挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
盾の勇者の成り上がり 作者:アネコユサギ

外伝 槍の勇者のやり直し

518/835

欠片の在り処

「ならんぞ! そんな事をしたら元も子もないではないか!」

 助手を起こす為に部屋を出ようとしたら、ライバルに叫ばれました。

「元康くん、相手が嫌がっているんだからやらないでね」
「ですがお義父さん、コヤツが生きていると知れば助手は喜びますぞ」
「まあ、そうなんだよね。ねぇ、考えを改める気はない?」
「無い!」
「そっか……じゃあ元康くん、一応彼はウィンディアちゃんのお父さんでもあるんだから、教育方針は尊重した方が良いんじゃないかな?」

 諭す様にお義父さんが言いました。
 言いたい事はありますが、お義父さんの言葉ならばしょうがありませんな。

「わかりましたぞ」
「まあ、この問題は保留するとして、強くなる為の協力? ガエリオンちゃんのLvはある程度上げているけど?」
「それだけでは足らん。汝らは他国で竜帝を何匹か仕留めていたはず。その時に手に入れた核石を我に譲って欲しいのだ」
「別に良いけど……何があるの?」
「まずはドラゴンがどのような存在であるのかを話す必要があるな」

 そうしてライバルはペラペラとドラゴンの生態を話し始めましたぞ。
 ドラゴンの竜帝と言う種類は、最初は一匹で、竜の核石によって記憶を継承するそうですぞ。
 そして、過去の戦いによって竜帝の核石は散り散りになり、一つに戻ろうとするのだそうですぞ。

「我は真なる竜帝として欠片を集めて強くなりたいのだ」
「まあ……協力してくれる限りは手伝うけど、何かほかにメリットはあるの?」
「ふむ、未来から来た槍の勇者が言っていた限界突破のクラスアップの方法も、おそらくは散った核石の中にあるはずなのだ」
「なるほど……元康くんが言っていたのはこの事だったのか」
「ですぞ」
「うーん……この先を生き残るには必要な事なんだろうね。未来への投資として断る義理はないか……」

 悔しいですが、その通りですな。
 Lvの上限を突破出来れば、フィロリアル様達やキールなども十分な戦力に育つはずです。

「他に竜の加護を与えしクラスアップも可能だ」
「ああ、ドラゴンにもあるんだ」

 既にフィロリアル様の女王であらせられる、大きなフィロリアル様によるクラスアップの話はしてあります。
 しかし、ドラゴンのクラスアップですか。
 反吐が出ますな。

「我の方も汝らとは良い関係を築けると思っておる」

 断れない理由を提示するとはなんとも卑劣な奴ですな。
 ですが、俺やお義父さんだけでは仲間のLv上げにも限界がありますからなぁ。
 もちろん、資質向上で誤魔化す事は出来るのですが、100以降でないと出来ない向上もあるので悩ましいですぞ。
 この先の事を考えるなら……ですな。

「とは言っても全員既にクラスアップしてるんだよね。だけど、Lvリセットもあるらしいから、タイミングを見計らってやってもいいかもね」
「うむ、時期は汝に任せる」
「で? 元康くんは限界突破の竜核が何処にあるのか知らない?」
「知っていますぞ」
「まあ記憶もかなり曖昧なんだから……って知ってるんだ?」

 どうやら俺の記憶が曖昧なのを前提にお義父さんは話をするつもりだった様ですぞ。

「じゃあ何処にあるの?」
「現在、フォーブレイの七星勇者として有名なタクトが育てた竜帝が所持していますぞ」
「既に他人のか……確か元康くんの話だと未来で相当暴れ出すんだよね?」
「そうですぞ。お義父さんとフィロリアル様達から聞いた話では、そのドラゴンはタクトのドラゴンを倒したお陰で殆どの核石を集めて強力な竜帝になったそうですぞ」
「ぬ……つまり既に集めきっているような状況という事か?」

 ライバルの顔色が悪くなっていますな。
 さすがは最弱の竜帝、逃げ腰とは笑ってしまいますぞ。

「まあ……話し合いが出来そうにないのはわかってるけど、それでも協力できないか打診はした方が良い……かな? それでダメだったら戦おう」
「それが良いですぞ。なあに、俺がいれば一撃ですぞ。前回の周回でも一撃でしたからな」
「既に集めきった竜帝との戦いが待ち受けているのか……良く未来の我は勝利する事が出来たモノだ」
「錬と一緒に戦って倒したとの話でしたぞ」
「剣の勇者と? 因果なものだな」

 ライバルは運命と呟いて感慨に耽る様に俯いていますぞ。
 自分に酔うな! ですな。

「ああ、そういや次は錬と会うんだっけ」
「我は話さんぞ。あのような……作業的に魔物を殺すような者とは仲良くする気は無い。よく未来の我は背に乗る事を許したものだ」
「無理に話をしろなんて言わないよ。未来の話じゃ錬は色々と挫折を経験して成長するらしいけど、今回はその経験をさせる訳にはいかないしね。どうにか説得するしかないか」
「難題ですな」

 考えてみれば錬と樹とは上手く関係を構築するのはまだまだ先ですぞ。
 そのカギとなるのが霊亀の事件でしたが、俺からしてもあの大災害に発展する問題は避けたいですぞ。

 何だかんだで甚大な被害者を出してしまいましたし、その後も四聖勇者にはバッシングがありましたぞ。
 お義父さんが地道な活動で信頼を得ていなかったらどうなっていたか想像もできませんな。
 とにかく、錬や樹と仮に上手く関係が構築出来てもここが拗れると非常に厄介な問題が浮上するのですぞ。

 結果的に錬や樹が人間的に成長するにしても、他に手立てが無いか考えた方が良いですな。
 お義父さんの言うとおり、錬や樹をどう説得しるのかが課題ですな。
 勇者同士の関係にヒビを入れる赤豚とクズの存在が腹立たしいですぞ。
 早く奴等を始末しないといけませんな。

「錬は実力の差を見せつけてもシステム違いとか言ってたからね。強さを見せても聞かない可能性が高いよ」
「そうですな」

 カルミラ島の段階でお義父さんが影を使って俺達に言った強化方法の共有を、俺は元より錬も樹も信じませんでしたからな。
 おそらく目の前で実践しても変わらないでしょう。
 今回の錬もお義父さんから強化方法を聞いて武器のシステム違いと勝手に勘違いをして信じておりませんでした。
 何処かで認識を改める必要がありますが、どうしたらいいのか見当も付きませんな。

「かといって、厳しくなるらしい波での戦いを考えると……まあ、今回の騒ぎが終わったらで良いから考えて行こう」
「第二の波が終わった後にお義父さん達は指名手配されますからな、その事件後にはカルミラ島へ行く事になりますぞ。そこで……信じて貰うしかないですな」
「俺達や仲間の口から聞けば少しは信じてくれるかもしれない。その案が妥当だね」

 前回のお義父さんの言いつけ通り、未来の知識を有効活用しますぞ。
 今の所は大きな問題も無く進行しております。
 確かにお義父さんの言うとおり未来の知識に沿った形で動けば、対処するのは簡単になっていますぞ。

「まあ、錬との話は程々にして、元康くんはそろそろ新しいフィロリアルが欲しいとか言い出すんじゃない?」
「そうですな! さすがお義父さん、よくおわかりですな」
「……付き合いも長くなってきたからね」

 フィロリアル様は多ければ多いほど良いですぞ。
 それこそ抱えきれない程の卵を手に入れたいものですな。

「それじゃあ、ある程度順調だし、お金も余裕が出てきたから城下町の方へ行って奴隷商の所で取り置きしてもらっているのを買いに行こうか」
「楽しみですぞ」
「む……ただでさえ多いのにまだフィロリアルが増えるのか? 我は異議を唱えるぞ。騒がしくてかなわん」
「なんですかな? 文句あるなら消しますぞ?」
「フィロリアルの関係者は何でも力で解決しようとするのだな。まるで品が無い」
「ナオフミー仲間が増えるの?」

 サクラちゃんが首を傾げておりますな。
 俺はライバルとバチバチと睨みあっていますぞ。

「波は近いけど、最悪留守番してもらうとか手が無い訳じゃないしね。シルトヴェルトの方で休んでいてもらうとか色々とやる事はあるから、人じゃないけど人手は多くても良いんだ」
「いっぱいいると楽しいね」
「そうだね。段々にぎやかになってくるとネトゲをしていた頃の事を思い出すよ。みんなで協力して巨悪を倒して行く感じが良い感じだね」

 と、お義父さんは楽しげに微笑んでおりましたぞ。
 その直後に錬達がゲームと勘違いしている気持ちはわからなくもないとも呟きましたが。


 疫病の蔓延を鎮めた事で東の村の人達も回復へと向かっているようですな。
 お義父さんもやる事を終えたとばかりに出発を宣言しましたぞ。

「あの……聖人様」
「前にも言ったけど報酬は自分達の村の再興に使って欲しい。二度と……自分達の犯した過ちを誰かの所為にしない様に」

 と、告げた後、お義父さんは振り返って更に言いましたぞ。

「ああ、だけど治療師の人には相応の報酬を支払うんだよ。彼がいなければ俺達が来るまえにこの村は疫病で滅んでいたかもしれないんだから」
「は、はい!」
「それじゃあ、また機会があったら来るよ」

 お義父さんの合図で馬車を引くサクラちゃんが歩きだしましたぞ。

「ありがとうございました!」

 村の連中が総出で手を振っておりますな。

「じゃあなー」

 キールが愛想よく手を振っておりましたぞ。
盾一行の善行値:35(12)
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ