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お前みたいなヒロインがいてたまるか! 作者:白猫

本編

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5月7日から週1更新に戻ります。
 相変わらず、透子の悪い噂は女子生徒達の間で流れ続けているらしく、彼女に対する風当たりはきつい。
 助けたくてウズウズしていた椿であるが、手助けしないで欲しいと透子から言われているので、ただ見ていることしかできない。
 そのような日々を過ごしている中で、今年も水嶋家のパーティーの日がやってきた。

 鳳峰学園の初等部に入学した樹、高等部に入学した椿と恭介が今回の話題のメインである。
 椿は恭介と共に取引先の社長達に挨拶を終えると、待ち構えていたように嬉しそうな様子を見せている久慈川蛍が彼女の元へとやってきた。
 傍らには蛍の幼馴染みである名取茜も居る。

「ごきげんよう。お久しぶりですわね、蛍君、名取さん」

 椿が声を掛けると、蛍はゆっくりと頷き、名取は何とも複雑そうな表情を浮かべながらも丁寧な挨拶を返してくれた。

「中等部はどうですか? お友達はできました?」
「……うるさいのがいます」

 うるさい? と首を傾げている椿に名取が説明してくれたところによると、蛍と同じクラスになった熱血少年がクラスに馴染めていない彼を心配して色々と世話を焼いてくれたのだという。

「お蔭でクラスに馴染めて話をする生徒も増えたっていうのに、蛍はいっつもうるさいって言うんですよ。本人には言いませんけど」
「名取さん、大丈夫ですわ。その彼は蛍君の中でちゃんと友達になっておりますから」
「……そうでしょうか? 多少蛍の態度は軟化してますけど」
「だって、友達ができなければできなかったと答えればよろしいだけですもの。ね?」

 椿は穏やかな微笑みを浮かべて蛍に問い掛けると、彼は無意識でその少年のことを口にしていたのか珍しく分かりやすいほどに驚いていた。

「蛍君は彼が話し掛けてくるのを迷惑だと思っておりますか?」
「……最初は」
「そうですわね。これまでの環境を変えられると嫌悪感や戸惑いがございますもの。慣れればどうってことはないのですけれどね。ですが、今の環境は蛍君にとってそう悪いものではないと思っていらっしゃるのでは?」

 椿の言った通りだったようで、蛍は考え込んだ後でしっかりと頷いた。
 しばらく蛍や名取と話した後で椿はいつものメンバーと挨拶を交わして世間話をしつつ、きちんと令嬢としての役目を果たしたのである。


「疲れた」

 用事があり先に会場を後にした椿は、迎えの車の中で体勢を崩している。

「ちゃんと座れよ。外から見られてるかもしれないだろ?」

 朝比奈家の書斎にある本を借りに行く予定であった恭介も椿と一緒に迎えの車に乗っており、隣でだらしない格好をしているイトコに冷ややかな眼差しを向けていた。

「スモークガラスだから大丈夫だよ」
「横からなら大丈夫だろうが、前から見られたら丸見えだろ」
「……分かったよ」

 口を尖らせた椿は、渋々といったように体勢を戻した。
 そのまま窓の景色をジッと眺めていると車がコンビニの前を通過し、椿はふと目に入った文字を見て無意識にそれを口に出してしまう。

「おでんかぁ。もうそんな時期なんだ」
「おでん? なんだ、おでんって」
「あれ? 今私、声に出してた?」
「バッチリと声に出してたぞ。で、おでんとは何だ」

 おでんというものに興味を惹かれたようで、恭介はしつこく椿に聞いてきている。
 説明したが最後、きっと恭介はコンビニに行くと言い出すに違いないと思っている椿は教えたくなかった。

「恭介様、おでんとは大根、ゆで卵、こんにゃく、はんぺん、ちくわなどを煮込んだものです。おでんは冬の料理として一般家庭で食されておりますし、この時期になりますとコンビニエンスストアでも売り出しております」
「ふーん。じゃあ、そこのコンビニに寄ってくれ」

 椿の予想通り恭介がコンビニに行きたいと言い出したが、さすがに一旦自宅に帰ってからだと思っていた彼女は慌て始める。

「ちょっと! この格好で行くつもり!」
「コートを着てるんだから平気だろ?」
「一目見て高級なコートだと分かるデザインでしょうが! 大体、目立つし、髪のセットも化粧も落としたいから家に帰る」
「不破、コンビニで僕だけおろしてくれ」

 どれだけおでんを食べてみたいんだよ……と椿は脱力してしまう。
 まさか、水嶋グループの御曹司をコンビニで一人おろすわけにはいかない。

「申し訳ございませんが、朝比奈家までお送りするようにと旦那様より仰せつかっております。ですので、恭介様をこのままコンビニでおろすことはできません」
「……それなら、言われた通り朝比奈家まで僕達を送り届けたらコンビニまで車を出す、と言うんだな?」
「はい。旦那様からは用事が済み次第、すぐに恭介様をご自宅までお送りするようにとは仰せつかっておりませんので、途中でどこかへ寄ることは可能かと」
「ならそれでいい」
「畏まりました」
「お前も、さっさと着替えて玄関まで出てこいよ」

 椿もコンビニに連れて行かれることは恭介の中で決定しているようだ。
 一緒に行くとすでに組み込まれていることに異を唱えたいが、椿もコンビニおでんを食べたいという欲求はあるし、コンビニに行きたいと思っている。
 結局、彼女は勝手に決められていたのが嫌なだけなのだ。

「返事は?」
「……分かったわよ」
「五分で準備しろよ」
「あんたも着替えるんだからね」
「はぁ!? 何で僕が!」
「当たり前でしょう! 髪のセットも直してよね。鳳峰学園の生徒がこの時間にコンビニに行くことなんてほぼ無いでしょうけど、良家の子息だと分かる格好は避けてよ」

 恭介の顔が良いのは仕方が無いので、椿は一般家庭に居るイケメンで通そうと考えた訳である。
 恭介は椿がどうして良家の子息だと分かる格好を避けたがるのか理解できず、面倒臭そうな顔をしていた。

「着替えなきゃ連れて行かないから」
「じゃあ、椿は連れて行かない」
「……送っていく志信さんがうちの使用人だと忘れてない? 私の一言でコンビニに寄るのを止めさせることもできるんだからね」

 椿を見ていた恭介は、勢いよく志信の方へと視線を向ける。

「椿様がそう仰るのなら、私はその命令に背くことはできませんね」
「椿、卑怯だぞ!」
「正当な主張よ。いい? 未成年が高いブランド物の服を着ているということは、『僕は金持ちの家の息子です』って言ってるようなものなのよ。犯罪者に目を付けられるかもしれないから、なるべく普通の家庭に近い格好をしろと言ってるの」

 椿の説明に恭介は納得したようだが、やりこめられて悔しいとも思っているようで無言で彼女から顔を背けた。
 恭介の態度はあれではあるが、彼が納得してくれて良かったと椿は追い打ちをかけるような真似はせず、その後の朝比奈家までの移動中は会話もなく静かなものであった。

 朝比奈家に到着後、恭介は純子によって書斎まで案内され、当初の予定の通りに何冊かの本を借りていた。
 その隙に椿は自室でドレスから着替え、セットされていた髪をほどき櫛で梳かした後にメイクを落として部屋を出る。
 玄関ホールにはすでに着替え終わった恭介が居たが、彼の格好を見た椿はその場で膝から崩れ落ちた。

「どうした?」
「チェンジ」
「何がだ」

 全く何も分かっていない恭介に、立ち上がった椿が詰め寄った。

「コートよ。コート」
「コート? 普通のコートだろ? 薫さんのを借りただけじゃないか」
「しかもそれお父様のなの!? いや、別にいいけど。問題はそこじゃないわ。あのね、基本的に恭介は何でも似合い過ぎて、そういう服装だと家柄の良さがより強調されるの。よって無難なダウンジャケットにチェンジ。確かあったでしょ?」
「すぐに持って参ります」

 椿の勢いに飲まれた恭介は呆気に取られている。
 まさかコートにダメ出しされるとは思っていなかったのだ。

「お持ち致しました」

 さほど時間は掛からず、純子が家にあったダウンジャケットを持ってきてくれたので、椿はダウンジャケットを受け取ると無言で恭介に差し出した。
 しばらく差し出されたダウンジャケットを見ていた恭介であったが、椿に引く気がないと知り、嫌々ダウンジャケットを受け取ったのである。

「……何が好き好んでダウンジャケットを着なきゃいけないんだか……」
「何よ、ダウンジャケット馬鹿にしてるの!? 冬場にたまった皮下脂肪を優しく包みこんでくれる魔法の上着を馬鹿にする訳!?」
「優しく包み隠しても、屋内に入って脱いだら全部台無しだろうが!」
「そんなもん、脱がなきゃ良いのよ!」
「モコモコして動きにくいだけだろ! ガサガサ音もするし」
「ダウンコートさんに謝れ! ものすごく暖かくて風を遮断してくれるダウンコートさんに謝れ!」
「何でだよ!」

 すっかり話が脱線してギャーギャーと言い合いをしている二人を、志信がやんわりと止めに入る。

「椿様、恭介様、あまり遅くなりますとコンビニに寄る時間がなくなりますよ?」

 はぁはぁと肩で息をしている椿と恭介は、互いに顔を見合わせた後に不毛な言い争いを止めた。
 大人しくダウンジャケットを着た恭介と椿は車に乗り、コンビニへと向かう。


 コンビニに到着すると、恭介は物珍しさからか店内を好き勝手に歩き始めた。
 中でも興味を惹かれたのはお弁当コーナーのようで、棚の前から一歩も動こうとしない。

「買わないのに前に居たら邪魔でしょ。私はお菓子コーナーに行くけど、どうする?」
「僕も行こう」

 大人しく椿の後に付いて行く形で恭介と共にお菓子コーナーへと移動する。

「あ、ホワイトチョコって期間限定のやつじゃん。ラムレーズンのチョコも出てる。きなこと抹茶も買わなくちゃね。ナポリタン味のポテトチップスも出たんだ。あ、はちみつポップコーンもある」

 椿は目に付いた期間限定と書かれているお菓子を次から次へとカゴに入れていく。
 節操の無い椿を冷めた目で見ていた恭介であったが、気になるお菓子を見つけてしまい、手に取ると無言で彼女の持っているカゴに入れた。

 お菓子コーナーとつまみコーナー、ついでに飲み物コーナーでこれでもかとカゴに商品を入れた結果、ひとつでは収まりきらずに二つになってしまっていた。
 もうひとつのカゴを恭介に持たせた椿は、満足げな表情でレジへと向かう。

「お待ち下さい」

 それまで静かに見守っていた志信から止められ、椿は首を傾げる。

「どうしたの?」
「買い過ぎです。せめてカゴひとつ分に減らして頂かないと」

 志信に止められたことで、椿は手に持っているお菓子で山盛りになったカゴを見て、確かに多すぎると我に返った。
 項垂れた椿は、そら見たことかというような表情をしている恭介と共にお菓子の仕分けをし始める。

「ちょっと、待て。なぜそれを元に戻そうとしてるんだ」
「焼肉キャラメルなんて絶対に美味しくないに決まってるからよ」
「分からないだろ。もしかしたら奇跡が起きてるかもしれないじゃないか」
「奇跡とか言ってる時点で不味いって言ってるようなもんじゃない! どうせ、ひとつ食べた後に買ったことを後悔するのよ。だったら最初から買わない方がいいでしょ」
「お前は焼肉キャラメルの味が気にならないのか!」
「全く微塵もこれっぽっちも気にならない! 焼肉キャラメルは私の舌に相応しくない! 私の舌がこれを味わうことを拒否してる!」
「それ、貴臣のとこの商品だぞ」
「マジで! 月曜日に佐伯君に文句言わなくちゃ!」

 戻す、戻さないと椿と恭介は押し問答を続けている訳であるが、大声を出さないようにと気を付けているものの、やはり背が高く顔の良い男と可愛らしい女のコンビは目立つようで何度か店内に居る客からチラチラと見られていた。

「あ、朝比奈様と水嶋様!?」

 突然聞こえた自分達を呼ぶ声に正気に戻った椿と恭介は、声のした方へと視線を向けた。
 するとそこには目を丸くして口をポカンと開けて固まっている透子が立っていたのである。
 何故ここに透子が! と驚いた椿も固まってしまう。
 だが、先に動いたのは恭介であった。

「夏目は家がここら辺なのか?」
「あ、いえ。通っている絵画教室がこの辺りで、今日はその帰りだったんです。これから駅まで向かおうと思ってたんですけど、その前に飲み物を買いにコンビニへ来たんです。……水嶋様達はどうして?」
「……すっかり目的を忘れてたな」
「迂闊だったわ。それもこれも全部期間限定のお菓子が悪いのよ」
「お前がお菓子コーナーに行くって言ったからだろ?」
「ちょっと、人のせいにしないでくれる? あんただって人のカゴにポイポイ勝手に入れてたじゃない」

 またもや本題から逸れた二人の会話を聞いて、透子は非常に驚いている。
 それもそのはず、擬態を解いた椿と恭介の素を見るのが初めてであったからだ。

「椿様。あまり大声を出されますと、他のお客様のご迷惑となりますので」
「あ、ああ。そうよね。つい白熱してしまったわ。そうそう、夏目さん。どうしてコンビニへと言ったわね。私達の本来の目的はおでんを買うことだったのよ」
「おでんですか?」

 と、言いつつ透子の視線の先はお菓子類で山盛りになったカゴであった。
 言いたいことは分かると椿は遠くを見つめる。

「えっと……」
「皆まで言わなくても分かってるわ。買いすぎだと言うんでしょう? さすがに冷静になった今なら私も分かるわ。だから仕分けしているの」
「あ、それでどれを戻すかと話してたんですね」
「……ちなみにどこから見てたの?」
「あの……えっと、佐伯君に文句を、の部分でしょうか」
「あぁ、最後の辺りね。そんな変なこと言ってるところじゃなくて良かったわ」
「え!? それ以上のことを言ってたんですか!?」

 自ら説明したくなかった椿は無言を貫いた。
 これ以上、透子に対して恥を晒したくはないと椿は思っていた訳なのだが、素を見せている時点で恥も何もないことに気付いていない。

「あの、でも朝比奈様って普段はそういう話し方なんですね」

 透子に指摘された椿は、あっ! とようやく自分が令嬢言葉で喋っていなかったことに気付いたのである。
 だが、今更どうすることもできない椿は開き直るしかない。

「……そうなのよね。ごめんなさい。ガッカリさせてしまったかしら?」
「ガッカリなんてしてませんよ。意外だなぁとは思いましたけど」

 透子は椿を格好いい人だと言っていたので、素の椿を見てさぞガッカリしたに違いないと彼女は思っていたが、ハッキリと違うと言われて驚いた。

「普段、あんな偉そうな態度とか口調とかしてるのに?」
「どんな態度でも口調でも、言い方が違うだけで言ってることは変わらないはずですから。それに私は何度も朝比奈様に助けられてますもん。口調ひとつで印象が変わることはありません」
「そう?」
「はい! それにそっちの口調の方が距離が近くなった気がして私は好きです」
「……ありがとう」

 力強く断言する透子に、椿は柔らかな微笑みを向ける。

「なら、これでその話はお終いね。さ、恭介。仕分けを続けるわよ」
「分かってるよ」

 椿と恭介は透子に見守られながら二つあったカゴの中身をなんとかひとつにまで減らした。

「ちょっと、まだ焼肉キャラメルを持ってるの? 諦めなさいよ」
「お前はこれの味が気にならないのか」
「ならないって言ってるでしょう」
「冒険心のない奴め。夏目はどうだ? 気にならないか?」
「それ、実はずっと気になってたんですよね。友達は皆嫌だって言って一緒に食べてくれなくて買えなかったんですよ。賛同者が居ないと一人で消費しなくちゃいけないので、なかなか買おうという気にならなくて」
「そうだろう! ホラ見ろ、椿。これが一般的な意見だ」
「マイナー意見の間違いでしょう」

 少なくとも、透子の友人達と椿の意見がメジャーな意見だと胸を張って言える。
 だが、この場では二対一。必然的に恭介と透子の意見が勝ってしまう。
 味方を得た恭介は得意満面の表情を浮かべているし、同じ意見を持つと知った透子も嬉しそうである。

「不破はどっちの意見?」
「お答え致しかねます」

 気になると答えた場合は椿の敵に回ることになり、気にならないと答えた場合は二対二になり議論が伸びるということを考えれば余計なことは言えない、ということだ。

「二対一だからな。僕は焼肉キャラメルを買うぞ」
「あーはいはい。消費は手伝わないからね」
「奇跡が起こる瞬間をお前に見せてやるよ」
「はいはい」

 仕分けを終えておでんを頼み、会計を終えた椿達であるが、コンビニから出ると恭介が焼肉キャラメルを袋から取り出し、包装を解いていく。
 まさかここで食べるつもりかと椿は驚いたが、その通りのようで、恭介はキャラメルを透子にひとつ差し出した。
 恭介と透子は包み紙から焼肉キャラメルを取り出すと、同時に口に含んだ。
 口に含んですぐに、笑顔だった二人の表情が曇り始める。

「ほら見てみなさいよ」
「違いますよ! 噛んでいけば美味しくなります!」
「するめじゃないんだから、どれだけ噛んでも味は変わらないわよ」
「……あいつの会社、よくこれを商品として売ろうとしたな」
「確実にターゲットは私の目の前に居るような人達よね」

 椿の言葉に、恭介と透子はすっかり肩を落としている。

「とりあえず、飲み物を飲んで口直ししたら?」

 椿が言うや否や、透子と恭介はすぐさま買った飲み物で口の中の焼肉キャラメルを無理矢理飲み込む。

「まだ、口に焼肉キャラメルの味が残ってます」
「だが、これでひとつ勉強になったな。僕達は他の奴らが知らない情報を手に入れたということだ」
「考え方が前向きすぎるでしょうよ! それにその情報は生きていく上で全く何の役にも立たないわよ!」
「甘いな。今後、焼肉キャラメルを買おうか悩んでいる奴らを見て、味を知っている僕達は、優越感に浸れるという訳だ」
「その優越感は必要なの!?」

 結局のところ、恭介は負けたと認めたくないだけだ。
 透子という道連れが居たことで取り乱していないだけである。

「……それで、夏目さんはこれから帰るのよね? うちの車に乗っていく? 時間も遅いし、暗いし危ないわよ」
「いえ、ここから二駅程度で家も駅から近いので大丈夫です」
「ダメだ。家から近くても事件に巻き込まれる時は巻き込まれる。ちゃんと家まで送らせて欲しい」
「送らせて貰えないなら、無理矢理車に乗せるわ」
「それは強引すぎやしませんか!? 朝比奈様って割と無茶振りする人なんですね」
「だってもう夏目さんに対して取り繕う必要がないんだもの。あ、でも清香さんには言わないでね。令嬢口調で付き合ってきた年月が長い分、ガッカリされてしまうかと思うと怖いのよ」

 透子も清香はきっと自分以上に驚くと判断したようで、分かりましたと答えてくれた。

「じゃ、行きましょうか」

 コンビニを後にした椿達は、車に乗って透子を家まで送っている間、学校の話や委員会の話、冬休みの話をしながら過ごしたのだった。
 透子を降ろした後に恭介を水嶋家に送り、椿はコンビニ袋と共に自宅へと帰ったのである。
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