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盾の勇者の成り上がり 作者:アネコユサギ

外伝 槍の勇者のやり直し

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霊亀の炎

「いきなりとんでもない相手と戦う事になったねぇ……倒したら相応の報酬は出そうだねぇ……」

 パンダ獣人も達観したように喋っていますな。
 若干腰が引けてますぞ。

「どんな相手だろうとサクラ、がんばる。メルちゃんも守る」
「サクラちゃん……そうね! 行きましょう。被害を少しでも減らす為に」
「ルナは? キールくん守れる?」
「人手は十分にいますからな、ルナちゃんはキールと一緒に居ると良いですぞ」
「わーい」

 ルナちゃんがキールを抱きしめますぞ。

「うわ! やめろ!」
「キールくん怖いの? 大丈夫、ルナが代わりに戦うよ」
「だ、大丈夫だ! 俺だって兄ちゃんの仲間なんだぞ!」

 ライバルが助手を乗せて急降下してお義父さんの隣に着地しますぞ。

「ガエリオンもがんばるの!」
「私も……」

 ライバルと助手もやる気を見せていますぞ。
 これは負けていられませんな。
 俺は槍を強く握りながら言います。

「では行きますぞ!」
「うん! まずは足止めに俺と元康くんが頭を潰すから、その間にメルティちゃんやキールくん、ウィンディアちゃんは背中の山にある洞窟を目指して、洞窟に入ったら合図をしてくれれば俺が後に続くから」
「「「はい(なの)!」」」
「ユキちゃんとフィロリアル様達は後方で合唱魔法の詠唱をお願いしますぞ。おそらく霊亀の頭から強力なブレスがあると思うので十分に注意をしてほしいですぞ」
「わかりましたわ! さあみんな、戦いの幕開けですわよ」
「「「はーい!」」」
「よし! じゃあ作戦開始!」

 お義父さんの声と共に俺達は急いで霊亀に向かって駆けたのですぞ。

「ブリューナクⅩ!」

 遭遇と同時に俺は本気のブリューナクを霊亀に向かって放ちましたぞ。
 これで霊亀の頭と一緒に心臓も貫ければ良いと思って放ったのですが、霊亀の甲羅の部分が何やら不自然なほど硬くて突破出来ません。

「おお……頭が消し飛んだ」

 お義父さんがその光景を見て唖然としております。
 霊亀は一度、ドスンと音を立てて倒れそうになりましたが、即座に頭を再生させて俺達の方に電撃のブレスを放ってきましたな。
 そこにお義父さんが前に立って盾を構えます。
 お義父さんの強靭な防御力の前にブレスはなすすべもなく、無効化されましたな。

「う……SPが吸われた……吸収減算の付与はしておいたんだけどな」

 お義父さんの盾が煙を吐いていますぞ。
 耐えきれない訳ではありませんが、お義父さんは若干苦しげですな。
 霊亀の頭は再度ブレスを放ちますぞ。
 これもお義父さんが耐えますが、放つ時に俺達の後方に流れ弾が飛んで行ってしまいました。
 後方にあった町に被害があったように見えますぞ。

「く……って、これって俺が耐え続けて元康くんが攻撃する限り、永続的にブレスを放ち続けるんじゃ……」
「ですな。ですが、放置することなど出来ません」
「……確かに」

 後方からユキちゃん達の合唱魔法が霊亀に襲いかかりますぞ。
 確か『竜巻』でしたかな?
 十分に強化したユキちゃん達の魔法によって霊亀の頭、手足がズタズタに切り裂かれて行きますな。

 すると霊亀は、目標をユキちゃん達に定めます。
 フィロリアル様達の俊足で急いで散開し、ブレスを避け、その間に俺が攻撃して事無きを得ます。
 戦える状況ではありますが、キール達がささっと霊亀の体内に侵入するのを待つと言う時間が必要な状況ですぞ。

「ん?」

 霊亀のブレスが……変わりましたぞ。
 放射状の炎を吐いております。
 こんな攻撃をしましたかな?
 若干、炎を纏っているように見えますぞ?

「うわ!」

 お義父さんが耐えますが、お義父さんを中心にして何やら炎が纏わりついています。
 瞬く間に火は強くなり、お義父さんの全身に広がりました。

「あつっ! 熱い!」

 転げまわるお義父さんに俺は魔法で炎を散らすファイア・イレイズを唱えますぞ。

「さっきの攻撃、状態異常だ。完全に無効化させているから状態異常で俺の体力を削ろうとしてる!」
「面倒ですな……ブレスを吐く前に頭を潰しますぞ」

 と、俺がブリューナクやグングニル等の攻撃スキルと通常攻撃をクールタイムを交えて霊亀に反撃を許さない様に畳みかけました。
 ですが、今度は甲羅から頭が再生する直前にブレスを放ってくるようになりましたぞ。

 アレですな。ブレスは喉を通過して吐くのですから、ありえない事では無かったのですな。
 本体を潰すのは体内を破壊しないと行けない訳ですぞ。
 そんな攻防をしばらくしていると、霊亀の背中の山で炎が撃ちあがりましたぞ。
 どうやらライバルが打ち合わせ通りに合図をした様ですな。

「この状態で、俺が行ったら危ないんじゃ……」
「大丈夫ですぞ。この元康、お義父さん程では無いですが耐えることが出来ますぞ」

 タクトの必殺攻撃ですら弾ける俺なら霊亀のブレス程度、問題なく対処可能ですな。

「そう? じゃあ元康くん、任せるよ?」
「わかりましたぞ」

 そう言って、お義父さんはフィロリアル様の背に乗り、霊亀の背中に飛び乗って行きましたぞ。
 その後、俺は霊亀のブレス攻撃を弾いて、霊亀の頭を潰し続ける作業を継続いたしました。
 霊亀の体内がどれくらい長いのかわかりませんがお義父さん達がやり遂げるまでの辛抱ですぞ。

「大風車Ⅹ!」

 と、戦いは続き、やがて霊亀がピタリと動きを止める時が出てきました。
 おそらくお義父さんがやり遂げたのでしょう。
 すかさず俺は霊亀の頭を消し飛ばしてやりました。
 ドスンと霊亀は崩れ落ち、体を地に付けましたぞ。

「やりましたな!」

 体内で戦ったお義父さんに俺はエールを送りました。
 これで、驚異の一つは退かれましたぞ。
 ですが……視界の砂時計に変化がありませんな?

 ん?
 砂時計のアイコンに微妙な変化があるのは……気のせいですかな?
 7の数字の刻まれた砂時計に8の数字が刻まれた砂時計から何かが供給されているかのように表示されていますぞ。
 気のせいですかな?

「やりましたわ! 元康様!」

 ユキちゃんコウとフィロリアル様達を連れて俺の元へ駆けよって勝利の祝賀を送りますぞ。

「さすが元康様とナオフミ様ですわ! 次は鳳凰ですわね」
「そうなのですぞ。と、言いたいのですが、少し雲行きが怪しいですぞ」

 何でしょう。嫌な予感がヒシヒシと伝わってきますな。
 その嫌な予感が一○分後に現実の物となったのですぞ。
 突如霊亀が頭を生やして息を吹き返したのですぞ。

「そんな馬鹿な!」

 最初の世界では心臓と頭を同時に破壊すれば霊亀は倒せるとの話でしたぞ。
 ですが、迷っている暇はありませんな。
 俺は戦闘を再開して霊亀の頭を潰して時間を稼ぎます。
 お義父さんもその辺りを察したのか、時折動きが止まりました。

 その時に、頭を潰せば確かに動きは止まります。
 ですが、一○分後にはまたも活動を再開してしまうのですぞ。
 こんなやり取りを四回ほど続けた所で、お義父さん達が霊亀の背中からサクラちゃんを連れて降りてきました。

「ダメだ。元康くん、話通りに心臓と頭を潰しても、しばらくすると息を吹き返しちゃう」
「何か知識と齟齬があったのですかな?」
「そう思って、霊亀の背中にある国にある所で少し調べて見たんだけど、目ぼしい物は無かったよ。ただ、倒した直後の砂時計の動き、元康くんも見てた?」
「そうですな。8の砂時計が7の砂時計に何かを送っているように見えましたぞ」
「うん。ここから考えるに……もしかしたら封印が解かれた四霊はリンクしているんじゃないかと思うんだ」

 俺の額に嫌な汗が流れるのを感じますぞ。
 正直に言えばこの上なく面倒な事を、お義父さんは説明しようとしています。
 そしてゲーマーとしての勘が、お義父さんの言おうとしている事が正しいのではないかと、教えてくれますぞ。

「と言うと?」
「うん。多分……霊亀と鳳凰の同時撃破も組み込まれている」
「なんと……」

 だから砂時計が繋がって見えるのですな。
 納得すると同時に浮かび上がる問題。
 俺は目の前が暗くなっていく様な気分になって行きました。

 ……そういえば霊亀が炎を使ってきましたな。
 霊亀が使うブレスは雷だったと思いますが……。
 更に言えば鳳凰は火を使ってきますぞ。
 あの時点でおかしいと気付くべきでした。
 これはお義父さんの推測が当たりの可能性が高いですぞ。

「多分、撃破猶予時間は一○分だね。その間に鳳凰にトドメを刺さないといけないんだと思う」
「かなり難しい問題ですな」
「そう……だね。だけどやらなきゃいけないんだ。だから、ここは一時撤退して作戦を練り直そう」
「わかりました」

 俺は霊亀の攻撃を弾き、時間を稼ぎました。
 そしてお義父さんの指揮の元、俺達は止むを得ず……霊亀から撤退を余儀なくされてしまったのですぞ。
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