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盾の勇者の成り上がり 作者:アネコユサギ

盾の勇者の成り上がり

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蛮族の鎧EX

 翌朝。
 既に作戦の準備は終わり、後は出撃を待つばかりだ。

 クズはアレから少し仮眠をし、そのお陰かある程度、作戦の目処が立った。
 まあ、あのクソ女神の行動は予測が出来る物じゃないからなぁ。
 俺も昨日、錬達と話をして纏めた情報をクズに伝えた所、クズなりの解釈で作戦は出来あがったのは朗報かな。

 クソ女神を始め、転生者はメルロマルクの近くへと全軍出撃している所らしい。
 作戦は女王を操って立てたモノである事はクズにはわかるそうだ。
 何でも転生者以外の敵軍の陣形がクズの知る形であるとか。
 辛い戦いになるな。

 で、今までは相手の意表を突く為にガエリオンやフィトリア、サディナ等のアタッカーを伏兵として敵地に投入していたが、俺の参戦から正攻法で攻め込む作戦に変えた。
 もっと時間があれば色々と仕込みを施すらしいが下手な小細工をするとクソ女神が色々と暴れ出すので、困りものだ。

 何処までも思い通りに事を運ぼうとする訳か。
 どんだけ勝ちを喜ぶ卑怯者なんだよ。
 楽過ぎたら面白くない。
 かといって自分の都合の悪い事は許さないって……。

 なんか、俺も経験があるぞ。
 ネットワークで対戦する携帯ゲームとかで自分の不利になると回線を切断された事がある。
 そのくせ、勝っていると面白くないとか言うんだよな。
 卑怯な手を使っておきながら。

 ふ……その腐った考えだ。
 死を持って償わしてくれる!

「さて、じゃあ出発するか」
「お待ちください盾の勇者様!」

 戦争に出発しようとした所で、兵士に呼びとめられた。

「なんだ?」
「連合軍でも凄腕の名工が盾の勇者様にと、防具を献上したいと申しております」
「……それは俺が贔屓にしている武器屋か?」

 兵士は無言で頷いた。
 昨日の今日で、何を作ってくれたんだ?

「わかった」
「ではこちらに」

 と、運ばれてきたのは一つの鎧だった。

 その名は蛮族の鎧EX
 俺が付けていた鎧とは別に作られた鎧だ。
 まあ、クソ女神にやられた時に全壊したのを力で修復したモノなんだけどな。
 再現性は高い。

 で、現在、目の前にある蛮族の鎧に使われている素材まで目利きする。使われている素材は……霊亀、鳳凰、麒麟のようだな。
 ついでに昨日、親父達に渡した書物の概念が組み込まれているのだろうが、カーボン素材が混じっている。

 考えてみれば竜帝の欠片を手に入れたガエリオンに更新させるのを随分忘れていたな。
 俺は鎧を脱ぎに付けていた核石を複製した物を外す。

「ガエリオン」
「キュア!」
『やれやれ……汝は相変わらずだな。それだけの力を得て尚、我の力が必要なのか?』

 俺が呼ぶとガエリオンが一歩前に出る。

『念には念をと言うんだよ』

 俺が念話で返すと親ガエリオンは念話でフッと声を漏らした。

「クエ!」
「うん! ガエリオンには負けないもん!」

 フィトリアが張り合って前に出る。
 同様にフィーロもだ。
 そしてアホ毛を一本取って俺に差しだした。

『ぬ……これは我も負けられんな』

 核石を頬張ったガエリオンがペッと核石を吐きだした。
 色がこれまでに無いほど鮮やかな赤く、炎の様な色合いに輝く核石だ。
 竜帝の結晶の様な物だ。

「ラフー!」

 ラフちゃんも一歩前に出て、鎧に魔法を掛ける。
 おお、ラフちゃんも凄いな。

 フィトリアの羽はどうやって使うんだ?
 とりあえず新しく作られた蛮族の鎧に乗せる。すると羽が輝いて蛮族の鎧に吸い込まれた。
 背中の部分に対の突起物が出来る。丁度、羽を通す穴の様な何かだ。
 そしてガエリオンの核石を嵌めこむと鎧は更に輝き、煌めく物へと変わった。

 蛮族の鎧EX
 破壊不可 防御力アップ 衝撃耐性(大)斬撃耐性(大) 火炎耐性(特大) 雷耐性(特大) 吸収耐性(特大) HP回復(強) 魔力回復(強)SP回復(強)
 魔力上昇(大) 竜帝の加護 魔力防御加工 自動修復機能 地脈の加護 生命の加護 竜属性 ドラゴンテリトリー
 成長する力 神鳥の加護 使い魔能力倍加 神獣の加護 魔物を統べる者 魔力航行
 四霊の加護 精霊の加護 人々の祈り 精霊との繋がり

 これまた様々な付与効果のオンパレードだな。
 全てを確認する暇は無いが、魔力航行ってのはなんだろうな?

 そもそも、もはや蛮族の鎧じゃないだろ。
 どこまでこだわるんだよ。
 親父は俺を野蛮人か何かと思っているのか?
 いや、多分本気で善意なんだろうけどさ。

「すごい……」

 錬が鎧を見てそう呟く。

「他の方々にも装備が届いております。ご確認ください」
「ああ、これならもっと戦えるはずだ!」

 俺は鎧を着て、感覚を確かめる。
 初めて着たはずなのにとても馴染む。
 まるで長年使っているかのような感覚を覚えた。

 フッと、背中の穴に魔力が通るのを感じた。
 試しに流してみよう。
 ふわっと、背中の穴から魔力で作られた羽が形成された。
 色は空色と桜色の翼だ。

「うわぁ……」

 周りの連中が絶句している。
 そりゃあそうか。

 というかどんな細工なんだよ。
 空を飛ぶとか今の俺なら出来なくはないが、これがあるともっと楽に飛べるぞ。
 魔力を通すのをやめて着地する。

「ふむ……俺が付けるのも良いが、これだけ優秀なら別の奴に付けさせるのも手だな」

 だって今の俺にはそこまで必要性が低い。
 前回の鎧も負けない性能だと思うし、これだけの性能があるのなら別の誰かに――

「ラフゥ!」
「クエェエエ!」
「だめー!」
「キュア!」
『汝、さすがにそれは容認せんぞ』

 ……魔物ズが異議を唱えた。
 知らんと言いたくもあるが、まあ善意で作られた鎧なんだからしょうがないか。

「はいはい。わかったよ」

 親父達が作ってくれた物だから最大限活用したいと思ったんだけど、余計なお世話だったか。
 サイズも俺に合わせて作ってあるしな。

 というか……着てから気づいたけど、この鎧……盾とリンクしているのか、防御が果てしなく跳ね上がった。
 ステータス魔法で表示される防御力が凄い事になってる。
 もちろん、神としてのと言う部分とは別にある俺がこの世界に居る時に出るステータスの事だ。

 凄いな。神の力でさえも受け止めきれそうな可能性を感じる。
 これは……確かに俺以外が使うのはもったいない防具かもしれない。
 世界中の希望で作られた鎧か……新しい精霊が宿りそうだな。
 専用装備、良い響きだよな。何処かの盾とは違って。

「ありがたく使わせてもらおう」

 俺はその場にいるみんなに向けて宣言する。

「待たせたな。じゃあ、今日こそ、この下らない戦いを終わらせる!」
「「「おう!」」」

 全員が各々の武器を掲げて、答えた。
 今日こそ、世界が卑劣な神の侵略から解放される時だ!

 戦場に出ると敵軍が既に待ち構えていた。
 クズの作戦では陣形を維持しつつ、俺が先陣を切って進む。
 出来る限りクソ女神の横やりを警戒しつつ、敵を各個撃破して敵を後退させ、敵軍の最後列に居るクソ女神を倒す。
 というシンプルな作戦だ。

 但し、こちらの軍にはクズ直々に色々と作戦が伝わって来ている。
 勇者勢はそれぞれ、敵のエースを相手にする予定だ。ま、それも俺が居る限りは問題ないだろう。
 今回はフィトリアも前線で本来の大きさで戦うらしい。あの巨体で戦うのか?

 同様に話はしていないがラトとミー君、谷子とガエリオンが戦線をかき乱してくれるそうだ。
 俺の方も、今日こそラフタリアが来ると思うが、元康が来ないと本気で相手しきれない。
 逃げられたら溜まったもんじゃないからな。

 問題はクズと女王の軍対軍の戦いだ。

「イワタニ殿、妻に関しては、ワシに任せてもらえないだろうか?」
「元よりそのつもりだ。お前が全てにケリを付けろ」
「父上……私も力を貸します」

 メルティがクズを支えるように宣言する。
 頼りにしているぞ。

「フィーロはー?」
「クズとメルティと一緒に行動してくれ。作戦指示をするとは言え、かなり危ない橋を渡るらしいからな」
「うん! わかったー」

 さあ、戦いの始まりだ。
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