今回、ようやくSOAAの説明ができます。
まあ、疑問点とかあったらどしどし文句言っちゃってください。
ああ、なんで説明箇所だけえらい淡白なんだ……
34.護りたいモノ、護れなかったモノの巻
渡家内にある道場で、俺と渡は幾度も交錯していた。
日本刀の斬撃をレイピアで受け流し、即座に弾丸を撃ち込む。
その単調な作業の繰り返しを、俺と渡は何度も演じていた。
「して、お主は何故戦う……!?」
「決まってんだろ……護りたいモノを、護るためだ……ッ!」
一瞬の隙に、わき腹へ強い打撃。どうやら蹴りが入ったらしい。カウンターで肘を顔面に叩き込みつつ、俺は地面へ這いつくばるようにして着地した。
「ならば、その護りたいモノとやらを危険に巻き込んだのは、お主じゃろうに!」
俺が着地間際に放った銃弾を刃で弾きつつ、渡りは叫ぶ。
「この戦いは、元はといえばお主のエゴじゃ! にも関わらず、まだお主は彼女達を巻き込むのか!」
「んなこと……分かってるよ!」
レイピアを真横に一閃、渡ははるか上空へと舞い上がっていた。
「俺はもう失わない、失いたくない!」
『SOAA』の効果で、俺が放つ銃弾の軌跡が鮮明に見える。それを利用し、俺は劣化ウラン弾を多方向から撃ちこんだ!
しかし渡はそれらをあっさりと切り落とし、挙句の果てには鞘を投げつけてきた。
「――ッ!」
反射的にそれを撃ち落とし――弾切れを告げる、「カスッ、カスッ」という音が俺の耳に響いた。
「ならば、お主が殺した騎士二人を……ファンルと優子の仇でも、討たせてもらうとしようかの!」
――――え?
優子? 誰だよ、優子?
あぁ、そうか……優子、優子……あぁ。
思い出すな。
それ以上は。
開けてはいけない絶望の箱――――――――!!!
「あぁぁあああああ嗚呼ああああああアアアアアアアアアアアああアアアアアア嗚呼アアアアアアアアア嗚呼アアアアアアアアアアアアアアああああああああアアアアアアアアアアアあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
止めろ、殺すな、奪うな、汚すな、傷つけるな。
それ以上は、俺が、ユルサナイ――!
左目が黒く濁る。
俺は迷うことなく、それを解除した。
『――――――――――――Unlock』
俺は、俺は俺は俺は俺は俺は俺は――! 彼女を、護りきれなかった!!
優子をっ、護り、きれなかった!
「ッ!?」
俺はレイピアを振りかぶり――地面に叩き付けた。視界の隅で、渡が驚いたように動きを止めるが、俺は構うことなく行為を続行する。
『見える』、レイピアの破片が地面から壁に当たり、そして渡へと吸い込まれていくのが。
その隙に、俺はレイピアを片手に持ち替え、もう片手で弾入りのマガジンを空中に放り投げる。そしてそれを直に拳銃に装填する。……ぶっちゃけ、どこの大道芸人だと自分にツッコミたい。
「なっ、お主のそれはどこまで計算できるのじゃ!?」
驚きの声を上げる渡。
『SOAA(Space Operation Analysis Ability)』――和訳、空間演算分析能力。
視界内での物理現象に関するあらゆる数学的演算を、瞬時に行うことが可能な能力。
といって目から得られる情報――例えば速さとか大きさとかで、重さは目じゃ量れない――のみで演算を行うため、演算を行う場合はあらかじめ重さなどを把握しておく必要がある。
俺は劣化ウラン弾の重さをあらかじめ頭に叩き込んでいるので、壁を使った反射などを自在に計算している。
つまり、兆弾を操っているのではなく、計算しているだけなのだ。
その代償として、目に極端な負担をかけるため、非常に多くの血液を必要とし――眼が赤く染まっているのだが。
そしてもちろん、その演算は銃弾限定ではない。
砕いた刃の欠片、それらが渡を襲う!
上から下から右から左から斜め上から斜め下から斜め横から――!
「……三秒やる、祈りを済ませろ」
俺はそう呟き、すでに刀身がないといって差し支えないレイピアを――投げた。
それは見事に渡の顔面にクリティカルヒット。動きの止まったところに、俺は銃口を定め。
「――分かってるよ、これがただの八つ当たりだってことぐらい……」
銃声が、響いた。
「……結局俺は、『現実』より『未来』より……過去を優先する男なんだ……」
寂しげな呟きは、続く二発、三発目の銃声に掻き消された。
次回で渡編は終了です。
そしてついに、断罪の騎士3人目……まさかの攻略対象!?
てな感じで、次回にもご期待ください!
……二行目のコレって、ネタバレなんだろうか……(汗)
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