挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
盾の勇者の成り上がり 作者:アネコユサギ

盾の勇者の成り上がり

298/835

勇者の日記

 城の中で鳳凰に関する資料の閲覧を俺達は行った。
 書物の類はどんな被害があったのかと言うのが乗っている。
 当時は相当な被害が出たらしい。
 で、やはり頼みの綱として勇者が召喚され、最終的に鳳凰を封印して事無きを得たそうだ。

「錬や元康、樹、お前等の知識じゃ鳳凰は何処に封印されているんだ?」
「あの山です」

 樹が窓の外に見える縦に長い山……東洋の山とでもいうのか?
 を指差していた。

「ああ、あそこだ」
「そうですぞ。お義父さん、あそこです」
「ふむ……ゲームだとどんな感じで封印が解けるんだ?」
「クエストの話だよな? あそこにある封印の石碑から蘇る」
「そうか」

 霊亀の時は霊亀自身が起こした振動の所為なのか、壁画とかが大半壊れていたからな。
 今回は普通に資料を閲覧できる分、幾らか楽になりそうだ。

 ん?
 鳳凰を封印した勇者が残した日記だ。
 召喚されてから鳳凰挑んだ後、寿命で死ぬまでの記述がされている……らしい。

 こういうのだよ。
 先人の知恵というのは役に立つもんだ。
 昔の勇者のマネをして鳳凰を倒すなり封印するなりすれば良い。
 学校で習う事も突き詰めれば偉い連中のマネだしな。

 日記には、異世界に召喚され、七星の小手の勇者に選定された後、戦いの日々を綴った内容のようだ。
 本来居た世界がどんななのかはよくわからないな。
 VRMMOとか超能力とかは書かれていない。俺か元康の世界に近いのだろうか?
 見方によってはネット小説みたいだ。実体験を元に書いてある。

 むかつく奴を倒してやったとか自慢話が大半だ。
 ハーレム自慢はやめろ。気持ち悪い。
 女の子との官能シーンなんてどうでも良いから。
 童貞卒業をした記念と第一夫人の出会いから関係を結ぶまでの経緯って凄くどうでも良い。
 第一夫人は召喚に立ち会った姫らしいが、俺達からしたら姫は地雷だ。本名も含めて。

 俺を含め、異世界人って皆こんなんなのか?
 ともかく飛ばし読みすると重要な部分まで飛ばしそうなので、熟読する。
 早く有用な情報が見つからないかな。
 というか、こんな物を後世に残すとか、コイツは何を考えていたんだ……?

 考えられるとすれば、まんま日記か?
 日本語で書かれている訳だし、この世界の連中じゃ読めないから、その可能性は高いと思う。
 だとすると脚色入ってそうだよな。
 少なくとも本人は後世に残すつもりは無かったと思いたい。
 じゃないと痛い自伝だぞ。

 錬も微妙な顔をしている。
 元康は……みどりに読ませて、何してんだ。三匹の羽を弄っている。
 というか、みどりは読めるのか?
 樹は淡々と読んでいるな。何かあったら話し出すとは思うけど。
 鳳凰の記述を教えろっての。

 とー……読み進めて全部読み終わった訳だけど。
 肝心の鳳凰戦に関する所や四霊に関する出来事、その他波に関する所の巻だけ無い。
 クラスアップの方法とかや強化方法に関しても知ることが出来れば良かったのに。

「おい。肝心な所が無いぞ?」
「現存する資料はここにある物で全てです」

 またか。
 おいおい……かなりボロボロの本を辛うじて読んだのにどういう事だよ。
 誰か意図的に削除してるんじゃないだろうな?
 と、愚痴を溢したくなる位、重要な部分だけ無い。

「……過去にこの地で戦争があり、その時に焼け落ちてしまいました」
「随分とピンポイントで焼け焦げるもんだな」
「す、すいません……」

 学者が謝りながら資料を再確認して説明してくる。
 うわー……つっかえねー。
 文句の一つ位言いたくなるってもんだ。

「後はこれだけですね。写本が一点だけ残っておりました」

 と、渡された紙の束。
 これは写本じゃなくて束の次元だろ。しかも穴だらけだ。
 あ、辛うじて鳳凰の記述がある。

 鳳凰の目的は・・・・・を糧に・・・・・・・・の阻止だ。
 終末の波の時は封印出来ない。
 そして倒す場合は二羽同時に・・しないと・・・・・・・・。
 攻撃パターンを残――

 まで読めたが、所詮は写本。途中から日本語としての体裁を保てずに解読不能に陥った。
 これだって他の勇者共と話し合ってやっとの事読めた内容でしかない。
 攻撃パターンから先が読めないって舐めてんのか?
 誰だよ。こんな大事な物の保管を怠った奴は。

「次は過去の勇者様が残した壁画がありますので、そちらをご確認される事をお願いいたします」
「ああ」

 俺達は霊亀の町で会ったような壁画を期待しつつ、やはり観光地になっている寺院へと足を運ぶ事になった。


「妙に連合軍の連中が並んでいるな」

 壁画がある寺院に入ろうとした所で、表門と言うか、少し離れた建物に長蛇の列が出来ている事に気付いた。
 その列に物を売って歩いている商売人がいるようだけど……鳳凰復活が近付いていると言うのに商魂逞しいな。

「そちらも後で勇者様方には拝見して頂きたい場所でございます」
「ふーん」

 じゃあ詳しく聞かなくても良いか。
 今の俺達に重要なのは鳳凰の対処だ。
 俺達にしかわからない事がその壁画に描かれている可能性も高い。
 この世界の連中からしたら模様かもしれないけど、俺達の世界じゃ文字として成立している物だってあるはずなんだ。
 霊亀の時のようにな。

 と言う訳で俺達は寺院に足を踏み入れた。
 やはり元々は伝説の勇者に肖る観光名所だったらしく、石造りの寺院の中を歩いて行く。
 なんか物々しい雰囲気があるなぁ。
 コツコツと歩くと反響してくる。

 で、坊主っぽい奴が出迎えてくれるし……それでありながら服装が神父っぽいと言うか、和洋混在?
 蝋燭の火が暗い寺院を照らす。
 寺院の中は鳳凰を模した像が所々飾られている。
 薄暗い事もあって、こう。緊張してくるような気がする。

「で? その勇者が残した壁画ってのはどれだ?」

 壁には古臭い文字なのか分からない物やマヤ文明の壁画みたいな画風の物が記されていたりして安定しない。
 騙されて変な観光地へ連れて来られた気分だ。

「こちらでございます」

 と、案内されたのは寺院の一番奥にある大きな……壁画だった。
 しかし……暗いな。全貌が掴み辛い。

「暗いですね。ファストグロウファイア」

 女王が暗い室内を魔法の明かりで照らす。
 そこに現れたのは確かに鳳凰の事が記された大きな壁画だった。
 勇者が描いた物なのかはよくわからないけれど、二羽の大きな鳥が、辺りを火の海に変えている絵が始まりのようだ。

 攻撃手段は羽ばたきよる炎の爆撃と爪に寄る引き裂きか?
 鳳凰の姿は孔雀をベースにした鱗のある鳥のようだ。
 尾羽には魚のような……尻尾もある?
 赤だけでは無く五色の色合いで、俺のイメージと若干違う。
 片方の反対の色合いでもう一羽存在し、二羽で動き回るのが壁画に描かれている。

 ただ、長年の月日の所為か、壁画の破損もかなり激しい。
 保存状態は良いみたいだけど。
 で、攻撃手段に関しては壁画を見ている内に見えてきた。

 まず一羽が高高度から魔法や羽ばたきで空爆を行い、もう一羽が低高度で爪や炎を吐いたり羽ばたきで仕留める戦法を基軸に攻撃してくるようだ。
 もちろん物語仕立てで、なんとなく察した程度の内容だけど。

「中々厄介な攻撃をしてくるみたいだ」

 炎で焼き焦がされた生き物は、燃え盛りながらゾンビのように徘徊する性質が……あるようだ。
 そう言えば霊亀にも似たような能力があったな。
 他に、羽ばたきで抜けた羽は攻撃になると同時に、使い魔を生み出すらしい。

 どんだけ厄介な攻撃手段な訳?
 ただ、建物との大きさの比率を見るに、霊亀程大きくは無いようだ。
 それでも驚異的な大きさではあるけどさ。

 一羽の大きさは親ガエリオンの転生前より少し大きい程度か。
 これが二羽か。

「錬、鳳凰の攻撃方法はあっているか?」
「ああ、一応は……な。ただ、ブレスは無かった」
「僕の方でも見ない攻撃がありますね。羽ばたきで人を吹き飛ばすや竜巻召喚はさすがに」
「お義父さん。私の方でも知らない物がありますぞ。使い魔召喚です」

 やはりゲームと現実で差異があると。
 それにしても毎回思うけど、まるで意図的に虫食いにでもしたみたいに錬達の情報が欠落しているよな。
 中途半端に知識があったから、錬達じゃなくても間違えそうだ。
 もしも同じ状況だったら霊亀辺りで俺も同じ失敗をしそうだと思う。

 ……ん? 何か引っ掛かるが……わからん。
 喉に何か出掛かっているみたいな気持ち悪さだ。
 まあ答えなんて出ないタイプの思考か。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ