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盾の勇者の成り上がり 作者:アネコユサギ

盾の勇者の成り上がり

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メルティのお仕事

 翌朝。

「そういや伝令役の騎士がいないな」

 伝令役の女騎士を見ない。何処へ行ったんだ?
 ラフタリアやリーシア、それと一部の奴隷がババアに連れられて強化合宿中だ。
 ガエリオンはアトラや谷子と遊んでいるし……。

 ぐー……。

 ガエリオンが空腹を訴えている。
 バイオプラントの実の消耗も早い事で、生産が追い付いていない。

「じゃあお前等は今日も狩りに行ってこい」
「はーい」
「キュア!」
「行ってまいります」
「アトラ! 俺も行くぞ」

 今日こそは一緒にとフォウルがパーティーに参加する。
 ま、良いんじゃないか。

「アトラに敵を近づけさせたりなんかしない!」
「大丈夫ですわお兄様。それにガエリオンちゃんが守ってくれますもの」
「大丈夫もクソも無い! こんな魔物にアトラを任せられるか!」
「キュア!」
「魔物じゃなくてガエリオン!」

 とかなんか騒ぎながら出かけて行った。
 楽しそうな連中でなによりだ。

「ほんじゃ私も海へ狩りに行ってくるかしらねーLv上げたいし」

 サディナは当たり前のようにそう言って海へと出る。
 さて、俺も領地の管理に出るかな。
 村の方は俺の指示もあって、昼間は割とガラーンとするようになってきている。
 行商組が出ると人員も減るな。

 ルーモ種の連中とか手先が器用な奴、他に薬作りに興味のある奴隷達に簡単な薬の作り方を教える。
 昼過ぎになった頃には料理を覚えた奴隷が飯が出来た事を告げ、昼食を取る。
 なんとなく平和な日だな。
 ラトが何をしているか気にはなるけど、魔物舎の方で魔物の管理をしているようだ。

「伯爵」

 昼飯を食っているとラトが顔を出す。

「伯爵は魔物のクラスアップも許可するわよね」
「ああ」
「近々、クラスアップさせる魔物を選出するから頼めるかしら?」
「わかった」

 そういや、魔物のクラスアップもあるんだよな。

「キャタピランドか?」
「そこなのよね。キャタピランドって研究じゃクラスアップしても大して強くならないのよ。伯爵の所でも大きくは育ったけど能力はあまり高くないし」

 ふむ……。
 そういえばこの前改造がどうとか言っていたからな。
 こういう面を含めて強くない種族なんだろう。

「だからと言ってやらないよりマシなんじゃないか?」
「そうね」

 などと、魔物の方のクラスアップの話を終えて、町の方へ顔を出す。
 店の品ぞろえも良くなり、順調に拡張して行っている様子だ。問題は派閥とかの形成が出来ているかだけど、アクセサリー商が裏で牛耳っているのか、そこまで大きな騒動は無いようだ。

 メルティの方が住んでいる屋敷に顔を出した。
 ……女王と同じく書類の束と戦っているメルティがそこに居た。

 嘘……親と同じようにテキパキと処理している。
 あのメルティが。
 あのメルティが。

「フィーロちゃん愛嬌」
「うん」

 なんかフィーロにポーズを取らせて仕事のストレスを発散させている。
 一見するとバカっぽい。

「お前等……」

 そろいもそろって馬鹿だなぁー。
 というのは言わないでおこう。
 うん。頭の良いガキは変な部分も持っていると聞いた事がある。
 きっとその分類だろう。
 ほら、メルティって鳥マニアだし、そういうフェチもきっとあるだろう。

「あら? ナオフミじゃない。何の用?」
「様子はどうかと思って見に来た」
「順調ね」

 肩を揉みながらメルティは休憩とばかりにフィーロの背に乗る。
 何故乗った。
 お馬さんかパカパカか? 
 この二人の関係は良くわからん。

「城の者も頑張ってくれているし、商業ギルドの者もナオフミの為に気を使ってくれている。問題は亜人種の冒険者が立場を理解していないという程度かしらね」
「そうか、色々とすまないな。ところで伝令役をしている騎士が見当たらないのだが……他にも数名、兵士が行方知れずだ」
「あら? 聞いてなかったの? 彼女と数名の兵士、戦闘顧問に付いて行って山籠りするって休暇届けが出てるわよ」

 転ぶかと思った。
 なんだよそれ。
 そりゃあ、教わりたいとか言ってたけど、休暇まで取って付いてったのか!?
 どこまでやる気があるんだ。

「まあ、ナオフミが転送スキルを手に入れたから、移動が楽になったでしょ? 城からの伝令だけしか必要無くなったせいで重要度も落ちたのよ」
「そんなものかねー……城に指示って基本的にアイツを使った試しが無いのだが」
「ナオフミが使わなかっただけでしょ。影とは別の公的な指示を仰ぐ時に頼むのよ。まったく……」

 メルティが座っていた席にある書類……なんか十字が書かれている。
 いたずら書きか? 紙飛行機の設計図を描いておこう。

「そういや町のルールだったか? 確か書かされたよな」
「ええ、どうも盾の勇者の庇護する地域だからって亜人種が人間を差別しようとするようなのよ」
「困ったものだな」

 差別禁止、盾の勇者は亜人も人間もこの町では等しく扱うとか、色々とルールが記載された物を俺は書かされた。
 わからなくもないな。
 亜人の神だから、ここでは何をしても良いとか言うようなアホもいるだろうし。

 当然そんな事は許さない。
 真っ当な理由の無い差別を俺が許さない。
 ちなみに理由があれば個人の範囲なら許す。
 じゃないと俺が他の勇者を差別できないだろう?

「ええ、幸い。ナオフミの所の奴隷が巡回して、注意しているから事無きは得ているけど、これ以上、町が大きくなると目を瞑れない所で騒ぎが起こるようになるかもしれないわね」
「……城下町でも似たようなものだろ」
「そうね。ある程度寛容に受け入れないといけないのだけど、シルトヴェルトやシルドフリーデンの連中はその辺り、わかっているのかしら」

 メルティの溜息が深い。
 こんな子供の内から中間管理職の苦労とは、王女も大変だな。

「実はね。ナオフミには黙っていたけど、亜人の捨て子が多くて困っているのよ」
「……は?」
「ナオフミが自分の選んだ亜人だけを奴隷にしているでしょ? だけどそれをわからず、ナオフミの下に付きたいってこの町や村の近くに子供を捨てる者が後を絶たなくてね」
「どうしているんだ?」
「一応、言語や種族から判定して本国送還をしているわ。種族の判別も出来てない訳じゃないし、先方も送還費を持ってくれているわ。何処まで本気かわからないけどね」
「思いっきり亜人の国がアクティブになってきたな」
「この際、どこか公的な場所で注意してくれない? 困るって」
「そうか……わかった」

 俺に直接干渉してこないのは、やさぐれきっていた時に言った言葉が関わっているんだよな。
 この問題、何か手段が無いだろうか。
 もちろん、捨て子を拾って奴隷にするという手段も無い訳じゃない。
 だけどこれをしてしまうと、捨て子が出てくる確率が加速するんだろうな。
 それはわかるし、してはいけない。

「亜人の冒険者が落とす金銭で潤っているのも事実だから、規制も掛け辛いし……なんだかんだで人間もきてくれるけどね」

 どちらかというと亜人重視か。
 そういや、町並みを見ると亜人が多いもんなぁ。

「この前の騒ぎはフィーロちゃんがいなかったら危なかったわね」
「そうか、色々と助かっている」
「そう思うのなら、注意してくれない? せめて今日中に」
「わかった」

 メルティを連れて俺は町の広場に行く。
 俺が広場に設置された台に乗って大きく声を出す。

「えー……町の発展の為に尽力を注ぐ者、町を利用する冒険者の皆にも聞いてほしい事がある」

 人々が集まっているのを確認してから俺は口を開いた。
 メモは無いが、事前に覚えてきたセリフをそのまま言う簡単なお仕事だ。

「最近、どうも自分たちは特権階級であると勘違いした者が騒ぎを起こしているようだ。だから注意する。この町では種族間の地位の上下は無い」

 亜人共の三分の一がざわざわと騒ぎ始めた。

「別に過去の因縁を忘れて友好的に接しろとまでは言わない。だけど、この町にしろ村にしろ、目的は復興。俺の目的はメルロマルクで亜人を優遇する町を作る事ではなく、ここに居た前の当主が行ったような統治でしかないのだ。それを忘れないでくれ」

 一応、ここの前の当主が行いたかったのは優遇も差別であり、亜人も人間も同じ生き物であるという意識の形成だったと聞いた。
 俺もそれに乗っかる事にした。

「同様に俺が行っている奴隷の育成は慈善事業では無く、波での戦力の増強である。捨て子を育てるような行いをするつもりはない事を覚えていてくれ」

 これは公的な場に招かれたら言わなければいけない問題だろうな。
 それを忘れてはいけない。
 まったく……神様になら、どんな事を頼っても良いとか思っているのだろう。
 シルトヴェルトにしろシルドフリーデンにしろ。
 いずれ行くかもしれない国だが、出来れば関わりたくない類の国だと常々思う。
 こんな問題を起こすとは。

 さて、宣言も問題なく終わり、俺は村へ帰った。
 その後、俺がメルティの机にあった十字の書類にいたずら書きをした紙なのだが、どうもメルティはその紙を見て、フィーロから紙飛行機の作り方を教わり、遊んでいた所為で仕事が滞り、俺に難癖付けに来たというのはどうでもいい補足か。

 そういや子供相手に紙飛行機を作ってやった事があったか。
 紙じゃなくてバイオプラントの葉っぱだったから、あんまり飛ばなかったけどな。
 なんでもあの紙は、町の予定図を書く紙だったらしい。

 尚、お前もやっぱり子供だな。
 と言ったら顔を赤くしてヒステリーを起こし、フィーロと一緒に去って行った。 
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