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盾の勇者の成り上がり 作者:アネコユサギ

盾の勇者の成り上がり

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処刑

※この話はタグにある通り、過度な残酷描写が入ります。
しかし物語上、必要であると判断しました。
 その後はグラスが代表となって、グラスの世界の小さな国の連中と和平交渉を行った。
 新たにこの世界の住人となってしまった者達は戸惑いを覚えつつ、先の見えない状況を受け入れて行くしか出来ないようだった。

「それでは、波から世界を守るために、共に手を取り合って行きましょう」

 クズが代表してグラスと握手をし、交渉はつつがなく終わった。
 まあ、言語の問題があるからそこまで仲良くできるか怪しいけれど、それはこっちの世界も変わらないか。
 そんなこんなで、和平に関する問題はクリアされた。
 後は……。


「や、やめろぉおおおおおおおおおおお!」

 和平交渉の翌日、世界を私物化し、世界征服を企んだ偽者の勇者事、タクトとその一味の公開処刑が行われる。
 さすがに勇者の威信もあって四聖は元より、眷属器の勇者が揃い踏みで処刑を見る羽目になった。
 この辺りは見世物としての知識が豊富なゼルトブルの闇ギルドが大々的に処刑を演出する……と言うのが、連合軍や各国に決定された。

 処刑方法をゼルトブルが提案し、各国が了承を得た形で今回の処刑は行われる。
 どんな内容なのかは俺も一応は目を通している。
 クズは……なんだかんだで自分の娘も処刑されることに泣きそうな顔をしていたがな。
 俺が注意しようとした所で硬く握りしめていた拳を緩めて、何度も頷いて。

「イワタニ殿……心配はありませぬ。ワシの独断で処刑をやめさせる等はしませぬよ」

 青い顔をしながらも娘の末路に関しては黙認すると俺に断言しているその姿は、哀れに思えた。
 さて、その処刑の内容なんだがな……。
 タクトは俺が倒した後、意識が戻る前に砂時計でLvリセットの刑にまず処された。
 もちろん、取り巻きの女共も含めてである。

 この辺りで多少女共が暴れたらしいが、錬やサディナ、フィーロによって抑えられた。
 結果、最低Lv250だった連中は見るも無残にLv1軍団と成り果て、動くのもやっとと言う状況に陥っている。
 まあ、一部には武人系の女共も居たみたいで、動く事も出来るみたいだったがな。
 他にはー……フォーブレイの方でタクトと関わり合いがある女共の炙りだしも、終わっている。

 フォーブレイが戦争で敗北した!

 という情報が届く前に、勝利したのでタクトのハーレムの者はメルロマルクに集合と偽の伝達兵が宣言した所、集まる集まる。
 ラトのライバルだった幼女白衣というのも捕まったそうだ。

 何人集まっただろうか?
 元康がその辺りの女の捕縛に駆り出されていた。

「豚がいっぱい居ますね。汚らわしい」

 なんて言っていたらしい。
 女と見れば誰でも声を掛けていた時とは違いが出ているな。
 で、ゼルトブルがどんな処刑案をしたかと言うと……。

 タクトは一枚の板に首と手首を挟まれて歩くことしかできない様にされて、しかも動けないように念入りに足枷と手錠を足に掛けられている。
 まさしく、見るだけと言う状況だ。
 厳重な事だなとは思うが、変な能力を所持している分、注意する必要はある。

「きゃあああああああああああああああ――」

 動けないタクトの目の前で一人一人、様々な処刑を見せつけると言う物である。
 火炙りに始まり、水責め、絞首刑、ギロチン、ファラリスの雄牛、銃殺、馬車で轢き殺す、轢き回す。
 様々な魔法による魔法刑、毒物を服用させる、魔物に噛み殺させると、朝からずっとこの光景が繰り広げられている。

 サディナの電撃魔法刑は凄かったな。
 手慣れた感じで、生かさず殺さず、ギリギリの境界線を罪人である女にしていた。
 ゼルトブルの処刑人が唸っていやがった。

 アトラや女王の仇とは言え、最初はスッとしていたが、なんか段々と複雑な気持ちになっている。
 国は元より、教会の威信、勇者神話に泥を塗った存在故に、タクトの罪は非常に重い。

 そんな中でも国民はタクトに向けて石を投げつけていた。
 要約すると、タクトの心を極限まで壊してから処刑する。
 という事になっている。

 まあ世界征服を企て、勇者殺しをした挙句、伝説の武器に偽者と証明されたからな。
 勇者信仰の盛んなこの世界では、怒りが集中するのも頷ける。
 今まで信じていた相手が偽者だなんて知ったらな……。

 タクトは無力な中で必死にもがき、殺されて行く女の名前を一人一人叫んでいた。
 首、手首、足と拘束具が付いている所からは血が溢れていた。

「ぐ――う……もう、やめろ! 殺すなら俺だけで良いはずだ! なんで彼女達まで殺されなきゃ――」

 はぁ。
 俺は何度目かの憂鬱な溜息を洩らす。

「何度言わせるんだ! お前の罪は死ぬだけでは許されないとのお達しだ!」

 タクトを抑え込む処刑人がタクトに向かって宣言する。
 そしてタクトの顔面をこん棒で殴り飛ばした後、回復魔法を掛ける。
 死なないように回復魔法を掛けて拷問するって、異世界独自の方法だよな。
 やった俺が言うのもアレだとは思うが。

「……あんまり目に良い光景ではありませんね」

 処刑場に設置された椅子に座る俺にグラスが話しかける。
 気持ちはわかる。
 いくらアトラの仇とは言え、あまりに残酷な処刑を他人がやっているのは、一歩後ろから見ていると冷静になるもんだな。

 これは以前、三勇教が起こしたクーデターの時も思ったな。
 つまるところ結局俺は現代の人間って事だろう。
 処刑シーンを娯楽として見れないし、なんだかんで甘いんだな。

「そうだな……ただ、世界を玩具にした責任を奴一人に被せる訳にはいかないんだと」

 タクトの両親、この場合は母親は元より、血縁者は全て処刑される。
 父親は……居なかったな?
 よく知らないが既に死んでいるらしい。
 確か、さっき妹が処刑されていたな。

『助けておにいぢゃ――』

 って串刺しの刑だったな。
 見ていられないし、断末魔を聞いていたら嫌な気持ちにもなる。
 こんなのを見世物にするというのも理解できないが、俺の世界でも似たような事をしていた時代もあったらしいから非難する訳にもいかない。
 なにより、連中を助ける義理もない。

「頭では理解しています。私も自分の世界を守るために他の世界を滅ぼしました。けれど……」
「こんな光景を当たり前のように受け入れていたらそれこそ狂人の領域だ。お前は正常だよ。それに、あんまり考え過ぎて後々の戦いに影響が出ると困る」
「……そう、ですね」

 ちなみにグラスも処刑に関して協力している。
 何を協力しているかは、もうすぐ判明するけどな。
 タクトの奴、本日何十回目かの俺へ殺意の目を向けてくる。
 俺は立ちあがって、タクトの元へ近付く。

「捕虜は丁重に扱うべきだとか思っていたのか?」
「当たり前だ! こんな事を、勇者が許すはずがない! 俺から武器を盗んだ偽者め!」
「何を言うかと思えば……お前は知らないのか? お前が殺した奴で一番偉いのはメルロマルクの女王だ。つまりメルロマルクは雪辱戦をしていたんだよ」
「何言ってんだお前?」

 タクトの奴が、首を傾げて馬鹿にした様な目を向けてくる。
 言葉は選べよ……。
 まあ、良いだろう。哀れな転生者に教えてやろうじゃないか。

「お前とその取り巻きは憎き宿敵、国敵を惨たらしく処刑するのは当たり前だろ? 勇者は関係ねえよ。ましてや捕虜な訳ないだろ?」

 ぶっちゃけ、ここまでの事をされて敗戦国の代表者と関係者が殺されないはずが無い。
 メルロマルクは共和国ではなく、王国だ。
 ピラミッド式の組織体系をしている。
 その頂点を殺したんだ。
 そんな国と戦争に負ければどうなるのか、想像も容易いだろう。

「世界は俺の活躍で解放されるはずだったってか? その身勝手で何人の人間の血をその手に染めた? 自分が満足すれば何をしても良い。そのツケが回ってきたと思え、易々と世界征服なんて乗り出した罰だ」
「殺す! 例え首だけになってとしても! 魂だけになったとしても、お前を念じ殺してやる!」
「……俺の世界の創作物で出てくる探偵の言葉を贈ろう。『撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ』お前はどれだけの人間をその手で殺してきた? その手で作った銃器で殺した? お前が関わって殺した人間の恨みを受けるだけの覚悟が無いのに何を抜かす?」

 俺だって負けたらきっとラフタリアは元より、全てを失っていただろう。
 まあ、この偽勇者の事だから村の中で顔の良い女は生かして……犯してから洗脳とかしたかもしれないが、今、まさに行われているような事態に似た皆殺しはあるはずだ。
 それは十分理解していたし、殺される覚悟もある。

 なにより、俺はアトラに……散っていった村の連中に誓ったんだ。
 必ず仇を討つと。

 その為ならどんな卑怯で下劣な事でもするつもりでここまで来た。
 奴等がこんな事を望むかは知らないが、それでもやめるつもりはない。
 とんでもない程傲慢だが……俺は俺一人でここにいる訳じゃないんだ。

 この残酷な処刑をした事が俺の罪だと言うのなら、死んだ後地獄でもなんでも行ってやる。
 少なくとも天国にはいけないだろうしな……。
 というか、神を謳う奴に喧嘩を売るんだ。
 天国もクソもないな。

「身勝手をした罪がお前を捕えただけだ。受け入れろ。勝てば官軍、負ければ賊軍だ」
「ふざけるなぁああああああああああ!」
「黙れ!」

 処刑人がタクトの口を布で塞ぐ。
 タクトの目が濁っている。もう直ぐ血の涙を流しそうだ。
 いや、既に涙が赤く染まり始めている。涙腺がおかしくなりだしたな。

 人間はここまで壊れずにおかしな目で居られるのか。
 とか、考える。
 ま、後ろで聞こえる甲高い悲鳴を聞くのもウンザリしているんだけど。

「あ……ああ……」

 お? 白衣幼女だ。確かに見た目、お子様白衣。
 ぶっちゃけお医者さんごっこにしか見えない。
 そいつが連れて来られているけど……なんだ? あの隣の培養槽。
 階段が設けられていて、その上に無理やり追い込まれる。

「や、やめ――」

 ドンと突き飛ばされた後、白衣幼女が培養槽に落ちた。

「がぼぼぼぼぉおおぉおおほお――」

 物すごく泡立ってる。
 硫酸風呂にダイヴ?
 ドン引きだ。
 刑の提案をしたのはゼルトブルらしいが……あんまり関り合いにはなりたくないな。
 こんなクソみたいな事を見世物にして金を稼いでる国なんだろうな。

「んーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」

 タクトの呼びかけが騒がしい。
 やがて……。
 うん。これは語らない方が良いな。
 敢えて言うならクリーチャーエンド。

「さて、次の催しは……」

 いい加減うんざりした頃に興味が出る演目が開かれた。
 それはどんな物かと言うと――

 ヴィッチと数名の女が歩いて来た。
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