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盾の勇者の成り上がり 作者:アネコユサギ

盾の勇者の成り上がり

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キング

「これはこれはお義父さん。お背中でも流しましょうか?」
「別にいい。というか、既に洗っている」

 ……元康がやってきた。
 こりゃフィーロが逃げ出す訳だ。
 一緒に三匹も連れている。その後ろには錬もいるな。

 あの元康と一緒に風呂へ来れるのか……地味に錬が凄く見えてきた。
 俺だったら適当な理由を付けて風呂に入る時間をずらす。

 ん? 女湯が騒がしくなっている。

「キュア!」

 ガエリオンまで来てるぞ。
 錬が連れてきたのか。
 という事は女湯には谷子と女騎士もいそうだな。
 ガエリオンは俺に向かってパタパタと飛んできて、湯船に浸かる。

「その三匹の内、二匹は雌だろ? 女湯に行け」
「何よ! もっくんとあたしを離させるつもり!?」
「そうよ、なんと言われようと、もーちゃんとはずーーっと一緒なの!」

 赤いのが興奮した様に言い放ち、青いのが同意する。
 今は人型だ。
 改めてみるとフィーロと色や髪型は違うが、背格好は近いな。

「あのメスの飼い主だからって図に乗らないでよ!」

 なにやら気の強そうな表情で甲高い声を上げている。
 元康はこういう独占欲の強いタイプに好かれるフェロモンでも発しているんだろうか。
 相手をするのが面倒だな。

「お義父さんがダメだって言うんだ。さあ二人とも、女湯へ行くんだ」
「そうだよ。クーとマリンは雌なんだから、女湯へ行ってね」

 これ幸いにとみどりが二人の背中を無理やり押して垣根へと追いやる。
 やはり少し腹黒いな。
 しかし、ギャーギャーうるさいよりはマシだ。
 さっさと追い払え。

「「ぶー!」」

 フィーロとおんなじ文句を垂れながら二匹は垣根を飛び越えて行く。
 その後、みどりは凄く幸せそうに元康の腕を掴んで歩いてきた。

「よーし、みどりを洗うぞー」
「うん!」

 すっごいご機嫌のみどりが元康に洗って貰っている。
 そんな様子を微笑ましいと言うかのように錬が見ていた。

「尚文も来ていたんだな」
「そりゃあそうだろ。それより女湯が大分騒がしいな」
「一緒に来たいって子が居たから連れてきた」
「やっぱりか」

 あっちはあっちで騒がしい状況なんだろう。
 キャーとか楽しそうな悲鳴が聞こえる。

「良い湯だな」
「そうだな。呪いの状況はどうだ?」
「大分良くなっていると思う。少しだけど今日は経験値が入った」
「そうか」

 俺も温泉に入るようになって少しずつだけどステータス低下の治りが早くなっている自覚がある。
 さて……長湯するのも良いが、いい加減上がるか。
 それはリーシア達も同じで湯船から立ち上がる。

「じゃあ俺は先に行く。ゆっくりと養生しろ」
「ああ」

 なんて錬と話していた時だったと思う。
 元康が垣根の方へ歩いて覗きを始めた。

「もとやすさん。やめましょうよ」
「何を言うんだ、みどり。フィーロたんの成長をこの目で見ないと。例え豚が多くて吐き気がする所であっても、俺は恐れない」

 ああもう……元康は温泉とあらば壊れても変わらないのか。
 面倒な事が始まりそうだ。
 今回もささっと上がろう。

「何をしているんだ!」

 錬がそんな事を始めた元康を注意しだした。
 前回はクール気取ってラッキースケベを狙っていたよな。
 見た感じ、本気で注意しているっぽいが。

「ふぇえ……」

 目の前で覗きをしようとしている元康にリーシアが声を漏らす。
 確かに女が目の前にいるのに、覗きをしよう! と公言する奴は勇者だよな。
 別の意味で。

「フィーロたんだって見て欲しいと思っているはずだ」
「確かに、フィーロさんは見て欲しいと思っているでしょうね」

 樹が元康の言葉に便乗する。
 なんだ? 何故お前が便乗する。

「イツキ様! 何を言っているのですか?」
「だってフィーロさんはきれいになったと聞いていたではないですか。あれはそういう意味ですよね?」

 確かにフィーロは俺が体を洗った時にきれいになったー? と聞いてきたが、それを言うのか?
 やはり、まだ少しおかしいな。

「よし、じゃあ樹、一緒に女湯を覗こうじゃないか!」
「わかりました」
「やめろ樹!」
「やめてください、イツキ様!」
「わかりました」

 この問答は面倒だな。
 ささっと上がるか。

「ほら、みどり、早く足場になるんだ!」

 よりにもよってみどりを足場にして覗きこもうとするのかよ。
 嫌がるだろうな。元康と一緒に温泉に入りたいみどりだし。

「いやです」

 案の定断られた。

「いやいや、みどり、ここは従ってくれよ」

 と、元康はみどりが腰に巻いていたタオルを取り去る。
 なんでタオルを取るんだよ。

「「「!?」」」

 錬、樹、リーシアが一瞬固まる。
 俺は出ようとよそ見していたので目に入らなかったが、どうしたんだ?

「あ……う……は、恥ずかしい」

 ボフンとみどりが、俺の前で初めてフィロリアル形態になる。
 でっか!
 フィロリアル形態のフィーロよりも一回り大きい。
 人間形態の時はフィーロとあんまり変わらず、三匹の中で一番背が低いのに、フィロリアル形態じゃ一番大きいのか。
 さすがはオス、と言った所なのか?
 いや、うちのフィロリアル舎にもオスはいるが、ここまで大きくないぞ。

「でかい!」
「大きいです」
「ふぇえええええ……」

 元康が恥ずかしがるみどりの背に乗り垣根から覗きこもうとしている。
 確かに大きいとは思うが……何をそこまで驚いているんだ?

「尚文も見たか?」
「何を?」
「見て無いのか!?」
「だから何を」
「この子が変身する前、タオルの下――」
「わ、わぁああああああ!」

 みどりが暴れて元康が背中から滑り、湯船に沈む。
 そしてみどりは錬の口を塞いだ。

「まさにキング!」

 が、樹にその続きを答えられてしまう。
 こんな時にだけ感情を表に出すなよ。
 そんなに驚く様な事だったのか?

「キング? そりゃあオスなんだからキングじゃないのか?」
「そうでは無く……」
「わぁあああああああああ! やめてぇえええええええ!」
「わかりました」

 んん?
 良くわからんな。

「ナオフミ様、何かあったんですか?」

 ラフタリアが垣根から顔を覗かせる。

「ああ、この馬鹿がまた覗きをしようとしていたらしいんだが、みどりが――」
「お願いします。これ以上、騒ぎにしないでください!」

 人型に戻ったみどりがタオルで下を隠し懇願してきた。
 何をそんなに恐れているんだ?

「そうか?」
「ナオフミ様は……参加しなかったんですよね?」
「ああ、すぐに上がろうとしてる」

 既に脱衣所近隣でラフタリアに手を振りながら答えている。
 というか男湯を覗くなよ。

「……少しは…………」
「あ? なんだって?」

 別に難聴になったつもりはない。
 ラフタリアがボソボソと呟いた言葉は一字一句耳に入った。
 なので、尋ねてみる。

「見て欲しいのか?」

 興味無いのは事実だけどさ。
 それにしてもラフタリアがこういう事を言うのは珍しいな。
 何か理由でも……ああ、そう言う事か。

「男湯を覗く罰ゲームか。で俺を覗かせたら勝ちとかそんな遊びをしているんだな」
「はぁ……」

 やはりそうか。
 騒がしい連中が温泉に来ているから変な遊びをしているんだろう。
 あいつ等は俺をからかうのが楽しいみたいだから、ラフタリアも釣られてこんな真似をしているんだな。

 主犯格はメルティか?
 キール辺りも候補だが、キールは素で男湯に来そうだ。
 他に誰が来ているかわからないけどさ。
 まあ仲が良いのは結構だ。

「フ……」

 そんな状況を無視してガエリオンが楽しげに垣根に向かって飛んでいく。
 覗く気だな。しかも親ガエリオンだ。
 人間相手に発情するなよ。

「むー! くるな!」

 垣根から覗こうとしたガエリオンの顔面にフィーロが投擲した桶がクリーンヒットした。

「キュアア……」

 ざぶんと音を立ててガエリオンが湯船に沈む。
 馬鹿じゃないのか?
 本当外さない奴だな。

「とにかく、俺は出る。ラフタリア達はゆっくりと浸かっていてくれ」
「はぁ……わかりました」

 尚、今回は元康だけが正座させらていたのはどうでも良い補足か。
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