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盾の勇者の成り上がり 作者:アネコユサギ

外伝 槍の勇者のやり直し

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名付け親

「ピィ!」

 お義父さんがピンク色のフィロリアルの雛を持って俺に渡してくださいます。
 性別は……雌ですな。

「事前に聞いてたけど卵の殻を盾に入れると良いんだっけ?」
「そうですぞ」
「ありがとう。あ、でもLvが足りないって出てるや」

 やはりLv1のお義父さんでは色々と不利ですな。
 早くお義父さんのLvを上げさせなければ。
 卵の殻を掃除したお義父さんを確認してから三匹のフィロリアルを見ますぞ。

「何度も言うけど名前をどうしようか?」
「そうですなー……」
「色合いは楽だけど、元康くんに拘りとかある?」
「シロちゃんとレモンは被りますな」
「未来の話? となると白だとホワイトとかハクとかかな?」

 お見事! その辺りの名前はまだ付けていませんぞ。
 となると残り二匹ですな。
 ピンク色のフィロリアル様を持ち上げて俺は名付けますぞ。

「ピンク」
「まんまじゃないか! ダメだよ。ピンクとか比喩的な意味もあって可哀想じゃないか」
「うむ……もう少し別の名が良いと思うぞ、キタムラ殿」
「ではお義父さんが名付けをお願いしますぞ。ピンクもお喜びになるでしょう」
「え? うーん……そうだなぁ」

 お義父さんがフィロリアル様を見ながら考えますぞ。
 フィーロたんと同じく、神々しくも愛らしく素晴らしい名前になるでしょう。

「白い子が雪みたいだからユキで、黄色い子ヒヨコみたいだから――」
「ヒヨはダメですな」

 確かお義父さんが育てた二匹目のフィロリアル様がそのような名前だったと思いますぞ。
 間接的には俺の天使ではありませぬが、そこは譲れません。

「えっと、じゃあ黄色の黄はコウとも読むからコウかな。で、ピンク色の子は……モモとか、もしくはサクラだね」
「語呂としてはサクラが良いのではないか? 異国の……違うな。イワタニ殿達の名に近い物を感じる」
「ではお義父さんの命名でユキちゃん、コウ、そしてサクラちゃんですぞ!」
「「「ピイ!」」」

 三匹のフィロリアル様が元気よく鳴きましたぞ。
 さて、どうしますかな?
 俺はフィロリアル様を両肩と頭に乗せますぞ。

「では私はフィロリアル様達を育ててきますぞ」
「行ってらっしゃい、元康くん」
「昨日の打ち合わせ通りシルトヴェルトの使者と協力してイワタニ殿の振りをさせるカモフラージュを行って出てくれ」
「わかりましたぞ」

 昨日、エクレア達と話した結果、この酒場を出る時に盾を腰に付け、全身ローブを羽織った協力者を別の建物に移動させてから出発するという話をしたのですぞ。
 相手のかく乱になれば良いのですが……しないよりはマシですな。
 それから俺は豚を含めた協力者を連れて別の店に移動しようとしましたぞ。

「ああ? んだてめぇ! ここを通りたければ――」

 裏通りを歩いているといきなり因縁をつけてきた怪しげな連中がいましたぞ。
 おそらくはメルロマルクの刺客と見て良いでしょう。
 仮に違っても、俺達に歯向かう愚か者であるという事実は変わりません。

「うっさいですぞ! パラライズランス!」

 お義父さんやエクレアが出来る限り加減してほしいとの事なので、状態異常を発生させるスキルを使って額に突き刺してやりましたぞ。
 サクッとスナック菓子でも食べたみたいな良い音がしました。

「グガ――!?」

 全身が麻痺したのか白眼を剥き、泡を吹いて倒れてますな。
 ビクンビクンと痙攣して、自らが汚物である事を理解したご様子。
 お義父さんに喧嘩を売るからこうなるんですぞ。
 まったく、三勇教の連中は懲りるという言葉を知らない様ですな。

「さて、行きますぞー」

 背後にいる協力者が、ゆらゆらと警戒するかのような歩調になったかのように見えましたが知りませぬ。
 そうして協力者を送り届けた後、俺は町を出てフィロリアル様達のLv上げに出発しましたぞ。
 期日は明日の夜!
 それまでに出来る限りのLv上げとお義父さんへのお土産を見繕わねばなりませんな!

 と、その足で前にもやった通り、山奥の危険な魔物が生息する地域に行きます。
 今回はドラゴンではなくグリフィンや恐竜タイプの魔物が多く生息する地域が近かった様ですぞ。

「流星槍Ⅹ! ブリューナクⅩ! グングニルⅩ ハハハハッ! 脆い、脆すぎるぞー!」
「「「ピィ!」」」

 三匹のフィロリアル様達が俺を応援するようにシャドーボクシングをなさっておられです。
 頑張って皆さまを強くさせる事が第一目標ですぞ。

 しかし……懐かしいですな。
 クーやマリン、みどりを育てた時を思い出しますぞ。
 フィーロたんを求め、お義父さんを追い掛けてメルロマルクの城下町に辿り着いて、お義父さんを見失ってしまいました。
 しかも……豚臭さに鼻が曲がりそうだと思っていたその時、魔物商のテントを見つけたのですぞ。
 あの時の魔物商はフィーロたんと呟く俺に、フィロリアル様の卵を提供いたしますと無料で譲ってくださいました。

 それから孵ったクー、マリン、みどりと共にLvを上げ、みんながレースをやりたいと言うので峠で走り屋をしましたな。
 お義父さん達に注意されたのでやめましたが、風になった様なあの感覚は忘れようもありませぬ。

「さあみんな! 強くなるのですぞー!」
「「「ピイ!」」」

 と、ユキちゃんとコウとサクラちゃんを連れて俺は山でLv上げを続けたのですぞ。
 途中で魔物達がぞろぞろと逃げ出し始めましたが、知りませんな。
 地の底まで追いかけて血祭りにしてやりましょう。
 まあ、環境をある程度は考えて仕留めて行きますがな。
 お義父さんのお土産やフィロリアル様のお食事もありますし。
 それでも眠くなるまで戦うのは道理でしょうな。

 その様な感じで山奥での魔物退治は着実に進んで行きましたぞ。
 ついでに山奥で鉱脈らしきモノを見つけたので鉱石も一緒にゲットしました。
 もちろん、俺は既に槍に入れているモノが大半だったので、お義父さんへのお土産にしましょう。

 しかし……荷物が嵩張って来ましたなー……。
 荷車を後で調達して運びませんと行けませんな。
 などとしていると、あっという間に日が沈んでしまいました。

 お義父さん達は大丈夫でしたかな?
 ループが発生した気配が無いので問題はなかったと見ていいでしょう。
 ですがお義父さんを心配するこの気持ちは止められません。

 と思いながら、俺はフィロリアル様と野宿を致しました。
 この時には既にフィロリアル様の体がそれぞれまんじゅうの様な姿に移行しておりました。
 Lvは34。
 お義父さんの元に帰らずにいるのですから順当な所ですな。

「ピヨー……」
「ピヨー……」
「ピヨピヨ」

 三匹とも可愛い寝顔を見せてくださいます。
 そこに……大きなグリフィンが舞い降りてきました。

「我が領地で暴れている者がいると――」
「ブリューナクⅩ!」

 グリフィンもフィロリアル様の天敵、喋るグリフィンも存在するのでしょうが知りませぬな。
 何かぶつぶつと呟いておりましたが、問答無用で巨大なグリフィンを仕留めましたぞ。
 ばさりと言葉の途中で息絶えました。
 明日はごちそうですな。

「みんなが起きてしまうですぞ。そこで死んでいるのですぞ」

 死体の処理はどうしましょうか?
 とりあえずは肉にして、残った部分でドロップを確認ですぞ。

 お? 良さそうな鎧が出ましたな。装備しておきましょう。
 ですが、俺が好きなのはフィロリアル様達の羽を集めて拵えたフィロリアル様の羽鎧ですぞ!
 帰ったらエクレアかお義父さんに上げるとしましょう。

 こうして、二日目の昼を過ぎた頃には三匹ともLv40を達成いたしましたぞ。
 今までの新記録だと思いますぞ!
 まあ、この先が思いのほか長くなるのですが。

「グア?」
「グアグア」
「グアアア!」

 みんな大きくなって、元気に鳴いておりますぞ。
 それぞれ雪の様に繊細な白。
 流れる雷の様に煌びやかな黄。
 桜の花の如く柔らかな色合いをした桜。

 サクラは本当に惜しいですな。
 これで白をベースに桜色ならばフィーロたんだったのですが。

「さあみんな! お義父さんの所に戻りますぞ!」
「「「グア!」」」

 荷車を調達して大量の素材を載せて、フィロリアル様に運ばせてから俺は山を降りたのですぞ。
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