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盾の勇者の成り上がり 作者:アネコユサギ

盾の勇者の成り上がり

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カルミラ島スポーツ誕生

 ラフタリアの話を聞いているうちに夕刻に近付き、出かけるにはちょっとタイミングを逃してしまった。

 今から出かけると別の島で夜の狩りになる。
 時間が惜しいと思えば良いのだろうが、夜間戦闘はあまりやりたくない。危険というのもあるし……。
 市場で買い物をするのも良いが……昨日のうちに見ているんだよなぁ。
 今までなら薬やアクセサリーを作るか、魔法の勉強をしていたんだが、前者は材料が無い。後者は帰ってから女王の手配した奴から教わる事になっている。
 必然的に暇を持て余した俺達。

 と言う訳で、浜辺で夕暮れまで遊ぶことにした。

「わっほーい!」

 フィーロが海に入って遊んでいる。
 水鳥のように水面を泳ぐのから、水中に入ってもがく様にバタバタとさせて楽しんでいる。
 あれだよな。
 泳ぎの練習って感じ。
 一見すると溺れているように見えるけど。
 というか、沈まないのか……水面に足だけ出して浮いてる。すごく滑稽な姿だ。
 どっかの推理モノで殺された奴みたいなポーズだなぁ。なんだっけ?
 犬とかついていた村だったような。詳しく思い出せない。
 ここ四ヶ月オタク文化とは離れているし、元々推理モノはアニメ位しか見ないからな。

「全然Lv上げられないな。悪いラフタリア」
「いえ……しょうがありませんよ。移動したら夜になりそうな時刻ですし……明日の朝に戻るのも面倒ですから」
「人員交換の弊害だよな」
「そうですねぇ……あの方がもっとテキパキと動いてくれたら今の時間を楽しめたのですけどね」
「まあなぁ……」

 宿で水着の貸し出しがあったので、俺達はそれぞれ水着を借りてビーチで遊んでいる。
 なんていうか、南国だからか海が綺麗だ。
 ホント、前にも考えたけどハワイやグアムに来たような気分になる。

「よくよく見ると、俺達と同じように浜辺で遊んでいる奴等も多いな」
「ええ、確かに……」
「ラフタリア、ボールは持ってるか?」
「宿の部屋に置いて来ましたけど……」
「そうか……どっかでボールとかレンタルできれば良いのだけど」

 辺りを見渡してみるのだけど、どうもそう言ったレジャー用品を扱う店がない。
 海の家のような休憩所はあるのだけど、海で遊ぶ為の道具の店がないようだ。
 暑いからか、冷たいものを売っている店はある。だけど、海で遊ぶ為の店だけがピンポイントで無い。
 ……サーフボードとかも無いな。
 元康の奴、サーフィンが趣味とか言えないな。これじゃあ。
 と、思いながら辺りを見渡していると、元康を見つけた。
 先ほどの変な顔からは立ち直っていて、ビッチ達を連れてナンパしている。
 懲りないなぁ。ビッチが居るから話しかけるとうるさいだろうし、そういう気分じゃない。

「何をするのですか?」
「せっかく浜辺で遊んでいるんだ。ビーチバレーでもするかと思ってな」
「浜辺でボールを落とさないようにして足腰を鍛える訓練ですね! 取ってきます」

 ラフタリアは俺の提案に勝手に頷いて走って行った。
 ……少々脳筋に育ててしまったようだ。
 別に訓練とかを目的にしている訳じゃないのだが……。
 根本的に、ラフタリアの基準が間違っているような……その原因は俺なんだろうけど。

「お姉ちゃんどうしたの?」
「ボールを取って来るってさ」
「ふーん。ボール遊び?」
「そんな所だ」
「フィーロ、退屈してたの。いっぱい遊ぶね」
「おう。頑張れよ」
「うん!」

 ビーチバレーを意識してコートの線を書いた訳だけど……ラフタリアがボールを持ってきた。
 ボールはラフタリアが以前から大事にしているバルーンを加工した一般的な子供の遊び道具。
 浜辺で足腰を鍛える訓練、か……。

「ラフタリア、ちょっといいか?」
「はい? どうぞ」

 俺はラフタリアを二の腕を良く見る。
 いつも筋トレしていて、ステータスも最近化け物染みてきた割には筋肉が付いている様には見えない。

「なんですか?」
「ラフタリア、お前まさか魔法で姿を偽っていたりしないよな?」

 ラフタリアはラクーン種、光と闇系統を得意とする幻覚魔法の才能がある。
 つまり極めれば自身の姿を偽る事も可能だ。

「そんな無駄な事をしてどうなるんですか?」
「……ラフタリアはそのままでいてくれ」
「はぁ……? わかりました」

 ラフタリアはやや効率的で向上心がある位が丁度良い。

 そうして俺はビーチバレーの簡単なルールを説明した。
 そこまで本格的な物じゃなく、自分は落とさないようにして、相手に取りづらい玉を渡すのがコツだと教えた。

「じゃあ始めますよ! てい!」
「なんのー!」

 浜辺でラフタリアとフィーロの壮絶なビーチバレーが始まった。
 最初から二人はラッシュとスパイクをして、もはや何の競技なのか分からない程の壮絶な戦いへと昇華していった。
 二人とも動きが早い。ワイヤーアクションみたいだ。
 気が付いたら周りに人が集まっていて、とても楽しそうな遊びだって、みんな真似しだした。
 まあ、ボールなんて持っている人は少ないので、布を丸めた物とかで代用していたけど……。
 ラフタリアとフィーロの攻防よりも、真似している連中の方がビーチバレーっぽいなぁ。

「ナオフミ様はやらないのですか?」

 ラッシュしてるラフタリアが俺の方を見ながら尋ねる。

「いやぁ……さすがに入れないわ」
「?」

 どこかおかしい所でも? とでも言うかのようにラフタリアとフィーロは片手間でボール遊びをしている。
 そのレベルが高い。
 相手していたら体力が持たないなぁ。

「見ているだけで良いよ」
「そうなの? ごしゅじんさまも一緒だと楽しいのに」
「もう少し、実戦から遊びにまでランクを下げてから言え、お前等」

 クラスアップの影響か、超人染みてきたな。コイツ等。
 本気になれば相手できるとは思うが、疲れる。俺はまだ治療中だ。

「そうだな。お前等は周りの連中とビーチフラッグでもやってろ」

 俺がそう言うと、フィーロの目が輝く。そしてビーチバレーを中断して、駆け寄ってきた。

「なになに! どんな遊び!?」

 う……。

「とりあえず、適当に棒を地面に刺す」
「うん!」

 俺は落ちていた棒を地面に刺した。

「後はそうだな」

 棒から離れて20メートルくらいまで歩き、振り返る。

「とりあえずラフタリアとフィーロ、ここまで来い」
「はい」
「うん!」

 二人は素直に俺の方へやってくる。

「じゃあ、棒のある方とは反対側を向いてうつぶせになれ」
「こうですか?」
「こう?」

 二人とも俺の指示通りにうつぶせになった。

「俺がヨーイ、ドン! って言ったら即座に起き上がって、俺が地面に刺した棒を取りに行け、棒を取れた方が勝ちだ。ただし、相手を妨害とかはしちゃだめだぞ」
「なんか楽しそうですね」
「うん!」
「じゃあ試しにやるぞ」

 周りにギャラリーが出来ている。冒険者共も期待に胸を躍らせているっぽい。
 異世界だからか? こう言った遊びは無いようだ。

「ヨーイ……」

 二人とも、俺が開始の声を出すのを待つ。

「ドン! ふべ――――っ!」

 直後、砂が俺に向けて思いっきり飛んできて、砂の山に埋まる。
 犯人はラフタリアとフィーロの二人。少しでも早く、勝ちたいが為に起き上がると同時に砂を蹴った所為だ。
 ちなみに勝ったのはフィーロらしい。
 俺は砂に埋もれてそれ所じゃなかった。

「フィーロの勝ちつぃぃ!」
「次は負けません!」
「どんな力で砂を蹴ったんだお前等! 限度を知れ」

 その後の事なのだが、どうも俺達が遊んでいた遊びは後に……大会が開くほどメジャーな物へとなって行ったそうだ。
 とは言っても原型がわからない程、この世界に染まった形で、だけどな。

 日が落ちるまで、ラフタリアとフィーロは浜辺で遊んでいた。
 冒険者も混じり、ビーチバレーとビーチフラッグは盛況に終わった。
 ま、いい暇つぶしにはなっただろう。
 ラフタリアも建前上、身体を鍛えられて満足していたようだし。
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