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27.決着、煌く刃
 ――それは何時のことだろう。
 
 俺は家族から人殺しの技術を学んでいた。
 私は二人の兄と仲良く暮らしていた。
 あたしは母を失った。

 ――それは何時のことだろう。

 俺は家族から逃げた。
 私は兄が遊んでくれなくなった。
 あたしは父親の仕事に参加するようになった。

 ――それは何時のことだろう。

 俺は第二の家族を殺された。
 私は独りぼっちだった。
 あたしはお姫様に選ばれた。

 ――それは何時のことだろう。

 俺は、たくさん人を殺した。
 私は兄の一人を失った。
 あたしはあいつ……岡崎悟に殺されかけた。

 ――そうして運命の歯車は、回っていった。


「ア゛ァァァァァァ!!」
「ッッ!!?」

 岡崎がダガーを放つ。
 しかし――手ではなく、足から。
 足首のホルスターから、回し蹴りの要領で遠心力を利用し放たれたソレ。

「何度もそんな手を!」

 手から直接の投擲は間に合わない。フェンルはそう判断していたが、実際に岡崎は足からダガーを放った。少々想定外の事態に面食らいながらも、フェンルは冷静にダガーを狙い撃つ。

 それこそが罠。

 カスッ。

「――ッ!」

 フェンルの手にある拳銃、『S&W M60 3インチモデル』の装弾数は5。岡崎への発砲に2回、右の掌に1発、そしてダガーを弾くのに2発。すでに全弾使い切っている。

 しかし、たかが弾切れで死ぬようなら、断罪の騎士など務まらない。

「だからどうしたんですか!」

 素早く左腕の袖から取り出したのは――

「……デリンジャー」

 静かに、狩野が呟く。
 リンカーン大統領暗殺にも使用された、2発装填可能の超小型拳銃。
 手のひらに隠せるほどのサイズのそれは、携帯性を極限まで高めたある意味究極の銃。

「でぇぇぃっっ!!」

 デリンジャーを発砲。それはダガーを直撃し、ダガーの動きをその場で停止させた。
 先ほどはこの後、もう一度弾丸を叩き込むことで岡崎へと弾き飛ばした。
 ――しかし。


「「悪いな、俺はもう二度と失いたくない」」


 二重に重なる声。
 全く同じ声が、二重になって岡崎の口から響いた。


「「だから」」


 投擲後、岡崎は横や後ろへは動かず――





「「――前へと進むんだ!!」」





 ただ前へ、前進していた!

 空中で静止したダガーを引ったくり、岡崎は前へと進む。
 ただ、足を前へと進める。
 反射的にフェンルがデリンジャーを発砲するが、岡崎はそれをあっさりと切断。

 そのまま、再び前進!

「くっ!」

 と、眼にも止まらぬ早さで、フェンルは本命の拳銃に弾を装填。しかし、たった1発。
 外すわけにはいかない――
 フェンルがその拳銃を肩の高さまで持ち上げた瞬間、岡崎の口元に獰猛な笑みが浮かんだ。

 それはまさしく、獲物を見つけた野獣のよう。

 刹那、岡崎の身体がブレた。

 そして、まるで瞬間移動のように――


 岡崎の身体は、フェンルの真後ろに現れた!


 フェンルが振り向く前に。

 煌くダガーの刃が、フェンルの右肩へと滑り込んだ。

「あぁぁぁぁぁぁぁ――!!」

 想像を絶する激痛に、悲鳴が上がる。
 しかし岡崎は、全くの容赦も無くダガーの刃をさらに捻り込む。

「――――――――――――!!」

 最早声にならない声だ。
 
「「……俺の勝ちだ」」

 岡崎の言葉に反論するものは、この場には存在し得なかった。
ようやくフェンル編の戦闘シーンは終了です。
いやー、長かった。
他の騎士さんは短めにしたいと思います! ……できるのだろうか(汗)
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