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目覚めたらそこは異世界だった  作者: 柊 空音
第4章 英雄の記憶
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第4章15 「開催した矢先」

「進まない」


あれから驚く程準備が進まなかった。

形的には開催出来るが、店等も催物が全くだった。


「何故、店を用意していないのだ?」


俺はふとした疑問を投げ掛けた。


「道具が揃ってないからですかね?」


1人の隊員が言った。


「ん?揃ってない?」

「アレクが注文をし忘れていたのですよ。そのせいで遅れています」

「アレクが?」

「あいつ、しっかりしてる様でそういう注文系は苦手で」


そうだったのか。意外だった。

いつも的確な指示を出せているアレクでも何かを頼むって事は難しいのかなと思った。

ネット通販していた俺が言うのもなんだが、原始的な物の頼み方って色々面倒なんだと感じた。


後で俺が代わりに注文したが、やっぱり面倒だった。


夜になる頃に道具が揃ってようやく終わった。

本当にギリギリの作業だった。というより予定より遅れている。

日没までにする予定が、魔法等でライトを照らしながらの作業になったからだ。

いくら都会の街と言われても、電灯ではない為、どうしても暗いのだ。

そのお陰で余計な経費が掛かり、アレクには後でしっかりと説教した。


「すみませんでした!!」

アレクは地面に顔を埋めるかの如く土下座した。


翌日、天気は快晴だった。花見日和であり風も気持ち良かった。


「今日は晴れたね」


フィリアも子供みたいに喜んでいた。


「ああ、これも普段の行いが良かったお蔭だな」

「それ私の事言ってる?」

「いやいや」


誤魔化すのが下手な俺は顔を逸らす。


「むぅっ…子供扱いしないでよね…」

「悪かったって」

「良いけど…でも私だって」

「ん?」

「うんん、何でもない」

「本当に?」

「うん、ちょっと拗ねただけよ」

「(私ももう今年17なのにな…)」


フィリアの表情が少し寂しそうな感じがした。俺の勘違いなら良いのだけど。


こうして開催された。色々準備等に手間取ったが、催し道具も食材も揃ってちゃんとした祭りになった。

街全体でのお祭りなのに、同盟を結んでいる隣国の国民も噂を聞いてか花見に参加していた。

街がいつもより活気付き、俺の想像以上の持ち上がりを見せていた。

バーンクロスの王国劇団員によるパフォーマンスもあり、花見とは言い難いけど、参加している人達が楽しそうで俺も嬉しかった。


フィリアと2人で会場を回っていると、何やら騒々しかった。

すると1人の隊員が慌てた様子で俺の所に来て、


「隊長、大変です!!」

「え?どうした?」

「屋台の一部で火事が!!」

「え!?」


俺は急いでその場所に駆け付けた。

すると屋台から火が燃え広がっていた。

既に何名か消火活動をしていたが、完全に焼け落ちる前だった。

幸いにも屋台だけに火が移っており、周辺住居には一切被害が無かった。

花見も一時中断となり、俺達は状況を整理していた。


「何故、火事になったのですか?」


屋台をしていた店主に話を聞いたが、


「何故か解らないのです。気が付いたら火が付いていて、もう手遅れで」

「気が付いたら?」

「ぼーとしていた訳じゃないのです。でも意識が遠くなって」


俺はそれを聞いて嫌な予感がした。


「(まさか、魔法?)」

「取り敢えず、不審な人物は見ませんでしたか?」

「いいえ、見てないです」


調査はしたものの、全く手掛かりが見つからず、厳重警備の元、花見は再開した。


「侑、これってもしかして…」


どうやら俺の考えている事と同じ事をフィリアは考えていた。


「ああ、魔法に違いない」


to be continued…

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