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東方凡人記:14話
「どこだここ……?」

 いつのまにかまた気を失っていたらしく、気付いたらなんか洋風な部屋のベッドで寝かされていたのだ。
 なんて赤で目に悪い部屋なんだ。目がチカチカしそうだよ。……何処のホテルだよここ。人里にこんな洋風な建物はないハズだが。
 とにかくここから出ますか。
 ガチャ……とドアを某ゾンビゲーのように勿体振った感じに開ける。意味はない。

「うわ広っ」

 ドアを開けた先に最初に目に入ったのは長い廊下。驚きの広さである。
 なんとなくさっきから怖いシーンを連想してしまう。洋風な造りに長い廊下。
 いかん、怖くなってきた。ゾンビなんて架空の存在だ! なんて少し前の俺なら余裕で思っていただろう。
 だがこんなファンタジーな世界にいるのだからもしかしてゾンビの一匹や二匹いてもおかしくはない。薄暗い洋館って所から連想してしまうんだよクソッ! さっきから窓が1つも見当たらないけどとういう事なの。
 窓がなければ外を見る事も出来ない訳で、太陽の傾き加減もわからんから今が昼か夜かもわからない。時計よこせコラ。
 ああ!! どこだよここ! 無駄に広い館だな! いや、ホテルか? どっちでもいいよもう! 怖いんだよ薄暗くて!
 若干パニック状態に陥る俺。とりあえず札を握りしめておき、いつ何かが来てもいいように構えながら歩く。忍び足で。気分はダンボールをこよなく愛用する傭兵。


カツーン、カツーン。


「!?」

 どこぞのホラー映画のように小気味のよく、尚且つ響くような足音が聞こえる。れれれ冷静になれ、何も化け物と決まったわけじゃ……

カツーン、カツーン。


「……」

カツ、カツ、カツ

ダダダダダ。

 やっぱ怖くて足音の正体調べるなんて無理でした。幻想郷だしどうせ鉄仮面つけて更に鉄の爪装備した化け物だ。断言する。

ドンッ!

「あイタッ、す、すいません」

 夢中で走っていたせいで前にいる何かにぶつかってしまったみたいだ。

「……」

 目の前には俺を逃がさんとするように仁王立ちしている影が見えた。

「ば、化け物だァァァァ」

 走った!! 俺はしゃにむに走った!

ガシッ。

「なッ……!?」

 さっきダッシュしたことによって開いたはずの距離がいつの間にかゼロになっていた。気がつけばがっしりと掴まれている。

「ごめんなさいッ! 宿泊料金はちゃんと払いますから! 無断で泊まったんじゃなくていつの間にか……!」


 と、そこまで言って俺の襟元をガッシリ掴む『何か』の様子をチラッと伺ったのだが、ポカンとした表情だった。
 薄暗いとは言え、よくよく見なくてもジェイソンの様な恐ろしい化け物ではなく、メイド服に身を包み、いかにもメイドメイドしている(意味不明)女性がいた。
 メイドさん、だと……?

「待てッ! これは孔明の……ッ」

ゴッ。

「落ち着きなさい、そして人の話を聞きなさい」
「~~ッ!」

 いくら慧音さんにしょっちゅう……いや、少しは頭突きされて鍛えられている頭でも不意打ちに弱く、そしてナイフの柄で殴られたら痛いだろう。
 いや、ナイフって物騒だなおい! って待て! なんでまた振り上げてるの!

「ストップ! これ以上やったらバカになっちまう!」
「……元から頭悪そうにしか見えないのだけれど」

 ナイフだけじゃなく言葉にも刺があるようです。

「言葉のあやです」

 否定しろよとでも言いたげな目で見てくるメイドさん。仕方ないだろ、アホなんだし。

「そっ、そういえば此処は何処なんですか! 気がついたら拉致されてて」
「拉致って人聞きが悪い。門番が貴方が倒れてるのを見て運んできたのよ」
「門番?」

 それならば一応納得できるのだが何か違うような気がする。

「覚えていないの?」
「待て、順を追って思い出す。まず人里から森に探険して……
「どうして自分から危険な所に行くのよ」そうだ、迷って……」

 華麗にスルー。

「アリス・マーガロイド、あれ、マーガリン……マーマレード? そうだ、マーガトレードさんだ。に道を聞いて、その通りに行ったら真っ赤な館が目に入って」

 と、メイドさんを見ると「あれ? マーガロイド……マーガトロード?」とかぶつくさ言って考えこんでいた。
 全く、さっき言った言葉がブーメランみたいに返ってきてるぞ?

「人の話は最後まで聞きなさい」

ゴッ。

「あまり調子に乗らない」
「はい」

 クソッ、痛いところ突かれただけじゃねーか。

「というか人里と此処じゃ方角全然違うのだけれど」
「なん……だと……?」
「どうせ全然話聞かずに突っ走ったんでしょう」
「そう言われるとそうかも」
「貴方ねぇ……」
「あの時の俺は行け行けモードだったんだよ。で、話を続けるけど館があってだな、確か……そうだ、門番に道を聞こうとしたんだ」

 思い出してきたぞ。

「チャイニーズチックな女性が立ったまま器用に寝ててだな」

 ぞくり。
 一瞬温度が氷点下まで下がった感覚が……。

「そう、で続きは?」
「そ、それで……」

 なんで急にこんな殺気こもった笑顔になるんですか。ヤクザに睨まれるより恐いんだけどマジやめて。

「寝てると指摘したら羽交い締めにされて……で胸がゲフンゲフン。じゃなくて何故かそのまま締め落とされたんだ」

 思い出した思い出した! ってあるぇー? 俺何も悪い事してないのに気絶させられたの?

「そう、御協力感謝するわ」

 なんのだよ! と突っ込みを入れたかったがあの黒笑顔の前じゃ「どういたしまして」と苦笑いで返事しかできなかった。

「あ、良ければメイドさんのお名前……」

しーん。

 あ、ありのままに今起こった事を(省略)
 一瞬にして姿を消すとは……忍者かあやつは。ま、とりあえずゾンビが徘徊する館じゃなくて安心したさ。ゆっくり出口を探すか。



……

………

「ほんと迷路みたいだな」

 この館設計したやつ出てこい。(慧音さんが)頭突きするぞ。
 だが、やっと出入口を発見したぞ。歩いてるとそこら辺にメイド服着た妖精さんがいたのが助かった。道を教えてもらったのだ。
 今考えたらあんな館多人数で管理しないと清潔に保てないよな。中々内装もきちんとしてたし。一人で掃除とかするとしたら何日かかるんだよ、ハハ。

「やーっと出れた……暗ッ!!」

 夜じゃねーか! やべ、早く帰らないと。タッタと早足で館から出ると門まで一直線に駆ける。門番さんに道聞かないとな。今度こそ。

「おーい、門番さん……ッ!!」

 俺は立ち止まって絶句した。昼はピンピンに職務に勤しんで(?)いた彼女が頭にナイフを刺して倒れていた。
 一瞬帽子の装飾かと思ったが間近で見ると深くナイフが刺さっているのがはっきり判る。

「一体誰が……誰がこんな事を!」

 懐に入れている札に手をのばす。付近にこの人を殺したやつがいたら厄介だ。俺も襲われるかもしれない。

ガシッ!

「!?」

 だ……誰が俺の足を掴んでいるんだ!? この門番さんを殺した犯人かッ!?

「痛いですよぉぉ咲夜さぁぁぁん」
「じょ、成仏!!」

ドォォォォン。

 なんとさっき倒れて死んでいた門番が生き返って俺の足を掴んできたのだ。咄嗟に霊力を籠めていた札を使ったのが俺の生死の分かれ目だったに違いない。
 なんという事だ、ゾンビは実在したのか! しかしこれでこの門番も安らかに眠ったであろう。Amen。

「何するんですか!」
「わあああああああ!!」

 が、また立ち上がる門番ゾンビ。も、もう一発! と撃とうとせん俺の腕を片手で掴み、もう片方の腕で俺の肩に絡ませるように掴んでくる。
 あ、確かこれって一本背負……

「いッ……がっっ!」

 なんて武闘派なゾンビだ、こんなの敵う相手じゃない。背中強打したせいで息がっ……。

「何してるのよ貴方達は……」

 きゅ、救世主だ!
 先ほどのメイドさんが俺を助けにきてくれたのかナイフを指に挟んでやってきていた。

「咲夜さん、急にこの人が私に弾を撃ってきたんですよ!」

 よ、よく喋るゾンビだ、知能も持っているのか!?

「ゾ、か、はっ」
「落ち着いてから話しなさい」

 背中を強打した時はマジで呼吸できなくて辛いです。気になった人は一人空中前転(背中強打コース)をアスファルトの上で試すといいよ。


☆☆☆☆☆


 かくかくしかじかで双方が説明をし終え、俺が壮大な勘違いをしていた事が発覚。この門番は美鈴という名前で妖怪なのだそうだ。
 だから人間と違いかなりタフで頭にナイフを刺しているのは趣味らしい。

「趣味じゃないですよ!」

 五月蝿いバーカ。どうやらしょっちゅう居眠りして叱られているらしい。
 で、このメイドが咲夜さん……ディ○。確か時を操れると魔理沙が言っていたな。この館、紅魔館の瀟洒なメイドだそうだ。瀟洒ってどういう意味? ……しかしググれない。

「で、貴方は早く帰ったら? ただでさえ暗いのにこれ以上遅くなったら帰路で妖怪が出る確率が更に増えるわよ」
「もう手遅れですねわかります」
「でもリュートさん霊弾撃ってたじゃないですか、威力は……まぁそこそこあるし大丈夫じゃないんですか?」

 威力、という単語が出た瞬間から苦笑いになった所を俺は見逃さなかった。フォローになってねーよ。素直に威力ないって言えよ。
 あ、因みにもう自己紹介は済ませている。

「俺の霊弾はこの札のおかげで撃ててるんだけど他の連中みたいに弾幕張れないし燃費も悪いからすぐ霊力が無くなってしまうんだ」

 テンション次第で供給は可能だが。

「そう。じゃ、私は仕事に戻るから……って何よその顔は」
「門番に道を尋ねようとしたら何故か締められ気絶し、夜になったら外にポイとは酷いじゃないか」
「……遠回しに泊めてって言ってるのね」
「はい、そうです」
「まぁ、仕方ないわね。不服だけど否はこちらにあるのだし、ね」

 ギロッと門番こと美鈴さんを睨む咲夜さん。恐えーよ。美鈴さんは眼を逸らして口笛を吹いている。漫画で見たようなリアクションだなおい。

「でもお嬢様の許可はとらないといけないわ」
「お、お嬢様……?」

 チート吸血鬼の事かーッ!!
 そんなこんなで安全に一日を過ごす為に紅魔館に泊まる事になったのだが、その前にお嬢様という一つのハードルを飛び越えないといけないようだ。……大丈夫かな? くよくよするなよ、俺。
随分と遅れてしまいました。言い訳を言わせてもらいますと忙しいです。毎日疲れて帰ってくるのでモチベーションが…、はい。どうでもいいですね。よければ感想お願いします。


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