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東方凡人記:25話
「すいません、何を言っているか全く意味が分かりません」

一番最初に口に出た台詞がこれだ。3秒ほど硬直していたけどな。

「物分かりが悪いです事」

大袈裟に、そして胡散臭く肩を竦める紫さん。悪かったなバカで。

「んな事急に言われても理解できる訳がありませんよ! 妖怪が人間になって俺が妖怪で」
「リ、リュートさん、お茶どうぞ」

余りに支離滅裂な俺を見かねたのか妖夢さんが落ち着けとばかりにお茶をいれてくれていた。

「どうも」

ズズズ。勢いよくお茶を飲むと

「あっちィィィィァァァ」

お約束の如く噴き出した。

「……そして落ち着きもないわね」
「大丈夫ですか……?」
「あらあら」

上から呆れた様子の紫さん、少し心配してくれている妖夢さん、緩いスマイルを維持したままの幽々子さんだ。

猫舌なんだよ! ふーっ、ふーっ…ズズズ

コトリ。

「さて、詳しい話を聞こうじゃないか」

先程の行動をリセットするかの紳士な振る舞い。見事だ俺。

「……まぁ、いいわ」

あまりのダンディさに感心しすぎたのであろうか、紫さんは更に呆れていた。

「貴方は気分の浮き沈みによって霊力が上下される特性があるでしょう」
「ええ、それがどうしたんですか」

俺の必殺技に影響する重要なステータスだが、何か関係あるのだろうか。

「その霊力源は何か分かる?」
「さぁ」

そんな事は考えた事も無かったが……体の中心とかそこら辺から出てるんじゃないか。

「じゃあ妖夢、分かるかしら」
「私ですか!?」

紫さんからのまさかの無茶振りである。頑張れ。

「ええと……体の内側からですか?」
「ブブー。不正解」

どうやら違うらしい。ブブー、て古臭いな。

「正解は大気中に漂う霊気や妖気を吸い取っている、よ」
「へー、そうなんすか」

無関心に答える。だってどうでもいいもの。

「まだ解らないかしら?」
「……何がですか」

クイズは先程の質問で終わっただろうに、他に何を答えろと。

「解ったわ!」

急に大きな声を上げて手を挙げる幽々子さん。何が解ったというのだ。

「それで彼は妖怪から放出されている妖気を吸収し続けたから妖怪化が始まっているのね」
「そうよ、大正解よ幽々子!」

えへん、と誇らしげに胸(豊満)を張る彼女であるが、

「「な、なんだってー!!」」

俺は(何故か妖夢さんも)驚きの声を上げていた。

「じ、じゃあテンション上げる毎に俺は人外に近付いているって事ですか!?」
「そういう事になるわね」

なんてこった。こちらに来てから死ぬ覚悟はある程度していたがまさか自分が妖怪に近付くとは。
……でも、妖怪になるのも悪くはないかもしれない。

恐らく妖怪に成る事で体も強靭になり生存率も寿命も伸びるだろう。
幻想郷は素晴らしい所だしずっと住んでいたい。

だが、だが、だが――

「……妖怪に成らない方法は?」

俺はまだ人で在りたい。妖怪に成ると言われた瞬間に、いや、少し前から気付いていたかもしれない。
俺は外界に未練があるのだ。親に、友人に。

妖怪であると外界に帰る事は禁止されるだろう。外界で妖怪は存在してはいけない、出来ないのだから。

「さっきも言ったけど外界に帰る事よ外に妖怪はいないから妖気の吸い様が無いわ」
「……成る程」

納得の理由である。

「そもそもきっかけは貴方が一度死にかけたからなのよ。いえ、一度死んだからと言ってもいいわね」

また素っ頓狂な事をおっしゃる。

「一度紅魔館で悪魔の妹に致命傷を与えられたのにぴんぴんしてておかしいと思わなかったかしら」

……少しは思ったがあまり深くは考えたくなかったんだっつーかなんで知ってるんだよっ?!

といった俺の反応を余所に次々と述べていく紫さん。

「あの時はまだ純粋な人間だったわ、妖気を吸い続けても人間で居続けられたでしょう」
「だったら何故妖怪に成りかけているんですか」
「瀕死になった時に貴方の体に異変が起きたのよ」
「異変?」

「ええ。あの時貴方の魂は三途の川に向かい、そして他の死者と同様に閻魔に裁きを受け、時が来るまで白玉楼で一旦留まる筈だったのだけれど」

三途の川に閻魔……だとッ!?

「まさか閻魔って四季映姫・シャバダバ……ヤマザナドゥって言いますか」

危ない、ちょっと間違えかけた。

「ええそうよ。彼女は貴方の幽体を捜してここまで来たそうよ」
「実際に存在したのか……良かった、俺はまだ厨二病発症患者じゃなかった」

そこは全然問題ではないのだが。

「? 続けると、貴方の体が離れた幽体を引っ張り出す為に周りの妖気と霊気も大量に吸い始めたのよ」

俺パねぇ……じゃなくッて!

「その時に一定量以上の妖気を吸ってしまったので妖怪化が始まったと」
「理解できてるじゃない、因みに貴方が妖怪化するまでの猶予はあの時点ではまだ10年以上はあったのよ」

10年以上!? 短縮されすぎだろう!? と思っていたのだが、気にかかる点が一つだけあった。

「まさか昨日のメルランの演奏で……」
「幽霊楽団の次女の演奏をソロで聴いたからでしょうね」

やっちまった。自爆してんじゃねえか。
後悔何とかに立たずってヤツだ。くそ、今更悔やんでも仕方ないが。

「それで貴方はどうしたいのかしら」

と、キッと刺す様な視線を送ってきたので眼を合わせない様にする。こえーよ。

気付くと妖夢さんと幽々子さんはいつの間にかいなくなっていた。
空気を読んで退出したのだろうか。彼女達の屋敷なのに気をつかわせて申し訳ない。

「早く答えなさい」
「そんなに急かさないで下さいよ」

すぅーと息を大きく吸い込み、そして答える。

「帰ります」
「あら、意外ね」

やはり家族が、友達が……少しだが学校も恋しい。
最低限のケジメもつけずに幻想郷に来てしまったせいでこんな気持ちになってしまうのだ。

「それじゃあ猶予を一週間与えるわ、それまでに色々済ませておきなさい」
「一週間か……」
「少なかったかしら?」
「いいえ、全然。それより一週間経ったらどうすれば?」
「博麗神社に来なさい」
「分かりました」

確か博麗神社は外との結界がすぐ近くにあると聞いた。帰る時に関係するのであろう。

「それじゃあ私は帰るとしますわ」

持っていた扇子で空を切る。すると空間に裂け目が出て、そのスキマに彼女は身を滑らせた。

「紫さん」
「何かしら」
「有難うございます」

深く、長く頭を下げる。

彼女は外界で詰まらない毎日を過ごしてきた俺に夢を見せてくれたし、放っておけばいいのに妖怪化する事を俺に教えてくれた、選択肢まで与えてくれた。
たとえそれが暇潰しで、何の気無しにやった事でも俺にとっては感謝せずにはいられない。

紫さんは微笑んで(そう見えただけかも知れないが)隙間の中に姿を消してしまった。

誰もいなくなって虚しくなった部屋をとりあえず出る。残り一週間。これからこの時間をどのように使おうか。

外に出ると太陽が眩しく桜と俺を暖かく照らしてくれていた。
よし、折角コメント頂戴したし少しでも執筆するか!→執筆中小説発見→完成済み→/(^o^)\……つまり投稿したつもりになっていたが投稿していなかったという。はい。ごめんなさい。


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