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盾の勇者の成り上がり 作者:アネコユサギ

盾の勇者の成り上がり

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品種改良

「こんなもんか?」
「はい、後は村の方に頼めば良いかと」

 奇跡の種……もとい元康の失敗であるバイオプラントを討伐した俺達は種子などを集めていた。
 拳大の光る種を集め、ついでに盾に枯れた植物を吸わせてみた。

 バイオプラントシールドの条件が解放されました!
 プラントリウェシールドの条件が解放されました!
 マンドラゴラシールドの条件が解放されました!

 バイオプラントシールド
 能力未解放……装備ボーナス、植物改造
 専用効果 フック

 プラントリウェシールド
 能力未解放……装備ボーナス、中級調合レシピ2

 マンドラゴラシールド
 能力未解放……装備ボーナス、植物解析

 植物系の盾から繋がるツリーで出てきた。他にも開くようだけどツリーが足りない。

「植物改造?」

 俺はバイオプラントシールドに変えて植物改造とは何なのかを実験する。
 視界に魔力付与を行いたい植物の種に使用してくださいとアイコンが表れる。
 とりあえず、先ほど拾ったバイオプラントの種に魔力付与をしてみる。
 ふわりと種が空中に浮かぶ。

 繁殖力 9
 生産力 9
 生命力 9
 免疫力 4
 知能  1
 成長力 9
 変異性 9
 特殊能力

 なんだろうか。
 とりあえず下げてみる。
 ピピピと音を立てて数字が低下する。
 試しに他の項目も下げて、一つの項目だけを伸ばしてみた。

 繁殖力 1
 生産力 1
 生命力 1
 免疫力 1
 知能  1
 成長力 43
 変異性 1
 特殊能力

 うーむ……分からん。
 ああ、成長力だけ増やしてみれば良いか。
 あ、この技能を使うとMPがごっそり減る。

「ナオフミ様?」

 成長力だけに特化したバイオプラントの種を枯れた所に落としてみた。

「おお!」

 ぶわっと緑が地面に生い茂る。
 しかし……。

「あれ?」

 3メートルほど緑が生い茂ったかと思うと一瞬で枯れた。

「何をしているんですか?」
「ああ、なんか植物改造って技能が出たからこの種を使って実験してみた」
「危ないことをしないでください!」

 ラフタリアに怒られた。
 まあ、他人だったら俺も怒ると思う。
 しかし、これは面白そうな技能だ。
 使い方を考えれば新たな金の種になりそうだ。

「ナオフミ様、なんか凄くいやな笑みをしてますよ」

 おっと、顔に出ていたか。

「ともかく、村に戻るか」
「ええ」

 静まり返った茶色の植物地帯から俺達はキャンプに戻った。


「ありがとうございます、勇者様!」

 人間というのは現金なものだ。
 俺が村を救うと連中は快く歓迎した。
 まあ、村の掃除をしなきゃ住めないから色々と大変だろう。その日は枯れた植物の片付けで終わってしまった。
 なんか本体は枯れても実と根の芋は残っているらしく、しばらく食料は問題が無いらしい。
 ただ……大地が枯れたりしないのか些か不安だ。

「飢饉に逆戻りなんじゃないか?」
「まあ……そうなんですけどね」

 近い未来、この村は別の所へ移動するかもしれないな。
 そう思いながら植物改造を進めていた。
 特殊能力が何なのかがまだ分からないのだ。
 調べても、植物解析が必要とアイコンが出る。
 マンドラゴラシールドにそれがあったので、解放するのを待つ。
 ……どちらかといえばマンドラゴラシールドの方が解放が早そうなので、その日はマンドラゴラシールドに変化させたまま寝る。
 翌朝には解放されたので、バイオプラントシールドに変えて改造を続行した。

 繁殖力 9
 生産力 9
 生命力 9
 免疫力 4
 知能  1
 成長力 9
 変異性 9
 特殊能力
 枯れた時、種子生産
 変異範囲拡大

 なるほどなぁ……つまりこれがバイオプラントの能力だった訳か。
 元々は食糧生産が目的だったのだけど変異性が高くて魔物化してしまうという問題を抱えていたという事なのだろう。
 そうなると大昔の錬金術師とやらも根からの悪人ではなかったのかもしれない。
 免疫力が低いから除草剤が効くんだな。
 特殊能力のアイコンを調べる。すると色々な項目が現れた。
 同様に特殊指示も色々と項目が出現する。
 どうもステータスを犠牲に能力と指示を選べるみたいだ。
 この村の連中もこのままじゃ飢饉の再来で困るよな。
 そんな訳で実験的に弄ってみようと考えた。


 繁殖力……4 これは単純に増える力だ。些か多すぎるので下げておこう。
 生産力……15 そのまま実とかを宿す能力だろう。飢饉が無くなる程度にはほしい。
 生命力……6 どんな大地でも芽吹く力かな。少し落とそう。
 免疫力……4 これは病に抵抗する力。これは除草剤の効き目があるのでそのまま。
 知能……1 なんだよこれ、魔物の知能か? 増やす意味がわからない。
 成長力……15 植えて直ぐに育つ値だ。ここの部分は多めにしよう。
 変異性……1 たぶん、これが魔物化の原因だ。
 特殊能力 変異範囲拡大を解除して出たポイントと一緒に作物の品質向上を入れる。
 枯れた時種子生産、品質向上

「完成だ」
「どうしたんですか?」

 眠そうに起きたラフタリアが俺の方を見ながら尋ねてくる。
 昨日は村人達が聖人様、神鳥様と勧めてくるので村で一泊した。
 食べ物は程々に美味しい……というか、バイオプラントの芋やら実だ。
 迷惑な植物だが、味は良いんだよな。
 改良が成功していれば村の名産品にもできるかもしれない。

「ああ、昨日の続きをちょっとな」
「まだやっていたんですか……」
「このままじゃいけないって分かっているだろ?」

 ここはいずれ飢饉が訪れる。だからどうにかして止めなくてはいけない。
 他の地域へ買出しに行けば良いという考えもあるだろうが、人口的に無理だ。
 昔から住んでいる人が易々と移り住んだりも、難しいと思う。

「さて」

 徐に馬車から降りて枯れた大地に種を落とす。
 ぶわぁ……と、種から植物が成長し、枯れた茶色に染まっていた村の跡地の一角を覆っていく。

「な、なにが起こっているんだ!」

 キャンプで休んでいた連中が驚いて駆け寄ってくる。

「ああ、悪い、実験をちょっとな」
「何をしているんですか?」

 植物への恐怖か、村人は恐れながら尋ねる。

「安全な植物に変える実験……かな」

 繁殖力が低いので一定の範囲まで伸びた植物がそれ以上の成長をしなくなる。
 そして……。
 ポンポンと赤い、トマトのような瑞々しい実を宿した。大本はトマトっぽい植物だったようだ。

「一応、成功だと思う」
「おお……」
「問題は一種類って所か、使うかはお前等次第だけどな。もしもダメだったら今回の様になる前に手を打てよ」

 変異範囲拡大と変異性は様々な植物の実を生産する変わりに魔物化する危険性を持っていたという事か。
 除草剤を撒いて、植物を枯らして種に戻す。そしてその種をそこの領主らしき男に渡した。

「と言う訳で俺達は行く、じゃあな」

 起き出したフィーロはまだ残っているトマトみたいな実を頬張って馬車を引き出した。

「お待ちください!」
「ん? なんだ」
「まだお礼を渡し切れません。是非――」



「あいつ等、在庫処理に困ったから俺に押し付けたんじゃないのか?」
「ど、どうでしょう……」

 現在、俺の馬車は4車両になっていた。
 先頭の馬車の後ろに3台の荷車がバイオプラントの実らせた作物を積載している。
 荷車と一緒に俺に贈与された物だ。
 笑顔で渡されたので仕方なく受け取ったけれど、呈のいい処分だったのでは無いかと疑いたくなるぞ。
 これだけ連結していると言うのにフィーロはご機嫌で馬車を引いている。

「重くて楽すぃいー!」

 フィロリアルとは変わった魔物だよな。
 ゴトゴトと馬車は揺れながら旅は続いていく。
 尚、除草剤が武器として使える事が判明したので、トレントが沸いた際、撒こうとしたら弾かれた。
 ……どうも寄生能力を持っている植物の魔物にしか使えないらしい。
 基準がわからん。
 あるいはバイオプラントは魔物では無く、唯の植物だったのかもしれない。
 まあ良い。もうラフタリアとフィーロがいる今、無理に俺が攻撃する必要もなくなりつつある。
 とりあえずこの食いきれない食料を処分する事だけを考えよう。
 そういえば……北方で飢饉があるとか噂を聞いたな。そっちに売りに行くとしよう。

「じゃあ北へ出発だ」
「はーい!」
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