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盾の勇者の成り上がり 作者:アネコユサギ

盾の勇者の成り上がり

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遺伝子改造

アンケートの結果、番外編を見る事に決定しました。
 一日目。

 むくりと起き上がった『ワシ』は辺りを確認する。
 そして先ほどよりも恍惚とした感覚に支配されていた。

 何故、今までこの考えに至らなかったのだろう?
 金なんて使わず、盾の力で全てを解決すれば良いではないか。

 先ほど変化した盾を確認する。
 ……既に最初から覚醒し、強化が全くできない。
 だが、あまりある性能が約束されて居るはずだ。

 新・七つの大罪の盾(覚醒) 0/0 UR
 能力未開放……装備ボーナス、遺伝子改造、人体実験、環境汚染、社会的不公正=奴隷の使役技能向上、貧困の呪い、腐敗させし過度な裕福、麻薬調合、禁忌の錬金術、禁断の魔術、封印されし学問、封じられし料理、眠りし機械工学、魔法科学の真髄……。
 専用効果 バイオカスタム 生命論理 龍脈支配 マジックハック 緊急招集 錬金補正 採取限界突破 急速成長補助 薬学技能向上 錬金技能向上 鉱石創造 魔石作成 魔力回復(特大)SP回復(特大)EP回復(特大)
 料理技能向上……。

 なんとも素晴らしい。アイテムクリエイションにおいて必要な物が全て揃っているではないか。
 少々防御力に致命的な問題があるが、この盾さえあれば他に必要なモノはなさそうだ。
 全てを閲覧していたら日が暮れる。
 この盾に変化したことで頭が冴えて仕方がない。

 さて、先ほどワシが至った結論をここで再度確認しよう。
 盾の力で頭脳が向上したワシが出した結論。
 それは波で世界が滅ぶ前に、まずは生き残るための環境を整える。

 今までのようなみみっちい方法でコツコツでは無く、大きく環境を変える必要があるのだ。
 その為にはこの世界に居る連中の大半を一度一掃すべきなんだ。
 すぐに扇動され、容易く踊らされる民衆、その民衆を操る宗教や国を牛耳る王族。
 この世界の者は腐っている。

 まずは生き残るべき者を選定し、それ以外を駆逐、後顧の憂いを全て片付けてから波に挑んで世界を救ってやろう。
 出なければこの世界はいずれ波以外で勝手に滅んでしまう。
 ワシが導かねばならん。

「さて、では早速、この盾の力を最大限使える環境を整えねばな」

 ワシは部屋から出て、村の方へと歩き出す。
 そうだ。丁度ポケットにバイオプラントの種があったんだ。
 ワシは徐にバイオプラントの種を取り出して植物改造のアイコンを呼び出す。

 ピッと改造のアイコンが出て、一笑した。
 なんだこれは、あまりにも陳腐。
 幾らなんでも子供が作った玩具にしても程度が知れている。
 定められたステータスを上下させるだけだなんて入門用にしたって馬鹿にし過ぎだ。

 ワシは遺伝子改造の技能を同時に起動させる。
 するとザザっと植物改造の技能ステータスに軽く砂嵐が発生し、新たな項目……フリーワード項目が出現した。

 どんな物を作りだしますか?

 ふむ……まずは拠点となるべき、大きな城が必要だな。
 城と書きこむ。
 するとワシの提示した改造に必要な機材、素材が出現する。

 ……これはラトの研究所に大量にある物で賄えそうだ。
 さっそく、ラトの研究所にあるモノを接収しようではないか。
 ワシは足早に村へと歩き出したのだった。


「あ、ごしゅじんさまだーおかえり」
「おおフィーロではないか。どうしたんだ?」

 ワシに従順に従う魔物であるフィーロが奴隷共と一緒に出迎える。
 コヤツ等はある程度信頼できる。
 世界を創り変える際に残しておいても良いワシの家来共だ。

「えっとねーお腹空いたからごしゅじんさまが帰ってくるのを待ってたのー」
「すまんなフィーロ。今はそれ所じゃないんだ」
「えー……みんな楽しみにしてるよ」
「そうか」

 だが、時間は有限だ。
 逸早く研究所に行って機材を調達せねばやりたい事も出来ない。

 ……そうだ。
 ワシは再度遺伝子改造の技能を呼び出してバイオプラントを改造する。
 パンを実らせる植物とフリーワードに入力した。

 お?
 必要な素材や技能が揃っている。
 ワシはバイオプラントの種を前に出して技能を発動させる。

「ごしゅじんさま?」
「盾のお兄ちゃん?」

 奴隷共がみんな首を傾げてワシの実験を見つめている。
 バイオプラントが輝き、光と共に風を撒きこんで、ワシのイメージする形へと変化する。
 カッと一際輝き、風を吹き飛ばしてワシの考えたバイオプラントは完成した。

「見ていろ」

 ワシはポトっと完成したパンを実らせるバイオプラントを地面に落とす。
 メキメキと音を立ててバイオプラントは急成長し、大きなパンを実らせる。

「「「おおおおー!」」」

 フィーロと奴隷共が揃って声を出して唖然となる。
 この程度の物で驚く事に少々呆れるが、喜ばれる事に悪い気はしない。

「これ、食べて良いの?」
「もちろんだとも」
「「「わーい!」」」

 フィーロと奴隷共は各々、パンの実を手に取って食べ始める。

「美味しいー」
「ちょっとごしゅじんさまの料理より味は落ちるけど美味しいー」

 全員満足したようだ。
 では次へ行くとしよう。

「兄ちゃん! クレープの木は作れないのか?」

 キールがクイクイとワシの裾を引っ張って尋ねてくる。
 コイツは最初、ワシに突っかかって来た下賎な輩だが、心を入れ替えて尽くしている。
 ラフタリアの友人でもあるし、今では中々に信頼できる者だ。
 今は早くラトの研究所にある物資を手に入れなくてはならないが、今までの報酬として、その程度の物なら作ってやっても良いだろう。

「後でな」
「絶対だからな!」
「ああ」

 ワシが頷くとキールはパンを貪るフィーロ共と一緒に飯を食い始めたのだった。


 ラトの研究所に入り、研究所の中核を成す区画の石板に触れる。
 ふむ……一応、ワシと共に作り上げたからかセキュリティは万全だ。
 試作的に作られたバイオプラントの防衛装置が機能した事無く、存在する。

 ま、ハッキングさせられるほどの間抜けな事態を許しはしないがな。
 だが……幼稚なセキュリティだな。ワシが本気になれば十秒と掛らず突破できる。
 カーネルシードにアクセス……なんとも幼稚なフレームで形成されておる。
 もっと大々的に改造せねば、土台として扱うには厳しい。

 ワシは遺伝子改造の技能を使い、研究所内にある物を駆使させてカーネルシードのバージョンアップを図る。
 完了まで三十分程度か。
 では完成するまでの間に頼りになる相棒を連れてくる必要があるな。

「あら? 侯爵?」

 カーネルシードを弄っているとラトが何食わぬ様子で部屋に入ってきた。

「どうしたの? まだ実験は先だし、頼んでいた機材は到着してないから出来る事は無いわよ」

 今、下手にこの女に弄られたら厄介だ。

「ああ、寄り道兼、抜き打ちチェックをしておった」
「……おった?」
「噛んだ」
「ああそう」

 危ない危ない。ラトの奴がワシを疑いの目で見ようとしてきた。
 ここで下手な事を言ったら余計な手間が掛かる。
 出来る限り卒なく流そう。

「侯爵、次に必要な機材はケミカルアンプ辺りがね――」

 ふ……幼稚な者を見ていると笑いが止まらないな。
 この程度の低級実験にどれだけの時間を掛ける気だ。

「侯爵、何笑ってるの?」
「いや、楽しそうに話すと思ってな」
「まあね。やっと本格的に研究に打ち込めるのですもの、やる気くらい出るわ」

 部屋の外、培養層でラトの大事にしている魔物が泳いでこっちに手を振っている。
 ふむ……。
 ふと視線が合う。
 ……。

「!」

 ゴンゴンと培養層を叩いて魔物がワシを指差してラトに注意した。

「どうしたの?」

 む? ハッキングしているのを気付かれたか?
 口封じにあの魔物をこの場で改造してやるか?
 と、考えていると、興味を失ったようにまた泳ぎ始めた。

「なんだったのかしら? ミー君」

 ラトの相棒は培養層の中からワシに向けて手を振っている。
 まあ良い。余計な事をするつもりが無いのなら何もしないでやる。
 この女はワシの考えに同意するかは、カーネルシードのバージョンアップが終わってからでも十分だ。

「で、侯爵。何か問題でも見つかった?」
「些か研究が遅れがちだな。もっと手早くすべきだ」
「安全性を確認してからじゃないとダメにきまってるじゃない」
「時間は限られている。安全でありながら確実な結果を生み出すべきだ」
「侯爵、何かイヤな事でもあったの? 機嫌悪いけど」

 ラトが怪しむ感じでワシを見る。
 このままでは期日までにワシの予想した通りの結果は生み出せそうにない。
 助手として扱ってやろうかと思ったが……どうなる事か。 

「生命優先に決まってるでしょう? 危険な事をして殺してしまっては後悔しか残らないわ」 
「そうか、一理あるな」

 これ以上話を続けても無駄だ。
 このタイプには結果で見せつけねばなるまい。
 カーネルシードを改造したワシの傑作さえ見れば望んで助手になるであろう。

「ではこれから行く所があるのでな」
「侯爵? まあ、侯爵の突飛な行動は今に始まった事じゃないか……」

 ワシは厳重なセキュリティを組んで、ラトの研究所を後にした。


「あ、ナオフミ様、聞きましたよ。またバイオプラントでおかしなモノを作ったそうですね」
「おお、ラフタリアじゃないか」

 研究所から出て、村の中を捜すと目当ての人物、ラフタリアがワシを見つけて話しかけてくる。
 ラフタリアを見つけるまでに村の状況を再点検していた。
 今の所、物資に問題は無い。

 魔物舎に顔を出すと魔物共が我先にとワシに群がってきおった。
 本能で察したようだ。ワシに付いてくれば強くなれると。
 どうして魔物の育成を中途半端にしておったのか理解できん。

 まあ、ガエリオンがクラスアップを補助してくれている現在、多少は戦力としてカウントできる者がいないわけではないが、土台が低すぎる。
 Lvや若干の成長補正だけではとっくに限界を迎えた魔物共ばかりでは無いか。

「さっきキールくんやフィーロがナオフミ様が目の前で作ってくれたんだーって自慢してましたよ」
「ふ、当たり前ではないか。あの程度造作も無い」
「……? す、凄いですね。ナオフミ様の盾はあんな事も出来るのですか」
「ああ」

 丁度昼頃だったので、みんな食堂の方に集まっているようだな。
 ワシ達を見つけて、出迎えている。

「さてラフタリア」

 ワシの考えを宣言する前に、ラフタリアには打ち明けておいた方が良いだろう。

「ワシはこれから、とある考えと結論を見出し、行動に移そうと決めた」
「……ワシ? あの、何をですか?」

 ラフタリアならば通じ合っているので話す必要も無いと思っていたが、それでも直接言う必要があるか。

「あのな、この世界の王族は元より、貴族、商人、民衆は皆、総じて腐っている。波を乗り越えたとしてもやがて滅ぶのはわかりきっているではないか」
「まあ……否定はしません」
「であるからして、まずはその腐ったゴミ共を浄化してから、選ばれた者だけで波に挑むべきだとワシは結論を導き出したのだ」
「ナオフミ様?」

 ワシはラフタリアに手を差し出して、宣言した。

「ラフタリアよ。世界がワシの手によって管理されるようになったその暁には半分をやろう。さあ、共に世界を支配しようではないか!」
「……」

 ラフタリアが腰に差していた剣を抜きだして、事もあろうにワシに向けて構える。

「誰ですか貴方は! ナオフミ様ではありませんね!」
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