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盾の勇者の成り上がり 作者:アネコユサギ

盾の勇者の成り上がり

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大器晩成

「見違えるほど動きが良くなったな」

 ババアの教育の賜物かリーシアが率先して魔物を屠って行っている。
 武器は小剣を基軸に紐付き投げナイフと鞭。
 投げナイフを投げると同時に鞭を相手に絡ませて、ナイフが刺さると同時に引き寄せて小剣で串刺し。
 変幻無双流、縛突とか言う攻撃らしい。

 名称がシンプル過ぎて逆に中二病っぽい気もするが、それ以外は高評価だ。
 しかも、早業。
 さすがはババアのお気に入りと言った所か。

 変幻無双とか仰々しい名前に相応しい予測し辛い攻撃だと見てるだけでわかる。
 あれに防御貫通なんかを混ぜられたらきつそうだな。
 確かリーシアは流派の全てを教わったとか言っていた。
 という事は、今使っている武器以外でも戦えるのか。

 ちなみにリーシアのLvは現在70。
 ステータスに見合わない強さに正直、かなり驚いている。
 なんというか、コイツ誰だ? 状態だ。

 多分だが、樹が今のリーシアを見たら戻ってきてくれとか言いそうだ。
 まあその樹は精神崩壊を起こしてゼルトブルでパーフェクトハイドしている訳だが。
 このまま世界が平和になるまでパーフェクトハイドしていろ。

「そうですか? 私は今一、実感が湧かないのですけど……」

 ちなみに、現在のリーシアはフィーロ着ぐるみを着用している。
 帰ってきて早々着だして呆れた。

 精神安定に必要なんだろうか。
 強くなっても根本は変わらないらしいな。

 もしかしたら樹にフィーロ着ぐるみを着せたら元に戻るかもしれない。
 いやいや……。

「前々から思ってたけど、なんでリーシアお姉さんはフィーロちゃんみたいな格好をしているの?」

 谷子が首を傾げて尋ねる。
 まあ、効率と実際の見た目は大きく違う訳で。
 説明するのが面倒だな。聞こえなかったフリをしよう。

「そうなのですか?」

 アトラは今更になって気づいたっぽい。
 って良く考えたらアトラは目が見えないのだからわかるはずもない。
 さすがにあの着ぐるみから、気とやらは出ていないみたいだな。
 出ていたらちょっと嫌だが。

「ただ、尚文様からリーシアさんの周りに力の流れが行っているのが見えます」
「ああ、そうなんだ?」
「フィーロちゃんや村のみんなにも同じような力が流れてますが、その力が強いです」

 ほー……アトラの感知能力も相当だな。
 なんて感心していると女騎士が魔物を剣で突き倒した。

 こっちもリーシア程ではないが中々の腕前だ。
 後は、アトラがどれくらいやってくれるかで、どこまで行くかを決められるんだけどな。
 まあ、稽古を付けて貰っているから大体はわかるんだけど。

「見ててくださいね、尚文様」
「ああ」

 アトラが襲い掛かってくるイノシシの魔物、レイザーバックの突進を正面から片手で受け止める。
 指一本をレイザーバックの鼻先に付けているだけだ。
 レイザーバックは必死に走ろうとしてるのだけど、一歩も進めていない。
 なんだ? 妙な怪力でも持っているかのようだ。

「ごめんなさい」

 ツン。
 アトラがレイザーバックの額に向かって飛んで、突く。
 それだけで……レイザーバックは白目をむいて泡を吹いて倒れた。
 あれは死んでいるのか?

 ……経験値が入った。
 まるで暗殺術か何かだ。
 普通に倒されるより怖いのはなんでだろうな。

「やりました!」
「そうか……」

 天才って凄いな。リーシアや女騎士よりも遥かに強く見える。
 て言うか素手かよ。
 良く考えたら武器持たせてない。
 いや、最初に剣とか持たせようとしたのだけど、使わなかったんだろう。

 魔物の平均Lvがー……40前後か。
 この面子だと余裕だな。

「キュア!」

 ガエリオンに至っては、レイザーバックの小型、レイザーベベをフィーロと同じく生きたまま口に放り込んで咀嚼してる。
 口の端に血しぶきが付いているなー……。
 うん。両方とも肉食獣だけど、フィーロの方が良いかも。あっちは鳥だから血生臭くない。
 爪で引き裂いて頬張っている時のは知らんな。

「なんかー……私って地味?」

 谷子が魔法を唱える前に戦闘が終わって落ち込んでいる。
 謎の流派、変幻無双流を扱う二人と天才ハクコ族のアトラ。
 確かに魔物バカでは力不足な気もするが、谷子も大概だと思うぞ。
 魔法とか、ガエリオンとかな。

「気にするな。俺なんて見てるだけだぞ」

 俺が耐える必要も無く倒されてしまった。
 来た意味あったか?
 とりあえずヘイトリアクションを使って周囲の魔物を呼び寄せながら、もう少し強めの所へ行く事にする。

 やがて山の奥の方へ飛んでいくとドラゴンが混ざったような魔物が出てくるようになった。
 ああ、そういやドラゴンって辺境に生息しているんだったな。
 ドラゴン系はフィトリアの所為で素材を入れても、解放されないんだよな。
 まあガエリオンの成長と共に増える訳だから無意味では無いか。

 さすがに俺の出番となり、魔物を押さえつける。そして、その隙に他の連中が攻撃して行く。
 後は、弱い魔物は各自で殲滅させていく。

 その合間にガエリオンの方へ目を向ける。
 谷子が居るから隠れているが親の方と話をしないとな。
 ここで竜帝が現れたらきついかもしれないし。

「そう言えばイワタニ殿は」

 女騎士がチャンスを伺っている俺に尋ねてきた。

「なんだ?」
「頭の中で私達に変なニックネームを付けていると聞いたのだが」
「なんだ。その話か、そうだな、俺の前で名前とか言ってない奴はイメージだけで呼んでいるぞ」
「……そうなの?」

 谷子が俺を訝しげな目で見てくる。

「む、その理屈では、私は名前を言っていない。一体なんと呼んでいるんだ?」
「女騎士」
「それは私の役職であって名前では無いぞ」
「でもメルロマルクに女で騎士の奴は少ないし、俺の領内にはお前しかいないからそれで良いだろ」
「まったく……話通りだな、イワタニ殿は」

 呆れつつ女騎士は区切る。
 別の名前で呼んで欲しかったら名乗れよ。何流してんだ。

「私は?」
「谷子」
「なんで!? 私の名前知ってるよね?」
「ウィンディアだったか? 面倒だから良いだろ」
「良くない! 良くないよ!」

 サディナが本人に言うなって言ってたが、知らんな。

「ピンポンダッシュよりはマシだろ」
「も、もしかしてガエリオンの事!?」

 ギャーギャーと騒ぐ谷子を無視して、丁度良い位置にいるアトラに告げる。

「アトラはこの話を知っているよな」
「はい……私もニックネームが欲しいです」

 ……変態か?
 考えても良いが、必要性が感じられないのでやめておこう。
 まあ必要性とか言い出したらあだ名なんて必要なくなるが。

「別にニックネームを付けるほど長くもないだろ。覚えているし」

 ラフタリアはー……ニックネームで呼びたいとか思わないんだよなぁ。
 なんでだろ。フィーロは短いから問題ないし。
 そもそもフィーロという名前自体がフィロリアルのニックネームみたいな物だ。

「でも、尚文様に名付けて貰える素敵な名前があるって良いと思います」
「うーん……お前の兄ならいくらでも出てくるんだけどな」

 アルプスに始まり、シスコーン、当て馬っぽいから当て馬。
 最近ではリーシアに並ぶ地味ポジションだから、そこから新しいのが出てくるかもしれない。

「そうですか……お兄様、羨ましいです。妬みます」
「ちなみにリーシア。お前は樹の追っかけだ」
「ふぇえええ! 私何も言ってません!」
「他にふぇえだな」
「ふぇええ……」

 もはやグダグダだ。
 なんて話をしつつ、谷子の目を盗んでガエリオンと話す。
 どうやらこの近隣に生息するドラゴンは既に欠片を持っていないのが気配でわかるそうだ。
 面倒だなと思う反面、まだガエリオンの育成段階だからちょうどよかった。


 で、みんなLvが上がった訳なんだけど、驚く成長をした奴が一人いる。
 70から71に上がった瞬間、全てのステータスがグンと全体の三割くらい急に伸びた。

 名前はリーシア=アイヴィレッド。

 修行の成果か?
 いや、確か肉体強化ってステータス魔法とは別扱いだから、急に上がるはずはない。
 その日は72まで上がったのだけど、やはり三割くらい上がっている。

 フィーロ着ぐるみを外したステータスで計算しているのだが、最後に見たラフタリアのステータスの半分にまで来ている。
 元々が三分の一だったからそこまでとは思うかもしれないが、このまま成長するとラフタリアに75で追い付いてしまう。
 そういえばババアが以前リーシアに……。

『この子は百年に一人の逸材じゃー!』

 とか、言っていたな。
 ババアはこれを見越していたのか?
 70から急に伸びるって大器晩成にも程があると思うが。

 ちなみにリーシアが樹に捨てられ、俺の配下に加わったのが68だったりする。

 ともあれ、これからリーシアを観察して行かねばならないだろうな。
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