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盾の勇者の成り上がり 作者:アネコユサギ

盾の勇者の成り上がり

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リベレイション

「さて、続きをするか」

 なんだかんだで昼飯を終えて、修行を再開する。
 キールへの罰はまた考えておこう。
 ああ、錬は行商組に付いて行った。
 真面目に働いているようだし、女騎士も居るしな。

 そう言えば、女騎士は洗脳されていた訳では無かった。
 正義とは、と言う事を悩んでいるらしい。
 難儀な奴だな。
 ま、その問題は後回しにしよう。

 今は戦闘訓練だ。

 外から気を吸う事で魔力やSPの回復を早める事が出来る。
 それだけでかなり効率的だし、用途の幅が広い。
 ただ、無双活性と言う便利能力が使えないと言うのは何とも惜しい。

「ふむ……」
「ごしゅじんさまどうしたの?」
「イヤな、スキルへの流用を考えていてな。シールドプリズン!」

 ちょっとした小手先の技術として俺は外から集まった気と内側の気……魔力とSPを混ぜ合わせてシールドプリズンを放った。
 やはりステータスを確認するとSPの消費がかなり抑えられている。
 難点はまだ即座に放てない所だ。かなり難しい。

「どうだアトラ?」
「はい。前よりも完成度が非常に高く出来ております。私でも急所を突いて壊す事は不可能かと」
「そうか」

 これでスキル自体の威力の向上は出来るようになった。
 しかも消費SPや魔力を抑えられるのなら良い事尽くめだな。
 これを実戦で使える領域にすれば良い。

 外側から気を吸収し、内側の魔力と合わせ、スキルの力に変えて放つ。
 やっとの事、最近あんまり守ると言う意味で役に立たなかったスキルが使える様になってきた。
 なんかある度に破壊される流星盾とかシールドプリズンは、これからの戦いを考えれば微妙だからな。
 後は発動速度と精度を上げていけば自然と能力強化が図れる。

 ん?
 ちょっと待て。これって何かに似ていないか?
 って、龍脈法と殆ど同じ原理じゃないか?

 ……そうだ。
 外部から魔力を集めて使う龍脈法と体の内部にある魔力を使って発動させる魔法。
 今やっている事はその二つを掛け合わせた様にしか見えない。

 スキルに使えたのなら、魔法に応用できないか?
 というかできるだろう。多分。
 うん、実験してみるか。

「どうかしたの?」
「ちょっと待ってろ」

 俺は深呼吸をして、魔法を唱え始める。

 龍脈法は力の媒体から力を貰って唱える。
 この場合は外側の気だ。それと……盾の力であるSPを一緒に引き出させる。
 そして魔法は、内側の魔力……を別の容器にストックする。

 気を引き出して、力の導きを乗せてパズルを呼び出す。
 同時に魔法の詠唱文をイメージする。
 うわ……凄く難しい。

 作らないといけないパズルが三個近く現れる。
 集中していないと解けそうもない。動いたら一瞬で弾けるな。
 それでも……四苦八苦しながらパズルを構築していく。

 よし、これで完成だ。
 精度は良くないが作りだせた。

『我、盾の勇者が天に命じ、地に命じ、理を切除し、繋げ、膿みを吐き出させよう。龍脈の力よ。我が魔力と勇者の力と共に力を成せ、力の根源足る盾の勇者が命ずる。森羅万象を今一度読み解き、彼の者に全てを与えよ』

 なっげー詠唱。
 自分でもよく唱えられたなと感心する程だ。
 実戦じゃちょっと難しいな。
 でも、完成した。

 龍脈法と魔法を使っていると普通の魔法との構造の違いがわかってきた。
 根底は限りなく同じだけど、難易度が大きく違う。
 自分の力に魔法文字を刻んで発動させる魔法は、発動のし易さに重点を置いた所為で、上位の魔法を覚えるには最初から自身に登録しないといけない。
 簡単な反面、相手の魔法を妨害する為の魔法を読み取るのに時間が掛る。

 逆に龍脈法は近くから力を導くから式を計算しないといけない。
 だから決められた式なんて使えない。
 毎回同じ元素で唱えている訳ではないから、組み立てるピースも変わって来るという事だ。

 国語と数学と例えれば良いだろうか?
 炎を出す魔法を唱える時、普通の魔法は単純に炎という文字を読めば良い。
 だけど火や業火は別の漢字だ。だから覚えないといけない。

 しかし龍脈法は=炎という計算で発動させる。
 その道中の計算式は火+油=炎でも良いし、業火+水でも良い。
 谷子が大地の力を借りているのに炎を呼び出したように、土+闇から闇だけを取り出して、闇と炎に変化させると言う荒技も可能だ。

 だからか、おそらく妨害はかなり簡単だ。
 何せ相手が読み取ろうとする魔法を先に推理して答えを無理やり導き出せる。
 合唱魔法にも役立つのは納得だ。
 パズルは別に一人で組み立てなくても完成させる事ができる、といった所か。

 但し、普通はこの二つを混ぜて唱える事が出来ないというのも今のでわかった。
 本来魔法と龍脈法は原理が限りなく近いはずなのに、水と油の様に相性が悪く、混ざらない。
 だが、SPが水と油であるこの二つの魔法を混ぜ合わせるんだ。

 ――つまり、この魔法は勇者にしか使えないという事になる。

 よし、この出来あがった力を発動させよう。

「リベレイション・オーラ!」

 リベレイション……ドライファの上の魔法か?
 自然と言葉が紡がれた。
 さて、誰に掛けてみるか。
 一応、頑丈なフィーロに掛けてみよう。

「よし、フィーロ、じっとしていろよ」
「え……」

 フィーロが露骨に嫌そうな顔をする。
 なんだ、その態度は。

「ごしゅじんさまがそう言う時ってあんまり良い事無いよ?」

 そういえばそんな気もする。
 特にフィーロが初めて人型になった時、上位魔物紋を掛ける際に使った言葉でもある。
 あの時のフィーロは怯えていたからな。トラウマにでもなっているんだろう。
 そう思うとフィーロが嫌がるのも頷ける。

「まあ、そうだけど、別に痛くは無い。と、思う。だから魔法の実験台になれ」
「やー……」

 とか言いつつ、無理矢理掛けた。
 俺、超外道だな。
 実際支援魔法だし痛くは無いだろうけどさ。

 なんてしていると魔法がフィーロに当たる。
 目に見えて高密度の魔法の光がフィーロを取り囲み、染み込む。
 ぐ……さすがに魔力とSPがごっそり削れた。
 それほどのコストを支払わねばいけないのだろう。

「な、何を掛けたの?」
「前にも掛けたろ? 全能力アップ魔法のオーラだ。それの上位版だと思う」
「そうなの?」
「そうだ。さあ、飛び跳ねてみろ」
「うん」

 ぴょんとフィーロは軽く跳ねたつもりだったのだと思う。
 しかし……。

「わ――」

 凄い勢いで海の方へ吹っ飛んで行ってしまった。
 まるでロケット花火みたいだったな。

「あー……」

 うん。とりあえずフィーロのステータスを確認。
 うわ、こりゃあ凄い。全てのステータスが二倍以上伸びている。
 こんなステータスで動いたらそりゃあ飛んで行くのも頷けるな。
 と、飛んで行ったフィーロをアトラと一緒に追いかけて見た。

「あはははー! ごしゅじんさまー面白いよー」

 バシャシャシャ!
 と、轟音を立てながらフィーロが……海の上を走っている。
 すっげー……右足が沈む前に左足をってのを地で行っている。
 さすがのフィーロも普段は海の上を走る事なんて出来ない。
 これが完成された魔法の力か。

 やがて10分くらい経過した頃、フィーロに掛っていたリベレイション・オーラの効果が切れて海へ沈んで行った。
 そのままフィーロは泳いで戻ってきた。

「面白かったーごしゅじんさま、もう一回」
「断る」

 かなり難しいんだぞ、これ! そう何度も使えるかっての。
 でも、これで魔法の原理が解明出来た。

 もしかすると無双活性というのは、SPに近い何かを擬似的に作り出す事なんじゃないか?
 SPさえあればスキルにも、魔法にも応用が利く。
 逆に考えればSPが無ければ魔法はどこかで限界を迎える。
 つまり変幻無双流という流派は勇者に近付こうとした連中なのかもしれない。

 ともあれ、この方法を魔法屋とかに教えても良いかもな。
 リベレイションは無理だとしても、今の俺なら普通の魔法、ドライファ・ヒールとか作って唱えられると思う。
 覚えた魔法を再構成して答えを導けば良いんだ。
 後はその文字を覚えれば簡単に唱えられる。

 気と魔法の関係でまさか魔法をマスターできるとは思わなかった。
 これで魔法書の代金を節約できるぞ。
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