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盾の勇者の成り上がり 作者:アネコユサギ

盾の勇者の成り上がり

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変幻無双流

「おお、この子は百年に一人の逸材じゃー!」
「ふぇええええええええええ!」

 ……その戦闘顧問に会いに行った所で俺は額に手を当てて俯いた。
 頭が痛い。
 なんでババアがリーシアの体を揉みまくっているんだ?
 その息子も、なんか装備が豪華になっている。
 ババアは中華風の道着を着ているし……もしかしなくてもあれが変幻無双流の戦闘顧問なのか?

「おや聖人様、お久しぶりでございます」
「……一応聞くがお前が国が認めた戦闘顧問なのか?」
「はいですじゃ」

 聞いた俺も悪いが、認めたくなかった。
 というか、なんとなくわかってはいた。
 頭の中で拒否反応が働いていたのだ。
 おそらく、カルミラ島で聞いた、俺の脳が無視した声は本物だろう。

「聖人様に助けられた命、世界を救うために馳せ参じましたぞ」
「あー……うん。それはわかった。所でなんでリーシアを捕まえているんだ?」
「わかりませんか聖人様? この者には並々ならぬ素質が眠っております。ワシの次期後継者にふさわしいほどの大きな素質が」
「ふぇええええええ、ナオフミさん助けてくださいぃいいい」

 最近じゃあ、あんまり言わなくなった口癖が全開で漏れまくっている。
 そんなにもイヤなのか?
 確かリーシアはー……新人育成を重点的にして貰っているからLv65まで上がってきているんだよな。

 難点は、あんまりステータスが高くない事。
 Lv55のキールに全部のステータスが余裕で負けている。
 一番高いので半分くらいしかない。
 ラフタリアと比べると……目も当てられない。

 ただ、Lvアップの速度は妙に速いんだよなぁ。
 この世界のLvアップの速度って人それぞれなのを奴隷育成をして知った。
 そんなリーシアに素質がねー。

「で、戦闘顧問をしているお前のLvは幾つなんだ? 確か前は年齢と同じとか言っていたが」
「あの後、昔の勘を取り戻すのと、更なる鍛錬によって限界のLv100になりましたですじゃ」

 100! この世界のLv限界は100なのか!?

「そうか、100が限界Lvなのか」
「わかると思うが、イワタニ殿の奴隷の中に居るハクコ種の限界は120。それが強い亜人と言われる由縁だ」
「い、一応そうなのですけど、伝説ではそれを超えるクラスアップが存在するそうです」

 女騎士とリーシアが補足する。
 博識な奴がいると楽でいいな。
 なんだかんだで俺は世界に疎いし、奴隷共にこの手の知識があるはずもない。
 騎士と貴族様々だ。

「四聖の勇者は?」
「その限りでは無いそうですよ」

 なるほど……つまり、伝説の勇者は100以上になるし、ハクコ種も120まで上がる。
 だけどクラスアップでその上限を突破する方法が伝説にはあるが、今は現存しないという事か。

「そういやラフタリアは何処だ?」
「彼女ならそこだ」

 ラフタリアがぐったりとして、座り込んでいる。
 どうしたんだ? まあ見当は付くが。

「大丈夫か?」
「あ、はい……あの老婆が私の体をまさぐって、正式な伝承者として認めるとか勝手に……」
「強いらしいからなぁ」

 Lvじゃラフタリアより上だし。
 ステータスがどうかは知らないが。

「私が動く間もなく、動きを押さえつけられてしまいました。幾ら力を入れてもびくともしなかったんですよ」
「そりゃあ凄いな」

 関節技とか、そういう類か?
 生憎と俺はそういった事に詳しく無い。
 元の世界では典型的なオタクだったからな。精々格闘アニメを見た事がある位だ。
 まあどちらにせよ、あの霊亀の頭をフィーロと一緒に切り落としたラフタリアの力を抑え込むって相当な実力者なんだろう。

「聖人様はおわかりだとお思いですじゃが、所詮ステータス魔法の恩威など実際の戦闘では勝利の材料。本当の実力は経験や資質で左右されるますじゃ」
「まあな」

 どんなにステータスによる力があろうともそれを使いこなせるだけの能力が無ければ実戦では役に立たない。
 今日までやってきた俺はそれを良く知っている。
 どんなに高Lvであろうとも、実際の戦闘では弱い連中なんて山ほどいる。
 ステータスで推し量れない所に本当の強さがあるんだ。

「で、お前の武器はなんなんだ?」

 前はクワを持って戦っていた。
 あれを武器として取りだしたら追い出してやる。

「変幻無双流に特定の武器は無いですじゃ」
「何?」
「どんな物であろうとも、武器として活用し敵を殲滅する万能の戦闘術、それが変幻無双流なのですじゃ」

 ……クワも武器であると。
 武器を選ばない流派とかどんなモノだよ。

「では聖人様、ワシの強さを身を持って体験するというのはどうでしょうかな」
「俺は呪いで能力が下がっているのだが……」
「そんな状況では戦えないと? 突然の出来事に準備が出来ていないから逃げると聖人様は言うのですかな?」
「違う……まあ良い。相手くらいはしてやるが、何で来る? というか俺には攻撃能力が無いのだが」
「ではハンデとして木の棒でお相手いたそう。大丈夫ですじゃ、たった一撃、聖人様は耐えれば十分、耐えきれるのならなんとでも言ってワシを追い払うと良いですじゃ」

 と言ってババアはバイオプラントの枝を折って俺に向かって構える。
 対人は殆どした事が無い。
 俺の能力も低かった事を加味して、今まで戦った対人相手で一番強い相手は元康か。
 ま、防御しか無い俺と攻撃の元康が一対一で戦うとか、ふざけた物だったがな。
 それ以外は追っ手の騎士だの、盗賊だのといった有象無象だったし。

 盾は一応、一番防御力の高いソウルイーターシールドにしておこう。
 霊亀シリーズは精錬用品が足りないので中途半端なんだ。

「では行きますじゃ」

 ババアが一瞬で俺の懐に飛んでくる。
 は、早い! だが対処できない速度では無い。
 俺は盾をババアの木の棒の一撃が集約する場所より僅かに早く当たるよう前に出す。
 こうする事によって攻撃の威力を著しく下げる事が出来る。

「さすがは聖人様、戦闘慣れしているですじゃ、ですがこれはどうですじゃ?」

 ガツンと木の棒であるにも関わらず盾に衝撃が走る。

「!?」

 そして盾を持った手を伝って何かが俺の体に向かって走ってきた。
 それが腹部に到達し……。

「グフ……」

 思いっきり腹を殴られたかのような衝撃が走る。
 な、なんだ今の?

「変幻無双流の型の一つ、点。本来は強固な鎧に身を固めた者に放つ型、聖人様には相当な深手になりかねない攻撃ですじゃ」

 意識を集中させて、回復魔法を唱える。

「ツ、ツヴァイト・ヒール」

 木の棒でこの威力……考えられるのは対象の防御力に比例したダメージを負わせるスキルだろう。
 俺にとって致命的になりかねない類の攻撃だ。
 樹のイーグルピアシングショットがそれに近い性能を持っていた可能性がある。

「ですが……返し技もあるくらいは聖人様もご存じなはずですじゃ」
「あるのか?」
「そうですじゃ。是非とも聖人様には体得して頂きたいのですじゃ」
「……わかった」

 かなりの強さを持っているのはわかった。
 仮に敵になったとしても勝てない敵ではないが、戦闘顧問としては優秀そうだな。
 協力してくれるのなら拒む必要もない。
 むしろこの能力を奴隷共に覚えさせられれば相当な戦力強化になる。

「具体的にはどうすればいいんだ?」
「聖人様は実戦での経験も御有りのご様子、ならば理論だけを説明するですじゃ。あの型は相手の内部に気、魔力などの力をねじ込み、相手の内部の固さを利用して暴れさせる物なのですじゃ」
「はあ……」

 俺の頭の中には陶器で作られた置物の中にビー玉を入れて振るようなイメージが浮かぶ。
 たぶん、論理的には間違っていないはずだ。
 振りまくったらやがて割れるかもしれない。それ以前に陶器の置物は中身が空洞だけど、俺は空洞じゃない。
 そんな攻撃を受けたら割れる前に内部が破壊される。

「この型でダメージを受けない方法は一つ、やわらかい部分を意図的に作って破壊しようとする力を逃がすのですじゃ」
「なるほど」

 つまり、力が暴れ出す前に、外へ出す。
 陶器の置物に例えると穴を作って、振る前に出すようなものか。
 そんなマンガじゃないんだから……実際にできそうなのが、ファンタジーだよな。
 ……今まで盾を召喚したり、バリアを張っていた俺が言うのもアレだがな。

「理屈ではわかるが実際にやるとなると難しそうだな」

 イメージでどうにかなるものかわからない。
 このババアも中々の実力者だな。

「わかった。お前をこの村の戦闘顧問として認める」
「ありがとうですじゃ。指しあたって、聖人様の右腕をしている少女とこの子を重点的に見させて貰いますじゃ」
「わかった」
「ナオフミさん!」
「ナオフミ様!」

 ラフタリアとリーシアが揃って抗議する。

「いやなのか? こいつは強いみたいだぞ」
「そうなのですがー……」
「ええ、私たちはそれよりも……」
「強くなりたいんだろう? 我慢しろ。ラフタリアはなんだかんだで我流だから調度良いだろ」

 何かを覚えさせるには良い機会だ。
 Lvも最終的に100で打ち止めだから、それこそ武術なんかを学べば強くなれる。
 ラフタリアにはもっと強くなって貰わないと行けないし、リーシアだって強くなりたいと言っていた。
 嫌がる理由がわからない。

「さあ、今日からビシバシ行くですじゃ!」
「わ、わかりました」
「ふぇええ……」
見た所、投稿後にリーシアのLvが75になっていましたが、本来は65です。直して置きました。
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