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盾の勇者の成り上がり 作者:アネコユサギ

外伝 槍の勇者のやり直し

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金稼ぎ

「グア!」
「一晩でこんなに大きくなるんだ? 魔物って凄いね」

 翌朝、お義父さんが驚いた様子でクロちゃんを見上げておりました。
 クロちゃんは現在、第二形態である通常フィロリアル形態でございます。

「それではクロちゃん、お義父さんと一緒に近隣の魔物と戦って実戦経験を積んでくるのですぞ」
「グア!」
「えっと、パーティーってどうやって組むのかな? あ、これか……という事はあの女、最初から騙すつもりだったのか……」

 などと呟きながらお義父さんはクロちゃんに向けて編成を飛ばしました。
 俺の視界にクロちゃんを編成させるかの許可申請が飛んできました。
 これは魔物紋における主人の了承だ。
 迷うことなく俺は了承し、お義父さんとクロちゃんは編成を完了します。

「クロちゃん、お義父さんを乗せて戦ってくるのですよ」
「グア!」
「乗れば良いの? わかったよ」

 クロちゃんが腰を落とし、お義父さんがクロちゃんの背に乗りました。

「ではお義父さん。どうかご無事で帰ってきてください」
「う、うん。何から何までありがとう。元康くん」
「いえいえ、それではいってらっしゃいませ!」

 俺がクロちゃんに手を上げるとクロちゃんは元気よくお義父さんを乗せて走りだしました。

「わ! 早い早い――」

 あっという間にお義父さんはクロちゃんの背に乗り、走り去りました。
 さて……この後、俺は何をしましょう?
 素材はある程度揃いましたが金銭が心もとなくあります。
 過去に戻る前なら特に困った事はありませんでしたが、俺には大きな目的があります。
 それはフィーロたんと再会する事です。
 しかもあわよくば、俺がフィーロたんのごしゅじんさまになれるかもしれません。

「よし!」

 その日、俺は何をするかを決めました。
 金を稼ごう。
 ギルドへ行ってダメだったら手に入れた素材を売って金にします。
 それでも必要な金銭が多いのなら、盗賊を探して金を巻きあげましょう。
 お義父さんがよくやっていた事です。
 こうして俺は城下町へ戻り、冒険者ギルドへ足を運びました。


「真に申し訳ございませんが、槍の勇者様に仕事を斡旋する事は出来ません」

 冒険者ギルドの受け付けで話が出来る男の職員に話しかけると、そう返された。
 俺は無言で槍を前に向けて槍に力を込め、スパークさせながら脅し気味に尋ねる。

「そう言わずに、金になる仕事は無い?」
「ブー!」

 男の職員の後ろに居た豚が何やら鳴き声を上げている。
 騒がしいな。仕留めるぞ?
 俺は豚には容赦しない。
 家畜風情が調子にのるな。

「ど、どんな事があろうとも、国が、許可を、していませんので」
「……それは……えっと、オルトクレイの命令だろ? 後ヴィッチ……じゃないな。王女も片棒を担いでいるんだったか?」

 男職員は目を逸らしながらお帰り下さいを連呼している。
 きっとあのクズ共に脅されているのでしょう。

「この国の女王がこの話を聞いたら……どう答えるんだろうな?」
「う……」

 俺が詰問していると背後に一通の書状をもった豚が近づいて、職員に手渡す。
 おそらくですが、影と呼ばれる集団の一人でしょう。
 こやつ等を全面的に信じる事はできませぬが、お義父さんの味方だった存在です。
 適当には扱えませぬ。

「……はい。わかりました。槍の勇者様のお言葉通りです。ではこちらからどうぞ」
「一番金になって時間を短縮できるのが良いな。前金があるのが良い」
「こ、こちらです」

 こうして俺は冒険者ギルドから仕事を受けた。
 もちろん、前金込みで。
 なので、金も多少入る。
 あの赤豚の母親はまともだとお義父さんが話をしていたから助かりました。
 何を話していたのか俺もよくわからなかったけど、世界の為に戦ってくれるなら俺の罪を不問にすると言った出来た豚だったはずだ。
 やはり女王の名を出せばある程度融通は利きますな。
 これからも女王女王と口する事にしましょう。

「「「槍の勇者! 覚悟!」」」

 と、冒険者ギルドから出ると同時に冒険者が数名、俺を取り囲んで突撃してきた。

「大風車!」
「「「ぐはああああああああああああああ!?」」」

 問答無用で、範囲スキルである大風車を放つ。
 これは槍を横に振り回し、竜巻を起こすスキルだ。
 錬だと回転切りみたいなモーションですぞ。
 俺だと槍をバトンの様に振り回すスキルとなります。

「いきなりなんだ? ふざけたことしてると殺すぞ?」

 降りかかる火の粉に遠慮なんてしない。
 どうせクズ共の刺客でしょうしな。

「ぐ……盾の悪魔に加担する偽勇者め!」

 ……なんか聞いた事のあるフレーズですな。
 ああ! 三勇教でしたか。
 なるほど、まだこの勢力は生きているのでしょう。

 お義父さんが壊滅へと導いたあのクソ宗教。
 確かこの国の国教だったっけ?
 この辺り、曖昧ですぞ。すっかり忘れておりました。

「偽勇者? 知らないな。俺は愛に生きる、愛の狩人。お義父さんに仇なすのなら、今すぐ三勇教に乗り込んで皆殺しにしてやろうか?」

 槍の穂先を冒険者の頬に当てて、俺は微笑む。
 お義父さんを苦しめる害悪……どうするべきかな?

「あ、悪魔……悪魔め!」
「云われの無い罪でお義父さん……盾の勇者を辱めるのが許される事だと私は思いませんぞ。これは警告ですぞ。私達に被害を加えるようなら迷わず始末する。覚悟する事ですな。ハハハハハッ!」

 と、俺は高笑いをしながら立ち去りました。
 もちろん襲ってきた愚かな狂信者共の財布は頂いておりますぞ。
 これで新しいフィロリアル様を購入できますな。

「死ね! 悪魔め!」

 雑魚の遠吠えが聞こえます。知りませんな。
 後は素材を適当に買い取り商の所へ持っていきます。
 もちろん舐めた態度を取ろうモノなら殺すと脅しながら買い取らせました。


 チャリチャリと金袋を揺らしながら俺は奴隷商のテントへ行きました。
 奴隷商は手ぬぐいで汗を拭ってますぞ。

「こ、今回は何を所望で? またフィロリアルですか? ハイ」
「そうですぞ。次は複数欲しいですぞ」

 考えてみれば一度に天使が一人である必要はありませんぞ。
 ですから俺は現在の所持金で余裕がある所は全てフィロリアルの購入費用に当てる予定ですぞ。
 もちろん、お義父さんの装備代は残すのは当然。
 様々な魔物の素材を持って帰るのも良いですな。

「こ、こちらです」

 奴隷商はまたも卵が沢山入った箱を見せてくれました。
 俺はそこから何個か選んで購入したのですぞ。


 さーて、まだまだする事は沢山ありますぞー!
 冒険者ギルドの依頼を速攻で解決させました。
 そうしている内に日が落ちたのですぞー。

「あ、元康くん。おかえり」

 村に帰るとお義父さんがクロちゃんと待っていましたぞ。

「どうだった?」
「こちらも金策は程々になりましたぞ」

 俺はお義父さんに金袋を見せる。

「わ、凄いね」

 もちろん消費した金銭もあるのでそんなに多くはないですが、ギルドでも達成が難しいという話の近隣の魔物退治をしただけで大量に金を稼げました。
 必要Lvは強化方法を知らなかった頃の自分達で70の依頼でしたが、俺の強さの前にこの程度造作もありませんな。
 ドラゴンだって怖くありませんぞ。

「これを足掛かりにもっとフィロリアル様を育成するのですぞ」

 お土産にフィロリアルの卵をお義父さんに見せます。
 沢山買ったので、その量に驚いておられる様子。

「クア?」

 クロちゃんが首を傾げております。

「お義父さんはどれくらいになりましたかな?」
「えっと……Lv15になったよ」
「中々の速度ですな」
「クロちゃんが魔物を跳ね飛ばして行くだけだったけどね。後……なんかクロちゃんが少しずつ大きくなっているみたいだよ。城に居たのはこれで成体だったよね?」

 お義父さんがクロちゃんを撫でます。
 するとクロちゃんも嬉しそうに目を細めていますぞ。
 微笑ましい光景ですな。
 お義父さんはいつもフィーロたんにその目を向けていましたぞ。
 たしか。

「クア!」
「そうですな。明日の晩には言葉を喋り出すと思いますぞ」
「え……フィロリアルって喋るの!?」
「そうですぞ。フィロリアル様はとても素晴らしいフィロリアル様なのです」
「へー……たのしみだね。喋る動物とか元の世界にはいないから夢があるよね。さすが異世界だ」

 この日もお義父さんの手料理を披露してもらったのですぞ。

 そして翌朝の事。
 宿屋のカウンター前でお義父さんと誰かが話をしているのを見つけましたぞ。

「あ、元康くん」
「どうかしましたかな?」

 お義父さんが俺を見つけて声を掛けてきます。

「あのね、この人達が俺に来てほしいって言うんだけど、元康くんならわかるかな?」

 豚が二匹、男が一人……俺は男に目を向けますぞ。
 男の外見は亜人、耳が狼っぽいですな。

「私……シルトヴェルトからの使者でございます。槍の勇者様とお見受けするのですが、お話を聞いてくださりませんか?」
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