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盾の勇者の成り上がり 作者:アネコユサギ

盾の勇者の成り上がり

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番外編 盾の勇者のクリスマス【5】

「さて……お前等、わかっているだろうが、サンタを捕まえようとかそう言う事を考えている奴の前にサンタは来ないからから、さっさと寝ろよ」
「そんなの考えるのは兄ちゃんぐらいだぜ」
「いいから寝ろ!」
「「「はーい!」」」

 早めの豪勢な晩飯を終えて、村の連中はその日、就寝した。
 時間はー……9時くらいか。早めに寝かせないと俺も面倒なんでな。

 そういや錬の方はどうなっているかな。
 今日は魔物退治の仕事をするとか言って出かけていたが……女騎士は食堂にいた。谷子も。
 あの後、何をしているのやら。

「さて、ラフタリア」
「な、なんですか?」
「良い子は、ぐっすり眠るんだぞ」
「それは私も子供だと言いたいのですか?」

 まあ、そうなる。
 と言うか子供だろ?
 まだラフタリアの実年齢って子供だし、村の連中と変わらない。
 ラフタリアが何を欲しているかは短冊で読んだけど、それ以外の物も用意してある。

「ナオフミ様は?」
「俺も寝るさ」

 そうして、俺達は早めに就寝した。
 なんてな……ラフタリアが寝入ったのを確認して、俺はベッドから這い出て、準備していた袋を持ってくる。
 村の大人勢が密かに倉庫に入れてあるのをプレゼントが無くなるたびに補充しに行かないといけないのかと思うと面倒極まりない。

「さてと」

 袋を持って、家の外に出るとトナカイのコスプレをしたフィーロが外で準備万端と言わんばかりに待ち構えていた。
 胸元にはベルが付けられているし、足にも大きな鈴が何個も付けられている。
 なんだその格好は。

「……」
「待ってましたー」
「ああ、はいはい」

 これが世界のアイドルの真の姿と知ったらファンはどう思うんだろうな。
 何か後ろには豪華なソリが準備してあるし。
 赤いデコレーションの施されたこのソリはなんなんだ?

「ラフー!」

 ピョンとラフちゃんがサンタ帽を被ってソリから顔を出す。

「ああ、これ、船なのか」
「ラフー!」

 どうだと言わんばかりにラフちゃんが肯定してる。
 なるほどなぁ。
 ソリは船のカテゴリーなのね。
 確かにこれは雰囲気が出るな。

「ほら! ごしゅじんさま! 早く乗って!」
「はいはい」

 ムード最優先か?
 俺は面倒だと思いつつソリに乗る。

「じゃあしゅっぱーつ!」

 フィーロが走り始める。と言うか羽ばたきながら走り出す。
 するとソリがそれに着いて行くのだけど……ふわりと浮き始めた。
 おい! ガチで空飛ぶソリを実現するんじゃない!

 シャンシャンシャンシャン!
 フィーロに施された鈴が鳴り響く。

「うるさい! ガキ共が起きるだろうが!」
「えー、でもサンタはこうしてプレゼントを配るってイミアちゃんの叔父さんが言ってたよ」
「まあ……そうなんだが、うるさいから外せ」
「そうなの?」
「ラフー」

 まったく、なんかこの二匹は楽しそうにしている。
 ご丁寧に何か空を走るとオーロラみたいな跡が空に描かれている。
 村の中限定のつもりが上空を謎の旋回している始末。

「ラフー!」

 ラフちゃんが叫ぶとオーロラの道筋が雲となって雪を降らせた。
 うん。ムードは果てしないけどさ、雪が邪魔で良く見えん。

「まずはキール辺りに配って行くか」

 飯とか欲しがっていたからお菓子を作っておいた。
 アイツはクレープが好きだし、同じ理由で甘い物が好きだろうという考えだ。
 それを枕元に配ればいいだろ。
 フィーロがキールの家の上空で止まる。

「何故止まる?」
「え? 煙突から入るんでしょ?」
「バイオプラント産の家の前で俺に障害など無い、下に停めろ」
「えー……」

 渋々フィーロはキールの家の隣に降りた。

「緊急通路」

 俺がバイオプラントに命ずると扉が出現して開く。
 そのまま中に侵入し、物音を立てないようにして俺はキールの枕元にお菓子を置いて出て行く。

「さて、次へ行くぞ」
「ぶー」

 フィーロが不満そうに声を漏らした。
 一々煙突から入って行ったら面倒だろ。
 まったく……サンタが実在したらスゲー面倒だよな。

 えっと、次は……。
 と、キールの隣の家に住んでいる奴を見る。
 ……バイオプラント産じゃない所か。
 俺はこんな事もあろうかと、スペアキーを取り出し鍵を開けて侵入、同様にプレゼントを配る。
 村の建物に開けられない扉など俺には無い。

「ねえ、ごしゅじんさま」
「なんだ?」
「泥棒みたい」
「サンタの仕事は親切泥棒だ。子供の枕元にまで来るなんて親か泥棒でも無い限り無理だろ? そのまま子供をお持ち帰りで誘拐ってな」
「えー……」
「夢と言うのは知らないからこそ、輝くんだぞ。一つ、大人に近づいたな」
「フィーロ、大人に成りたくない」
「そうか」

 まあ、夢も糞も無いもんな。
 俺もそう思う。

「さてー……次はフォウルとアトラか」

 アトラは一応、俺の盾の中にも住む場所があるが、普段はフォウルの家で寝かせている。
 ま、まず寝る事は無いが。
 今日は寝ていないと相手をしないと言っておいたから素直に従っているだろ。

 先にアトラからだ。
 ガチャリとアトラの部屋に入る。
 うん。一目で分かるタヌキ寝入りをしている。
 それはラフちゃんやラフタリアがすると可愛げのある事だ。

「よしよしーネテルナー」

 棒読みで俺は袋から準備していた、とある袋を取り出して近づく。
 アトラの事だ。これ以上近づいたら、俺をベッドに引きずりこむ気なのだろう。
 だが、こっちの準備は出来ているのだ。
 アトラには目でモノを見ると言うのは無意味だからな。気配だけで全てを察する。
 だから袋を持ってプレゼントを置こうと偽装したんだ。

「尚文さ――」

 ガバッと俺をベッドに招こうとしたアトラに俺は準備しておいた袋を被せて覆った。

「わ、なんですかこれは!」
「ああ、精霊でさえも触れることの出来る素材で作られた布だ。アトラ、お前が寝たふりしているのはわかっていたからな、捕まえさせてもらったぞ」
「尚文様に捕まってしまいました! これはお持ち帰りしてくださるのですね」
「ああ、はいはい」

 俺はアトラを袋に入れてきつく結び目を結んでそのまま部屋を出る。
 精霊を捕えられる袋の効果は実証されたな。
 これでアトラも出られまい。
 俺がお持ち帰りすると理解するや期待に胸を躍らせて大人しくしている。

「さてと」

 俺はその足でフォウルの部屋へ向かった。

「う……うう……」

 フォウルが冬眠中の熊みたいに深く眠っている。
 俺はそっと袋から寒さ耐性の付くアクセサリーをフォウルの首に掛け、ベッドの中に暖を取れる、魔力に反応して熱を発する魔法道具を忍ばせる。
 村の中では特に働き者になったからな。
 特別にプレゼントは多めに……いや、違うな。親からもらっていないであろう分、俺はフォウルにプレゼントを配ってやった。

「すー……」

 若干寝息が良くなってきたな。
 後は……。
 ベッドの脇にアトラを包んだ袋を置いて、その上に、精霊が触れられる布で作った手袋を置いた。
 これでフォウルもアトラに触れるようになるだろう。
 小手がコピーしてくれたらなおのことだな。

「ああ、尚文様! 早く私を開いてください」
「ああはいはい。じゃあな」
「放置プレイですね。私、幾らでも待っていますわ」

 頑張れよ。
 俺との夜を欲するアトラには、イミアに教えてもらった俺を模したぬいぐるみを袋に入れてある。
 イミア曰く、これさえ入れておけば大丈夫とか言って小袋をぬいぐるみの中に入れたが何なんだろうな?

「こ、これは! 尚文様と同じ気配! 素晴らしいですわ」

 アトラが幸せそうに悶絶を始めた。
 俺の身代わり人形が効果を発揮したようだ。
 これで俺との夜を楽しめるだろ。
 そう思いつつ、残念な妹を持つフォウルに、多めのクリスマスプレゼントを置いて出て行った。
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