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盾の勇者の成り上がり 作者:アネコユサギ

外伝 槍の勇者のやり直し

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シルトヴェルトの馬車

 朝食は抜きにして、お義父さんが昨日の余り物からお弁当を作ってくださいました。
 川辺に行くと、ユキちゃん達が出迎えてくださいますぞ。

「また大きく育ちましたね」
「グア!」
「まだバキバキ音を立ててる……大丈夫かな?」
「問題ないですぞ」
「グアー」

 サクラちゃんがお義父さんに親しげに擦り寄って行きますぞ。

「じゃあ出発しようか。今日は夕方までLv上げね」
「ああ、それじゃあ尚文。サクラを寄越せ」
「待ってください。僕がサクラさんに乗ります」

 錬と樹が睨み合いを始めましたぞ。
 サクラちゃんは人気がありますな。
 ちなみに俺が作った強力な酔い止めを服用しているので、しばらくは問題ないでしょう。
 フィロリアル様の乗り心地を楽しめないとは、可哀想ですな。

「エクレールさんはどうするの?」
「私か? 一応、昨日言った通りイワタニ殿の護衛をしようと思っている」
「それで良いだろ」

 錬と樹がジャンケンでどっちがサクラちゃんに乗るか決めていますな。
 しかし……何度かあいこをしています。

「樹、チョキをコロコロと変えるのをやめろ!」

 ピースだったり田舎チョキだったりしますぞ。
 銃の形にする奴ですな。

「そういう錬さんはグーからパー、チョキに変えるフェイントをしないでください!」
「ここまで熾烈なジャンケンは初めてみたよ」

 しかも結構セコイですぞ。
 お義父さんが呆れ気味に二人のやり取りを見ていました。
 最終的には三本勝負や後出し談義になりそうになっております。
 しょうがないので、お義父さんが草を使ってくじにして決めさせました。
 勝者は樹ですぞ。

「じゃあ俺達はコウに乗せてもらうかな」
「二人だから荷車に乗ろう」
「振り落とされない様に注意して行かないとね」

 お義父さんとエクレアがコウに荷車を引かせて乗り込みましたぞ。

「く……あの時、右を取っていれば……」

 錬は少々悔しげにユキちゃんの背に乗っております。
 そこまでレディの背中に乗るのが嫌なのですかな?
 ユキちゃんは澄ました顔をしていますな。

「さあサクラさん、昨日尚文さんを乗せた時のように走るのですよ」

 樹の方は少々楽しげですな。
 サクラちゃんも様になってカッコいいですぞ。

「元康くんは?」
「俺は今日、フィロリアル様達の服を作る為の準備と良い馬車を探しておきますぞ」

 自作しますかな?
 今回は購入するのも手ですぞ。

「そういえばこの子達は人化するんだっけ?」
「天使になるのですぞ」
「その表現だと死にそうだな」
「これだけバキバキ音を立てて平然としていますからね」

 前にも似たような話をしましたな。

「違いますぞ。この調子だとそろそろなので、今夜を楽しみにしていると良いですぞ」
「わかったよ。じゃあ出発しようか」

 お義父さんが錬と樹に尋ねますぞ。
 すると錬と樹は頷きましたな。

「では出発ー!」

 お義父さんの号令と共にフィロリアル様達は出発いたしました。

「うお!」
「わ――」
「うわ! 揺れる揺れる!」
「ゴー!」

 俺はその姿を見送りましたぞ。
 今日はお義父さん達がどれくらい強くなって帰ってくるのか楽しみですな。
 なんて思いながら俺はシルトヴェルトの城下町へと足を向けたのでしたぞ。
 この辺りは前回と大きな違いは有りませんな。

 記憶を頼りに機材を購入して泊っている宿の部屋に預けておきますぞ。
 ついでにもう一部屋借りうけますかな?
 なんてことをしながら城下町にある馬車を販売している所へ顔を出しました。
 前回は行きませんでしたが、馬車を売っている工房ですな。

「ほう……」

 シルトヴェルトの馬車はやはりメルロマルクとは少々意匠が異なる事に気付きましたぞ。
 細かな装飾な物や武骨な物と極端ですな。
 おや? 魔物の骨で組み上げられた変わり物もありますぞ。

 ユキちゃん達はどういうデザインが好みでしょうな。
 やはり今までのような普通の幌馬車が良いですかな?
 婚約者が良く使っている貴族用の乗るだけの馬車は、移動には良いですが旅には問題がありますな。

 やはり使いやすい木製ので良いですかな?
 修理すれば長く持ちますぞ。
 ……そういえばフィーロたんが愛用していたのは金属製でしたな。

 エアウェイク加工を施された高級品、お義父さんがフィーロたんの為にあしらえた一点物ですぞ。
 やはりフィーロたんはあの馬車を喜んでいたのでしょうか?
 あの馬車に匹敵する逸品を作り出すのも俺の目的にしますかな?

 金銭に関しては強くなったお義父さんに売りさばいてもらうのが一番ですな。
 今は繋ぎの馬車で我慢しておきましょう。
 なんだかんだでフォーブレイまで使うだけですからな。
 あちらで運が良ければ発注できるでしょう。

「この馬車を売って欲しいですぞ」
「あ?」

 シルトヴェルトの店員は愛想が悪いですな。
 やはり差別意識が根付いているのでしょう。
 何処かで亜人を仲間に引き入れた方が、この国では行動しやすくなりますかな?
 うーん、メルロマルクの方でキールを仕入れますかな?
 しかし行商はしません。

 お義父さんに色々と相談する事が増えますな。
 盾の勇者であるお義父さんが名乗りを上げれば、態度も良くなるとは思いますがー……。
 あ、そう言えば前にお義父さんが言っていた様な覚えがありますぞ。

 ユキちゃん達に亜人のフリをさせれば、交渉をやりやすくなると。
 確かに天使であるフィロリアル様達は差別対象になりません。
 そうですな。ユキちゃん達を連れてくれば良いのですな。
 さすがフィロリアル様、居るだけで俺達に幸運をもたらしてくれます。

「金ならありますぞ」

 ドラゴンから押収した金貨を俺は馬車工房の店員に見せつけますぞ。
 これで着服しようものならパラライズランスの刑に処しますぞ。
 じろじろと店員は俺を見た後、金貨を受け取りました。

「……わかった。持って行きな」
「お釣りですぞ」

 俺が手を差し出すと知らんとばかりに胸ポケットに入れようとしたので、素早く喉元に槍を突きつけてやりました。

「あんまりふざけた事をすると仕留めますぞ」
「な、何を……」
「ちなみにこの国の連中程度造作も無く殺せるので衛兵を呼んでも無駄ですぞ」

 差別意識がありますからな。
 問答無用で兵士が襲ってくるかもしれません。
 俺の殺気を理解したのか店員は真っ青になって、金貨を返しましたぞ。

「俺は売れと言ったのですぞ。寄越せとは言ってないですぞ」

 更に槍をすこーし近づけます。
 穂先が刺さりましたな。

「ヒィ!」

 俺の脅迫が効いたのか店員は脅えながらもちゃんとお釣りを寄越しました。

「では頂いて行きますぞ」

 俺は馬車を引いて行きました。

「な、なんなんだアレ……」

 店員がそんな声を出していましたな。
 俺は槍の勇者ですぞ。事情があって名乗れませんがな。


 後は……情報収集にシルトヴェルトの冒険者ギルドに行きますかな?
 俺が冒険者ギルドの方へと行くと、シルトヴェルトの亜人共が色々と囁き合っているようですな。
 盾の勇者がメルロマルクで召喚された、などの噂でひっきりなしの様ですぞ。

 シルトヴェルトの文字を俺は読めないので困りますな。
 ギルドでどんな依頼があるのかわかりません。

 おや? メルロマルクでも使われている文字で書かれた記事が張りだされていますな。
 勇者が召喚後に行方不明と見出しが出ていますぞ。
 経緯は……メルロマルクの陰謀に気付いた勇者達は国から突如として姿を消したと言う事みたいですな。

 それ以外の、クズや赤豚を抹殺した等のニュースは無い様ですぞ。

「おかしいですな」

 クズに報いを受けさせたのですから、ニュースになるのではないのですかな?
 ああ、クズは仕留めてもニュースにならないと!
 これは大発見ですぞ!

 あ、三勇教には神罰が下ったという見出しで、教会が勇者によって焼き払われたのは書かれているようですな。
 教皇は仕留められたのですかな?
 手応えは無いので、後で行った時にでも探してみましょう。
 まずはお義父さん達を襲撃者から身を守れるまで育てるのが優先ですからな。
 しばらくはシルトヴェルトに滞在しますぞ。

 そう思いながらギルドから出て馬車を引っ張って行きます。
 そんな矢先での事。
 路地裏に入ると、何人ものガラの悪そうな亜人と獣人が前と後ろに集まってきました。

「昨日は一本取られたが、仲間を連れてきたぜ。おら! 金目の物を寄越せ!」
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