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盾の勇者の成り上がり 作者:アネコユサギ

盾の勇者の成り上がり

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流星盾

「よ。親父、久しぶりだな」

 武器屋の裏手に馬車を停めて店に入る。

「おう。アンちゃんじゃないか。出発してから数日で賞金を掛けられたから驚いたぜ」
「まあな、俺もあの時は大変だった」
「どうやら無実を証明できたみたいだな」
「ああ、親父のお陰でもある」

 今日知った事だけど親父が冤罪疑惑に俺の無実を証明してくれようとしてくれたというのは嬉しいと感じた。
 それだけじゃなく、今まで色々と力を貸してくれたみたいだし。

「ありがとう」
「やめてくれよケツが痒くならあ」

 照れるように親父が頭を掻く。

「ただ……今日のパレードはどうかと思うがな」
「まあ普通はそうだよな」
「昔は立派だったらしいんだがなぁ」
「親父は知らないのか?」
「杖の勇者だろ? あの王が活躍していた時、俺はまだ10かそこらだぞ? 別の国にいたし」
「なるほどなぁ……」

 と、クズの話は置いておいて本題に移りたい。
 武器屋の親父からすれば好条件だから問題無いだろう。

「女王の後ろ盾を得たから、親父に武器や防具を作ってもらおうと思ってきたんだ」
「お? 特注の依頼か? 国が雇った鍛冶師がいるんじゃないのか?」
「そこは親父の腕を見込んで俺が頼みに来たんだよ」
「アンちゃん……」

 親父の奴、目頭を抑えて感動しているようだ。
 今まで使っていた装備のほとんどは親父から買った奴だからな。安心感もある。

「じゃあアンちゃんの期待に答えられるように頑張らないとな。何を作る?」
「ここに素材一覧がある」

 俺は女王に貰った素材一覧の書かれた用紙を親父に見せる。
 必要な材料は知らないが、ある程度まとまった量があるから足りないという事は無いはずだ。

「この素材で親父が今の俺達にピッタリだと思う武器と防具を作って欲しい」
「分かった。しかし、かなり希少な素材もあるようだな。腕がなるぜ。金は?」
「国が受け持ってくれる」
「アンちゃんも随分と良い身分になったな」

 まあだから居心地が良いんだけどな。
 装備に素材、家庭教師、身分、そして金。
 これだけあったら留まらない理由が無い。
 結局は波と戦う事になるんだ。有利な環境があるなら時間は無駄にしたくない。
 ……無いとは思いたいが、少し気に掛かる事もあるしな。

「後……」

 ラフタリアとフィーロに視線を送る。
 それぞれが今、装備しているカルマーラビットソードとカルマードッグクロウをカウンターに乗せた。
 俺もペングーきぐるみとその他、カルミラ島で手に入った素材を親父に見せる。

「これも追加で頼む」
「アンちゃん色々と持ってきたな。所でこの寝巻きみたいなのを着ている嬢ちゃんは仲間かい?」
「ふぇ?」
「ああ、リーシアだ。こんな格好だが中身は人間だ」
「ナオフミ様、さすがにその説明はどうかと……」
「しょうがないだろ。きぐるみを脱がないんだから」

 リーシアはきぐるみが大層気に入ったのか、なんかずっと着ているんだよな。
 顔が隠れて良いらしいが、単純にきぐるみフェチの可能性が出てきた。

「そ、それは置いとくとして、変わった武器を持ってきたなぁ……癖はあるが確かに今の嬢ちゃんにはピッタリな品だ」

 カルマーラビットソードを値踏みしながら親父は答える。
 色々と難点はあるが、攻撃力が高いのも事実だからな。
 親父の意見を聞いて、改造するか手放すか決めたい。
 溶かして素材するという手もある。

「問題はブラッドクリーンコーティングが掛かっていない事なんだ。どうにかできないか?」
「あれは打ち出す段階で施す加工だからなぁ……精度は落ちるが無い事も無い。それで良いのか?」
「頼む」
「ふむ……それも良いが、改良してみるのも面白いかもしれねえ」

 蛮族の鎧を追加パーツ付けたみたいな真似ができるのか?
 頼んでみるのも良いかも知れない。

「色々と面白い依頼を持ってくるなアンちゃん」
「まあな。それでだ、親父。このリーシアって子に武器を見繕ってくれないか?」
「ん? 良いが……きぐるみを脱いで手を見せてくれねえか?」
「リーシア」
「わ、私は剣が好きなんです」
「俺はお前に後衛を任せたいのだが……」

 あのステータスを見たらあまり前に出て欲しくないとは思う。
 掠り傷でも負ってみろ。そのまま死んじゃうんじゃないか。
 防御力も敏捷も低いからな。下手をするとフィーロの蹴りに巻き込まれて死んだとか、最悪の結末が浮かんでくる。
 その点後衛ならある程度どうにか出来るし、攻撃魔法を使えばリーシア程度の威力だと俺は傷も付かない。
 範囲魔法を使えるかは後で聞くとして、使えた場合、ラフタリアとフィーロを後ろに下げて魔法を使いまくるという手もある。

「どっちもやります!」
「意気込みは評価するが、一応見てもらえ」
「はい……」

 リーシアはおずおずときぐるみを脱いで親父に手を出す。

「こりゃまた別嬪さんだな。アンちゃんも幸せだろう」
「幸せ? 元康じゃないんだから何とも思わんが?」
「朴念仁も相変わらずか、嬢ちゃんの苦労がまた増えたな」
「ええ……本当に」

 何やら親父とラフタリアが理解しあうように頷きあっている。

「ふむ……見た感じだと突剣が相性良さそうだ。後衛もさせたいとなると、魔法加護も付いた物が良いだろうな」
「そうか、見繕ってもらえるか?」
「まて、他に弓や槍を持たせるという手段もあるぞ? 力が無さそうだからオススメできないが」
「ふぇ……弓はダメです!」
「樹と被るのは嫌か?」
「そうではなく、皆さんに当てそうで怖いです……」
「ああ、そういう事ね」

 考えてみれば戦闘中に味方への誤射の心配もしなきゃいけないのか。
 樹はその点、外した事は無いようだし……一応は勇者と言った所か?

「とりあえずは何時までに作れば良いんだ?」
「波まで後、1週間と少ししかないんだ。それまでに出来る範囲で良い」
「分かった。が……」

 親父がペングーきぐるみを持って尋ねる。

「これはどうするんだ? 分解でもするのか? というか……誰だよこんなの作ったの」
「そこなんだよ。性能は優秀なんだが、見栄えが悪くてな。それは魔物が落とす……悪い、分かりやすく言うと伝説の武器が魔物を材料に作り出した物だ」

 そうだよな。魔物が落としたって言ってもこんなもの落とすかとか突っ込まれる。
 こういう所が異世界なんだと実感させられる。俺が気付かないはずだ。
 気付かなかった俺がおかしいんじゃない。気付いたアイツ等がおかしいんだよな。
 そもそもヤマアラみたいな動物が自分の体格以上の武器を落とすとか、普通におかしいだろ。

「変わった物を作るなぁ……確かに効果は優秀なのは分かるが……」
「付与効果だけでも別の物に移せないか?」
「難しいな。色々と施して見るが期待しないでくれよ。細かい調整が必要になると思うからその時は、またアンちゃんに聞く」
「頼む。蛮族の鎧は置いていった方が良いか?」
「そうだが……一応、嬢ちゃんの鎧用として試作してみるから後回しで良い」

 ラフタリア用か。上手くいけばだがな。

「な、なんですか?」
「気にするな」

 なんか嫌な予感というか、妙な感が疼くんだよな。
 この改造は悪いベクトルへ行くような気がする。

「何かワクワクしますね」

 ……きぐるみ愛好者が期待に胸を躍らせている。
 これは悪い方向に転びそうだな。
 なんと言ってもリーシアみたいな幸薄い奴が期待に胸を躍らせているとか、どう考えてもフラグだろ。
 最悪、リーシアに着てもらうか。

「ごしゅじんさまーもう持ってこなくて良いの?」
「ああ、十分だ」

 フィーロが静かだと思ったら素材を運んで貰っていたんだった。
 そういや……島で手に入れた素材、思いのほか少ないんだよなぁ。
 ドロップを優先すると素材があまり手に入らない。
 かといって素材を優先するとドロップを稼げない。
 難しいな。

「ああ、すっかり忘れる所だった。親父、盾を見せてくれないか?」
「アンちゃんが必要とするような盾は無いと思うが……? ああ、嬢ちゃん達用か?」
「違う。親父になら話しても良いか」

 俺は親父にウェポンコピーに関して話した。
 すると予想通り渋い顔をされた。

「店主である俺に向って堂々と盗みを働きますって言っているようなものだぞ、それ」
「黙ってするよりは良いだろ? その分国から仕事を斡旋していると思ってくれ」
「まあ……他の勇者は黙ってやっていったって訳だが……しょうがねえな。他ならぬアンちゃんの頼みだ。好きに触っていけ」

 と、言われたので親父の店に立てかけられている手に入っていない盾を持ってコピーさせる。
 魔法銀の盾、ヘビーシールド、鉄甲の盾、魔力の盾と色々とコピーさせてもらった。
 アイアンシールドと鉄甲の盾は違うのか……魔力の盾は、取っ手にあるスイッチで魔力を盾に変換する変わり物の盾らしい。

 というか、聞いた俺が言うのもアレだが、やっぱり盾は武器の項目なのか?
 なんで武器屋に当然の様に売っているんだよ。
 一々防具屋に行かなくても良いから文句は言わんが。
 まあ総合店という事で納得しておこう。

「後はそうだな、ちょっと待っていてくれよ、アンちゃん」

 そう言って武器屋の親父は店の奥へと行く。
 どんどんと階段を上るような音が聞こえ、ガチャガチャと騒がしい物音がする。
 しばらく待っていると親父が戻ってきた。

「待たせたな。この国じゃあ珍しい盾だぜ」

 無骨な……だけど変な光沢のある盾を親父は持ってきた。
 使われている金属は鉄だろうか? ただ……何か変な雰囲気がある。
 目利きを発動させて鑑定する。
 隕鉄の盾 品質 普通

「隕鉄?」
「ああ、空から降ってきた珍しい鉱石で作られ盾だ。ゼルトブルの展示商品。隕鉄シリーズの試作品だ」
「へー……ん? 展示商品? 何故親父が持っている」
「昔ちょっとな」
「ふぅん」

 どちらにしても非売品って事か。
 ああ、元康達はゼルトブルの店が品揃えが良いとか言っていたな。
 触れてコピーしたのか。

「ほら、持ってみろ」
「あ、ああ」

 俺は親父に手渡された隕鉄の盾を持つ。

 ウェポンコピーが発動しました!

 隕鉄の盾  0/20 C
 能力未解放……装備ボーナス、スキル『流星盾』
 熟練度 0

 とうとう出た!
 勇者共が連発する流星シリーズの盾版!
 ちなみにカラーバリエーションもあるが、そっちは普通にステータス系だ。
 これで俺も加わって四馬鹿か?
 まあ、性能次第だけど。
 俺は隕鉄の盾に盾を変える。

「おお」

 親父が驚きの声を出す。

「ちょっと変わったスキルが出たから試させてくれ」
「な――おい!」
「流星盾!」

 と、叫ぶ。すると俺の周りに青白い光の薄い壁が発生した。範囲は俺を中心に2メートル。
 消費SPは……全体の5%くらいか。クールタイムも短い、15秒か。
 見た感じだと防御壁を展開するスキルのようだ。

「どんなスキルなんですか?」
「多分、防御壁を作り出すスキルだと思うが……」
「はぁ」

 ラフタリアが俺の展開させた壁に触れ……ようとして、あっさりすり抜けた。

「違うのか?」
「へー……」

 フィーロやリーシアも同じようにすり抜ける。
 アイツ等の流星シリーズは総じて性能が高いから、俺だけゴミスキルという事は無いと思いたいが。

「まったく、店で変な真似するなよな――ふべ」

 親父がブツクサ言いながら壁を抜けようとしてぶつかる。

「ああ、パーティーメンバーだけしか通り抜けできないのか」

 耐久力にもよるけど範囲防御結界みたいなスキルのようだ。
 使いどころを考えれば優秀だな。
 でー……効果時間は5分ほど。クールタイムと逆算するとかなり優秀なスキルであるのが窺える。

「ったく、もう少し考えてくれよアンちゃん」
「すまんな、親父のとっておきだろうから見せてやりたかったんだ」
「そう言われたらこれ以上文句が言えねぇじゃねえか」
「とりあえずはこんな所か」

 後は元康から教わった強化方法で使う鉱石による精錬か。
 素材一覧に多少在庫があるけど、満足行くまで揃うかというと微妙なラインだな。他の鉱石に比べると少ない。
 女王が管理しているが前はクズが管理していて元康が欲した可能性が高い。
 沢山必要になるから、入手先を別経路から考えないとな。

「じゃあな、親父。何かあったら城に俺が依頼した武器屋だと言って、この書類を持って来れば通してくれる」
「分かったぜアンちゃん。期待して待っていてくれ」
「ああ、頼んだ」

 こうして俺は武器屋を後にした。
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