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盾の勇者の成り上がり 作者:アネコユサギ

盾の勇者の成り上がり

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亜人の特徴

 仮眠を交代で行い。朝になった。
 そしてその日の昼頃、問題は起こった。
 遭遇したウサピルを狩っていると。

「あ……」

 ポキンとラフタリアに渡していたナイフが折れてしまった。

「受け取れ」

 しょうがないので作業用のナイフを渡し、俺に噛み付いていた最後のウサピルにトドメを刺させる。

「ごめんなさい」
「どんな物にも寿命はある。壊れてしまったならしょうがない」

 安物のナイフだったし、碌に研磨もしていなかったからな。

「とりあえず、これくらいにして城下町に戻るぞ」
「はい」

 結構な大荷物になった袋をラフタリアと分けて持っていく。
 ちなみに俺のLvは11に上がり、ラフタリアも11になった。
 その道中、何度か魔物に遭遇したが、渡したナイフはどうにか持ちこたえてくれた。
 さて、色々と薬とか物を売っていくと合計銀貨70枚にまで貯まった。
 チャリチャリ……。

「どうしたものかな」
「ナイフ?」

 屋台でラフタリアに昼飯を食べさせながら呟く。
 生活費は野宿すればどうにかなる。
 食費もウサピルとかを解体して肉にすれば問題はなさそうだ。
 しばらくの間は篭れるだろう。
 何処へ行けばいいのか検討も付かないが、いい加減買える限界の装備で経験値稼ぎもしたい。

「まあ、武器屋に行くか」
「うん」

 ぐう……
 後ろから腹の音が響く。

「お腹すいた」
「さっき食べたばかりだろう!?」

 成長期か!?
 一日に何回食べる気だ!

「はぁ……」

 エンゲル係数が跳ね上がりそうだ。
 早く狩りに行かないと、このままでは食費に追われる。




「という訳だ親父、銀貨65枚の範囲で良い武器と防具を寄越せ、作業用ナイフも込みで」

 何やら親父が額に手を当てて唸っている。

「まあ……安物を渡した俺も俺だが、ちゃんと手入れしろよ」
「すまんな。ブラッドクリーンコーティングとやらが掛かっているつもりで使わせていた」

 そう、バルーン、マッシュ、エッググはどれも無機物に見える生き物。エッググは割れば体液がこぼれるが拭えば問題ない。
 けれどウサピルクラスとなると血が付着する。
 しかも手入れをしていなかったのだからなおさら劣化も早かっただろう。

「しかし、三日しか経ってないが血色が良くなったなぁ。少しふっくらしてきたんじゃないか?」

 ラフタリアが営業スマイルで頷く。何を言っているんだか。

「お? 表情も良いな」
「うん!」

 よし、そのまま値切れ。

「親父、出来る限り武器を重点にして売ってくれ」
「アンタは?」
「俺はいらん」
「いらないの?」

 ラフタリアが俺を見上げて尋ねる。

「お前には必要に見えたのか?」

 今まで俺は魔物の攻撃で傷一つ付いていない。
 あのクソ勇者達も言っていたでは無いか、盾職は初盤は楽だが後半は厳しくなると。
 だから俺はダメージを受ける場所に着くまで装備は必要無い。

「うーん」

 納得しかねる表情でラフタリアは唸る。その手にはボールを大事そうに抱えていた。

「まあ、これも何かの縁だ。少しだけオマケしてやる」
「高いなら値切るまでだ」
「アンタには原価ギリギリにしてるよ。下手に吊り上げたらバルーンを押し付けられるんだろ?」

 やっぱり噂になっているか、まあ意図的に流させた訳だけど。

「理不尽には理不尽で返しているだけだ」
「……俺は困らんが、対策を取っても別の手段に訴えそうだよな。アンタは」
「良く分かってるじゃないか」
「見てれば分かる。勇者の中で一番商魂たくましいからな、アンタ」
「褒め言葉として受け取っておく」
「さてと……」

 親父はラフタリアを見ながら自分の顎を揉む。

「そろそろ嬢ちゃんにはナイフじゃなくて剣に挑戦させてみるか」
「大丈夫なのか?」
「やる気があるようだしな。短めの剣だから入門に良いだろう」

 親父はガチャガチャと武器屋の隅にあるコーナーを弄る。

「そうか」
「剣を使うの?」
「らしいな」
「ついでに使い方をレクチャーしてやる」

 それから店の奥のほうから皮でなめされた胸当てを持ってきた。

「鉄のショートソードと皮の胸当てだ。ちょっと古いが我慢してくれよ。サイズも合わせてやる」

 親父はラフタリアに剣を持たせ、皮の胸当てを布の服の上から着させる。
 ぐう……

「またか!」
「おい、この子亜人だろ? 子供で、Lv上げたら当たり前じゃないか」

 なんだ? 常識なのか? 良く分からないがこの世界はどんな基準で動いているのだろう。
 そういえば昔、カラスのヒナは餌を与え続けなければ死んでしまうという話を聞いた事がある。

「そうなのか……しょうがない。レクチャーしてもらっている間に買って来るから大人しくしていろよ」
「はーい!」

 その様子を見て何やら武器屋の親父がガハハと笑いやがる。

「行って来い、それまでには基本を教えといてやる」

 武器屋を出て、市場の方へ急いで行く。
 まったく、Lvを上げる代償が空腹とは亜人とは変な種族だ。
 ステータスも順調に伸びているようだし、少しずつ強くなっている自覚はある。
 だからって、食費が馬鹿になら無い。
 それから屋台で飯を買って戻ると、親父がラフタリアに剣の振り方や使い方をレクチャーしている最中だった。

「ホラよ」
「ありがとう!」

 もぐもぐと食べながら振る動きや回避を親父は熱心に教える。
 なんか様になってきてる気がしなくも無い。

「アンタはどうなんだ?」
「回避は見て覚えておく」
「まあ、アンタは耐えるタイプみたいだしな。下手にバランスを崩すと危ないか」

 と、親父の武器講座が終わり、会計を済ます。
 すると親父は俺に白い石の塊を渡した。

「何だこれ」
「砥石だ。今回の武器もコーティングが掛かっていない。定期的にメンテナンスしないとあっという間に壊れるぞ」
「ふうん……」

 徐に掴むと盾が反応した。
 だから吸わせる。

「お、おい!?」

 砥石の盾の条件が解放されました。
 お? シールドって付かない初めての装備だ。
 まあ盾だけど。
 鉱石系から派生する物が多いな……あ、本来の派生ではなく、辛うじて近いスカイエッグシールドとウサミートシールドからの複合で繋がっている。
 料理には包丁が欠かせないからか?
 防御力はエッグシールドに毛が生えた程度だな。
 ウサピルの死体を解体せずに吸わせたウサピルシールドの方が高い。

 砥石の盾
 能力未解放……装備ボーナス、鉱石鑑定1
 専用効果 自動研磨(8時間)消費大

 専用効果?
 ヘルプを確認する。

『専用効果』
 専用効果とはその武器である時のみ発揮する効果です。
 この効果は解放による能力付与のように覚えることの出来ないものなので、必要な場合はその武器に変化させましょう。


 あれか?
 ゲームとかで○○系に効果大みたいなタイプだろうか。

 急いで盾を変化させる。

「おう!? なんだ、それは」

 砥石の盾、形状はスモールシールドよりもやや大きい。白い大きな石の盾だ。
 ただ、盾の上に何個か穴がある。細い穴だったり太い穴だったり、紙が通りそうな穴だったりと色々ある。

「おいアンタ! 聞けよ」

 ふむ……自動研磨(8時間)消費大とは何なのだろう。
 名称通りの効果なら多少期待は持てるが……。

「おい!」
「あ? なんだ親父」
「一体なんだその盾は!」
「前にも見ただろう。伝説の盾だ」
「聞いてねえし見てねえよ」
「見たじゃないか、スモールシールドの時」
「はぁ!? どうして砥石になってるんだ?」
「砥石を吸わせたからだろ?」
「……」

 武器屋の親父が、ダメだ、会話が成立していないという顔をしている。

「伝説の武器には不思議な力があるとは聞いたが、これがそれか」
「他の勇者から聞かなかったのか?」
「最近は見ねえよ。それに目の前で実践したのはアンタが初めてだ」

 本来であれば強大な敵が残り1週間少しと迫っている現状、情報は少しでも共有するべきだろうに。結局奴等は仲間同士にすら教えていない自分本位の秘密主義者という事か。
 少なくとも俺ならそんな奴は信用しない。

 ……まあ態々見せる必要も無いのも事実だが。
 無駄の無い奴らだこと。

「で、何を悩んでいるんだ?」
「ああ、自動研磨(8時間)消費大という効果があるらしくな。字面から勝手に研磨してくれそうなんだが」

 何を消費するのか分からん。

「ふうむ……」

 武器屋の親父が錆びた剣をカウンターから出して俺の盾の溝に差し込んだ。

「処分品の武器をオマケしてやる。それで試せば良いだろ」
「ああ、感謝する」

 視界の隅のアイコンに『研磨中』とか出てる。
 微妙に重いな。
 あと、何か肩が重く感じる。
 ふとアイコンを見ていると俺のステータスにあるSPという今まで変動した事の無い項目が徐々に減っていく。
 大方、スキルとかその辺りに使う値だろうと考えていたが、こういったものでも減るんだな。

「さて、そろそろ行くか」
「行くの?」
「ああ」

 ある程度様になったカッコのラフタリアの頭を撫でて俺は武器屋を後にする。
 今は、Lvを上げるのと、成長期で飢えているラフタリアの飯の調達のために旅に出るとしよう。

「あ、そうだ親父」
「……まだ用があるのか?」

 いい加減、ウンザリとしているという口調で親父は俺を睨む。

「森を抜けた村の先にあるダンジョンと同等の魔物がいる場所を知らないか」

 安物の地図を広げ、あのクソ女が勧めたダンジョンのある方角を指差して尋ねる。
 一応、参考程度には良いだろう。信じるかは別だ。

「森とは違う、街道の先にある村の方も似た様な魔物が居ると聞くぞ」
「そうか、じゃあそっちに行ってみるか」

 今は期日までにどれだけ盾を成長させられるか、それと金を稼げるかに掛かっている。
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