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お前みたいなヒロインがいてたまるか! 作者:白猫

本編

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88-2

 美術室から出た椿達はこれからの予定を歩きながら話し合っていた。

「今年はワッフルのお店が来てるらしいわね。行く?」
「当たり前ですわ。それと、茶道部が野点をしているみたいですけれど」
「朝、美術室に行く途中に着物を着た部員を見掛けたわ。確か、グラウンドでやってるのよね。ワッフル食べた後に行きましょうか」
「ワッフルは確か中庭ですわね」

 目的もなく歩いていた二人は足を中庭へと向ける。
 中庭では毎年外部から飲食店を呼んでいるのだが、今年は中庭だけではなくグラウンドの一部にも分散しているため、去年よりは中庭に居る人が少なくなっていた。
 お陰で椿と杏奈は時間も掛からずに目的であったワッフルを購入し、空いているテーブル席に腰を下ろせた訳である。

「飲食店を中庭とグラウンドに分けるって、生徒会の案なんでしょう?」
「これまでは外部から呼んでいる飲食店は中庭がメインでしたから、人が集まりやすくて留まりやすいので混んでいたのでしょうね。実際、去年までは人が多すぎて何度かスルーしたじゃありませんか」
「クラスの出し物の喫茶店はあまり長居出来ないものね」

 クラスの出し物の喫茶店だと給仕役の生徒の視線が気になってゆっくり出来ない。だから回転率も早いのだが、代わりに中庭とカフェテラスが混むのである。

「ところで、椿さんのクラスってモザイクアートだっけ?」
「そうですわ。『真珠の耳飾りの少女』を作りましたの。中々良く出来たと思います。杏奈さんのクラスは宝石についてのレポート展示でしたかしら?」
「そうよ。産地やら、どうやって宝石になっていくのかの課程とかね。見本でクラスメイトが持ってる宝石も展示してあるわ。さすがにショーケースに入ってるけど」
「現物展示してるんだ……」

 アイデアは面白いが、現物も展示するのは凄すぎる。

「ちゃんと警備員が居るわよ? これで失ったりしたら大問題だもの」
「当たり前ですわ。ですが、随分と思い切ったことをなさいましたわね」
「残りの出し物案がプラネタリウムと自作映画の作成だったのよ。そんなのをするくらいなら宝石のレポート発表の方がマシよ」
「どちらも手間が掛かりますものね。修学旅行の準備も同時進行ですから面倒なことは避けたいのはどのクラスも同じですわ」

 尤も生徒達がする修学旅行の準備など、自由行動の班決めやスケジュールの確認だけである。
 他のことは全て教師の仕事だ。だからこそ、教師も時間が掛かる出し物を避けたがる。

「それで、修学旅行はクラシックコンサートとアイスホッケーのどっちになったの?」
「私のクラスはアイスホッケーですわ。本場で拝見出来る滅多に無い機会ですもの。アイスホッケーになって良かったと思います。杏奈さんは?」
「クラシックよ。私もアイスホッケーが良かったわ」
「アイスホッケーは個人的な旅行で観戦するしかありませんわね」
「そうね。卒業記念にねだろうかしら」

 杏奈と少し話した後で会話を切り上げ、二人は揃ってグラウンドで野点をしている場所へと向かう。
 受付をしている部員は椿が来たことで顔を強張らせていたが、全ての会話を杏奈がしていた為、固まられることはなかった。

 茶道部で椿がお茶を楽しんでいると、制服のポケットに入れてある携帯が震えていることに気が付く。
 二回ほどの振動だったので、メールの方である。

 杏奈がお茶を飲み干したのを確認した後で、椿達は野点から出て人気のない場所へと移動した。
 人通りが少なくなったところで、椿はポケットから携帯を取り出してメールを読み始める。
 意外にもメールを送ってきたのは恭介であった。
 彼は本当に用事が無い限りメールを送ってくることはないので、椿は珍しいなと思ったが、メールの件名を読み、本文を読み始めるが書かれている文章に彼女は首を傾げる。

「どうしたのよ」

 首を傾げている椿を不思議に思ったのか杏奈が訊ねてきたので、彼女は無言でメール画面を彼女に見せた。

「『ワッフル、みたらし団子、エクレア、点心、パエリア、ミネストローネを生徒会室へ』何これ」
「こっちが伺いたいです。……多分、書かれている料理を生徒会室まで持って行けばいいんでしょうけど、理由がサッパリ分かりませんわ。あの人はメールが簡潔すぎますのよ。こうだからこれを持ってこいって書けばよろしいのに、全く」
「まぁまぁ。取りあえず、書いてある料理を買って生徒会室に行きましょう。さすがに二人じゃ持ちきれないけど」
「蓋も付けていただきましょう。あと袋も貰えばよろしいわ。重ねたことによって潰れたとしても味は変わらないのだから大丈夫です」

 キッパリと言い切った椿を見て、杏奈は肩を震わせている。
 椿のこういうおおざっぱなところを杏奈は割と好んでいるのだ。

「デザートと点心は中庭でパエリアとミネストローネはカフェテリアね。生徒会室は特別棟の一階だったよね」
「そうですね。では、参りましょうか」

 二人は連れ立って中庭でデザートと点心を買い、カフェテリアでパエリアとミネストローネを買って、生徒会室へと向かった。
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