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盾の勇者の成り上がり 作者:アネコユサギ

盾の勇者の成り上がり

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恋愛相談

 メルティの即位式を終えて村に戻ってきた。
 なんだかんだで色々と忙しいなぁ。
 やはり慣れ親しんだ村が一番ほっとする。

 ん?
 錬が女騎士を連れている。
 そういや錬は女騎士とよくつるんでいるもんな。
 女騎士はメルティの警護として今後は城の方へ栄転することが決定していたっけ。
 今まで波で活性化してしまった魔物から国を守れるように錬と一緒にLv上げをしていたはずだ。

「そっちはどうだ?」
「上々と言った所だな。これで少しはLv上げが捗ってくれると助かるのだが」
「そうだな……女騎士はどうしたんだ?」
「いい加減、イワタニ殿は私の名前を覚えろ!」
「エクレアだったか?」
「それはお菓子の名前だろ」

 錬のツッコミが鋭いな。
 ラフタリアはエクレアを知らないからエクレールさんですと注意してくる。
 知っているよ。わざと間違えたんだ。

「錬に色々と叩きこむと言っておきながら、もうお前が教わる立場だな。クラスアップまでしてもらえることを感謝しろよ」
「なんでイワタニ殿がそこまで偉そうなんだ!」
「そりゃあ、お前が偉そうだったからだ。あんまり地位を使うのは趣味じゃないが、今の俺は大公だ。実際に偉い」
「また出世したのか? その割にあんまり嬉しそうじゃないな」
「ああ、不本意だからな。で、世界が平和になった後の事も考えるなら相手の地位は見た方がいいぞ」
「むっ……確かに」

 俺の模倣をしたりと迷走が激しいからな、コイツ。
 前は何をしているんだったか?
 確かー……戦争中はクズの陣営でフォーブレイ相手に戦っていたはずだ。

「それで? 領地経営はわかってきたか?」
「イワタニ殿や女王、そして王を見ている内に少しずつ見えてきた」
「ほー」

 女騎士は結局、領主になるのが目的だからな。
 今のクズやメルティ、そして女王達は女騎士の理想とも言えるだろう。

「エクレールさん……」
「今回の戦いも、負けたら私達は悪と言われていたのだろう。正義とは……何であるかを学ばねばならん」
「勝てば正義じゃないのか?」
「そうとも言える。だが、強い領主に支配された地が果たして正義なのか? 民あって国だ。王あっての国では無いと私は……信じたい」
「エクレールは常に前を向いているな。俺も手本にしたい」

 錬が女騎士に向かって称賛している。
 なんだかんだで錬は女騎士を尊敬し、谷子の面倒を見ようとする。
 未だにそこは変わらない。
 谷子は物凄く嫌そうだけどな。
 俺は錬に顔を近づけるように合図して耳元で囁く。

「告白するのか?」
「な……そんなんじゃない!」
「ああ、お前は小さい子の方が好みか?」
「そ、それは――」

 錬が何か言おうとして我慢する。
 俺だとでも言いたいのか? 残念だが違うぞ?
 いや、違わないのか?

 ほんのちょっと前にメルティと事実上の婚約を結んでしまった訳だし、下手をするとロリコンだ。
 何より俺の周りは身体こそ大きくなったが年齢は幼い奴が多い。
 ラフタリアとかアトラとかフィーロとかキールとか、な。
 そう考えると微妙な気分になってくる……。

「そうだった……尚文は、何でも無い」
「何か言いたそうだな。何を言うつもりだった?」
「いや……その」

 錬が村で稽古する奴隷にレクチャーするフォウルを見る。
 なんでフォウルな訳?

「何を勘違いしているんだ?」
「え? だって尚文って両刀――」
「わかったもういい、喋るな!」

 まったく、とんだ誤解だ。
 俺がフォウルと一緒に寝たことがあるのは事実だが、色々と間違っている。
 まあ、ごつくはあるが、肌触りは悪くないな。

「恋愛は自由だぞ? 最近、俺は学んだ」

 アトラの遺言だけじゃないが、後悔しない為には恋愛する事も必要なんだと知った。
 何もしなかったからこそ後悔するなんて、夢にも思わなかった。

「錬」
「なんだ?」
「お前は世界が平和になった後、どうしたい?」
「……そうだな」

 錬は俺の伝えたい意味を汲み取って村に目を移す。
 聖武器の精霊は元の世界に帰るか、この世界に残るのかを選ばせてくれるらしい。
 俺は帰るつもりだが、錬達は残るのも悪い選択ではないと思う。

「残るのか?」
「わからない。エクレールは、どうしてほしい?」
「私か? 何故私に尋ねるのかはわからんが、お前には帰るべき場所があるのだろう?」
「ああ……元の世界がある。理想の世界であったこの世界に来たからすっかり忘れていた」
「どうするかはお前が決める事だから私は一概に言えん。ただ、その場所に心残りがあるなら帰るのも手だろう。世界を救って、罪は許されるかは私には断言できんがな。誰かの――」
「誰かの為に行動する事が贖罪だ。だろ? わかってる」

 なんだかんだで付き合いの長い二人だからな、通じ合っている仲と言えるのか?

「女騎士」
「だから名前を覚えろ!」
「お前は錬の事はどう思っているんだ? いや、この言い方だと良い仲間だ! とか言いそうだから単刀直入に聞こう。異性として錬はどうだ?」

 ちょっとからかい気味に尋ねてみる。

「前にも言っただろう? 異性では好みでは無い。レンもそう言うのは嫌だろ?」
「う……そ、そうだな……」

 あ、錬のハートに大ダメージが入った。
 こりゃあ錬の恋愛は先が長いか?

「この際だ。錬」
「……なんだ?」
「ナオフミ様、ちょっと自重をしてください」

 ラフタリアの注意を無視して提案する。

「谷子で我慢するのはどうだ?」
「ギャウ!?」

 俺の言葉にガエリオンが思いっきり睨んでくる。
 ああ、やっぱり嫌なのね。
 お前に娘はやるものか! って感じだ。

「ウィンディアは……責任を取りたいと思っているのだけど……」

 関係が進まないと。
 色々と大変だな。

「ナオフミちゃーん。部屋で待ってるわー」

 遠くでサディナが思いっきり親しげに手を振っている。
 突然出てきて何言ってんだ? 空気読め!

「これが俺と尚文の差か……」
「あのな……相手が悪いだけで錬、お前にも結構、懐いている奴等はいるからな?」

 女騎士と谷子はなー……二人とも恋愛に興味が無いだけなんだろうし、相手が悪い。

「何やってんだ兄ちゃん?」

 キールがやってきた。
 なんだかんだでキールもかなり強くなって来ている。
 まだ変幻無双流は習得していないけどな。けるべろすでどうにかしている感じだ。
 担当は樹の組みでフォウルと一緒だ。

「キールか。そっちはどうだ?」

 サディナのLv上げに付き合っていたから、キールとは別なんだよな。
 キールはなんだかんだで泳ぐのが好きだから、俺の方へも来たがる。
 親は漁師っぽいし、その辺りを学びたかったって奴?

「強くなって来たぜ! 兄ちゃんの方にも行きたいけどこっちはこっちで楽しい!」

 けるべろす形態は弱点こそ多いらしいが強いからなぁ。
 それにしても、戦いが楽しいってフィーロみたいな事を言い出したな。

「それで何の話をしてたんだ?」

 恋愛の話だったか?
 いや、村の連中で錬に懐いている奴の話だよ。

「錬の事を気に入っている村の連中っているか? って話だ」
「尚文、無理に聞きださないでくれ。なんて言うか、心が痛い」

 人が嫌がることをするのが俺の役目!
 とか言いたくなるけど、今の錬なら大丈夫だろ。

「まずはイミアちゃんの叔父さんだろ? 他にウィンディアとエクレールさん。でー……」

 ペラペラとキールは錬の事を気に入っている村の連中の名前を上げて行く。

「だから結構多いぜ? 嫌われていると思ったのか? 気にしなくて良いと思う」
「あ、ありがとう……」

 まあ、イミアの叔父は錬に鍛冶を教えているし、付き合いはあるだろう。同性だけどな。
 しかしキールは恋愛感情は……無いみたいだな。クレープの木に恋してそう。
 錬が玉砕した女騎士と谷子の名前を出す辺り如実だ。

「人の評価を気にしているのか?」
「……そう言う訳じゃない。戦いにおいてそう言う時の優先度の話だ」
「なるほど、メンタルの関係も戦闘では重要だ。守りたいと思える相手と一緒に戦うからこそ力が出るなんて話を聞く」

 さすがの女騎士もどんな話題にしているのか気付いたな。
 ここで一石を投じてやるのは俺の仕事か?

「女騎士、誰かがお前の事を好きだと言ったらどうする?」
「その気持ちは素直に嬉しいと思うはずだ。だが、悪いが私に色恋を嗜む余裕は無い。丁重にお断りするだろう」
「錬でもか?」
「ああ」

 あー……錬が物凄く落ち込んでる。
 告白する前に玉砕か。
 なんだかんだ言いながらやっぱり好きなんじゃないか。
 しかし、これで終わった訳じゃないと思う。
 あんまり失恋でテンションを落とされても困るからな。

「錬」
「……なんだ?」
「ああいうタイプは恋愛事には疎いからな。いざ実際にそう言う事態になるとうろたえるかもしれないぞ? 運が良ければ告白してきた異性を意識し始めるかもしれない。だから、諦めるのは早い」
「わ、わかった」
「ただし、空気は読めよ。今すぐ告白してもきっと頷いてはくれない。もっと力になって見せてから、告白するのが良いと思う。そうだな……世界が救われた直後の高揚感に任せて言ってみるといいかもしれない」
「あ……ああ!」

 俺の言葉に錬が元気良く頷いた。意外に単純だ。
 ま、俺はこういう経験をギャルゲーくらいでしか知らないから一概に言えないけどな。
 それこそ元康にでも聞けば良さそうな情報が出てきそうだが、今のアイツじゃな……。
 ちなみに俺は、かもしれない、と思う、みたいな感じで断言していないので失敗した時に責任は取らない。

「では私はこれからレンに連れられて城へ着任する。イワタニ殿、これまで色々と教えてもらった礼はいずれ返す。では」

 こうして女騎士は錬のポータルで城の方へ行った。
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