雪が降っている
はらはら
はらはら
まるで天使の羽みたい
だからなのかは分からないけど、昔、私は雪が大好きだった
はらはら
はらはら
天使が、幸せを分けに来てくれてるみたいだから
「独りじゃないよ」
って、言いに来てくれてるみたいだから
親が共働きで、寂しかった私には、その冷たい雪が温かく柔らかなものに思えた
だから私は雪に
「ありがとう」
って返したくなるんだ
でも
今はそんな雪さえ嫌いになってしまいそう
貴方のたった一言で
何年も雪の事を思い出さずに、それでも耐えてこれたのは、貴方がいたからだったのに
「実は、他に付き合っていた人がいるんだ」
それで?
「彼女を選びたいと思う」
だから?
「別れてくれ」
なんて安い言葉
何の感情も込もってないことが、伝わってくる
彼はそのまま
「じゃあ」
って、軽い言葉を残して去っていく
私は最後まで涙も流さずに彼の背中を見送っていた
彼の姿が見えなくなってから、私はフラフラした足取りで近くのベンチまで向かい、崩れる様に座りこんだ。
彼との初めてデートを思い出す
カラオケやゲーセンなどたくさんたくさん遊んだ後、まだ帰りたくなくて、近所の公園のベンチにこんな風に一緒に座っていた
世界は静かで
優しくて
恋人達の幸せを祝福してくれているようだった
そこで初めて、彼が優しいキスをくれた
フワ
うつ向いた視線の先に、濡れた指が映った
涙…?
違う
「雪」
だ
フワフワ揺れる真っ白な雪が、私の掌にゆっくり落ちていった
あぁ
また
側にいてくれるんだね
静かに優しく降り注ぐ雪の中で、私はいつまでも声を上げて泣いた
雪はいつまでも側で揺れてくれていた
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