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盾の勇者の成り上がり 作者:アネコユサギ

盾の勇者の成り上がり

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Lvリセット

 客室のベッドに横になり、体を休める。
 ああ、やっぱ重いな。横になると実感する。呪いの効果が強くてキツイ。
 日が落ちてきたし、どうしたものか。
 ちなみにフィーロはメルティと一緒だ。仲の良いことで。

「お疲れ様です」

 リーシアが労いの言葉を投げかける。

「そういえばきぐるみを着ていないな」
「あ、はい。しばらくは戦わないかと思って脱いでますが不味かったですか?」
「いや、普段から着ていろとは言ってない」
「リーシアさんは、なんていうか……きぐるみが気に入っていたようでしたし」
「はい。あのきぐるみを着ると体がとても軽くて」

 そりゃあいろいろと加護が掛かるからな。便利だろうよ。

「すごかったです。ナオフミさん」
「ああ、やっと俺の名前を呼ぶようになったか」
「え、あ……」
「気にするな。別に怒りはしないさ」

 大きな戦いを乗り越えてリーシアも多少、度胸が付いて来たのかもしれない。
 これは喜ばしい事だ。

「領地ですよ。それに爵位も……大出世なんですよ」
「元々勇者だしなぁ……あんまり実感沸かないが」
「ナオフミ様は、何が望みなんですか?」

 ラフタリアが疑惑の瞳で俺に尋ねる。
 そういえば、女王に欲しい領地の指定をしたら声を出しそうになっていた。

「昼間の事か? 言ったとおりだ。悪いが連合軍は頼りにならない。これから先の厳しい戦いを視野に入れたら私兵の部隊を作らねば厳しくなるだろうってね」
「ですが、何故、最初の波の被害地域を?」
「それも昼間の通りさ、色々とやらかすから覚悟していてくれ」
「はぁ……まったく、ナオフミ様と一緒に居たら安穏とはしていられないようですね」
「全ては波を乗り切るまでだ。我慢してくれ」
「分かりました」
「フフ、まるで長年付き添った夫婦みたいですね」

 リーシアがなんか爆弾発言をした。
 まあ、ラフタリアとはこの世界で一番長い付き合いだし、理解はしてくれているだろうなぁ。
 夫婦とかじゃなけど。

「な、な、何を言っているんですか!?」

 ラフタリアが恥ずかしそうに顔を染めて怒鳴る。
 ああ、やっぱりそう言った色恋沙汰は逆鱗か、リーシアも地雷を踏んだな。

 元は唯の子供奴隷だが、ラフタリアは人一倍心優しくてお節介な奴だ。
 家族を失い、住んでいた場所を奪われた悲しみは想像に容易い。
 つまりラフタリアは自分と同じ境遇の者を一人でも増やさない為に戦っている。
 こんな崇高な目的のあるラフタリアが色恋なんて考えるはずもない。

 そもそもラフタリアは外見こそ大人だが、年齢的には子供だぞ。
 恋愛する年頃じゃないだろうに。

 まあリーシアは樹に恋しているから、その辺の感性が良くも悪くも女なんだろう。
 そういえばリーシアって何歳位だ? 見た感じ中学生……十四歳位か。
 ちょっと早い様な気もするが、異世界だしな。

「そうだぞ、リーシア。ラフタリアはそういう冗談が嫌いなんだ。気をつけろよ」
「な、ナオフミ様……」

 顔が赤かったラフタリアが落ち着きを取り戻していく。
 よしよし、あんまり怒らせるのも良くないからな。

「は、はい……?」

 リーシアが首を傾げながら俺とラフタリアを見つめていた。

「さて、明日は色々と忙しくなるぞ。リーシア、お前はどうするんだ?」
「どうするとは?」
「Lvのリセットだよ。波が随分先になってしまったからな、上げなおすなら今が良いだろう」
「え、あ!? そ、そうですよね……うーん」
「選ぶのはリーシアだ。よく考えて行動しろ。機会としてはちょうど良いからな」
「はい。少し考えておきます」

 こうして、俺達はゆっくりと休み、明日に備えた。


「さてと」

 城で朝食を終えた俺達は女王と軽く話をする。
 丁度良いからリーシアに聞く。

「結果は出たか?」
「あ、はい……私もラフタリアさんのように強くなりたいです! ですからやり直すと決めました」
「そうか、じゃあ……」

 俺が女王の方に顔を向けると、女王も頷く。

「では龍刻の砂時計の方で儀式を行えるように指示を出しておきます」
「助かる。今日は色々と忙しくなるぞ」

 城を出て龍刻の砂時計へ足を運ぶ。
 あ、顔とか分からない様にローヴを羽織ってな。こうでもしないとゾロゾロと後ろを付いて来るような奴がいそうだし、女王も

「女王から話は聞いております」

 兵士が龍刻の砂時計へ案内する。
 ……やはり砂時計が止まっている。
 どういう原理なのか、砂が落ちずに固まっているのだ。

「本来は罪状のある者にしか掛けない罰なんですけどね」
「ちょっとな」
「噂は聞いております。盾の勇者の仲間は勇者に匹敵する程の強さを持っていると、その強さの秘密なのですよね?」

 おしゃべりな兵士だな。
 変に絡まれると厄介だ。こういう奴には曖昧に答えるに限る。

「いや、ただの嫌がらせだ。コイツは俺の嫌いな奴の部下なんでな、Lvをリセットして送り返してやろうと思っているんだ」
「ふぇええええええええええええ!?」

 リーシアがすごい声を出す。

「そ、そうなんですか!?」

 空気を読め。
 ラフタリアが呆れたような顔で俺を見ている。
 フィーロは何処見てんだ? 明後日の方向を眺めている。
 はぁ……リーシアの耳元に顔を近付けて囁く。

「嫌がらせってのは嘘だ。ああ言う輩に本当の事を教えると、俺に強くなりたいって打算的な冒険者が群がる事になるんだよ。お前の樹だって隠し癖があっただろ?」
「は、はい」

 まったく、察してもらいたいもんだ。
 冒険者なんて結局はならず者の集まりだ。
 本当にやる気のある奴は一定の能力を手に入れたら、どこぞの国にでも仕官して兵士になるのが正しい。

 クラスアップ前の上限Lvになっても冒険者やっている奴は組織に属するのが嫌いか、犯罪者予備軍かのどっちかだろう。
 俺が作りたいのは言う事を聞く私兵であって、唯強いだけの奴ではない。
 下手に強くして後から不満でも上がってみろ。どうせ後々そういう奴の処理をする事になるんだ。

「で、Lvリセットはどうやってやるんだ?」
「まずはこの首輪を付け、龍刻の砂時計の前にある魔法陣に乗ってください」

 兵士が出した首輪をリーシアに渡す。
 リーシアは首輪を付けて、指示された通りに魔法陣に乗っかる。
 多分、あの首輪をつけることによって何かの抵抗力を落とすとかだな。

「本当によろしいのですよね?」
「はい!」

 リーシアの決意も固い。
 ん? クラスアップの時と同じように儀式を手伝う奴等も居るけど担架が準備してある。

「リセットによる反動です。数日はリハビリが必要になると思うので」

 ふむ……。
 そりゃあそうか、それまで当たり前だったステータスが急激に下がると体が重くなるし……。
 俺でこれなんだから、Lv1に戻ったら、それこそ思うように動かなくなるのだろう。

「個人差はありますけどね」

 そう言いながら兵士は儀式を始める。
 龍刻の砂時計が輝いて、魔法陣に力を注ぐ。
 クラスアップの時に見た光景と似ている。

「今ここに、新たな道を選ぶ為に己が力を解き放つ者が居る。世界よ。彼の者に道を指し示す好機を与えよ」
「う……く……」

 リーシアが魔法陣の中で呻く。

「ち、力が抜ける気が……」

 やっぱりそう言う感じなんだな。
 やがてフッとリーシアから何かが出て、四散するのが確認できた。

「終わりです。体の調子はどうですか?」
「え?」

 リーシアが手を開いたり閉じたりを繰り返す。

「あんまり変わった感じがしません」
「失敗か?」
「そんなはずはありませんよ?」

 徐にリーシアのステータスを確認する。
 うん。
 Lvが1に戻っている。

 ただ……ステータスが殆ど変化していない。
 Lvアップで上昇した部分が無いに等しいから1に戻っても違和感がないんだな。

 ……こりゃあ、裏を返すと相当厳しいぞ。
 戦闘の資質が無いとかだったらどうすれば良いんだ。
 盾の成長補正に期待するしかあるまい。

「ついでにラフタリア達もするか?」
「いえ……私たちは……」
「フィーロもやりたくない」

 ま、この二人には必要無いか。
 ラフタリアはLv25から成長補正が掛かっていたのだからやる意味は無い訳じゃない。
 フィーロもフィロリアルシリーズの成長補正を掛け直すという意味で損は無いはず。

 まあ、段階を踏まないと攻撃力不足で戦えなくなるのだがな。
 それに……フィーロに至ってはリセットした瞬間、雛鳥になりそうだし。
 フィロリアルってどういう成長するか知らないけど。
 育てなおすのも良いが、本人が望んでいないのだから必要無いな。

「そうか、じゃあ次に行くとするか」
「何時でもお待ちしています」

 管理をしている兵士が頭を下げる。
 前とは随分対応が違うよな。
 改めて、見返してやったと自覚する。
 少々、子供っぽいが……俺の評価は上がって行っているんだ。
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