挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
盾の勇者の成り上がり 作者:アネコユサギ

盾の勇者の成り上がり

187/835

解除

「第二のLv上限突破、魅力的であろう?」

 ぐ……凄い誘惑に駆られる事を言いやがる。
 しかし、コイツ……ほんの数時間前にあれだけ騒ぎを起こしておきながら、その日の晩に力貸せって……。
 もしもお前がどこかに被害を出していたら、俺まで他の勇者と同じ扱いを受けただろうが。
 そうなったら四聖勇者全員を殺して、新しい勇者を召喚しようとか言い出す。
 この世界の連中はそういう奴等だ。

 しかも俺の配下で一番の戦力であるフィーロのLvを半分も削っておいて、まともに相手して貰えると本気で思っているのか?
 利権と天秤に掛けているから話を聞いているんだ。
 これが唯のお願いで見返りなしだったら、追い出すなり、処分するなりしている所だ。

 というか、態度で気付いてもらいたい。
 正直、交換条件は喉から手が出る程欲しい物なのは事実だ。
 しかし、感情的には断りたい。
 そもそも未だにフィーロと争っているって時点で反省が無いんだよ。

 その癖、あれこれ理由を付けて交換条件を寄せてくるとか。
 竜帝の欠片云々以前に、態度って物があるんじゃないか?

「あのさ。お前、なんでさっきから俺に適当にあしらわれているのか、わかっているか?」
「…………ああ」

 さすがは竜帝なのか? 勇者共と違って理解が早いのかも。
 いや、俺としばらく感情を同期していたから察し易いのかもしれない。

「すまなかった。この件を除いても出来る限り力を貸す」
「よし、話を聞こう」

 まったく、そういうのは最初にやれっての。

「え? 伯爵、それで話を進めるの?」
「ナオフミちゃん、謝って欲しかったのね」
「うるさい」

 ラトとサディナを無視してガエリオンに視線を向ける。

「続けるが、波の正体、伝説の真実、竜帝の知識には長い時間を掛けた真実のみが蓄積されているであろうな」
「それならフィロリアルの女王だって知っているだろ」
「フィロリアルの女王だぞ? そこに居る次期女王を見てみよ」
「あー……」

 フィーロを見ると、アホ毛をびょんびょんとバネを伸び縮みさせるみたいな事をしている。
 何やってんだ。コイツ。

 ……馬鹿だもんなぁ、フィーロは。
 その始祖なら同じかもしれない。

「なーに?」
「ダメかも」

 フィーロのアホ毛がピコンピコンと動く。
 なんだその反応は。

「えっとねー。忘れたってーフィトリアの声が聞こえるよ」
「アンテナかよ」

 しかも中身も殆ど同じでお気楽か。
 ドラゴンと争っている理由も、勇者の乗り物になる権利とかしょうもない理由で喧嘩してそう。
 というか、あのアホ毛で会話ができるのか?
 テレパシー的な何かなんだろうな。
 本当、異世界は何でもありで吐き気がする。

「なんかねーフィトリアが小さかった頃に勇者がさせてくれたからわかんないってー」
「……どうだ?」
「うーむ」

 魅力的な話だけど、フィトリアも素直に教えるなよ。
 ガエリオンとフィーロが睨みあいを始めている。

「今はそこまで争っている状況では無いはずであるが? 生意気にも盾の勇者の盾にロックまで掛ける始末」
「は?」

 え? まさかドラゴン系の盾が出ないのってフィトリアのアホ毛の所為か?
 フィロリアルシリーズが解放された代わりにドラゴン系を封じていた?
 あのデカ鳥、王族みたいな顔して何セコイ事してやがるんだよ。
 俺の能力に限界が来るだろうが。

 先に唾付けたのは自分とでも言いたいのだろうか。
 マーキングじゃないんだぞ。くそ。

「我の核が入っていたのだぞ? ドラゴンの系譜の大半が揃うにきまっているであろうが」
「ああ、なるほどね」

 Lvが足りなくて、変化させられなかったんだな。
 ドラゴンの核ってフィトリアのアホ毛と同じカウントなのか。
 ゲームとかだったら、どちらか一つしか手に入らないみたいな感じ……なんだろうな。
 最近になって思うが、現実なのかゲームなのか、もう少し明確にしてもらいたいもんだ。

「やれるものならやってみろって、竜帝の極小な欠片が! って馬鹿にしてる。フィーロも笑う。あっはっはー」
「ぐぬぬ……」

 ペットズの攻防は訳がわからんな。
 なんかとてつもなく次元が低く見える。

「見ておれ。汝、盾を前に出せ」
「はぁ……わかった」

 ガエリオンは俺の盾に何か念見たいのを送る。
 バチッと盾がスパークしたような気がした。

 ロックの一部が解除されました。
 ドラゴンレザーシールドの条件が解放されました。
 ドラゴンスケイルシールドの条件が解放されました。
 ドラゴンミートシールドの条件が解放されました。
 竜使いの盾の条件が解放されました。

「ぐ……これが限界だ。くそ」
「それでも出来ただけマシだろ」
「むー!」

 フィーロとアホ毛がメッチャ悔しそうにしている。
 えっと、基本的にステータスは高めだな。さすがはドラゴンか。
 しかも能力アップ系の倍率も程々に高い。
 解放条件がLv50位だ。
 フィトリア……やってくれるじゃないか……。

 お? 竜使いの盾にはドラゴンの成長補正(小)が入っている。
 つまり、竜帝の欠片を集めるとガエリオンの能力補正を高める事も出来る訳か。

「後は我の加護によってクラスアップ補助も少しは出来る。今の我なら二人が限界だが、龍脈法を教えられるぞ」

 利益と損失を天秤にかけてみるとしよう。
 クラスアップに補正……あのアホ毛はそういう能力だったのか。
 なんとなくわかっていたが、竜の加護とフィロリアルの加護は分岐なんだろうな。
 光とか闇みたいに。

「他にも力を貸す、あの呪われた盾の浸食も受け持とう。時間や性能の上昇も更に測れるはずだ」

 ラースシールドでの補助……フィーロもやってくれたが、ガエリオンも加わる。
 そうなれば必然的に扱いやすくなるかもしれない。

「わかった。手伝ってやろう。どうせガエリオンは育てていく予定だったしな」

 関係だけは作っておけば良いだろ。
 育てるのは谷子とか村の奴だし。

「あー、後」
「なんだ?」
「お前の核は俺の鎧にも使われていたんだ。その損失を返せ」
「はぁ……しょうがあるまい」

 フィーロに飴玉を吐き出したのと同じモーションでガエリオンは俺に赤い玉を渡した。

「その玉は我の強さに比例して、汝の鎧に力を貸していく、定期的に更新させれば良いだろう。もちろん、欠片が増えれば更に強く出来るぞ」
「ほー」

 前より便利になったんじゃね?
 フィーロのアホ毛も異常な反応を見せている。

「なんだ? フィーロも素材になる何かを出せるのか?」
「フィーロ分かんない。でもなんかやれってー」
「ちょっと、それどういう事?」
「我の核の力と連動させて鎧を強化させていたのだ。言わば我の分身を渡した」
「これって……流用できるんじゃないかしら」
「ああ、そういやラトの研究には魔物の武器化とかがあったな。ある意味魔物の防具化に近いか」
「防具化! 良いわね。着想を得てみようかしら」
「頑張れよ」
「ふむ、そういえば汝は魔物の改造を心得ていたのだったな」
「……何よ」

 そういやラトってドラゴン嫌いなんだよな。
 節操が無いかららしいけど。
 らしいというか、ガエリオンの過去で魔物を娶っていたからな。
 竜が節操の無い生き物だと結果的に証明された訳だ。

「ラトに手を出すなよ」
「我がそんな真似をするはず無かろう。だが、望めば遊んでやっても良いぞ。ここを我が縄張りにして魔物共を娶るのも悪くない」
「お断りよ!」
「そう言わんでくれ、我は強さに貪欲だ。是非我の体の改造を任せようと思っている。是非ともフィロリアルの女王を倒すための強さを手に入れたいのだ」
「いやよ……汚らわしい」
「ふふ、何時まで続くかな。お前の研究欲はその程度なのか?」

 なんかラトが思いっきり渋い顔でガエリオンを睨んでる。
 なんだ、このエロゲみたいな展開は。
 了承して早速だが、ガエリオンを追い出したくなってきた。

「お前の娘が聞いたら泣くぞ」
「ぐぬ……」

 魔物の改造は反対派だぞ。谷子って。
 その親であるガエリオンは賛成派とか、谷子の努力は報われないな。

「時代は変わるものだ。それにそうも言ってられん」
「なんだ?」
「波、それ自身の正体を我は忘れている。だが、もう一つは強く覚えているぞ」
「なんだよ。言えよ」
「えっとねー……波が起こるたびに各地の魔物が強くなるんだってー」
「は?」

 すごく、イヤな響きが部屋に響くのだった。
 要するに……コンシューマーゲームとかである。プレイヤーに比例して魔物が強くなるとかその辺りに近い現象がこの世界でも起こる訳?

「そういや、野生の魔物ってどうやってクラスアップとかしているんだ?」
「野生化の魔物は人間共とは別のシステムで動いておる。大地から力を吸収し、己に見合った力を得るのだ。人間どもの経験値とはその大地の力を奪った値でしかない。だから吸収限界などあるはずもなかろう」

 う……ここにきて知らない知識を教えられた。

「つーか。そういう知識こそ欠片にあるんじゃないのか?」
「元々我は野生のドラゴンだ」
「あー……そうだったな。知ってて当たり前か」
「もちろん。ドラゴンも野生化の魔物とは別のシステムで能力上昇する」
「なんで知ってんだお前は!」
「交配相手から聞いた」
「ああ、そう」

 元、妻子持ち……の割に、谷子以外は無頓着だな。こいつ。
 その辺りわきまえた関係だったのか? 野生動物の一生。
 ま、現代日本じゃ野生の動物と会話なんて出来る筈もない。

「話はわかった。まあ、考えてやらんでもないが……村にドラゴンが襲来するとか、起こるなら出てけ」
「……起こりそうになったら我が誘導して戦う。ここは守らねばならんからな」
「この辺りは女王に報告だな」

 波の後は魔物が活性化すると、相対的にこの世界の人間は魔物に対する対抗手段を模索していかないと死ぬ訳だ。
 どこぞのRPGみたいに魔王の城の近くは敵が強くて、最初の城近辺は雑魚だったら良かったんだけどな。

「さて、と。今日は疲れたから我もそろそろ寝る。話はこれくらいか?」
「まあ、そうなるな。後はお前の体の方のガエリオンに躾か」
「十分に反省しておる。命令無視もせんだろうよ」
「ああ、そう。結果を出せば信じてやるよ。ピンポンダッシュ」
「ぐぬ……はぁ。わかった。しょうがない」

 こうして話を終えて、今日は就寝した。
 もちろん、ガエリオンやラトは出て行った。
 何故かサディナは同じ家で寝てるけど。
 フィーロが俺に引っ付いて来てうっとおしい。
 これでどうにかなるだろ。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ