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盾の勇者の成り上がり 作者:アネコユサギ

外伝 槍の勇者のやり直し

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尻尾

「あまり良い鉱石がある鉱山ではありませんでしたな」

 鉱山に紹介状を片手に行くと、鉱山夫が洞窟を案内してくださいました。
 俺はそこで槍をピッケルに変えて、思い切り壁に向かって降りかかりましたぞ。
 あまりにも容易く壁が崩れて驚きましたな。

 ガツンガツンと、少々掘り過ぎたくらいで、鉱山夫達が一生懸命、土を掃き出しておりました。
 その成果もあって、この鉱山の中では割とマシな鉱石を多数手に入れる事が出来ましたぞ。
 ユキちゃんとコウに頼んで馬車に積載しましたがー……乗せすぎましたかな?
 二台目の馬車が若干歪んでミシミシと行っております。

「では研磨とか色々とやって行きますぞ」

 お義父さんが購入してくれた機材を片手に俺は宝石などを加工する作業を始めましたぞ。
 武器の技能のお陰で何でも人並み以上の結果は出す事が出来ますから、余程の事が無い限りは問題はありませんな。

 ドリルのような機材で宝石を削る作業はなんともこまごまとしております。
 単純に作るのは面白くないのでフィロリアル様たちに似合いそうなデザインを意識して色々と作って行きますぞ。

 練習第一ですな。
 未来のお義父さんはこの様な、細かい作業を好んでやっていたのは称賛に値しますぞ。

「キラキラして綺麗ですわ!」
「キレー」

 ユキちゃんとコウが目をキラキラさせております。
 フィロリアル様は光モノが大好きです。
 考えてみればフィロリアル様達への感謝を示すにはこういう綺麗な物を集めるのは良い事ですな。
 フィーロたんも宝物と称して色々と婚約者に自慢していたのを覚えておりますぞ。

「ねえねえ、キタムラーこれコウもらって良い?」

 作ったアクセサリーをコウが欲しがりましたぞ。

「お義父さんが良いって言ったら良いですぞ」
「あーずるいですわ。ユキも欲しいですわ」
「喧嘩はダメですぞ。お義父さんに聞いてみればきっと譲ってくれるでしょう」
「お願いして見ますわ!」

 中々アクセサリー作りは楽しくなってきました。
 よくよく考えてみればフィーロたんへのプレゼントにピッタリですぞ。
 フィーロたんもアクセサリーを嫌ったりはしないでしょう。

 俺の過去の記憶から豚共も光物が大好きでしたがー……むしろ金銭としての意味で好きだったのでしょうな。
 フィロリアル様達は単純にキラキラしているのが好きなだけです。
 言うなればクズ鉱石でもキラキラしてたら大事にしますぞ。フィーロたんもそのような感じだったと思います。

 そこが、愛らしいのですぞ。
 などと思いながら、怠け豚が行商で物品を売っている合間に、アクセサリー作りをし続けました。


 それから助手を仲間にして一週間くらい経過しましたぞ。
 次は国の西の方を回っております。メルロマルクは元より、隣国でも食糧問題がある程度浮上して来ているとの話ですぞ。

 怠け豚の領地にはかなり潤って来ているとの話。
 他、南西の村は未来でも見た事のあるような密林になりつつあるそうですぞ。
 行った当初、お義父さんは調整に失敗したかと青ざめておりました。
 そんな呑気にキャンプをしていた夜の事……。

「ガウ!」

 助手の魔物がLvアップの影響で見る見る大きくなってきましたぞ。
 お義父さんの話ではLvは既に55だそうですな。
 助手の方もクラスアップを既に済ましたとの話。

 後は強化方法にある潜在能力の上昇とかを色々とする予定だそうですぞ。
 日々成長して行く助手と魔物の成長に、フィロリアル様も負けじと頑張っておられです。馬車を引く仕事にも一層精を出しておられです。
 さすがお義父さん、これを見越して助手と共に仲間にしたのですな。

 ああ、俺が作ったアクセサリーは程々の値で売れているそうですぞ。
 ただ、前にお義父さんがやっていた付与能力はどうやってやるのかわかりませんが。
 どうやるのですかな?

 怠け豚に聞いても専門的な技術だから、誰かに聞くしかないと答えられてしまったそうですぞ。
 幸いにして、怠け豚の知り合いが詳しいらしいので近日中に話を聞けるそうですぞ。

「しかし……勇者以外はLv100が打ち止めというのがネックだねー……」
「そうですなー」

 お義父さんが助手のステータスを確認しながら呟きました。

「ねえ、未来じゃこの方法で能力を上げるしかなかったのかな?」
「いえ、未来のお義父さんは100の限界を超えるクラスアップの方法を見つけていましたぞ」
「そうなんだ? どうやってた? この先、必要になってくるんじゃないかな?」
「えっと……確か助手の育てていたドラゴンが関わっていたと思いますぞ」
「ドラゴンが限界を突破するのに関わるんだ? となるとどっちにしてもドラゴンが必要なんじゃないの?」
「信じがたい事実ですぞ」

 考えてみれば、強力なフィロリアル様を育てるには限界突破は必要不可欠なのですな。
 強化方法でも100以降の強化でしか出ない項目がありますからな。

「ガウ!」
「ふふん! ドラゴンはこの世に必要なのよ」

 助手が誇らしげにサクラちゃん達を挑発してますぞ。
 調子に乗るな! ですぞ。

「ぶー!」

 サクラちゃん達は悔しげに答えましたぞ。
 俺も皆と一緒にブーイングをしますぞ。
 どうすればこのイラつく態度に報いを受けさせる事が出来ますかな?

「ウィンディアちゃんも程々にしようよ。別にサクラちゃん達の事が嫌いなわけじゃないんでしょ?」
「……」

 無言で助手は頷いておりますな。

「鳥にドラゴンは負けないもん」

 俺に対しては挑発的な様ですが。

「はいはい、仲良くね」

 お義父さんがポンポンと助手とサクラちゃんの肩を軽く叩いて宥めました。

「どう? 少しは慣れてきた?」
「……うん」

 助手は前よりも元気になってきたのは俺でもわかりますぞ。
 フィロリアル様と仲良く遊んでいる時があります。
 その代わり、お義父さんに助手の魔物がじゃれている時がありましたがな。

「ギャアア!」

 突然、キールの悲鳴が響き渡りましたぞ。
 見るとキールの尻尾をコウが甘噛しておりますな。
 宙ぶらりんとなったキールが叫びながらコウに拳を叩き込みましたぞ。

「キールくん! コウ!」
「放せよ! いつまで人の尻尾を銜えてんだ!」
「むー……キールくんの尻尾ー」
「キールくんを放す!」

 ルナちゃんに蹴られてコウがくちばしを開いてキールをポトっと解放しましたぞ。
 キールはすぐにお義父さんの方へ駆けて、ルナちゃんとお義父さんを盾に隠れるようにコウを睨みます。

「まだ俺を狙ってんのか! いい加減にしろよな!」
「舐めるだけ、舐めるだけーふりふりしてて我慢が大変なのー」
「コウ……いい加減、キールくんを狙うのはやめてくれない?」

 お義父さんが困ったようにコウに諭しますぞ。

「うん、サクラもそう思う。ふりふりしてるけど、そんなに狙うもんじゃないよ?」
「えー? コウはー……一日中考えてるよー? プリプリしてて美味しそうとかー」
「あのね。コウ、キールくんはコウのご飯じゃないんだよ?」
「そう、キールくんは可愛くてもふもふしてて大事にするの」
「うん、キールくんは可愛い。愛でる物」
「俺はカッコいいだ!」
「サクラちゃんとルナちゃんが会話に混ざるとややこしくなるから黙っててね。今はコウにお説教をしなくちゃいけないんだから」
「キールくんはルナが守る」
「うわ! もふもふすんな! 胸に埋めるな、うお……羽毛に! 羽毛に埋もれる! 柔らかい羽毛に捕えられる!?」

 お義父さんがルナちゃんとキールの攻防を見ながら溜息を吐いております。

「ルナちゃん、キールくんを大事にしたいのだろうけど、それじゃあコウと変わらないよ」
「そっか、じゃあやめる。ルナはキールくんが困るのはいやー……」

 ぽとりとキールはルナちゃんに抱えられますぞ。

「うー……全身がバチバチするー」
「静電気がすごそうだね」

 お義父さんがそう呟いたあと、コウに目を向けます。

「コウ……もう旅も大分過ぎてるし、みんな慣れてきたと思うんだけど、君はいつまでキールくんがご飯じゃないと言ったら学ぶの? 最初は冗談だと思ってたけど、最近顕著になってきたよ?」
「プリプリとしてて美味しそうになってきたのー」
「そりゃあ……毛並みが良くなってきたね。でも、何度食べちゃダメだと言えば分かるのかな?」
「ブー!」

 異議を唱えるコウにお義父さんの笑顔が引きつりましたぞ。

「コウ? いい加減になさいまし、もっと高貴にナオフミ様の出すお食事を頂くのですわ」

 ユキちゃんが注意するのですが、コウはどこ吹く風ですぞ。

「じゃあイワタニー、キールくんにイワタニの作ったソースを掛けて食べたい」
「ふざけんな! 何がソースだ!」
「コウ……いい加減にしないと俺も怒るよ?」
「イワタニが怒っても怖くないよー? だって全然怖くないもん」
「おい、兄ちゃん! 完全に舐められてるぞ」
「……」

 コウの返答にお義父さんは若干不快そうな表情を浮かべました。
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