、とは失敬な。俺はケンカでは負けたことは一度もない」

 言う程ケンカなんてしたことはないが俺は本当に負けた事はない。こっそりと土を拾い上げ、ポッケに突っ込んだ。

「そーなのかー」

 それは何故だと思う?

「あッ!! あそこにデっっケェ肉が!!!」

 逃げれば勝ち、という言葉があるからよ!!

「そーなのかー」

 いや、あの、釣られてくれないんですか?

「ほら、あそこにお肉だって。めっちゃ大きくてジューシー。腹、減ってこない?」
「じゅるり。うん、目の前のお肉が大きくてジューシーかも」

 オウ。話聞きませんねこのお嬢さん。

 じり、じり。よだれを垂らしながら一歩一歩近付くルーミアに対して俺も一歩一歩後退する。
 幸せは歩いてこないが暗黒幼女は前進してくる。一秒一歩、三秒で三歩、三歩進めば俺も三歩下がる。どん、と背中に何かがぶつかる。振り向けば大きな木が。あの、今は背中を預けたくないんですが。
 その瞬間にルーミアの眼が光り、今が好機と飛び掛ってきた。

「お肉ーー!「うわーーーーっ!!!!」
「きゃあああ!! 眼が!! 眼が!!!」

 適当に土を投げたら運良く眼に入ったらしい。……おぉ、ラッキーラッキー。俺のステータスは力や知よりも運に極振りしているからリアルラックが凄いんだ。多分。
 兎にも角にも、眼に土が入っている間にさっさと逃げ出そうとしたが、気付けば自分の背後には広範囲に亘り光弾が迫っていた。

「避けれな……いってぇ!!」

 光弾が直撃した事によって体勢を崩し派手にこける俺。

「つッ……!」

 腕で光弾を咄嗟に防いだのだが服(余談だが、上下青いジャージ)は見事に破れ俺の華奢な腕がさらけ出されている。重い打撃を受けた感覚だ。しかも火傷みたいになってるじゃねえか……!

「ううーまだ砂がとれない……」

 っ! モタモタしている暇なんてない! 片手で受けた傷を押さえながら全力で走る。だが、あの様子じゃあまだ追ってこないだろう。余裕で逃げられる。でも……

 ――あぁ、こんな事になるんだったら紫さんに道聞いておけばよかったなぁ……。
キャラ同士会話させるのって難しいなあ


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