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盾の勇者の成り上がり 作者:アネコユサギ

盾の勇者の成り上がり

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愚痴

 雑談交じりで日が落ちるまで狩りをし、狩りを終えて本島に戻ろうとしたら影にその島の宿に案内された。
 宿に備え付けられた温泉に入浴する。

「ふう……」

 本日の成果。Lv4アップ。盾が10種。どれもステータス系だ。
 正直、効率はおいしいの一言だ。さすがは活性化と舌を巻くしか無い。
 この調子なら島を出る頃には結構上がっているんじゃなかろうか。

 そういえば女1が言っていたが、最初から元康のパーティーは女しかいなかった覚えがあるんだが。
 途中で加入したが、肌に合わなかったとか、追い出されたって所か。
 女1は最初からいた訳じゃないから情報が混濁しているな。
 そもそも最初に元康の所にいた女はビッチを入れて4人。残り3人はどこに行ったんだ?
 男を入れると4人か。錬か樹の所にでもいるのかもしれない。

「お湯加減はどうでごじゃる?」
「……」

 男湯に影の声が響く。
 何処だ? 何処にいる?

「探しても見つからないでごじゃるよ?」
「お前は男か?」
「内緒でごじゃる」
「……」
「女王から呪いの治癒状況も聞いておけと仰せつかっているでごじゃるよ」
「まあ、なんかピリピリして軽くなったような気がしなくも無いな」

 ステータスを見ると細かい数字だけど1ずつ回復していっている……ような気がしなくも無い。
 長湯するのも悪くは無いかもしれないなぁ。
 俺の目的には湯治もあるんだ。
 ぼんやりと湯船を見る。
 改めて見ると俺の入っている温泉って古代ローマっぽい作りだなぁ。
 和風の温泉とかはさすがに期待しちゃダメか?

「なあ影」
「なんでごじゃる?」
「お前の喋り方というか、格好が俺の世界基準だと忍者って職種なんだが」
「そうなのかもしれないでごじゃるな」

 は?

「機密事項でごじゃるが盾の勇者殿には問題ないでごじゃるな。拙者達、影は東方の地の文化を参考にしているでごじゃる。だから暗殺者とも忍者とも言える存在かもしれないでごじゃるし、東方の知識も精通しているでごじゃるよ」
「ふーん……」

 東方ねー……そういや武器屋の親父も東方の地で修行したとか言っていたなぁ。
 和風なのか?
 異世界で東方と言えば和風だよな。俺がやったゲームでも出てきた事がある。

「じゃあ温泉とかも東方の地にあるデザインとか分かるか?」

 帰郷精神という訳じゃないけど、そういう方に入りたくもなる。
 今まで温泉と言うと洋風の風呂ばかりだったから少しは和風情緒というのも楽しみたい。

「本島にある温泉にはそう言ったデザインがあるそうでごじゃるよ」
「そうか、じゃあ楽しみにするとしよう」

 温泉でゆっくりするのも俺の仕事だからな。
 その日は長めの温泉に入ってから部屋に戻り、一日を終えた。


 翌日。
 昨晩は一人でゆっくりと休んだのでリフレッシュしたような気分だ。
 何だかんだでラフタリアやピーチクパーチクうるさいフィーロが何時も居るからな。静かな夜の方が少ない。
 そう思うと、アイツ等大丈夫だったかなぁ……。
 下半身でしか生きていない元康と一緒だったんだよな。
 ……大きな問題を起こしていなきゃ良いけど。
 問題があったら影が対処するか。

「今日はどうするの?」

 宿の朝食を終えた所で女1が話しかけてきた。

「昼ぐらいまで狩りをして、本島に帰ろうかと思ってる」
「そ、分かったわ」

 女1と影と共に昼まで魔物を倒してLv上げをした。
 昼だったので、宿で貰った余り物の食材を使ってサンドイッチを作ったので女1と影に渡す。

「拙者は仕事ゆえに食べるわけにはいかないでごじゃる」
「そうか」
「じゃあ私が貰うわね……」

 女1がサンドイッチを受け取り、食べる。

「ん……中々の腕前ね。店が開けるんじゃない?」
「俺の料理を食う奴はみんなそう言うな」

 別に手の込んだ事とか美味しく作ろうとかしていないのだが……なんか知らんが美味いって言われる。
 盾の料理スキルの所為だろうな。

「モトヤス様もたまに作ってくださるけど、それよりも……なんでもないわ」

 ああ、モトヤスの奴、料理を作るが美味くないのか。
 イケメンアピールの為に作っているのかな?
 どうやら元康の世界でも料理ができる男はモテるらしいな。
 なんとなく、アイツはパスタとかフレンチとか作りそうな気がする。
 そっちの方が女受けしてかっこいいからな。

 丁度、カルミラ島は南国っぽいし、サーフィンが趣味とか言っているんじゃないか?
 いや、アイツはネットゲームが趣味だから今ここにいるんだったな。
 考えれば考える程、アイツはなんでネトゲが趣味なんだろう。
 現在のアイツを見ると唯のリア充にしか見えないんだが。
 まあ、異世界転移のお約束である、ハーレムでも作ろうとしているって所か。
 ご苦労な事で。
 パーティーにいた男を態々解雇している位だし。
 あー、これも聞いておくか。

「そういえば昨日、元康のパーティーに男がいたと言っていたな」
「ええ。私の知る限り私が加入してから2人男が入った事があるわ」
「元康の所はそんなに入れ替わりが激しいのか? 俺の記憶では最初ビッチを入れて女4人だったはずだ」
「へ~、私が入った時点で女5人男2人だったわよ」
「……多いな。おい」
「それから何度も入ったり抜けたりだったわね。ここしばらくは新しいメンバーは入ってないけど」

 要約すると邪魔な女はビッチが陰湿な嫌がらせで追い払い、男共は元康の女好きに呆れて出て行ったって所か。
 それを定期的にやっていた訳だな。
 ……なんとも。

「アイツの所も大変そうだな」
「そうでもないわよ。ビッチ姫達に話を合わせて、モトヤス様が戦っている所見ているだけで良いのよ。その上贅沢もできて、経験値も入るの。私からしたら天国みたいな場所よ」
「……いいんじゃないか。お前がソレでいいなら」
「ま、そろそろ危うくなってきていると思うんだけどね。こうして盾の秘密を調査して、なんか微妙な強さになってきてるモトヤス様に強くなってもらわないとね。最近落ち目だし、ここで伸びないようなら切り時かしら。だけど、ビッチ姫に負けっぱなしも個人的に嫌なのよ。一応、モトヤス様のお気に入りになってからやめるか考えるわ」

 凄いセリフだ。
 もしもラフタリアがこんな事を考えていたら立ち直れないぞ。
 別にどうとも思わんが元康が少し哀れだな。

「お前、それを俺に言うのか?」

 コイツ、あの二人がいないからって完全に愚痴ってるよな。
 ヒステリーやビッチのウザさとは別の意味で面倒な奴だ。
 というか、なんで盾の勇者である俺が元康パーティーの愚痴を聞かなくちゃいけない。
 ……なんだかんだで、知りたい情報が所々拾えているから、我が侭は言えんが。

「しょうがないでしょ。アナタがあの時、粗悪品を買うようだったら乗り換えたのに」
「こっちから願い下げだ。というか分かっていて買わせ様としたのか」
「でしょうねー。はぁ……モトヤス様よりも権力を得て、金に糸目をを付けない性格だったらってね。あー贅沢したい」
「おい……なんでそんな性格で家柄もあるのに元康の所にいるんだ? もっと安全に贅沢とやらもできるんじゃないのか?」

 命の危険も何度か経験したはずだ。なのに一緒にいるというのは何か理由があるんだろう。
 まあ別に知ったからといって何が変わる訳でもないが。

「父親が勇者に尽くせってうるさいの。正直、実家は居心地が悪いのよね。母親は結婚して貴族になったのに商売してるし、勇者の仲間をやめると騎士団か、母親の手伝いで商売を教えられる。楽が出来ないじゃない」
「それを俺に言っていいのか?」
「モトヤス様が、アナタの言葉を信じると思う?」
「ないな」
「でしょ? 死にそうになったって言っても、この時代じゃね。楽にLvを上げとけば、仮に抜けても後が楽でしょ」

 確かに、勇者4人が一度に召還された時代だからな。
 突然波が起こって、家族を失い、終いには奴隷に身を堕とされる様な子もいる。
 勇者の仲間という事でクラスアップもタダだし、Lv40以上の人間は全体的には少ないからなぁ。そう考えれば待遇は悪く無いのか。
 面倒臭がりの割に将来を考えているんだな。

「ま、勇者の中じゃ、モトヤス様の顔が一番好みだしね」
「はいはい。そういえば影」
「なんでごじゃる?」
「俺の仲間のほうは護衛しているのか?」
「ちゃんとしているでごじゃるよ。間違った事が起こらない程度には見張っているでごじゃる」
「元康がオオカミになってそうで怖いんだが」
「あー……ありうるわねー」

 女1が淡々と頷く、元康の性格分かってるな。
 お前が頷くと逆に不安になるんだが……。

「でも、あの子、鳥は分からないけど、身持ち固そうよね」
「ラフタリアか? アイツはそういう年じゃないじゃないだろ。見た目はああだが、子供だぞ?」
「……あの子の苦労が分かったわ」
「ん? 苦労?」
「気にしなくていいわ。どっちでも良いし」
「そうか。フィーロは……食べ物に釣られてそうだな」

 食べ物で友好は出来そうだけど、恋愛は……どうかな。
 なんていうか、繁殖行為とか野生動物基準だろアイツ。
 生物的にどうか知らないけど、発情期とか以外はそういう事無いと思う。

「そういえば、一緒にいる鳥の人型にモトヤス様は御執心だったわね。ビッチ姫が嫉妬してたわ」
「天使萌えとか言ってたもんなぁ」

 アイツの話題は女が付き纏うな。いい加減にして欲しい。
 フィーロの姿……要するに金髪碧眼天使娘が好きなんだろうよ。
 元康が日本から来たのなら、そんな奴いないからな。地球には。
 というか、こっちの世界でも天使なんて見た事ない。
 羽を生やした亜人なら見た事あるが、手足が鍵爪なんだよな。

「フィーロちゃんとラフタリアちゃんと一緒の二日間だ! て、スキップ交じりに出て行ったわ」
「お前それでも元康が良いのか?」
「あの子達のブーイングが凄かったわね。でも、英雄色を好むって言うじゃない。一々騒いでいられないわ」
「案外、冷めた奴だな」
「いってなさい」

 毒付くという意味では付き合い易い奴だな。
 元康の前ではどういう態度を取っているかは知らんが、話し易い相手なのは確かだ。
 そういう意味では話上手なのかもしれないな。

「にしてもビッチは諦めないよな」
「あれはもう引くに引けなくなったのよ。私がハメたのに伸し上がってくるなんて許せない! とか言っていたわ」
「とんでもなくムカつくセリフだな」
「父親がアレでしょう? きっと今までなんでも思い通りだったのよ。それがうまくいかなくなって、その原因であるアナタを殺したい程逆恨みしているって私は分析しているけど、どうかしら?」
「妥当だな」

 良く見ているな。
 つまり、ビッチは俺を殺したくて仕方が無いって事か。
 いや、知ってはいたし、そう思わせながら苦しめている訳なんだけど。

「アナタが強姦しようとしたって聞いた時、怪しいとは思っていたけど庇う義理も無かったし、疑問を抱いてハメられた子もいたから、私は無関係を装ったわ」
「お前はブレないな」
「ま、どこかで諦めないと自分の首を絞めて死ぬわね。あの子。私には関係無いけれど」
「…………」

 偉く冷めた女1の発言に、俺の心まで瞬間冷凍した。
 女なんてこんな物なのか。

 そんな感じで俺達は魔物退治を終えて本島に戻った。
 最初はどうなる事かと思ったが、予想よりはまともだったな。
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