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盾の勇者の成り上がり 作者:アネコユサギ

外伝 槍の勇者のやり直し

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レベリング

 そうして草原を抜け、近隣の村へ移動しました。

「俺、昨日さ。バルーンっていう弱い魔物と戦うのがやっとだったんだけど、どうしたらいい?」
「お義父さんは基本的に仲間がいないと戦えませんぞ」
「うん。それはわかっているんだ。だけど仲間なんてどうしたら得られるんだろう? 強姦疑惑で誰も仲間になってくれないし、この国は盾の勇者を嫌っているんでしょう?」

 む……そう言えばお義父さんには右腕となるお姉さんがいたはず。
 確か奴隷だったと思いますが……どうしたものでしょう。

「それは……奴隷を購入して戦わせればいいのですぞ!」
「奴隷!?」

 お義父さんの表情が驚愕に彩られる。

「こ、この世界には奴隷なんているんだ……まあゲームやファンタジーではお馴染みだけど」
「馬車馬の様にコキ使えばLvも上がって行きますぞ」
「いや……そんな酷い事をさせられないよ」
「おや? おかしいですな。確かお義父さんは大量に奴隷を使役していたはずでしたが」
「未来の俺ってどんな外道な訳!?」
「奴隷が笑顔で魔物達を倒す様に教えていましたぞ」

 そんな感じの事を豪語していたのを覚えている。
 しかし、あの村は豚臭かったけれど、とても住み易い素晴らしい場所でしたな。
 奴隷の方々も笑顔で仕事をしていたし。

「酷い! そんな狂った事、出来ないよ!」

 うろたえた様子のお義父さん。
 お義父さんは本来、こんなにも優しい方だったんですな。
 世間の荒波に揉まれ、しかも騙された所為であんなにもやさぐれてしまわれた。
 守りたいこの純粋な顔。

「というか、どうして未来の俺はそんな酷い事をしちゃってるの?」
「お義父さんにとっては辛い事実なのですが、本来樹の立場は私なのです」
「え……? どういう事?」
「私も赤豚にまんまと騙され、お義父さんがやったと信じてしまっていたのです」
「そ、そうだったんだ……」
「真に申し訳ありません! この元康、人生最大の汚点です。自害しろと仰るのであれば、今ここで死にましょう」
「いや……元康くんも騙されていたんでしょう? なら、しょうがないよ。今は信じてくれているんだし」

 とてもありがたいお言葉。
 お義父さんの海よりも深い慈悲に俺は頭を垂れて感謝致しましたぞ。

「それで、どうして俺は奴隷を?」
「おそらく、味方が誰もいない事と信用できる人がいない事から殺伐とした感情が発露し、奴隷を酷使しようという発想に至ったのではないでしょうか」
「なるほど……確かに誰も味方がいなかったらそうなってたかもね」
「ですが今回は違いますぞ! 私がお義父さんを絶対に信じておりますぞ」

 むしろ信仰していると言っても過言ではありませんな。
 なんせ、フィーロたんのお義父さんであり、俺の恩人でもありますからな。

「ありがとう。でも奴隷はちょっとな……」
「ではしょうがありませんな。クロちゃん」
「ピイ?」
「これからクロちゃんを急いで育てますぞ。育ったクロちゃんはお義父さんを同じように育てるのですぞ」
「ピイ!」
「あ、そうか。クロちゃんが育てば仲間として俺とパーティーが組めるって考えだね。元康くんは強いからパワーレベリングも出来ると」
「そうですぞ! まずはクロちゃんを30くらいまで上げて、その後クロちゃんがお義父さんの手伝いをするのです」

 その間に俺はギルドで仕事を探す……もしくは金になりそうな盗賊を狩って金を得る。
 フィーロたんを手に入れる為の資金は多ければ多い程良いだろうし。
 更に言えばフィロリアル様は世界の財産。
 一匹でも多く増やさねばなりません。
 それが私、元康の生涯の目標ですぞ。

「じゃあ俺は何をしていたら良いかな?」
「では……お義父さんは優雅にティータイムでも楽しんでいてください」
「なんでそうなるの!」
「ですが、私がお義父さんに命令なんて出来ようはずがありません」
「うーん……わかった。自分なりに何かできないか探してみるよ」
「では行きますぞ! 今夜はこの村で集合ですぞ」
「うん、わかった」
「ピイ!」

 お義父さんと別れ、俺はクロちゃんと共に急いで強い魔物の出る山脈へ走り抜けた。
 元々高Lvの補正があるし、帰りはポータルを使えば一瞬、出来る限りの速度でクロちゃんを上げますぞ。
 問題は食料ですが、これは倒した魔物を餌にすれば問題ありますまい。
 なんせフィロリアル様はなんでも食す最強の天使ですからな。
 と、俺は山脈を越え、強い魔物……ドラゴン系の生息する区域に突入した。

「ブリューナク! ハハハハッ! 弱い! 弱すぎるぞ!」

 山脈に生息するドラゴンや、その血族の魔物を俺はスキルを使いまくってばったばったと薙ぎ払う。
 ドラゴンはフィロリアル様の天敵!
 即ち、この元康の天敵!
 全てのドラゴンを駆逐する勢いで進撃しますぞ。

 さすがに敵わないと悟ったのか、しばらく戦っているとドラゴン共も近づいてこなくなってきましたぞ。
 だが、そんな事知った事ではありませんな。
 錬や樹がこの辺りの狩り場に来るのはまだまだ先、もっと強い魔物が出現する場所が無いわけではないが、一日で行ける範囲だとこの辺りしかなかっただけの事!
 波までの一ヵ月にお義父さんをどれだけ強くさせられるか、腕が鳴りますぞ!

 そんな感じで日が暮れるまで戦っていると、クロちゃんのLvが32まで急上昇しました。
 餌は十分確保したし、素材も沢山手に入った。
 持ち帰るのが面倒なくらいだし、ドロップも大量。
 後でお義父さんに分けて差し上げねば。
 という事で、俺はお義父さんと待ち合わせしていた村にポータルで帰還しました。


「おかえり、元康くん。クロちゃんはどれくらいになった?」
「ピヨ?」
「うわ。なんか大きくなったね」

 フィロリアル様の雛から次の形態に変化したクロちゃんは俺についてきています。
 大きさは俺の腿くらいまであるまんじゅう体型です。明日には普通のフィロリアル形態に育つでしょう。
 大量の食糧をクロちゃんに用意してあるので、問題ありません。

「ピヨー……」

 お可哀想に常時ぐーとお腹を鳴らしております。
 すぐにでも食事の用意をせねばなりませんな。

「くう……可愛いですぞ、クロちゃん!」
「ピヨオオオ!」

 すりすりするとクロちゃんは嬉しそうに目を細めました。
 やはりフィロリアル様は世界の至宝。
 あんなゴツゴツしたドラゴンがライバルだなんて鼻で笑えますな。

「そうだね、凄く成長が早いや。で? 何Lvまで成長したの?」
「もう32ですぞ」
「早!? 確か元康くんの話だと40までしか成長させられないんだっけ?」
「はい。その先はクラスアップをする必要がありますぞ」
「でも……龍刻の砂時計って国が管理しているんでしょ? 国の人達とあんな喧嘩したんじゃ出来ないんじゃないの?」
「問題はありませんぞ。他国に行けば砂時計くらい使わせてくれるでしょう」
「ああ、メルロマルクだけじゃないんだ……なら、まずは隣国へ行く為の強さが必要だね」
「ははは、明日はやることが沢山ありますぞー」
「うん。あ、そうだ元康くん。俺にも何か出来ないかと思って、川で魚を釣ってみたよ」

 と、お義父さんは魚を見せてくださりました。
 魚釣りは得意なのか、沢山釣れておりました。
 クロちゃんのご飯に分けてくださるそうです。
 やはり表情や言動は違いますが、お義父さんはお義父さんのようだ。
 思えばフィーロたんはお義父さんの料理を非常に好まれておりました。
 きっとクロちゃんも気に入る事でしょう。

「では宿で調理いたしましょう」
「あ、俺にやらせてくれない? これくらいしか出来る事無いからさ」
「ははは、お義父さんの料理は絶品ですからな。楽しみですぞ」
「別に自慢する程、得意じゃないけど……それも未来の話?」
「ええ、みんなお義父さんの料理が大好きでしたぞ」
「そうなんだ? じゃあ頑張ってみるね」

 と、お義父さんは宿の人から厨房を借りて(店主が渋ったので俺が脅して)料理をしてくださりました。
 ただ、未来のお義父さんより少し味が劣っておりましたな。
 おそらく、盾の技能の所為でしょうな。
 それでも絶品でしたぞ。
 この元康ではけっして再現できない究極の味ですな。

「いやぁ絶品でしたぞ」
「お粗末さまでした。調味料とか借りて見たけど、やっぱり異世界なんだね。塩以外はなんか感覚が少し違うや」
「さすがお義父さん、謙虚でありますな。では私はクロちゃんと共に馬小屋で寝かせてもらいますぞ。お義父さんは厳重に鍵を掛けて部屋で寝るのですぞ」
「元康くんは馬小屋で寝るの? むしろ金を借りている俺が寝なきゃいけないんじゃ?」
「ははは、クロちゃんを宿の部屋で寝かす事は出来ますまい。これはしょうがないのですぞ」
「そう……なんだ? じゃあ貴重なモノは全部元康くんに預けておくよ。寝ている間に盗まれたらイヤだからさ」

 と、お義父さんは金銭と鎧を俺に渡しました。
 これは信頼の証。
 忠義を示す時ですぞ!

「お義父さんに託された品々、命を掛けて守る所存です!」
「た、頼むね」
「その代わりに、私が持ってきた素材を盾に入れておくと良いですぞ」

 土産に持ってきた素材の数々をお義父さんに手渡し、武器に納めさせました。
 まだLvが足りていないでしょうが、後々役には立つはず。

「す、凄いね。ただ、Lvや条件が足りないって出てるけど……」
「それはしょうがありませぬ。少しずつ、盾に素材を集めて入れると良いのですぞ」
「例えば?」
「どんな物でも素材には出来ますぞ。石でも草でも枝でもなんでも。未来のお義父さんは倒した魔物を解体して骨や肉などにして盾に入れておりました」
「解体、ね。そのまま入れるだけじゃなくて、他の素材に加工する事もできるんだ。なるほど……システム的に結構細かいんだね。うん、とにかく頑張ってみるよ」
「明日にはクロちゃんがお義父さんのボディガードとして戦えると思うので、本格的に活動開始ですぞ」
「うん」
「ピヨ!」

 こうして俺達は宿で休む事になりましたぞ。
 クロちゃんは夜も空腹を訴え、持ち帰った食料をその度に食べました。
 そして、そんなクロちゃんの成長音と匂いを嗅ぎながらフィーロたんに再会する夢を俺は見ました。
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