挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
盾の勇者の成り上がり 作者:アネコユサギ

盾の勇者の成り上がり

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

127/854

過保護

「うう……重い」

 この感覚には覚えがあるぞ。
 目を開けて辺りを確認する。
 どうやら治療院のベッドに寝かされているようだ。
 見ると俺に圧し掛かるようにフィーロが寝息を立てていて、椅子に座った体勢でラフタリアも眠っている。
 これだけならまだ良かったのだが、何故かメルティまでフィーロと一緒に寝ている始末。
 またか。ブルートオプファーを使うと必ずコレだな。コイツ等。

「あ、気が付いたんですね!」

 リーシアが水筒を持って病室に入ってくるところだった。
 珍しくきぐるみを着ていない。
 そういえばリーシアってこんな外見だったな。
 ずっとフィーロきぐるみを着ていたから忘れていた。

「ラフタリアさん、起きて下さい。盾の勇者様の意識が戻りましたよ」

 ユサユサとリーシアはラフタリアを揺する。
 俺はその様子を見ながら自分の状態を確認した。
 目立つ外傷は無い。呪いによるダメージも治療院の者が治してくれたのだろう。
 だが、体に纏わり付く虚脱感に目が回りそうになる。
 やはり呪いの減少効果が相当響いている。

「お前ら! 重い!」

 フィーロとメルティをどけて体を起こした。

「んにゃ?」
「あ、ナオフミ様! 目が覚めたんですね!」
「ああ、心配かけたな」
「心配しましたよ! まったく、また無茶をなさって」

 愚痴るラフタリアの小言を聞き流してリーシアの方を見る。
 こんなの一から順に聞いていたら陽が落ちるからな。

「状況はどうなっている?」
「聞いているんですか!?」

 聞いてないって言ったら怒るんだろうなぁ……。
 ま、聞いていないんだが。
 しかし態々揉め事を作る必要もあるまい。

「ちゃんと聞いている。他にも色々と知りたいんだよ」
「えっと……あれから1日経過しています」

 1日……前にブルートオプファーを放った時は2日程眠っていたのだから早いほうだ。
 相変わらず調子は悪いが、慣れとかそういう類なのか。

「最優先でナオフミ様の治療をするようにと女王様が言い付けなさったんです」

 という事は、最も効果の高い魔法と薬学の治療をしてもらったと思って良いだろう。
 前は治療を施す場所が城下町ではなかったし。

「霊亀はどうなった?」
「メルロマルク城へ被害が出る直前に息の根が止まりました」
「そうか」

 俺が失神してから、復活したとかじゃなくて良かった。
 あの倒し方で正解だったのか。

「現在、死骸の除去を行っている最中です」
「分かった。所で」
「んー……」
「なんでメルティが居るんだ?」
「えっと、メルティ王女が盾の勇者様が重傷を負ったと聞いて――」
「わ、わ、わーーーー!」

 目を覚ますなりメルティは大声で目を輝かせたリーシアを黙らせる。
 どういう状況だよ。
 というか、メルティは相変わらずヒステリー染みた所があるな。

「私が寝ぼけている間にある事無いこと言おうとするってどういうつもりよ!」
「も、申し訳ございません!」

 ああ、王女相手にリーシアも強くは出られないか。
 ラフタリアやフィーロは慣れてしまっているからな。むしろ堅苦しい態度を嫌いそうだ。

「じゃあメルティ、俺はもう大丈夫だから、城へ帰れ」
「それが心配して来てやった人への言葉な訳!?」
「ああ、そうだった。ついでに女王を呼んでくれ、色々と聞きたい事が山ほどあるからさ」
「挙句にそれ!? わかったわよ!」

 ノシノシと王女とは思えない歩調でメルティは部屋を出る。
 そして振り返るなり、舌を出して挑発してきた。
 子供かよ。いや、子供だったな。
 歳相応の反応じゃないか。

「何ヘラヘラしてんのよ。ナオフミのバーカ!」
「まってよーメルちゃーん! 行ってくるね。ごしゅじんさま」
「おう行ってこい」
「うん」

 フィーロはメルティの後を追って出て行った。

「さて……」

 うるさい奴がいなくなったな。
 だとしても何時までも横になっている必要は無い。
 ベッドから起き上がって、立つ。

「大丈夫ですか? もう少し休まれた方が……」
「怪我は既に治っているから体力だけだ。今は状況を自分の目で確かめたいんだよ」

 ステータスを確認する。
 ……うわぁ。意識を失う前の3割くらいしかない。防御力だけは据え置きなのが救いだな。
 重い体を引きずって、治療院の部屋から外を見る。
 ……霊亀の山脈みたいな甲羅が日照権を侵害しているのが見える。

 後は、カンカンと復旧作業をしている連中の姿か。
 大損害を出してしまった。かといってあそこで停めなければ城は壊れていたわけで。
 ……そうだ。波が後2日に迫っている。
 準備しなくてはいけない。

 そう思って、正確な時間を測定する為に視界に浮かぶ砂時計に意識を集中させる。
 あれ?
 赤いほうの砂時計の数字がまだ止まっている。
 そして、青いほうの砂時計のアイコンが動き出しているのが確認できる。
 ……えっと。

 数字は8?
 非常に嫌な予感がする。
 念のために確認する。
 今度は青い砂時計に残り時間が表示されていた。

 約……3ヶ月半?

 どうなっているんだ?
 これが次の波、もしくは何かの封印が解かれる時間だとしたら……随分長いな。
 いや、あれだけの規模の被害を出す化け物を相手に準備をするのなら短いのか?
 分からない。

「失礼します」

 声に振り返ると女王が部屋に入ってきた。
 女王の後ろには連合軍の上層部も居る。

「お体の具合はどうでしょうか?」
「あんまり良くないな」
「専門の治療師からの伝言を承っています。早くても完治まで3ヶ月は必要だそうです。後、完治まで、いえ完治してもあの攻撃の使用は禁止して欲しいそうです」
「とは言ってもな、あそこで使わなければ城と城下町が壊滅していただろ」
「……分かっております。ですが、最低でも完治する前に、また使うような事があったら確実に死ぬと言うのが治療院の関わった治療師達の判断です」
「そうか……」

 そんなにリスクがあるのか? まあ、大きい代償だとは自分でもわかっちゃいるが。
 正直言えば、俺だって使いたくて使った訳じゃないし、使わなくて良い状況に持っていけるならそっちの方が良い。

「分かったよ。さすがに使わない」

 俺だって撃ったらダメージを負うスキルを毎回毎回使いたくは無い。
 これからはブルートオプファーを使わない方向で考えていこう。

「さて、復旧作業はどうだ?」
「ええ、大損害を出し、城下町で倒された霊亀の処理に時間が掛かっております」
「あれは処理しきれるのか?」

 なんていうか、文字通り山一つが城下町に降って来たような状況だ。

「ええ……調査班の解析では、除去よりも放置した方が良いそうです」
「だろうな。処理とは肉とか腐る物の処理という事か」
「はい」

 そりゃあ、あんな山みたいな化け物の体の処分は大変だろう。
 腐って風土病を撒き散らしたらそれこそ厄介だ。

「現在、霊亀の肉を解体中です」
「使い魔や様々な素材の類は集めてくれているか?」
「ええ、イワタニ様が望みそうな事は事前に」

 気が利いて助かる。
 ソウルイーターシールドの例がある。
 霊亀の盾は性能高いだろう。多分。
 他にも霊亀の使い魔や心臓なんかも吸わせられそうだ。

「後は城の方でお話したいと思っております」
「ああ……所で砂時計に関してだが」
「その件も存じております」

 二日間もあったからか、準備は済んでいるという訳か。
 話が早くて助かるな。

「じゃあ、行くとするか」
「もう少しお休みになられた方が良いのでは……」

 ラフタリアが俺の身を案じて言う。
 気持ちはわかるが最低限やらなければいけない事がある。
 身体を休ませるのは面倒な事を片付けてからの方が良い。

「いや、どっちにしろ話をしなくちゃいけないんだ。疲れているだけだから問題は無い」
「……わかりました。けど無理は絶対にしないでくださいね」
「はいはい」

 確かにだるいが、死ぬほどではない。人を病人みたいに扱わないで欲しいのだがなぁ……。
 ラフタリアってこんなに過保護だったっけ?
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ