挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
盾の勇者の成り上がり 作者:アネコユサギ

盾の勇者の成り上がり

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

214/846

革命派

「またフィロリアルか……元康は各地で問題を起こすな」

 主にフィロリアル関連で。
 何処までもぶれない奴だ。
 城にいるフィロリアル舎にでも顔を出して興奮でもしていたんだろう。
 アイツはどこまで壊れれば気が済むんだ……。

「しょうがないので複数のフィロリアルの卵を授けて旅立たせました」
「……旅立たせたという名目の厄介払いだな」
「はい」

 前から思っていたが、この国の女王様とやらは結構正直だよな。
 にしても……まだフィロリアルを欲するのかよアイツは。どんだけ患っているんだ。

「城に来た時点で既に十匹のフィロリアルクイーンを引き連れており――」

 ……なんだって?
 十匹? 三匹じゃないのか?
 良く考えてみれば天使達と呼んではいたが、三匹しか持っていないとは言っていない。
 あの馬鹿、フィロリアル軍団でも作るつもりなんじゃないか?

「しかもまだフィロリアルを所望するという……」

 ああ、確かにアイツは既に変態だからな。
 フィーロは気付いていないが、ポータルスピアを使う直前、フィーロの抜け羽を拾っていた。
 何に使うのかは知りたくも無い。

「我が娘であるメルティもフィロリアルには並々ならぬ情熱を持っておりますが、槍の勇者様はそれを超える熱意を持っている様ですね」

 メルティか。
 フィーロの親友を超えた恋人だよな。
 確かにフィロリアルへの愛は元康に匹敵する……いや負けてるだろ。
 さすがのメルティもフィーロの愛を受け止める事はできなかったし。
 精神的な意味で。

「じゃあもう元康はここに居ないのか」
「はい。イワタニ様の領地へ向かうと言っておりました」
「向かわせるなよ」

 元康が俺の所に来る? 冗談じゃない。
 幾らなんでもあの馬鹿を常時相手をするなんてイヤだぞ。
 良く考えてみればフィーロ目当てに来なかった方が不思議なくらいだったのか。
 う……胃に穴が空きそう。

「その後の報告では城の魔物商でもフィロリアルの卵を購入していたご様子だとか」

 城でも卵を貰って、それでも足りずに買って行った!?
 どんだけ買うんだよ、アイツは!
 もはや病気だ。十匹も居てまだ欲するとか。

「元康の処遇はわかった。他に何か無いか?」
「弓の勇者は依然として消息は掴めておりません。他、我が国の亜人反対派の貴族の動きが若干活発化しつつあると言う所ですかね」
「そういや、そんな話をしていたな。活発化って何をしているんだ?」
「どうも……状況証拠から、私の勘ですが、革命運動を行おうとしているようです」

 革命か。
 代々人間至上主義のメルロマルクで、亜人を優遇する事を認めてしまった女王ともなれば革命の名目も立つか……。

「クズを罰する事で威信を保てはしたのですが……それも限度が近付きつつある様子。決定的な証拠はまだ見つかっておりませんが、水面下で行動をしているのだけはこちらも察知しております」
「証拠は無いのに……か?」
「国内で亜人冒険者への極度の冷遇を行う貴族が増えつつあるのが理由ですね」
「先に罰するとかは出来ないのか?」
「下手に突くと爆発するでしょう」

 危険な状況という所か。
 この国の膿も根深いなぁ。

「ただ、イワタニ様が国民に亜人への認識の外堀を埋めて頂いているので、国民自体の反発は少ないと思われます」
「ん?」
「イワタニ様の所で行商を行っている亜人達の愛嬌に国民達は良いイメージを持っているそうです。過去の因縁を忘れ、これからは共に波を乗り越えねばと」
「そうか」

 思わぬ副産物が効果を発揮しだしていると。
 まあアイツ等、やる気だけは無駄にあるからな。
 それに影響を受ける奴がいてもおかしくはない。

「そういや、行商の範囲をそろそろ拡大しようと思っているんだった」
「我が国の外へと進出でしょうか? 国内の需要に限界は存在する手前、良いかと思います」

 アクセサリー商はそれを察しているのか俺を見て笑うんだよなぁ。
 馬車に自分の所の商品を並べる専用の枠を作ってくれと五月蠅い。
 後、波が終わった後にラフタリアが平和に過ごせるように環境を整えて上げないといけないからなぁ。
 俺がいなくなっても、ラフタリアが幸せに過ごせる平和な村を作るのが今回の目的だ。
 もちろん、波に備えた兵力の育成というのもあるけど。

 そうか。よく考えたら、むしろ俺の領地は矢面に立たされているとも言える。
 国内の亜人排斥主義の貴族からしたら獅子身中の虫である俺の領地は格好の標的なんだ。
 注意しておかねばならないな。

「これも一緒に報告するべきでしょうかね」
「他にもあるのか?」
「ええ、我が国の刑務所としていた管理区域が霊亀の進撃を受けて壊滅……一応は犯罪者のほとんどが死亡したとの事だったのですが」
「ですが?」
「生き残りの可能性が捨てきれません」
「へー……」

 国の犯罪者が生存か。
 確かにちょっと嫌な話だな。

「私の勘ですが、どうも今回の騒ぎに混じっていると読んでおります。イワタニ様の件で大量に更迭し、送り出した故」

 ……おい。それって三勇教関係者が逃亡したって事じゃねえか。
 大問題だぞ。
 あいつ等が国内に潜伏してんのかよ。事前に察知できただけ救いだな。
 毎度毎度、いきなりの理不尽に付いていけない事が多い分、話を聞けてよかった。

「出来る限り情報の収集を頼む」
「承知しております」
「……犯罪者って奴隷紋とか刻まないのか?」
「一応は刻むのですが、所有権を持つ監視共々、霊亀の犠牲になってしまいましてね」

 ああ、なる程。罰する事の出来る権利を持つ者が死んでしまっているのか。
 相当厄介だな、おい。

「そうだな。原因である、勇者共にこの事態の解決をさせよう」

 錬は今のところ反省しているみたいだし、聞いてくれるだろう。
 最近じゃ村の連中とも多少打ち解けてきているみたいだし。

「何をするつもりで?」
「意図的に革命派の貴族をおびき出す。手段は任せた」
「……わかりました。正直な所で言えばこんな所で勇者様方を介入させるべきでは無いとは思うのですが、私の無能をお笑いください」
「本心でも無い事を言うんじゃない」

 出来れば良いなぁ、程度に考えて俺に話をしたのだろうが。
 まったく……。
 正直な話で言えば面倒だけど、避けて通れそうもない。
 いや、避ける事自体は可能だが、それを行った場合、領地を捨てる道に他ならなくなってくる。
 無意味極まりないだろ。そんな事。

「ご協力、感謝いたします」
「抜かせ」
「イワタニ様の方も警戒ください。この問題は領地の方でも何か起こるかもしれません」
「わかっている」

 仮に三勇教の残党が攻めてきても信仰対象と戦う羽目になる。ま、奴等の理屈じゃ偽物なのだろうけどさ。
 それに、何時までもタダ飯食わせていられない。なんだかんだであいつ等には利用価値が無い訳じゃないし。

「全てはイワタニ様の慈悲に感謝を」
「……そういう事にしておこう」

 本心で言っているか怪しい奴だからな。俺は信じない。
 まだメルティの方が扱いやすい。良い意味で。

 ……アイツは本当にヴィッチと同じ親から生まれたのか疑問に思う程、思い遣りがあるからな。
 フィーロとの友情は若干引く物もあるが、基本的には善人だし、良い意味で真っ直ぐに育っている。
 それでいて比較的に常識人だ。

 正直俺に常識があるかと言われれば、ぶっちゃけ無いが、俺の周りは非常識な奴が多いからな。
 そういう意味では、ラフタリアを初め、メルティなんかは信頼できる。
 奴隷共を除けば、かなり信頼していると言っても良い。
 まあ……先日の一件で怨まれているんだけどさ。

 そういえば女王はメルティの件を追及してこなかったな。
 やった事がやった事だからな、ある程度は覚悟していたんだが……。
 ま、聞かれなかったから問題無いか。
 後々重要な局面で文句を言ってくるかもしれないから、対策を考えておくとしよう。

 ……いや、後からなんか言われるより、今解決した方がいい。
 今までの経験から後回しのすると碌な事が無いから、先に済ませる。

「そういえばメルティの件はどうすれば良い?」
「どう、とは?」

 珍しく普通に疑問系だった。
 ヤブヘビだったか?

「元康の件と関わりがあるからな。一応聞いておこうと思って」
「フィロリアルの件ですね。影は途中まで追っていたそうですが、結界の様な物に阻まれて事が解決するまで事情を察知できなかったそうです。なので、槍の勇者様の証言しかありませんね。確か、メルティを青い子豚と罵ったとか」

 よし!
 完全に事情を察知していないみたいだ。
 メルティは隠すつもりみたいだし、ボロが出ない様に画策しておこう。

「ああ、元康の攻撃で暴走した俺のフィロリアルをメルティが身体を張って説得し、元に戻してくれたんだ。メルティがいなかったら危なかった。後で褒めておいてくれ」

 ……嘘は言っていない。
 メルティも本当の事は話さないだろうし、親に褒められれば引っ込みが付かなくなるだろう。
 後はリーシアを黙らせれば、全て闇に葬り去れる。

「そうでしたか、メルティはフィロリアルが好きですからね」

 女王は納得した様子で頷いていた。

 ……それにしても、こんな災害を経験しておきながら革命か。
 何処まで腐ってんだ、この世界は。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ