挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
盾の勇者の成り上がり 作者:アネコユサギ

盾の勇者の成り上がり

85/835

槍の勇者の仲間達

 船渡しの船から下りて、最寄の温泉付き宿泊施設を抜けて魔物の生息する地域に足を踏み入れた。
 さて、早速帰りたくなった元康の女共とのLv上げなのだが……。

「お前等も分かっているとは思うが、非協力的な態度だとお前等の勇者が痛い目に遭うんだから考えて行動しろよ」
「言わなくたって分かってるつーの」
「バカじゃないの?」
「……そのバカがお前等な訳だが」

 まったく、何が悲しくてこんなクソ女と一緒に魔物退治をせねばならないのか……。
 見れば確かにLv上げのイベントの最中。
 所々で冒険者が魔物を見つけては戦っている。
 なんていうか元の世界のネットゲームのイベントに参加しているような気持ちになってくるな。
 まあ、問題は仲間にあるわけだけど。

「ふむ……」

 バイオレットブロブ、マゼンタフロッグ、イエロービートル、カクタスワームという魔物が生息するエリアみたいだ。
 あまり強くは無いだろう。
 と、分析していると茂みから飛び出したマゼンタフロッグが襲い掛かってくる。

「よっと」

 盾を飛び掛るマゼンタフロッグの腹にぶつける。
 ビタっという音がしてマゼンタフロッグは俺の盾にへばりついた。

「おい」

 元康の女共に指示を出す。

「なによ?」
「剣で切るなり、魔法を使うなりして戦え」
「分かってるわよ!」

 まったく、態々説明しなきゃ何も出来ないのかっての。

「ファイアスラッシュ!」

 ビッチの隣に居た気が強そうな女が魔法を唱えて剣を振るう。
 すると剣先から炎の剣撃が飛んできて、マゼンタフロッグを切り裂く。
 EXP95獲得。
 ふむ……確かに強さの割りに経験値は良さそうだ。

「じゃ、とりあえず適当に狩りに行くぞ」
「……はーい」
「まったく」

 非協力的なのも限度を超えている。いい加減、参加を拒否したいのだが……。
 どう考えたって強くなる方法の裏取りとか無理だろ。

「自分から攻撃できないって本当だったのねー」
「ねー。だっさーい」
「……む!」

 誰がダサイだ、コラ!

「そういうお前の勇者は女なら何でも良い様な下半身でしか生きていないバカじゃないか?」
「なによ! モトヤス様の悪口を言うつもり!?」
「違うのか? 違わないなら普段はどう戦っているのか聞きたいところだな」
「じゃあ教えてあげるわ」

 ビッチと女1と女2。これが元康の仲間だ。
 女1は気が強そうで剣を所持している。見た感じ運動神経も良さそう。ラフタリアに肩を貫かれていた方だ。髪はセミロングで茶髪。
 女2は表情をコロコロと変えてピーチクパーチク騒ぎ、ロッドを所持している。魔法担当か?
 どれも魔法援護をしていたが……普段はどんな戦い方をしているんだ?
 ビッチは着いては来るものの無視を決め込んでいる。

「私達はいざと言う時以外はモトヤス様を応援するのが仕事よ」
「はい!?」

 思わず、声が裏返った。
 何を言っているんだ? コイツ等。

「あとは、マイ……アバズレ様の指示するとおりに魔法を唱えてモトヤス様の援護をするの」
「……お前等が戦ったりはしないのか?」
「乱戦時は戦うわ。でもそうならないようにモトヤス様は私達を守ってくださるのよ」

 守ってくださるって……。
 頭が痛くなって来た。
 つまり元康が戦っている間、ずっと後方で黄色い声援を送るだけが仕事?
 時々魔法援護をして……普段は元康だけで戦っているのか?

「基本はそうね。後は私達でも処理できる弱い魔物なら私は剣で、この子は魔法で戦うわ」
「アバズレは?」
「アバズレ様もそうよ」

 雑魚以外は全部、元康が受け持ち、後は女共が戦って倒すって……。
 それってネットゲームで言う所の姫プレイって奴なんじゃ……。
 ああ、一応ビッチは元姫か。

「モトヤス様は何時も私達に言ってくださるわ。『可愛い君達に血生臭くて汚いLv上げの戦いは似合わない』って」
「だから私達はここぞという戦い以外は英気を養っているのよ」
「そう! 普段は覚えられる魔法を習得することと装備の手入れに力を入れているわ」
「後はモトヤス様の精神を癒すのが私達の役目。モトヤス様との一分一秒に気を使っているの」

 ……気持ち悪。
 普段は後ろで見てるだけって。
 気が強そうな奴が剣をブンブン振って今は襲い来る魔物を蹴散らしているけど……少しでも手が掛かりそうな相手だと元康が戦っているのかよ。

「モトヤス様も少しは私達に頼って欲しいと思うわよね」
「そうね。でも私達の力が無くても強いのがカッコいい所なのよ」
「ええ、盾みたいな仲間が居ないと何も出来ないような方では無いわ」

 ビッチの奴、口を開いたかと思ったら俺と比べやがる。

「あっそ! だが今は俺と魔物退治に来ているんだ。元康がどうかは知らないが手伝ってもらうからな」
「……サイテー」
「最低なのはお前等だ!」

 まったく、寄生虫を三匹も連れて何が楽しいんだアイツ。

「魔物に襲われそうになった時はモトヤス様は助けてくださるわ」
「ホント、ステキよね!」
「「「ネー!」」」
「それに比べて盾は何? 魔物を足止めだけして私達に倒させようって」
「「「ネー!」」」

 ウザイ!
 もう帰りたい!
 なんなんだコイツ等。
 どうせ、元康がどこかでカッコつけて助けたりしているのだろう。
 するとどうだ?

 ステキ! 抱いて! ってか?

 こんな尻軽女共の何処に魅力を感じているのか全然理解できない。
 なんていうか、背景になっているよな。

 とても強い魔物が出たときは俺が率先して一対一で倒しているんだぜ!
 そんな風に戦っている姿が思い浮かぶ。
 というか、なんで俺の事をここまで酷評しているんだ?
 まあビッチの管轄だし、元康の奴、俺の悪口を言いまくっているのだろう。
 気持ち悪いなぁ。

 とは言いつつも、最低限、俺の指示には従って、ビッチと女1、2は魔物を魔法や剣で倒していく。
 戦えなくは無い。
 ただ……ビッチの奴、魔法を唱えては中断を繰り返している。
 なんか……紋様が浮かぶ瞬間があるのはなんだろう。
 推理は出来るのだが……。

 と、そんな感じで不快な思いをしつつ、30分くらい魔物を狩り続けていた時の事。周りに人影が無くなった頃だろうか。
 俺が魔物の盾になり、魔法援護が来るのを待っていると。

『力の根源たる次期女王が命ずる。森羅万象を今一度読み解き、彼の者達に――』
『『力の根源たる私が命ずる。理を今一度読み解き――』』

 妙に高威力の魔法を唱えようとしていると思っていると、一瞬で影が現れてビッチの首筋にナイフを突き立てる。

「ひ!?」
「唱える魔法のフレーズは元より、殺気を放ちすぎだと思うでごじゃるよ、アバズレ殿とその仲間達」
「わ、私達は何もしていないわ。盾に協力していただけよ」
「そうは思えないでごじゃる」
「どうしたんだ?」

 魔法を中断させて、影はビッチに注意する。

「先ほどからブツブツと何をしているのかと泳がせていたでごじゃる」
「で? 分かったのか?」
「分かったでごじゃる」
「なんだ?」
「奴隷紋の禁則事項を探っていたようでごじゃる」
「ああ……なるほど」

 奴隷紋にはさせてはならない項目を幾重にも設定することが可能だ。
 ラフタリアやフィーロに掛けているので、俺でも分かる。
 というかラフタリアは強かだからな、俺が設置した禁則事項を抜けるように俺になれなれしくしている時があった。
 今はそこまで厳しくしていないのもあって、忘れがちだけど。

「女王は専属の奴隷を行使などしたことがないでごじゃるから。ゆるい場所を探していたのでごじゃろう」

 設定は女王が行っていた。ともすれば……。
 そこで思い出す、確か女王が設定したのは。

「条件はイワタニ様への攻撃です。毒物でも魔法でも直接攻撃でも発動しますので、絶対に手を出すのではありませんよ!」

 俺への攻撃……それでも俺に行うとしたら……。

「仲間に代理で攻撃させるのと、魔物への範囲魔法で俺に攻撃するつもりだったとかそんな所か」
「正解でごじゃる」
「ち、違うわ!」
「なら先ほどから紋様が何度も浮かぶのは何故でごじゃる?」
「そ、それは……盾を巻き込みそうになるからに決まってるじゃない」

 なんとも、苦し紛れの言い訳な事で。

「「そうよ! 私達は盾の指示通りに魔法を唱えていただけよ!」」
「その割りには先ほどの詠唱は力が篭っていたでごじゃるな」
「それくらいしなきゃ倒せないわ!」

 どうかなぁ……。
 現に、今俺に喰らいついているハイカクタスワーム×5は俺に傷一つ負わせられない。
 正直言って雑魚だ。
 フィーロだったら俺が近付く前に飯にしている程度。

「盾の勇者殿は痛くないでごじゃる?」
「全然」
「頑丈でごじゃるなぁ……」

 影がなんか間抜けな声を上げている。

「とにかく、反省が無い様でごじゃるな」
「知ったことじゃないわ!」

 ビッチの奴、見抜かれて逆切れしてやがる。
 影の奴、溜息を漏らす。

「しょうがないでごじゃるな」

 何やら人差し指を立てて、ステータス魔法を発動させる。
 するとビッチの紋様が浮かび上がった。

「え!? なんで!?」
「女王からビッチ元姫の奴隷権限を委託されているでごじゃる」

 ま、そうなるよな。

「ギャアアアアアアアア!」

 紋様が発動してビッチが転げまわる。
 まったく……馬鹿な真似をして。
 女1と2が表情を真っ青にして影を見る。

「分かっていると思うでごじゃるが、尊敬する勇者殿にはこの事を報告し、罰を与えるので理解するでごじゃるよ。後、そなた等の家にも通達するでごじゃる」
「そ、それは――」
「分かったのなら素直に盾の勇者殿の指示に従うでごじゃるよ」

 女共は息を飲んだ。
 分が悪いのを察したのだろう。だが、俺も我慢するのも限界に達している。

「影」
「なんでごじゃる」
「さすがに俺も我慢の限度があってな」
「……」

 女王との約束を無為にするのかと不安そうに影は下がる。

「影、ビッチの禁則事項を全部一時的に外してくれ」
「そうしたら元姫が何をするか分かっているでごじゃる?」
「ああ、分かってる。ほら、ビッチ。俺を殺したいほど憎いんだろ? 相手してやるよ。余計な策略無しで勝負しようじゃないか」
「ぐ……」

 奴隷紋の拘束が収まり、ビッチは忌々しいと言うかのように俺を睨みつける。

「ほら、来いよ」

 近接で攻撃してきたらラースシールドで焼き払ってやろうじゃないか。

「ああ、ビッチだけだからな。他の奴は見てろよ」
「あ、ああ……」
「は、はい」

 女1と2は頷いて下がる。

「絶対にぶち殺してやる!」

 ビッチの奴、殺意を隠さずもせずに俺を睨みつけ、魔法を唱える。

『力の根源たる次期女王が命ずる。森羅万象を今一度読み解き、彼の者を地獄の業火で焼き払え!』

 魔法か……まあ、妥当な選択だ。しかもビッチの一番強い魔法だろうな。
 さて、どんな魔法が飛び出すことやら。

「ドライファ・ヘルファイア!」

 ビッチの前方に大きな燃え盛る極大の火の玉が出現した。

「しねぇえええええええええええええ!」

 高速で撃ち出された炎の玉を俺は盾を構えて受け止める。

「バカじゃないの? その程度で私の一番強い魔法が――何!?」
「うりゃああああああああああ!」

 俺の盾にぶつかった炎の玉を野球のピッチャー返しのようにビッチに向けて跳ね返す。
 今まで色々と戦っていて経験したことなのだが、こういう単体を狙った魔法は特定の角度で受けると受け流すことができるという発見があったのだ。
 だからそのまま相手に跳ね返すことも出来るんじゃないかと思って実行に移してみた。
 バカの一つ覚えのように直線的な魔法を撃ったのが仇になったな。

「く、くるな――ギャアアアアアアアアアアアアアアアアア!」

 ビッチは自らの放った魔法を受けて火達磨になって転げまわる。

「ははは、よく燃えるな!」

 これは爽快。ビッチの奴、もがいてやがる。
 いやぁ。女王が勝手に罰則を課していたら俺が手を出せなくて悶々としていたんだよなぁ。
 やっと自らの手で制裁を加えられた。

「マイ……ビッチ様!」

 女2がビッチに水の魔法を使って炎を消す。

「女の子に手をあげるなんてサイテー」
「自業自得だろ? 自分で放った魔法が跳ね返るなんて考えないのが悪いんだ」

 女2はビッチに回復魔法を掛けて、傷を癒す。
 ま、そう簡単に完治はしないようだけどな。

「さて、では罰則を課すでごじゃる」
「ぎゃあああぐううううううううううう!」

 火傷と紋様の二重苦でビッチが転げまわる。

「ちょっと、幾らなんでも酷すぎるんじゃない!」
「罰は罰でごじゃる。更に槍の勇者殿にはこの事を通達し、罰則を増やすでごじゃるから覚悟するでごじゃるよ」
「しんじらんなーい!」
「さて、じゃあ狩りを続行するか」
「誰がついていくか!」

 女2がビッチを背負って勝手に離れていく。

「おう。帰れ帰れ!」

 今回の件は全面的にコイツ等が悪い。それも影は理解しているのか微妙そうな声を出す。

「こうなることは女王も予想はしていたでごじゃるが……ここまでとは」
「さて、あいつ等が役に立たないとなるとどうやって時間を潰すか……」
「……はぁ。分かったでごじゃる。拙者が代理で盾の勇者殿に協力するでごじゃるよ」
「お? お前が手伝うのか?」
「このような事態が起こったら補佐しろと仰せつかっているでごじゃる」
「それは気の利いた事で」

 なら最初から組ませるなよな……。
 そもそもがこのパーティー交換自体必要性を感じないというか。

「ねえ……」

 と、影と話をしていると肩を叩かれる。

「ん?」

 振り返ると女1が腕を組んで嫌そうに待っている。

「どうしたんだ? お前は帰らないのか?」
「帰る? 冗談でしょ。そんな事をしたらモトヤス様に迷惑が掛かるじゃない」
「へぇ……」

 なんか気が強そうな奴だけど、少しでも嫌な事があったら帰るとかしないんだな。
 ビッチと女2に比べて責任感はあるっぽい。

「はぁ……あの子達に合わせるのも大変なんだから余計な波風立てないでよ」

 ボリボリと頭を掻きながら嫌そうに女1は言い放つ。
 なんだ?

「勘違いしないでよ? 私は盾の勇者は嫌いよ」
「タダの馬鹿女かと思っていたが、お前は違うみたいな言い方だな」
「……失礼な言い方ね。私は自分に正直なだけよ。出来れば戦いたくないし贅沢をしたいわ。勇者の使命とか世界の命運とか、正直どうでも良いの」
「そこは同意だな」

 投げ出せるのなら速攻で投げ出す使命だ。現に波での戦いに俺は極力参加しないでいるし。

「分かる? ここで私まで帰るとね。贅沢ができなくなるの」
「何とも打算的な考えでごじゃるな」
「うるさいわね。私は強い者の影に隠れて楽をするのが大好きなの。ただそれだけよ」
「それで、なんで帰らないんだ?」
「アナタも強いでしょうが。だから嫌だけど付き従うわけ」

 本気で嫌そうに眉を寄せて女1は答える。

「強い事に差別はしないわ」
「変な論理だな」
「言ってなさいよ。後はそうね。私は問題を起こさなかった。だからモトヤス様の中での株が上がると思えば良いわ。いい加減、あの姫は落ち目だから地位に寄生するのも潮時だと思ってね」

 なるほどねぇ。
 俺の世界でもいるな。こういう奴。
 発言力の強いグループ、学校で仲良しごっこしている女子とかこんな奴が混じっている。多分。
 リーダー的存在がいて、そいつのおこぼれをもらう。
 所謂、長い物に巻かれて楽をしたいと思っているタイプだ。
 俺も日本人だから多少理解できる。

「私の推理だとあの元姫もモトヤス様に捨てられる頃合だと思うのよね。モトヤス様って面倒な女を好かないと思うし、借金塗れの女を大切にするにしても限度があると思うのよねー」

 問題ばかり起こす女の中で、唯一問題を起こさなかった女ともなれば元康が信用する可能性は高まる。
 元康のパーティーはビッチが頂点の序列があるようだし、考えられなくも無い。下克上を狙っていると思えば良いのか。 

「それに私の父は武勲で名を馳せた貴族で、母は商売で財を成した商人の娘。アクセサリーを買うときの値切りは舌を巻いたわ。女の子に強請られた物を値切るのは最低だけど」
「はいはい」

 思い出すと腹が立つから無視しよう。

「今回の要点も理解しているわ。私のしなくてはいけないのは盾の勇者の戦い方を分析し、モトヤス様に伝える事」
「……お前が序列の一番になるのを願っているよ」
「言ってなさい。サッサと狩りを再開するわよ」

 女1の評価を若干上昇修正するしかないか。
 打算的だが、ビッチのように快楽的に他者を貶めるようなタイプではないようだ。
 またの名を考えているビッチ。
 商売なら信用できるタイプだな。仲間としては信用したくない。

「これより先に行くと頭数に問題があるな。影、分かってるな?」
「承知したでごじゃるよ……」

 影にパーティー勧誘を送り、魔物退治を続行した。ビッチと女2は外しておいた。
 女1は近接も魔法も卒なくこなす魔法戦士だった。
 影は速攻アタッカーだ。国の暗殺部隊でもあるだけあって相当強い。
 ちなみにステータスやLvは奴隷とかの項目がないから良く分からないし、Lvも不明だ。

「ほんと頑丈ね。モトヤス様とは戦い方が大きく違って驚きよ」

 魔物を倒しつつ、女1は言う。
 先ほどの会話からモトヤスは応援と援護だけしかさせていないのだろうな。

「だけど……あのタヌキ女が頼りにするのも頷けるわね」

 タヌキ女……ラフタリアの事か。
 本人が聞いたら微妙な顔をするんだろうな。

 さて、女1は俺を盾にするのが上手い。
 良く魔物を観察していて、戦闘にも慣れているという印象を受ける。
 ラフタリアやフィーロは可能な限り自分で処理しようとするから、効率を考えればコイツの俺に全て押し付ける、という戦い方も悪くは無い。とは言っても魔物を押し付けられるのはあんまり良い気分では無いが。
 ただ、魔法は近接よりも苦手なのか、唱え始めると周りに注意が散漫になる。影が何度か守っていた。
 魔物を倒し、解体して盾に吸わせる。

「へぇ……倒した魔物を解体して武器に吸わせているの?」
「元康はしないのか?」
「基本的にしないわね。大物、キメラとか強い魔物はする時があるけど」

 となると元康の槍は解体した魔物の武器……ミートとかボーンとかは無いに等しいのか。
 だが、そうなると少しおかしいな。
 これまで俺はほとんどの盾を解放して来た。だから能力値は相当上昇している。
 性能では劣るミート系、ボーン系だが解放されれば基本スペックが上昇する。
 それをやっていない元康にラースシールドを使わないと勝てないのは何故だろう。

 もちろん単純なLvで大きく出遅れているからそれが響いているのかもしれないが、どうにも俺と元康のスペックにはムラがある気がする。これは錬と樹にも同じ事が言える。
 ちょっと前までは盾が弱職だからと考えていたが、何かおかしい。
 少なくとも現状、盾が他の武器に劣っている様には見えないからだ。
 それとも奴等のやっていたゲームでは、まだまだ序盤とか?
 ……わからん。

「そういや、聞きたかったのだが」
「何よ?」
「お前はモトヤスの最初のメンバーか?」

 どうもあの時の記憶は曖昧なんだよなぁ。
 記憶が正しければ、こんな奴はいなかったと思うんだが。

「違うわ」
「ああ、違うのか」
「私が入ったのはモトヤス様が冒険を始めて1週間後よ。パーティーの男が抜ける形で入ったわ」
「そうか」
「元王女が気に入らない仲間を陰でいびり倒してね。今居る子は昔からの悪友って関係で私の後に加入」

 なるほど、頭の悪い女の振りをしないとビッチにいびり倒されて追い出されると。
 なんか女の嫌な側面が渦巻いているパーティーなんだな。
 現実のハーレムなんてこんなもんか。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ