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一途でGO!
作:裡洲A



序章 告白でGO!


 
 僕は萩原耕助はぎわらこうすけ。この物語の主人公だと……思う。
 早速だけど、僕には苦手な娘がいる。いつもクールですました感じな娘なんだけど───まぁ、それだけなら、まだマシなんだ。クールな娘なんて結構いる……と思うし。

 ただ、ただ、その娘は───僕をいじめてくるんだ。それも滅茶苦茶。

 その娘の名前は九条院加奈くじょういんかな
 九条院グループの令嬢。つまり超がつく程のお金持ち。
 容姿も悪くない。いや、寧ろ、良い。上玉だ。おまけに頭脳明晰、運動神経抜群ときた。
 まさしく絶世の美少女なのだ。

 だが、僕は彼女が苦手だ。嫌いなわけではない。ただ苦手なのだ。
 クールで話し掛けづらいのもあるが、一番の理由としていじめられるからだ。まぁ、肉体的ないじめは無いけど、言語的ないじめが……。
 とにかく、そんな苦手な彼女から───

 告白された……。

 今年最大のピンチです。

 -・-・-・-・-・-・-


「それって……マジなの?」
 吹き付ける風が時折彼女のスカートをはためかせる。
 今、僕達は学校の屋上に居る。
「ええ、本当よ。貴方がテストで赤点を取るのが決まっているみたいに本当よ」
 微妙に罵倒されてるけど、
「な、何で? 何で僕を好きになったの?」
 一番の疑問だった。だって、今までの言動からして、いつも僕を馬鹿にして馬鹿にして馬鹿にして馬鹿にして馬鹿にして……あれ? 僕、馬鹿にしかされてないよ。
「そうね。確かに驚くわね。貴方みたいな馬鹿で運動神経も無くて不細工で人望も薄くて何の取り柄も無い駄目人間の貴方を好きだなんて言われても信じがたいわね」
 この娘は本当に僕の事が好きなのだろうか?
「好きになった理由。そうね、敢えていうなら……鼻?」
「鼻!? よりによってこの鼻!?」
 彼女は僕の鼻が好きだから、告白して来たのか?
 全然嬉しくないんだけど!
「もっと他に無いわけ? カッコいいとかカッコいいとかカッコいいとか!」
「貴方に格好良さなんて求めても無駄でしょ?」
 酷い……。仮にも告白した相手にそんな事言うかなぁ?
「まぁ、冗談はこの辺にしておいて」
「冗談なの!?」
 まさか告白も冗談とか?
「そうね。やっぱり、優しい所かしら」
 そんな淡々と言われても……。
「そ、そうなんだ」
「何、その反応? 仕方無いでしょ? 貴方にはそれ位しか取り柄がないのだから」
 何かいつの間にか僕が責められてる!?
「で、返事はどうなの?」
 そんな鬼気迫る顔でこっちを見ないでよ。何か、怖いよ。
 屋上の扉は彼女の後ろにある──―という事は逃亡は不可能。
 ならば、仕方無い。断ろう。間違っても、OKなんかするものか。OKなんかしたら、いくつ命があっても足りやしない。よし、行くぞ!
「ごめんなさい」
「殺すわ」
「えぇえ!? 何で?」
「私を振ったからよ。貴方みたいなゴミ以下の存在がこの九条院加奈を振ろうなんて一億年早いのよ」
「結局、僕には拒否権なかったの!?」
 微妙にまた罵倒されたし。
「当然よ。貴方は私と付き合うか死ぬかしか無かったのよ」
 どっちを選んでも地獄じゃないか。神様はそんなに僕の事が嫌いなのだろうか。
「参考までに……何で私を振ったの?」
「何でって……」
 そんな事言われても……必ず奴隷扱いされ、散々いじめられて、捨てられるから……なんて言えないし。言えるわけないし。
 考えろ僕。どうやってこの苦境を乗り越える?
 うーん、九条院さん、そんな睨み付けないで。そんな変な理由だったら殺すわよなんて眼で睨み付けられたら、冷静に物事考えられないよ。
 それにしても、よりによって何で僕なんかを好きになったんだ? 九条院さんなら全然他のハイスペックの男子狙えるのに。よりによって、好きな人が僕だなんて……。
 ん? 好きな人? ……そうか!
 好きな人が居ると言えば良いんだ。丁度、僕には憧れの女の子が居る。
 ふんわりとした肩まである髪に整った顔立ち。優しいイメージの外観にそぐわった温和な性格。まさしく、僕の理想の女性。
 そうだ、好きな人が居ると言えば、九条院さんも諦めてくれるかもしれない。
「僕、好きな人が居るから……だから、その」
「好きな人って?」
「え?」
「好きな人って誰かって訊いてるの」
「えっと、言わないといけないの?」
 僕の言葉に頷く九条院さん。
 どうしよっかな。恥ずかしいだよね。
「早く言いなさい」
「恥ずかしいから無理」
「私は恥を忍んで貴方なんか告白したのよ? 貴方も言いなさい」
 不条理だ! 貴方なんかって言うくらいなら告白なんかしなきゃいいのに。
 僕が頑なに口を閉ざしていると、
「まぁ、いいわ。あー桜井聴こえてる?」
 九条院さんはおもむろに携帯を取り出し、桜井って人に電話を掛けた。
 何をするつもりだ?
「至急、ゴミの好きな人を調べなさい」
「ゴミって僕の事!?」
 何とも酷い言われようだ。
「そして、見つけ次第、私に報告後、抹殺しなさい」
「ちょっ、何言ってんの!? 勝手に僕の好きな人殺さないで!」
「うるさいわね。私を差し置いて、ゴミなんかに好かれるなんて許しがたい事なのよ。始末する他無いわ」
「他あるよ! と、とにかく、止めさせて!」
 このままじゃあ、斉藤さんが……!
「私と付き合う?」
「付き合う! 付き合うから」
「じゃあ、これに捺印を」
「どうすれば!?」
「これに親指付けて、この紙──ここに捺して」
 僕は言われるままに親指を朱肉に押し付け、紙の印と書かれた所に親指を捺し付けた。
「貴方は私の彼氏よ。もうどうやっても逃れられないわ」
 ニヤリと笑う九条院さん。
「…………」
 何て事だ。僕はとうとう踏み行ってはならない領域に足を入れてしまったらしい。

 こうして僕の最悪な日常が幕を開けたのでした。



はい。ほぼノリで書かせて頂きました。
面白かったなら幸いです。
一応、連載にしていますが、更新は相当遅れると思います^^;











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