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盾の勇者の成り上がり 作者:アネコユサギ

盾の勇者の成り上がり

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許されざる閃光

 問題は相変わらず存在する吸収攻撃だな。
 霊亀甲はMP吸収を無効化する事は出来ない。
 蛮族の鎧には吸収耐性(中)があるお陰か、魔力がゼロになる事は無かったのが幸いか?

 ……SP吸収も可能性として捨てきれないのが厳しいか。
 ドレイン無効のソウルイーターシールドに変えても良いが、その場合は防御力に不安が残る。
 耐えきれなくは無いだろうが、霊亀甲で辛うじて耐えきれているような気がする。
 ラースシールドに頼る必要は無いけれど……どう対処するか迷うな。

 ん?
 低高度にいる鳳凰がダメージが治って行く。
 おい……まさか、この技を放った場合、回復が早まるとでも言うのか。
 高高度の方に目を向ける。
 一応あっちは回復に時間が掛るようだけど、厄介極まりないな。

「回復しきる前に押し切るぞ!」
「「「おう!」」」
「頑張ります!」

 俺の号令に攻撃を再開する。
 各々が一番強力な攻撃を放ち、目に見えた形で鳳凰を消耗させていく。
 霊亀の時とは雲泥の差だな。
 あの時は長い時間が掛ったが今回はそこまで時間を掛けずに終える事が出来そうだ。

 あの厄介な攻撃は……危ないけれどソウルイーターシールドで耐えてみるとしよう。
 俺に火耐性の魔法を重点的に掛けさせることを指示する。
 よし、俺は鳳凰を抑えつけながら、ルコルの実を口に含んで魔力を回復させる。
 そして効果時間が切れたアル・リベレイション・オーラを掛け直しを図った。

「ごしゅじんさまー」

 フィーロが上空で俺に指示を仰ぐ。

「もっと力が欲しいのー」
「わかった。こい!」
「うん!」

 俺はファミリアフィロリアルを作動させて、俺に寄生しているファミリア一匹を、フィーロに投げ渡す。
 投げ渡されたフィロリアルはフィーロに引っ付く。
 そのままモードチェンジフィロリアルを使って、パワーを発動させた。

「ありがとー」

 フィーロが羽毛を膨らませて高高度の鳳凰を蹴り飛ばす。
 ……そうだ。
 後方で魔法を唱えるフィロリアル部隊にもこのモードチェンジを使えば良いんじゃないか?
 見た感じだと、ヒヨだったかが後方で魔法を使う担当のようだし、ファミリアをやれば……威力の向上が見込めるかもしれない。出来ればの話だけどな。

「ピィ!」

 俺の意図を察して、ファミリアが高速でヒヨの方へ駆け出して行った。
 しばらくすると、フィーロ以外でもう一つアイコンが浮かぶ。
 よし、こっちはマジックだ。
 これで少しは楽になるはずだ。
 あとはー……カモンラフを使うかだよな。
 徐にラフタリアの方を見る。

「なんですかナオフミ様?」
「カモンラフ――」
「既に連れてきてるじゃないですか!」

 そりゃあそうだよな。
 考えてみれば無駄に増やしても意味は無いし、俺のSPも減る。
 しかも無意味にラフ種を死なせかねないから危ないな。
 何か決定打となる手段は無いのか?
 ……そうだ。

「ガエリオン!」
「キュア?」
「錬を連れて高高度の鳳凰に挑め」
「尚文、良いのか?」
「こっちは火力が足りている。あっちを弱めるのに力を注いでくれ。倒したと思ったらこっちにもスキルを放ってくれれば良い」
「わかった」

 俺の指示にガエリオンと谷子が従って降りてくる。
 これで少しは戦闘が楽になる事を願おう。
 回復が厄介だけど、高高度の方がタフなんだ。
 低高度の方は、回復速度こそ速いが、体力は少ないと感じた。

 錬はガエリオンに乗って、高高度の方へ挑んでいく。
 と言うか……高高度の方は魔法に強く、物理に弱い傾向がある気がする。
 サディナや女王の大規模魔法の効果が薄いから間違いないだろう。
 この場合、低高度の方が魔法に弱い可能性があるな。
 俺の考えを悟ったのか、影が現れた。

「女王の分析で、イワタニ殿の方に儀式魔法を当てたいと進言があるでごじゃる」

 お? よく知る影じゃないか。何処へ行っていたんだ?
 と言うのは後で良いか。

「わかった! 各自、俺から離れろ! 儀式魔法が飛んでくる」
「尚文様は!?」

 アトラの声に俺はフォウルの方を見る。

「俺は耐えきれる。魔法が終わったら、また攻撃を再開するんだ」
「ですが――」
「大丈夫だ。それよりも急げ」
「わかりました。アトラさん。行きますよ」
「……お前は本当にそう言う事ばかりだ」

 フォウルが呆れたかのように言ってラフタリアと一緒にアトラを連れて後退する。
 俺の指示で後方が下がる事を確認した女王とサディナは俺と鳳凰に向けて儀式魔法を発動させる。
 水で作られた竜巻が、空から俺に向かって降り注いだ。
 ぐ……耐えきれるし痛みは無いが息が出来ない。

「キュイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!?」

 三十秒ほどの高密度の竜巻だったが、鳳凰には良いダメージが入ったな。
 まあ、錬の攻撃ほどではないのが悲しいが、ラフタリアやフォウルの攻撃を連続で当てた程度の威力は出ている。
 やはり、低高度の方は魔法に弱いようだ。
 とりあえず、攻略の糸口は見えてきたぞ。

「キュイイイイイイイイイイ!」

 また低高度の鳳凰が炎に形を変えながら突進攻撃を始めた。
 俺はソウルイーターシールドに変えて受け止める。
 ちりちりと全身を焼き焦がそうとする攻撃に、意識を持って行かれそうになる。

 やはり真正面から受け止めるには厳しい攻撃だ。
 これで、火耐性の魔法を受けているのだから、どれだけ高火力なのやら。
 突進が終わった俺は肩で息をしながら回復魔法が飛んでくるのを待つ。
 そして高高度の鳳凰が強力なブレスを放つかどうかを確認した。

 ……うん。どうやら魔力が奪えないと使えないみたいだな。
 火の粉が漏れるだけで何も起こらなかった。
 まあ、問題として低高度の鳳凰の回復は止まらなかったけれどな。これは別口だったようだ。

 行ける。このまま押し切ればどうにかなるはずだ。
 後は低高度を弱らせて同時撃破すれば、勝てる。

「よし! このまま畳みかけるぞ!」

 と、宣言したのと同時だったと思う。
 ……俺はこの時の出来事を絶対に忘れない。


 ――遥か後方から一筋の光が……高高度の、大分弱ってきていた鳳凰を討ち貫いた。


「な――」

 まだ致命傷を与えるには足りないはずの所で、しかも低高度の鳳凰が回復したその場で何を――
 と、俺は光が飛んできた方向に目を向ける。
 連合軍が構えている場所とも違う遥か後方だ。

 一体、なんなんだ!?
 鳳凰の隠された攻撃か? それとも……。
 いや、今はそれ所じゃない。

「キュイイイイイイイイ――」

 まるで焼け落ちるかのように空中で高高度の鳳凰は羽根だけを残して霧散する。
 ばらばらと辺りに羽根が落ちるのを確認した。

 やばい……。
 後方で魔法を唱えている部隊は先ほど大規模な儀式魔法を唱えたばかりだ。
 低高度の鳳凰が魔法に弱いと知っていても、即座に魔法を放てない。
 放心から立ち直った俺達は低高度の鳳凰に目を向ける。

「キュ――」

 ピタリと低高度の鳳凰が動きを止める。
 そして……。

 ゴボ……。

 歪で不気味な音が響く。
 少しずつ、その形状が膨らんでいるのが見てとれる。
 魔力や熱量が鳳凰に凝縮して行く。

「一斉攻撃だ! 早く、一刻も早くコイツを仕留めろ!」

 避難なんてしている暇は無い、一秒ごとに膨れ上がっていくのがわかる。
 弾ける前に殺さないと大規模な自爆攻撃が始まる。

「流星剣! 重力剣! ハンドレッドソード!」
「流星槍! ブリューナク! エアストジャベリン! セカンドジャベリン!」
「流星弓! バードハンティング! スプレッドアロー!」

 勇者共が全力で息もつかせぬ連続スキルを放つ。

「エアストスロー! セカンドスロー! ドリットスロー! トルネードスロー!」
「八極陣天命剣連撃! 一式! 二式! 三式!」
「タイガーブレイク!」
「すぱいらるすとらいく! はいくいっく!」
「尚文様! 早く仕留めないと! てい!」

 アトラも急かしながら鳳凰の急所を突き始める。
 半ばやけくそだ! ガエリオンの能力覚醒を兼ねてラースシールド展開させる。
 精神浸食? そんな事を考えている暇は無い!
 巨竜化したガエリオンも状況を理解して、鳳凰に向けて魔法を詠唱しつつブレスを放つ!

「プロミネンス・ダークノヴァ!」

 谷子の協力もあって即座に放たれた必殺のブレス!

「貫け! シールドプリズン! チェンジシールド(攻)! アイアンメイデン!」

 ガエリオンのブレスに合わせて鳳凰をシールドプリズンで拘束する。
 もちろん、SPとEPを合わせた強化版のシールドプリズンでやっと閉じ込められたに過ぎないがな。
 そして俺のSPを全て犠牲にしてアイアンメイデンが鳳凰事、プリズンを破壊して攻撃する。

「はぁ……はぁ……はぁ……」

 念の為に魂癒水を取り出して飲み、アイアンメイデンが尽きるのを確認する。

「みんな、やったか?」
「ど、どうにか」

 全員、息が切れるほどの連撃を繰り返した。
 俺もラースシールドのアイアンメイデンまで使っているんだ。
 これで……。

 バキ……。
 アイアンメイデンの効果時間が終わる直前、鉄の乙女が砕け散る。
 その中には膨れ上がり、限界を迎えつつある鳳凰の姿があった。
 ぐ……クールタイムが。

「くそっ! ここでやられる訳にはいかない」

 俺はこれ以上の被害を出さない為に、完治からまた時間の掛る禁じ手に手を染める。

「ブルートオプファー!」

 咄嗟に詠唱し、カーススキルを唱える。
 ぐ……全身から血が噴き出した。

「尚文様!?」
「ナオフミ様!」

 錬や元康、樹にはカースを飲みこまれずに使いこなせるだけの意志が無い。
 使い慣れない禁じ手であるし、咄嗟に変えるには時間が足りない。
 ならば俺が使うしかないだろう。
 大ダメージを受けたまま、俺は膨れ上がる鳳凰に向けてブルートオプファーを放った。
 よし!
 下から竜のアギトに似たトラバサミが鳳凰を捕え――。

「な――」

 バキっと音を立てて鳳凰が破裂した!
 目標を失ったトラバサミが炎に焼き切れる。
 俺はふらふらなまま、全員の前に立って、自爆攻撃を受け止めるべく、気で作った技である集を発動させる。

 今、ここで自爆攻撃なんて受けたら俺以外じゃ助かる見込みなんて無い。
 そりゃあ勇者はもしかしたら耐えきれるかもしれないが、連合軍は元より奴隷共がいるんだ。
 引く訳にはいかない。

 鳳凰が居た場所にはまるで太陽のような煌々とした凝縮する炎の玉がある。
 それが今まさに破裂し、辺りを焦土と化す終末の炎となった。

 同時刻、遥か遠く……メルロマルクからでもその時に打ち上がった炎が目撃される事となる。
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