挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
盾の勇者の成り上がり 作者:アネコユサギ

外伝 槍の勇者のやり直し

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

534/853

国境戦

 監獄を出て俺はユキちゃんのいるフィロリアル舎に行きます。
 その頃には門の方が相当騒がしくなっており、突破は時間の問題の様に聞こえますぞ。

「用事は終わりましたぞ」
「ではこれからどうするのですか元康様?」
「コウと合流後にお義父さんの援軍に向かいますぞ」

 俺がこうして三勇教と戦っている頃には既にお義父さんはシルトヴェルト軍と遭遇しているはずなのですぞ。
 上手く説得出来れば良いけど……とお義父さんが呟いていたのが思い出されます。
 国や宗教にとって都合の悪い事を言う神様はどう扱われますかな?
 前回の時は波が目的でしかないと事前に言っておりましたし、国民の扇動などは全くしておりません。

 ですが今回はシルトヴェルトにとって又とない好機なのですぞ。
 こんな時に妨害するようにお義父さんが目の前に立ちはだかった時、権力者はどのような思考に入りますかな?

 問題はメルロマルクの国境から先の何処でお義父さんが戦おうとしているかが大雑把過ぎて特定できない所ですな。
 フィロリアル農家の近くに飛んで急行するか行商中に取った地点から行くか悩ましい所ですぞ。
 時間がありませんぞ。
 さすがにお義父さんが死ぬとは思えませんが、それでも逸早く向かうべきですな。

 ん?
 何やら門の方での騒ぎが静かになりつつあるような気がしますが、気にしている暇はありませんな。

「ではユキちゃん、コウと合流後にお義父さんの所へ馳せ参じますぞ」
「わかりましたわ」

 ユキちゃんの背に乗って城の塀を飛び越えてコウと合流し、フィロリアル農家の近くに飛んでからメルロマルクの国境へと向かいました。


 フィロリアル農家に立ち寄っても良かったのですが、今は時間がありませんからな。
 急いでお義父さんが戦っているはずのシルトヴェルト軍を奇襲するためにユキちゃんとコウを走らせていますぞ。
 やがてメルロマルクの国境に近づいてきた頃、シルトヴェルト軍らしき集団が……戦闘放棄して野営をしておりました。

「これはどうなっているのでしょう?」
「わかりませんな」

 見た感じだと戦闘をする気配はなく、俺の顔を見るなり両手を上げて投降の構えをとっております。
 軍の先頭の方は何をしているのですかな?

「既に戦争は終わったのですかな?」
「さあ……」

 ユキちゃんが首を傾げますぞ。

「戦争はどうなったのですかな?」
「槍の勇者様、我が軍の先頭で盾の神様がお待ちです。事情はそちらでお聞きください……との事です」

 と、何やら兵士っぽい亜人が俺にそう告げますぞ。
 どうなっているのですかな?
 強い信仰心からお義父さんの話を素直に聞いたのでしょうか?

 俺は亜人の兵士の言うまま先頭の方へとユキちゃん達を走らせますぞ。
 徐々に戦闘の激しさを物語る様に辺りが物騒になってきますぞ。

 焦げたり、ひっくり返ったかのように裏返ったり、果ては水没したりとそこら中、様々な魔法の痕跡が確認できますぞ。
 隕石魔法の形跡もありますな。炎の跡もあって、まさに戦闘があったのは一目瞭然ですぞ。

 こんな状況……俺だったら範囲魔法とスキルでシルトヴェルト軍を一掃するのを目標に致しますが……。

「あ、元康くーん!」

 シルトヴェルト軍の先、メルロマルク軍らしき集団の先頭がぶつかり合っていた様な場所でお義父さんがキールとルナちゃん。そして怠け豚を連れて手を振っていますぞ。
 おや?
 その近くにはパンダ獣人がいるように見えますし、更にお義父さんの隣には女王がいる様ですぞ。

「これはどうなったのですかな?」

 お義父さんに近づいてユキちゃんから降りて尋ねますぞ。

「まあ……結果的に言えば戦争の方は抑え込む事が出来たのかなー……?」
「そうなのですかな?」
「色々と大変だったんだけどね」

 むう……俺の出番が無かったのがちょっと残念でしたぞ。
 ですがどうしたらこのような結果になるのでしょうか?

「どのような経緯があって今の状況になったのですかな?」
「それは――」
「それを話す前に、移動を開始しましょう」

 女王が俺とお義父さんの間に入って言いましたぞ。

「元康くん、移動するってさ」
「わかってますぞ」
「あれ? 女王の言葉がわかるの?」
「はいですぞ」

 婚約者の親ですからな。
 俺も成長してわかる様になったのですぞ。
 尚、ループ前はお義父さんが気を利かせてくれたので、わかっている相手でも黙っていたのですぞ。

「……何処へ行くのですかな?」
「メルロマルクの城だってさ、もうあっちの騒ぎも収束へ向かったらしいんだ」

 お義父さんから戦争の聞く事を優先したいのですが、お義父さんも女王の話を優先したいご様子。

「まあ、移動しながら話をして行けば良いんじゃないかな?」
「女王を城に帰還させるのですかな? ではポータルで一発ですな」
「んー……それでも良いけど、城の方の準備が出来てないんじゃないかな、メルティちゃんも心の準備とか出来てないだろうしね」

 おや? 婚約者が何故ここで出てくるのですかな?
 サクラちゃんとアジトで樹の監視をしているはずですぞ。

「まあ、俺もまだ聞いたばかりなんだけどさ、色々と順を追って説明するからついて来て」
「わかりましたぞ」

 お義父さんに連れられて俺達はメルロマルクの城目指して移動を開始しましたぞ。
 おや? メルロマルクの国境にあった砦に争いの形跡がありますな。

 そもそも女王が連れているのはメルロマルクの兵ですかな?
 何か違う様な気がしますが……まあ、メルロマルク軍以外の兵士も混じっているのでしょうな。
 何があったのか、道中でお義父さんが経緯を説明してくださいました。


 俺とは別行動になったお義父さんはシルトヴェルト軍を説得するためにメルロマルクの国境の砦の方へ向かいましたぞ。
 ポータルは無いですからな。
 シルトヴェルト側から行っては間に合いませんぞ。

「盾の悪魔が出てきたぞー! 殺せー!」

 そこでメルロマルク軍の三勇教派の兵士は愚かにもお義父さんを見つけ、喜び勇んで出撃して迎え撃ったそうですぞ。

「敵が目の前に迫っているのに後方に出てどうするの! 邪魔だよ!」
「イワ、ルナが蹴散らす?」
「俺もやるぜ兄ちゃん!」

 ルナちゃんに乗って走って行く状況でキールとルナちゃんが尋ねたそうですぞ。

「相手している暇は無いよ。俺が流星盾を唱えるからルナちゃんは正面突破するつもりで、砦を突っ切って」
「わかった」
「え? 兄ちゃんここで戦わねえのか?」
「戦っていたら時間が掛りすぎるでしょ。見た感じだと……戦争に備えてメルロマルク軍の半分がここにいるみたいだしね。残りは……革命軍の討伐に当たっているのかな?」
「槍の兄ちゃんの方だな」
「まあ、元康くんの方は心配だけど、きっと成功させると信じなきゃね。早く……元康くんが来るまで、せめて時間を稼がないと」

 教皇が何処にいるのかこの時、お義父さんはわかっていませんからな。
 俺の方も教皇がいたら良いな程度だったので、かなりバクチ要素がありました。

「流星盾Ⅹ!」

 お義父さんが流星盾を唱えて結界を作り、ルナちゃんがそのまま走って国境の砦を正面から突入しました。

「うわ!」
「ば、馬鹿な! 盾の悪魔に傷一つ付けられないだと!」
「邪魔ー!」

 ルナちゃんの蹴りで接近戦を挑んで来た連中は尽く返り討ちに遭いましたぞ。
 そのまま、お義父さん達は国境を突破し、走り去りました。

 国境で警備をしていた兵士たちはそのままお義父さん達を追撃しようと動き始めました、お義父さんはと言うと目前にまで迫っていたシルトヴェルト軍の方へ。
 さすがの三勇教派メルロマルク軍もお義父さんを行かせまいと必死に儀式魔法を唱えようとしたのですが、ルナちゃんの足の前では無力。あっという間に射程外に逃げ切りました。

 お義父さんはシルトヴェルト軍を遮る様に立ちました。

「おお! これはこれは盾の勇者様、我等が軍を導くため、弱体化させた憎きメルロマルク……英知の賢王の魔の手から戻って下さったのですね」

 先頭に居た代表のシュサク種が一歩前に出てお義父さんに言い放ちました。
 同様にシルトヴェルト軍は喝采するように声を張り上げておりますぞ。

「悪いけどそう言うつもりで俺はここに来たんじゃない」

 お義父さんはキッと睨みつけて言いましたぞ。

「そんな……何かあるのですか?」

 裏切られたかのような表情で代表は答えました。

「誰が……メルロマルクに進軍しろと言った? 俺と話をした使者は神罰をメルロマルクに与えるためと認識していたはずだけど?」
「それは……ですが、英知の賢王の影響が弱まり、メルロマルクが盾の勇者様を求めるこの時に馳せ参じてメルロマルクを占領しなくて何が聖戦なのですか!」
「勝手に聖戦にするんじゃない!」

 お義父さんが代表を指差して言い切ります。

「この世界は波の脅威にさらされていて、俺は……四聖はその為に召喚された。俺がやろうとしていたのは……メルロマルクの膿を出す事だ。革命はその結果であって、シルトヴェルトが占領するための手はずじゃない!」
「結果は同じではありませんか」
「どこが!? 俺が目指したのはメルロマルクの国民が、盾の勇者を……亜人を迫害しようとする意思を捨てさせるためのもの。戦争を回避して初めて出来る和平の道なんだよ」

 お義父さんの返答が気に入らなかったのかシルトヴェルトの代表は元より、兵士達にざわめきが起こったそうですぞ。

「それじゃあ君達のしている事は三勇教と変わらない。君達がメルロマルクを占領した後、何をするか……わかる? 亜人が優遇され、人間が奴隷となる。俺が知らないとでも思ったら大間違いだ」

 お義父さんは何度もシルトヴェルトでLv上げをしていましたからな。
 亜人と人間、両方の関係に思う所はあったのでしょう。
少し修正しました。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ