挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
盾の勇者の成り上がり 作者:アネコユサギ

盾の勇者の成り上がり

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

292/854

新型馬車

 女王と話を終えた俺はラフタリア達と合流し、武器屋の親父の所に顔を出した。
 材料に関しては事前に渡していたから問題は無いだろう。
 問題があるとすれば……。

「お? アンちゃんじゃないか。全然顔を出さないからどうしたのかと思ったぜ」
「ちょっとな……」

 ああ、心が痛い。
 おかしくなって、世界征服を乗り出そうとしていました。
 なんて口が裂けても言えない。

「ごしゅじんさまねー」
「それ以上続けたら馬車は無いぞ」
「うー……」

 まったく、お喋りな鳥はこれだからしょうがない。
 というか、なんでフィーロは人が隠そうとしている事をピンポイントで言おうとする。
 最近は控えめだが、昔から一言余計なんだよな。
 フィーロを黙らせて、親父に馬車の状況を尋ねる。

「で、注文していた馬車はどうなっている?」
「とっくに完成してるぜ。長い事、置いておく場所が無かったから知り合いの所に預けておいたけどな」

 親父に馬車を置いてある場所を説明してもらい、金を渡す。
 長く顔を出していなかったから馬車の駐車代を払う羽目になった。

「うん。確かに受け取ったぜ。じゃあこの紙を鳥の嬢ちゃんが持っていけばすぐに渡してくれる」
「そうか」
「じゃあ直ぐに取ってくるねー!」

 俺はフィーロに親父から受け取った紙を渡して、取りに行かせる。
 元気よく走り去って行ったフィーロは数分もすると目をキラキラさせて馬車を引いてきた。
 凄い速度だった。
 かなり楽しみにしていたみたいだな。

「あのねー! すっごくキラキラしてて、しっくりきてねー……かっこいいのー!」

 俺はフィーロが引いてきた馬車を確認する。
 前よりも少しばかり大きいな。
 金属製の馬車だけど……と言うか車軸周りがなんとなくメカニカルな感じが……車の原型っぽい気がする。

「車輪はアンちゃんの所にいるアイツにでも作らせれば色々と出来るぞ」
「ハリがビシッってのもー?」

 針付きの車輪で何をする気だ?
 この鳥は魔物を轢き殺すとか考えているのか。

「後ね。この馬車、把手に力を込めるとねー、凄く軽くなるよ!」

 フィーロがグッと把手を掴むと、車体が浮かんだ感じがする。
 ふむ……これで重量を軽減するのか?

「グラウェイク鉱石を使っているから、浮くぜ」
「エアウェイク加工の大本か?」
「そうだぜ。アンちゃんも見た事無いか? 空に浮く岩を」

 ……ある。
 時々だけど、空の上を岩みたいのが飛んでいる時がある。
 異世界だと改めて認識させる光景だけど、もしかしてその鉱石なのか?
 俺が親父を見ると、親父は頷く。

「原石は浮く性質を持っているんだが、加工すると途端に軽くするだけになっちまう。過去にはずっと浮かせられるように出来たらしいが、失われちまってる」

 そういや、親父が調達してくれと指示した紙にも書いてあった物だったな。
 何処で採れるか女王に聞いて調達させた物だけど。

「それをふんだんに使って、馬車の車体を浮かせられるようにした物が今回の馬車だ。強く握れば握る程、持ち手から魔力を貰って軽くなるぜ」
「わぁ……じゃあ力を込めると、飛べる?」
「さっき言ったぜ鳥の嬢ちゃん。飛ぶのは無理だ」
「えー?」
「どうかな?」

 つまり浮力は加工した時点で失われるが、魔力に応じて軽くなると言う事か。
 アイテムクリエイションでも使う魔力付与の要領で気を混ぜつつ、馬車の把手を握ってみた。
 う……これはかなりの魔力が吸われる。

「わ!」

 ガクンと馬車が僅かに浮いた。

「フィーロもー」

 フィーロは魔力を使って羽ばたく原理で……っておかしくなった俺から聞いた論理で馬車に魔力を込めたらしい。
 馬車がふわりと更に浮いている。

「おお……すげーなアンちゃん達」

 親父が関心している。
 だが、これは……。

「あううう……」

 ドスンと音を立てて馬車は地面に付いてしまった。
 元々の重量があるし、気と魔力を合わせてもこれが限界か。

「僅かな時間しか浮かせられないな」
「うー……空飛ぶ馬車ー」

 ロマンあふれる馬車だな。
 俺も欲しい。便利と言う意味で。

「とにかく、面白い物を見せてもらったぜ。次は何を作る?」
「そうだな……」

 今の所、必要な武器や防具は無い。
 と言うか素材が無い。
 おかしくなった俺の奴、惜しげもなく希少素材や色々な物を使いやがって、素材の調達がな。
 まあ、最近は波が近い所為もあり、勇者全員Lv上げの毎日だ。
 俺も調合ができないから、連日ラフタリアやフィーロ達を連れてLv上げをしている。
 その合い間に魔物の素材が集まっているから、色々と作ろうとは思っているけどさ。
 それもイミアの叔父が色々と作ってくれていて、親父に頼むほどの物が……。

「ラフタリアの剣が欲しいな」
「私ですか?」

 ラフタリアが不思議そうにしている。
 ラフシールドなどの効果でラフタリアは以前よりも強化された。
 それでなくてもこの三ヶ月の修行で大幅にパワーアップされている。
 Lvも限界値である100だし、装備の方で補っておきたい。
 鳳凰は錬達曰く、相当強いらしいからな。
 できれば万全の状態にしておきたい。

「ああ、出来れば霊亀の素材で何か作ってくれないか?」
「それなら、ちょっと高くつくが良いか?」
「ああ、俺が前話した霊亀剣を一振り、作ってくれ」

 錬の奴が折ってしまった剣だ。
 アレがあればラフタリアはもっと強くなっていたと思う。

「フォウルは何か要るか? 素手なら籠手でも使うのも良い」
「俺は……って借金を増やす気か」
「よくわかったな」

 なんだかんだで借金返済の為にフォウルは戦っている訳だし、金を稼ぎ切ったら俺の所から出ていくだろう。
 最低でも鳳凰戦を乗り越えたらだけどさ。

「いらん!」
「そうか。アトラに勝つために欲するかと思ったぞ」
「アトラを俺に殺させる気か!?」
「お前は加減を知らんのか……」

 武器を付けたらアトラに勝てると思っているのか?
 アイツは受け身とか、妙なセンスで取るぞ。
 フィーロ相手に結構じゃれてたし、俺を相手にしていたのだから守り方とかを覚えている。
 現にアトラの戦い方は基本的に守りであり、相手に隙が出来ると攻め込むと言うスタイルだ。

 ああ、加減出来る程アトラが弱くないという意味か。
 それならわからなくもない。

「東洋の方にあるヌンチャクとかトンファーもお勧めだぜ」
「断る!」

 何を意地を張っているのか。
 武器があった方が戦いは有利だと思うんだけどな。
 まあいいか。
 後はフィーロだが……。

「どうしたのごしゅじんさまー?」

 ……馬車を買ってやったから良いか?
 そういや、サディナがサルベージした素材を使って何か作るとイミアの叔父が言っていた。
 そっちで爪を作らせてみるか。
 うん。今回は親父に作ってもらうのは剣だけにしよう。

「じゃあ次の波までに剣を作ってくれ。金に糸目は付けない。ついでに俺の所にある希少な素材を後で持ってこさせるから、見繕ってほしい」

 行きがけにイミアの叔父が親父の所で何か頼むならと纏めてくれた紙があったのを思い出した。
 俺は親父に紙を見せてから頼む。

「ふむ……中々面白い素材があるじゃねえか。じゃあこれとこれだな。アンちゃんが言ってた剣より良い物を作ってやるから楽しみにしてろよ」
「期待している」
「おうよ」
「じゃあフィーロ。馬車はポータルで持って行けないから、ちゃんと持ってくるんだぞ」
「うん!」

 と、俺は武器屋の親父から素材の発注書を受け取って、村へ戻るのだった。
 なんかフィロリアル共がフィーロの馬車を羨ましそうに見ていた。
 そう言えば、フィロリアルって馬車の優劣で偉いか偉くないかがあるんだったか?
 フィロリアル共の中で胸を張るフィーロ。
 他のフィロリアル共が俺を凝視しているがー……あんまりじろじろみないでほしいな。 
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ