画期的な発明
「くだらない発明に精を出す暇があるのなら借金を返して頂きたいものですがねぇ…」
金貸しは借金の返済期限先延ばしにやってきた博士に言った。
「そう言わずに…。今日持ってきたのは今までの発明品とは違う、画期的な発明品なんだ。これが売れればすぐに借金は返済出来る。是非とも見てくれ」
そして博士は一つの装置を取り出して見せた。その装置を見た金貸しが聞いた。
「何です、これ?」
「これは自動カギ回し機だ。これにカギをセットしてカギ穴にさせば、人の代わりにカギを回してくれるという代物だ」
博士は得意気に言うが、金貸しはやれやれといった様子で深いため息をついて博士に聞く。
「…それで?」
「それでって?」
「だから、それが何の役に立つのかと聞いているのですが…」
「え~と、だから…この装置がカギを回す手間を省いてくれて…」
「あなたは頭が良いのだろうが、どこかずれている。私も今日は忙しいのでね、お引き取りください」
事務所を追い出された博士はがっくりと項垂れ、ポケットから出したテレポーテーション装置のスイッチを押し、瞬間移動で帰宅した。