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盾の勇者の成り上がり 作者:アネコユサギ

盾の勇者の成り上がり

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幸薄少女

 とりあえずリーシアが仲間になった訳なのだが……。
 船室に帰る途中でラフタリアがやってきた。

「ナ、ナオフミ様の怒声が聞こえて来たのですが何があったんですか?」
「ああ、樹が癪に障る事を仕出かしてくれてな」
「あれ? 後ろに居るのはどちら様ですか?」
「あ……あの」
「確か……とにかく、船室に戻りましょう。話はそれからですよ」

 ラフタリアはどういう経緯かをなんとなく察したようだ。
 船室に戻り、俺は経緯を説明した。ついでに自己紹介もして仲間にした事も話した。
 当然といえば当然だが、ラフタリアは呆れ半分、怒り半分といった表情だ。

「あの方は……」
「い、イツキ様の悪口は言わないでください」
「そんな酷い目に遭っているのにまだ庇うんですか……」

 さすがにラフタリアも呆れ声を出す。
 俺もそう思うが……。

「フィーロが助けなければ溺死だったな」
「褒めて褒めて」
「ああ、はいはい。さっきも褒めただろうが」
「えっへん」

 まだ褒められたりないのか人型のフィーロが俺に頭をぐりぐりと擦り付けてくる。
 この感触は……アホ毛が鬱陶しいな。

「イツキ様が悪いわけじゃないんです。私が弱いのがいけないんです……」

 また泣き出しそうになるリーシアの手をラフタリアは握った。

「分かります。大切な人なんですね」
「はい……」
「何時か分かってくれます。共に頑張りましょう」
「……ラフタリアさんもそうなんですね。分かりました」

 ん? 何か変な雰囲気があるような気がするのは気のせいか?
 共に? まあ良いや。
 変に敵愾心を持たれるよりは何倍も良いしな。

「とりあえずはリーシアは俺の仲間として同行してくれ。強くなる方法は追って考えよう」
「そうですね」
「後は……当面、リーシアは船内で樹のストーキングは禁止な」
「は……はい」
「数時間後には船を降りるんだから、それくらいは我慢できるだろ?」

 どうも一途が過ぎて樹のストーカーになりつつあるんだよな。
 ここは1度距離を取った方が良いだろう。

「努力します」
「後は……樹もムキになっているから顔合わせしないようにしないとな」

 まあ、時間をずらせば良いか。
 俺の精神的にも、アイツと遭遇するのは面倒だ。
 影辺りから聞き出せばその辺は問題無いだろう。

「影」

 影を呼ぶ。すると直ぐに影は現れた。
 本当、いつもどこで見ているんだろうな。
 まあ俺の監視も含めて四人の勇者を全て見張っているみたいだし、しょうがないのか。

「なんでごじゃる?」
「他の勇者はこの後何をするんだ? ついでに俺達は何か用事を言い渡されているか?」
「剣と弓の勇者殿は船を降りると任務に就くのが決定しているでごじゃる。盾と槍の勇者殿は一度城への帰還を言い渡されているでごじゃるよ」
「ふむ……」

 錬と樹は先に何か仕事を与えられていると……元康と俺は城へか。
 俺は女王に頼みごとがあるからしょうがないし、元康の方は城を寄れる仕事があるのか?
 ああ、ビッチへの罰か。
 まあ、それなら樹達が下船するのを確認したら降りれば問題ないか。

「さて、じゃあリーシアには何をしてもらうかな」
「ひぃ!」
「なんだその声は、別に無茶な要求はしないぞ」

 元々樹の所に居た奴だからなぁ。
 俺を性犯罪者とか勘違いしている可能性は非常に高い。

 単純にパーティーの連携として何を任せるかという話をしようとしただけだ。
 樹パーティーと狩りを二日したからな。特徴は掴んでいる。
 リーシアの長所はなんでもできる事だ。
 近接戦闘、攻撃魔法、回復魔法、援護魔法。
 これ等全てを使えるのは俺のパーティーとしてはありがたい。

 戦力的に近接戦闘はラフタリアとフィーロがいるから問題無い。
 そうなると俺のパーティーに存在しない魔法系を任せる事になるのか。
 全ての魔法を使えるのなら、その場その場で臨機応変に対応できれば能力的問題は改善できる。

 何もLvとステータスが全てじゃない。
 頭を使えば実際の能力以上の結果を出す事だって可能なはず。
 丁度良い。
 一度俺達パーティーの役割を割り出しておこう。

 まず俺は防御兼回復、援護役。
 今更反芻する意味も無いな。

 ラフタリアは遊撃。
 戦闘能力ではフィーロに遅れを取るが、堅実な戦いと幻影魔法でトリッキーな攻撃を行う。

 フィーロはアタッカー。
 単純な攻撃力と素早さ。そしてハイクイックや範囲魔法での殲滅役だ。

 ここにリーシアを加えた新しい戦い方を考えないとな。
 そんな感じの事を考えているとラフタリアが怯えているリーシアに説明を始めた。 

「大丈夫ですよ、リーシアさん。ナオフミ様は口は悪いですが思ったより酷くはありませんから」
「……1度ラフタリアとはどういう関係かを話し合った方が良いんじゃないかと思えてきた」

 思ったより酷くないってどういう意味だよ。
 まあ……非常に不本意だがアクセサリー商や奴隷商辺りからは危険人物扱いを受けている様な気もするが。

「そ、それなら……」

 チラッと俺の方を見たリーシアが納得したように頷く。
 何を納得して頷いた。

「何? 俺ってどういうポジションな訳?」
「いえ……」
「いえ……じゃねえよ。教えろよ」
「こういう方なんです」
「なるほど」

 何故かリーシアは安心してしまった。女の理解とは良く分からん。
 女ってホント謎だ。ギャルゲーの女くらい単純な方が分かりやすいのにな。

「そういえば……」

 リーシアを上から下まで凝視する。
 あんまり良い装備を着ていないなぁ。
 あそこは序列があるからな。新参者には優先順位が低いのだろう。
 良い装備が無いという事は活躍が出来ない。活躍出来ないという事は良い装備を回してもらえない。このスパイラルでLvだけ上がっているとかそんな所か。

「リーシア、Lvは幾つだ?」
「え? 68です」

 地味にあるな。
 ステータスは確認できないけど、それなら頼りにするのも悪くない。
 リーシアは万能を目指した器用貧乏だからな。回復と魔法援護に集中して貰えれば俺たちにはちょうど良い。
 とはいえ、防御能力が不安だ。俺が守りきれない事態も想定しないと厳しい。
 ラフタリアやフィーロは回避能力は高いし、防御力も程々にあるからな。
 68もあれば、ラフタリアやフィーロに劣るだろうが、戦えはすると思う。
 問題は樹が切り捨てたという能力の低さか。

「とりあえず不測の事態に対応できる様、リーシアには悪いがコレを着てもらうか」

 と、俺はペングーきぐるみを取り出してリーシアに渡す。
 色々と万能でラフタリアの鎧よりも性能が高い。

「ナオフミ様……さすがにそれは」
「しょうがないだろ。優秀なのはコレしかないんだから」

 適当な安物だと、今、リーシアが装備しているのと対して変わらなくなってしまう。
 ちなみにペングーきぐるみは合計3着ある。倒しすぎたな。
 他のカルマーシリーズできぐるみは落とさなかったけど。

「あ、これ……」
「どうした?」
「イツキ様も似た様な物を所持してました。確か……リスのきぐるみでした」
「へー……アイツも着たのか?」
「優秀な装備だからと私達の誰かに着せようと提案しました。結果、みんな嫌がりましたけど」
「その流れだとお前が着たんじゃないか?」
「はい」

 はい、じゃねえよ。何当然のように頷いているんだよ。
 幸薄いよやっぱ。
 完全にいじめの罰ゲームじゃねえか。しかもヘラヘラ笑ってやがる。

「とても素晴らしい装備でした。でも仲間から外される時に取られちゃいました」
「何か活躍したのか?」
「着ると色々な効果が出て楽になるんですよ」
「まあ、付与効果は立派だもんな」

 多分、リスのも魔力上昇とか付いていたのだろうし、リーシアとは相性が良かったんだろうな。

「とりあえずは着てくれ、樹と遭遇してもリーシアだとは思われないだろうし」

 俺と一緒に居ると裏切り者だったんだとか確信をもたれそうだし、当面は顔を合わせない方が良い。
 別の意味で目立つが……どうするか。
 ……見た感じだと魔物にも見えなくも無いから、樹と会わなければどうにか出来るか。

「船を降りたら脱いでも良いから」
「脱ぐんですか?」

 なんかリーシアが微妙に困った顔で俺を見る。
 その反応はなんだ。

「……気に入っているのか?」
「便利ですので、それに落ち込んでいてもこれを着ていたら気付かれないと思うんです」

 完全に負け犬の発想だ。
 いじめられっ子みたいな事を言う子だな。

「お前はそれで良いのか?」
「はい!」

 はい! じゃねえよ。
 これは大変だぞ。素直で良いけれど、心根から改善しないと成長は見込めなさそうだ。
 きぐるみを着れば泣いているように見えないとか……。

「最初はそれでも良いけど、しばらくしたら卒業しろよ」
「はぁ……」

 ラフタリアが微妙な顔をしている。
 さすがにこの子と仲良くするのは難しいか?
 性格的に相性は悪くないとは思うんだが……まだ判断できる段階に無いか。

「えっと、少しずつ強くなっていきましょう」
「はい!」

 返事だけは元気だなぁ。
 錬の所の連中と仲良くなれそうだ。
 いそいそとリーシアはペングーきぐるみを着用した。

「どうですか? ペンペン」
「ああ……うん」

 しかも微妙にお調子者っぽい所がある。
 この世界に来る前の俺を思い出すな。
 喜んでそれを着るのはフィーロを入れて二人目か。
 なんか、人間が仲間になったはずなのに魔物が仲間になったような気分になってくる。

「これからよろしくお願いします」
「ああ、よろしく」
「よろしくー、フィーロとおそろい」
「こちらこそよろしくお願いしますね」

 と、リーシアは俺の仲間に歓迎された。
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