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盾の勇者の成り上がり 作者:アネコユサギ

外伝 槍の勇者のやり直し

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行商計画

 ペット?
 フィーロたんがペット……?
 む、そうだったのですか。
 しかし、フィーロたんがペット……。

「うん。話はわかったから……それで……というか元康くん、ループしているなら覚えて」
「なにをですかな?」
「召喚された当時の俺はノーマルなんだからそういう変な話をしない。信じたくても疑うよ。というか例え真実だと思っても否定する心理が働いちゃう」
「なるほど、わかりましたぞ」

 つまりお義父さんは男と寝ているとかその辺りが気になって信じてくれないのですな。
 ……考えてみれば男のお義父さんが男と寝るなどおかしな話です。
 俺はフィロリアル様なら性別など関係ありませんがな。

「せめて養子と言って君の好きな子を引き取った、とか説明した方が良い。それなら、多分納得してくれると思う」

 と、お義父さんは注意点を教えてくださいました。
 なるほど、養子ならば娘でも問題ありませんな。
 フィーロたんはペットじゃありませんぞ。
 この元康、お義父さんの言葉を脳髄に焼き付けました。

「で? なんで俺が罠に掛けられるのを見過ごしたの?」
「それは未来のお義父さんに言われたのですぞ。未来の知識が役に立つように立ち回って欲しいと」
「ふむ……なんでそんな事を言った訳?」
「お義父さんがシルトヴェルトに行くと、色んな国と戦争になって、波と戦う所では無くなってしまったからなのですぞ」
「え? でも俺は復讐をしない様にしていたんだよね?」
「はい。ですが――」

 俺はお義父さんに前回のループで起こった問題……タクトやツメの勇者に化けていた狐の魔物、そしてシルドフリーデンとメルロマルクとの戦争を説明したのですぞ。
 挙句、最後は樹が殺されてループしたと説明しました。

「それだけ大規模な戦争に……俺がシルトヴェルトに行くとなってしまう……」

 事の大きさにお義父さんが言葉を失っております。

「行きますかな? お義父さんが望むのなら今度こそはと行きますぞ」
「確かに後々の流れを知っている元康くんがいるなら、前よりは良い展開に出来るかもしれないけど……」

 俺の言葉にお義父さんは顔を曇らせますぞ。

「いや……元康くんの考えは正しいと思うよ。それだけの問題が起こるのと、三カ月我慢するだけで良いのならこっちの方がやり甲斐があるよ。余計な波風が立たないならね……俺は戦争をやる為に異世界に召喚された訳じゃないもんね」
「わかりました」
「戦争が起こらない様に立ちまわる。まさしく未来から来たって感じだね」
「そうですぞ。この元康、お義父さんの為なら何でも致しますぞ」
「で? 元康くんは、俺と一緒にこのメルロマルクに留まってループしない様にしたいんだね」
「はい、ですぞ」

 お義父さんは椅子に座って足をのばしますぞ。

「三ヶ月後にあの王とマインが痛い目に合うのかー……楽しみに待つしかないね」
「はい。強引に力で解決しないでほしいと言われました」
「わかったよ。それまでの間、少しずつ強くなっていけばいいんだね」
「出来る限り目立たぬように強くなれば良いのですぞ。何、強化方法を俺は教えますぞ」
「うん、ありがとう。よろしく頼むね」

 という所で懐からパキパキと音がし始めましたぞ。
 俺は懐から卵を出しました。
 今まさにユキちゃんとコウが孵ろうとしている様ですぞ。

「もしかして元康くん、支度金でフィロリアルの卵を買ったの?」
「そうですぞ」

 やがてピキピキと音を立ててユキちゃんとコウが卵から顔を覗かせますぞ。

「ピイ!」
「うわぁ……かわいいね」

 ユキちゃん達が元気よく卵から姿を現して俺の手に乗り、お義父さんが覗きこみますぞ。

「これが、町で馬車を引いている魔物に育つんだー……」

 不思議そうにお義父さんは見ております。
 この時点でお義父さんはフィロリアル様を良く知らないのですから仕方ありませんな。
 フィロリアル様は不可思議な存在なのですぞ。
 だからこそこの元康が、求めてやまない存在であるのですがな。

「名前はもう決まってるの?」
「そうですぞ。この子達の名前は未来のお義父さんが名付けてくださったのですぞ」
「そうなんだ? どんな名前?」
「当ててみると良いかもしれませんな? ちなみにこの二人はシロちゃんやきいろ、ヒヨと言う名前では無いですぞ。白い子は雌で、黄色い子は雄ですぞ」
「んー……」

 お義父さんは元気に跳ねるユキちゃんとコウを見ながら考えますな。

「こっちの子は白くて雪みたいだからユキちゃんで、そっちの子は黄色からとってコウかな?」
「さすがお義父さん。当たりですぞ」
「そう? 結構悩んだけど当たって良かったよ。こういう部分でもループって関わるのかな……」
「「ピイ!」」

 ユキちゃんとコウが元気よく跳ねましたぞ。

「さて……では未来でお義父さんの護衛をしていた子の登録をお義父さんにして貰いますかな」

 俺は孵化していないサクラちゃんの卵をお義父さんに見せますぞ。

「この子はサクラちゃん。まだ魔物紋の登録をせずにいる子ですぞ」
「これを俺にくれるの?」
「少々違いますが……お義父さんのボディガードをしてくれた子で、お義父さんにとても懐いておりました。今回はお義父さんを主人にさせてあげた方が良いかと思って残しておいたのですぞ」
「あ、ありがとう……」

 お義父さんはサクラちゃんの卵を受け取りましたぞ。

「登録はわかりますかな?」
「この卵に塗られた紋様に血を塗るんだっけ?」
「そうですぞ。後は孵化器に入れて一日すればサクラちゃんが孵るのですぞ」
「へー……まあ、仲間が得られない状況なら頼もしい仲間になってくれるかな?」

 お義父さんは武器屋の親父さんに頼んで刃物で指を軽く切って登録を完了しましたぞ。

「で? これからどうする?」
「そうですな……未来のお義父さんはこの後……」

 そこで俺は考えますぞ。
 おかしいですな。
 お義父さんが何をしていたのかトンと出てきませんぞ。
 いや、お姉さんを購入してチビチビとLvを上げていたのは察する事は出来たのですが、それ以外は何をしていましたかな?

「元康くん?」

 奴隷を連れて行商を良くしていたのは覚えております。
 商品も……確か薬の類を販売していたのでは無かったかと思いますな。

「ループ前のお義父さんは行商をしてお金を稼いでおりましたな」
「行商? それっていろんな所を巡って物を売り歩いていたの?」
「そうですぞ。フィーロたんを連れて各地を転々と売り歩いていたのを覚えています。豚を追い掛けていた頃の俺を良く撥ねて行きました」

 今でも思い出せますな。
 フィーロたんは俺の顔を見ると獰猛な声を上げて蹴り上げていきました。
 あの痛みは俺とフィーロたんを結ぶ絆なのですぞ。

「うっとりとした表情で言ってるけど、凄い事してない? というか、撥ねていく……?」
「アレぞフィーロたんの叱咤であり、愛……」
「おーい元康くん? 戻ってきてー」
「「ピイ!」」
「ダメだ……思い出に浸って戻ってこない」

 フィーロたん。
 あなたは何処へ行ってしまわれたのですかな?
 絶対に運命を手繰り寄せて見つけて見せますぞ。

「行商ねー……何を売り歩いていたのかよくわからないけど無一文で一人で戦っていたんじゃ碌に資本金も無かっただろうに……どうやったんだろう?」

 お義父さんが考えている様ですぞ。

「確か薬を調合しておりましたぞ!」
「うわ! いきなり素に戻らないでよ! びっくりするじゃないか」

 お義父さんが驚いた表情でユキちゃん達を肩に乗せております。

「薬の調合? 俺は薬の調合を覚えたの?」
「これは間違い無いですぞ。未来のお父さんは薬を作って売ってお金にしていました」
「ゲームとかだと薬の調合とかあったけど……そんなに上手く出来るの?」
「武器の技能で作成する事が可能ですぞ。ですが、お義父さんは自らの手でも行っておりましたな」

 考えてみればお義父さんは多芸な方でしたな。
 料理の才もあって、みんなに好かれておりましたし、薬の処方も覚えておられた。

「んー……わかった。盾の技能で作れるならやってみるけど、薬草がどんな物か分からないから薬屋を覗いてみるよ。盾も調合技能のある盾が何かもわからないし」

 そういえばお義父さんは俺とは異なっていて、盾は初期化してしまうのでしたな。
 となるとお義父さんに調合の技能を覚えて頂く様に、魔物を倒してくる必要もありますな。
 俺はウェポンブックで調合のレシピがある槍を探しますぞ。
 ……ありましたな。
 生息地も覚えております。

「装備を固めてから……技能の習得をして行商……うん。当面の目処が立ったかな」
「後は行商時に売り子を得る事ですな」
「あ、そうか。宗教上の敵である盾の勇者が作った薬じゃ買ってくれない事もあるよね。かといって元康くんは……」
「なんですかな?」

 お義父さんが怪訝な目で俺を見ていますぞ。
 何かおかしな事を俺はしましたかな?

「うーん……いきなり問題点が浮上したよ。売り子をどうしよう? また裏切られたりしたらたまったもんじゃないし……シルトヴェルトの人たちを雇うと危なそうだし……かといって見知らぬ冒険者に任せたら着服されそう」

 うんうん唸っていますな。

「そういう時は奴隷を使うと良いのですぞ!」
「奴隷!?」
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