――あ"ぁがァアアア!!
ちょッ………なんなのよッ!!これッ!!
そこで急に電源落ちるかフツー!?
このポンコツめッ!!
私は、失われてしまった30分の努力を返してとばかり、思いっきりパソコンのキーボードを叩いた。
―――ちっくしょ〜!!いい出来だったのになぁ………!!
またやり直しじゃん!!
私は、真っ暗になったパソコンの画面を恨めしそうに睨みつけながら、タバコを取ろうと、ビールにおつまみに…そしてタバコの吸い殻やらで散らかったテーブルの上に手を走らせた。
―――ぐわっッ!!
もぉー何なのよ今日はッ!!
あまりにも散らかりすぎたテーブルの上に、散乱した飲みかけのビールの缶に手を引っかけてしまい、パソコンにビールをこぼしてしまったのだ。
…………
…………
何度電源をつけても、うんともすんとも言わないパソコン……。
―――サイテーな夜だ……
私は、テーブルに頬杖をつきながら、ため息まじりにタバコをふかした。
テーブルの上に置いてあった、小さな鏡に自分の姿が移り、目を止めてしまう。
そういえば最近全然化粧してないな……
気がついたら、私は目の下に…こんなにクマできちゃったんだ……
ここんところずっと朝、夜逆転してたもんな。
私は、ついこないだまで働いていた派遣の仕事の契約期間が切れてたのをいい事に、今は何にもする気がなく、毎日をだらだらと、家でニートな生活を送っていた。
―――イヤ……
契約期間が切れたのは仕事だけではなく……
『私の恋』…――――
こないだまで付き合っていた、派遣先の同い年の社員だった元カレを、ふと思い出す。
―――バカヤロウ!!何がキミとの恋も、これで契約期間が終了したね…だど!!フザケやがって!!
なんてことはない……
私は期間限定でしか働かない派遣社員だと言う事だけで……
―――お手軽に遊ばれちゃったのだ……!!
社員の女に遊びで手を出しちゃったら、何かあっても、毎日同じフロアで顔をつきつけて一緒に仕事していかなくちゃなんないよね。
だけど、私みたいに派遣の女だったら、例えそれが遊びの恋だったとしても、契約終了と同時に顔を合わせなくなっちゃうんで全然平気だもんね。
―――つまりは……
直視はしたくないけど…
私みたいに派遣の女は、社員の男の子からしたら、最初から都合のイイ女だったって事ッ!!
それに気づかず、甘い言葉に踊らされた私がバカだったわ。
あぁ〜ぁ……
私はアイツの事真剣だったし…私も真剣に愛されてると思ってたのになぁ……。
―――ホンッ……ト男なんかサイテーだ。
チャーチャーチャッ♪
とそんな風に元カレを思い出し感傷に浸っていたら、メールの受信音にしている『仁義ない戦い』のテーマソングが軽快に鳴り響いた。
―――おっッ!!きたきた……!!
やっぱ私ってモテモテだなぁ…
期待を胸に受信メール見ると、新着メールが10件!!
【はるかの日記にコメントを受信しました】
【ナナの日常にコメントを受信しました】
【カオリ's Diaryにコメントを受信しました】
【アイカのブログにコメントを受信しました】
………そう…
私は…4つのブログを実はつけている。女子校正のはるかに、OLのナナ、キャバクラ嬢のカオリに、看護師のアイカ。
全てウソっぱちのブログばかりだ。
………ただ…
リアルな『恋』に弾き飛ばされた私は……
誰でもいい……
とにかく誰かに愛されたかった…。
誰かにかまわれたかった……
私は…役立たずになってしまったパソコンをもう一度睨みつけたあと、部屋から出ててネットカフェへ向かった。
今夜もたくさんの男の子たちに愛されるために。
気にかけてもらえるために……
ネットの中の恋だけど……こんなに沢山の男の子たちが私を待っている。私を必要としている。
だから……
もう少しこの世界で生きてみよう。
例え……それがネットの中だけの『恋』だとしても。
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