うそ、どんどん (対象年齢:6才)
カタカナがやっと読み始められるぐらいの6才ぐらいが読むことを前提に書いたお話です。
最初は、親御さんが感情をこめて芝居チックに読んであげると良いかもしれません。
「子供用なんて読まないよ!」という方は、「うそ、どんどん (対象年齢:大人)」をご覧ください。
――ぷぅ~。
ぼくは、おならをしちゃいました。
「あっ。おにいちゃん、おならした!」
おとうとが、ぼくをゆびさしました。
「ちがうよ! ぼくじゃないよ!」
ぼくは、はずかしくて うそをつきました。
「だって、きこえたもん」
「きっと、となりのへやの テレビのおとだよ」
ぼくは、そういって となりのへやをゆびさしました。
おとうとが、となりのへやにいきました。
でも、テレビはついていませんでした。
「きっと、おとうさんが テレビをけしたんだよ」
ぼくは、またうそをいいました。
「おとうさん、さっき おかいものに いったよ」
おとうとにいわれて、ぼくはあわてました。
「きっと、かわりに おかあさんが かいものにいったんだよ」
そのとき、かいだんから だれかが おりてきました。
「あらあら。どうしたの?」
おかあさんでした。
「ほら。おにいちゃんの うそつき! うそつきは、どろぼうの はじまりだよ!」
おとうとに、そういわれました。
ぼくは、すごく はずかしくなってしまいました。
「さいしょから、ほんとうのことを いったほうが、はずかしく なかったかも」
「うそをつくと、どんどん うそをつかなきゃ ならなくて、どんどん こまることに なちゃうからね」
ほんとうのことを いったら、おかあさんが そういって、あたまを なでてくれました。
おわり
幼児文学は難しいですね。文体、使って良い用語、空白の使い方など、教科書や幼児向け教育本を読みながら書いてみました。
教科書ではできないけど、児童書なら許される、子供が好きな下ネタで惹きつけています。
そんな風に、いろいろと考えて書いてみたつもりでしたが、子供から感想をもらうと、考えが足らなかったことがよくわかりました。
実は最初、二行目に「きゅうにおなかがいたくなったのです」というような文章が入っていました。
それを読んで聞かせたところ、「なんでお腹が急に痛くなったのかわからないよ!」というクレームでした(笑)。
大人にしてみたら「そこにツッコミ!?」とか思うのですが、よく考えてみると確かに、その行は不要なんですよね。どんな風にお腹が痛くなったのかは、この短い話では語る必要がない要素なのです。
そう考えると、本当に面白いです。
ちなみにうちの娘は、小学校に入ったばかりの6才ですが、漢字まである程度は読めてしまいますし、少年漫画もある程度は読めるぐらいです。
その為か、「もうちょっとストーリーのある話にして」とだめ出しされてしまいました(笑)。